人間が出した二酸化炭素(CO2)が大気中にたまって地球の気温が上がるのが温暖化問題と理解していましたが、気温が上昇した結果、海からCO2が放出され、大気中の濃度が上昇しているという説明も耳にします。どちらが本当なのですか。 中岡 慎一郎 (国立環境研究所)1 向井 人史 (国立環境研究所)2 これまでに行われた海洋表層での二酸化炭素(CO2)の観測と、そのデータに基づく海洋と大気のCO2交換量の評価によると、全体で見れば海洋はCO2を吸収していて、近年では炭素換算で年間18億トン程度のCO2を吸収していることが分かっています。このため、大気中のCO2濃度の上昇は、海からCO2が放出されたことが原因とは言えないことは明らかです。海洋のCO2吸収量の増加は、人間活動によるCO2排出量の増大によって生じていると考えられますが、今後も同じように吸収し続けるか注視する必要があります。(以下、本文での