コンテンツにスキップ

「尼崎市小田南公園軟式野球場」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
 
(17人の利用者による、間の28版が非表示)
20行目: 20行目:
|建設者=
|建設者=
|起工=
|起工=
|所在地=兵庫県尼崎市杭瀬南新町丁目15-10
|所在地=兵庫県尼崎市杭瀬南新町3丁目3
|緯度度=34|緯度分=42|緯度秒=57.1
|緯度度=34|緯度分=42|緯度秒=57.1
|経度度=135|経度分=25|経度秒=51.1
|経度度=135|経度分=25|経度秒=51.1
36行目: 36行目:
|フェンスの高さ=
|フェンスの高さ=
}}
}}
'''尼崎市小田南公園軟式野球場'''(あまがさきしおだみなみこうえんなんしきやきゅうじょう)は、[[兵庫県]][[尼崎市]]の小田南公園内にある軟式野球場<ref>[http://www.city.amagasaki.hyogo.jp/map/1000379/1000414/1000798.html 施設案内 小田南公園軟式野球場]</ref><ref>[https://www.sanspo.com/article/20191002-2FU56D4UVFO2RKFTTPEXBXYS4E/ 新・虎の穴計画!阪神二軍本拠地に尼崎・大物が候補、手狭な鳴尾浜から移転] サンケイスポーツ 2019年10月2日</ref>。2025年には公園の東側(ゼロカーボンベースボールパーク)に「小田南公園野球場」(仮称)を新設する


ここでは軟式野球場と(仮称)小田南公園野球場に関して記載する。旧公園と[[阪神タイガース]]が2025年2月に開業予定の[[阪神タイガース (ファーム)|二軍]]の本拠地球場については「[[ゼロカーボンベースボールパーク]]」を参照。
'''尼崎市小田南公園軟式野球場'''(あまがさきしおだみなみこうえんなんしきやきゅうじょう)は、[[兵庫県]][[尼崎市]]の小田南公園内にある軟式野球場<ref>[http://www.city.amagasaki.hyogo.jp/map/1000379/1000414/1000798.html 施設案内 小田南公園軟式野球場]</ref><ref>[https://www.sanspo.com/article/20191002-2FU56D4UVFO2RKFTTPEXBXYS4E/ 新・虎の穴計画!阪神二軍本拠地に尼崎・大物が候補、手狭な鳴尾浜から移転] サンケイスポーツ 2019年10月2日</ref>。

本ページでは、[[阪神タイガース]]が[[2025年]][[2月]]から[[阪神タイガース (ファーム)|ファームチーム]]([[日本プロ野球]]の[[ウエスタン・リーグ]]に加盟する二軍)の[[本拠地]]として使用することを前提に、[[2023年]]の春から園内へ建設する予定の専用球場や関連施設についても述べる。この球場では、本拠地移転プロジェクトのパートナーである[[日鉄鋼板]]の主力商品(SGL鋼板)にちなんで、2025年の開場を機に'''日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎'''(にってつこうはんエスジーエルスタジアムあまがさき)という名称を使用することが発表されている<ref name="SGL">[https://www.nikkansports.com/baseball/news/202302220000536.html 【阪神】二軍新球場の名称は「日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎」25年2月に鳴尾浜から尼崎へ移転] 日刊スポーツ 2023年2月22日</ref>。
== 小田南公園の概要 ==
{{節スタブ}}
[[1965年]]まで[[ユニチカ|尼崎紡績→大日本紡績]]の工場が稼働した後に、ゴルフの練習場などに利用されていた土地を尼崎市が取得したうえで、'''日本国内における[[防災公園]]の第1号'''として[[1983年]]に開園。「『防災公園として定常時に親しみ、安全のイメージを定着させているか』が避難行動の迅速さや円滑さを左右する」という問題意識に沿って、「手軽に運動を楽しみ、自然を身近に感じられる場」<ref name="rediscovery" />として多目的グラウンド、ため池広場、緑地などを順次整備していった<ref>[https://www2.city.amagasaki.hyogo.jp/bunkazai/siseki/dainihon_boseki/dainihon_boseki.html 大日本紡績尼崎工場の跡] 尼崎市 2021年12月9日閲覧</ref><ref>[http://www.o-bay.or.jp/page/konjaku/vol04.html ベイ今昔写真記念館 ④尼崎紡績本社工場] 一般財団法人大阪湾ベイエリア開発推進機構 2021年1月9日閲覧</ref>。工場に隣接していることから、公園の設計に際しては、工場内の危険物が爆発した場合の爆風圧を想定した倒木のシミュレーションなどを実施したという<ref name="rediscovery">[http://www.amaken.jp/64/6416/ サイハッケン 日本初の防災公園が尼崎にあった] 尼崎南部地域の情報誌『南部再生』第64号(2021年6月発行)</ref>。

面積はおよそ3.5ヘクタールで、尼崎市内の公園・緑地としては3番目に広い<ref name="SouthODA">[https://amagasaki-park.com/plant2 小田南公園] パークマネジメント尼崎 2021年12月16日閲覧</ref>。住宅街に近いことから、実際には「周辺住民の憩いの場」としても機能していて<ref name="houshin211105" />、[[2020年]]の時点では年間で30万人以上の市民が利用している<ref>[https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202011/0013862839.shtml 阪神タイガース二軍本拠地移転巡り賛否問う住民アンケート 誘致の尼崎市] 神戸新聞 2020年11月13日</ref>。


== 軟式野球場 ==
== 軟式野球場 ==
[[1983年]][[10月8日]]に竣工<ref name=":0" />。公園の中心に位置していて、観客を収容するスペースやナイター照明設備を内外野に擁している。
[[1983年]][[10月8日]]に竣工<ref name=":0" />。公園の中心に位置していて、観客を収容するスペースやナイター照明設備を内外野に擁している。


球場の使用には予約が必要で、原則として使途を[[軟式野球]]に限定<ref name="SouthODA" />。小学生による野球の練習で使用する場合には、シートノックまで硬式球の使用を認めている<ref name=":0" />。
球場の使用には予約が必要で、原則として使途を[[軟式野球]]に限定<ref name="SouthODA">[https://amagasaki-park.com/plant2 小田南公園] パークマネジメント尼崎 2021年12月16日閲覧</ref>。小学生による野球の練習で使用する場合には、シートノックまで硬式球の使用を認めている<ref name=":0" />。


[[大物駅|大物(だいもつ)駅]]([[阪神本線]]と[[阪神なんば線]]の共用駅)や[[国道2号]]に近く、場内に60台分の市営駐車場を設けていることから、休場日([[12月29日]] - [[1月3日]])以外の期間には曜日を問わず[[草野球]]などの予約でほぼ埋まっている<ref name=":0" />。
[[大物駅]]([[阪神本線]]と[[阪神なんば線]]の共用駅)や[[国道2号]]に近く、場内に60台分の市営駐車場を設けていることから、休場日([[12月29日]] - [[1月3日]])以外の期間には曜日を問わず[[草野球]]などの予約でほぼ埋まっている<ref name=":0" />。


=== データ ===
=== データ ===
61行目: 55行目:
* スコアボード:不明
* スコアボード:不明


== 小田南公園野球場(仮称) ==
== 阪神タイガースの二軍施設 ==
ゼロカーボンベースボールパーク(旧小田南公園)の東側に新設する野球場<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/027/345/shiryo02.pdf|title=【資料2】小田南公園に関する検討状況|publisher=尼崎市|date=2021年11月25日|accessdate=2024年3月2日}}</ref>。
=== 誘致までの経緯 ===
* 設計者:久米設計、建設者:熊谷組
==== 尼崎市側の事情 ====
* 管理:[[阪神電気鉄道]]
小田南公園は大物駅の北側(徒歩5分圏内)<ref name=":0" />に位置していて、大物公園や大物川緑地と隣接している。しかし、1983年の第1次開園から年月を重ねるにつれて施設の老朽化が進んでいるほか、災害発生時の避難場所・防災施設としての機能を改善することが急務になっている。さらに、公園の周辺地域は人口減少の慢性化や少子高齢化、大物公園や大物川緑地は施設の老朽化や老朽樹木の増加といった課題に直面している<ref name="houshin211105">[https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/026/996/1kouennryokuchikihonhousin.pdf 阪神大物駅周辺地区における公園・緑地再整備基本方針] 尼崎市 2021年11月5日</ref>。
* 鉄筋コンクリート造<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.kentsu.co.jp/webnews/view.asp?cd=230301700054&area=5&yyyy=0&pub=1|title=阪神タイガース2軍施設 熊谷組施工で着工|publisher=建通新聞 電子版|date=2023/3/3|accessdate=2024年3月2日}}</ref>・地上2階。

* 収容客席数:50席
公園を管理している尼崎市では、このような実情を踏まえて、小田南公園・大物公園・大物川緑地などを含む「阪神大物駅周辺地区」を対象に公園・緑地の再整備・機能再編を計画。小田南公園・大物公園・大物川緑地の一体的な再整備を通じて「憩い・遊びの場」「緑の散策路」といった役割を充実させることや、地区外に位置する[[尼崎市|尼崎城址公園]]や[[尼崎市立歴史博物館]]などとの連携による観光資源の創出を通じて、地域の活性化を図ることを目指している<ref name="houshin211105" />。
* 内野:黒土外野:天然芝

* 両翼:90m、中堅:93m
==== 阪神側の事情 ====
* 照明:[[発光ダイオード|LED]] 4基
[[阪神電気鉄道]](阪神電鉄)は、[[阪神国道線|国道線・甲子園線]]([[路面電車]])の車庫として使用していた尼崎市内の私有地に[[阪神浜田球場]]を建設したうえで、[[1979年]]から[[1994年]]まで二軍の本拠地として使用していた。同市に隣接する[[西宮市|西宮市内]]の[[阪神甲子園球場]](一軍の本拠地)南側に[[阪神鳴尾浜球場]]が完成したことに伴って、[[1995年]]から二軍の本拠地を鳴尾浜球場へ移転。球団の選手寮である「虎風荘」も、甲子園球場の東隣から鳴尾浜球場の隣接地へ移した。もっとも、近年は球場や練習施設の老朽化が進んでいるにもかかわらず、立地面での制約から施設の拡張が難しい状況にある。
{{see also|阪神鳴尾浜球場#歴史}}

さらに、タイガースの看板選手だった[[掛布雅之]]が二軍監督として球団に復帰した[[2015年]]からは、二軍が鳴尾浜球場で主管試合(ウエスタン・リーグ公式戦)を開催するたびにファンが殺到。同球場では観客席をネット裏に500席しか常設していないことから、入場制限を課すことや、通常は使用していない外野の場外を立ち見用に開放することも相次いだ。このような事態を受けて、タイガースでは2016年頃から二軍本拠地の再移転を検討。一時は、[[オリックス・バファローズ|オリックスバファローズがブルーウェーブ時代]]に本拠地として使用していた[[神戸総合運動公園野球場|神戸総合運動公園野球場(現在の「ほっともっとフィールド神戸」)]]<ref group="注">オリックスブルーウェーブによる[[大阪近鉄バファローズ]]の吸収合併でオリックスバファローズが誕生した[[2005年]]から3年間([[2007年]]まで)は、合併に伴う[[NPB|日本野球機構(NPB)]]の特例措置として、近鉄最後の本拠地であった[[大阪ドーム]]との併用(ダブルフランチャイズ)が認められていた。大阪ドームはNPBの規定上「オリックスの専用球場」として登録されていたが、経営難に陥っていた運営会社([[大阪シティドーム]])をオリックス・リアルエステート(現在のオリックス不動産)が買収したことを機に、[[2006年]][[7月1日]]付で施設名を「京セラドーム大阪」へ変更。オリックスバファローズでは、特例措置期間終了後の[[2008年]]から、本拠地を京セラドーム大阪へ事実上集約している。タイガースが二軍本拠地の移転先として神戸総合運動公園野球場を検討していた背景には、オリックスが2008年以降も「準本拠地」扱いで主管試合の一部に使用しているものの、試合数が年々減少していることなどが挙げられる。</ref>や、[[阪神タイガース (ファーム)|オリックス二軍]]の本拠地<ref group="注">阪神が神戸第二球場を移転先として検討していた背景には、[[大阪市]][[此花区]]にある[[舞洲ベースボールスタジアム|舞洲ベースボールスタジアム(現在の大阪シティ信金スタジアム)]]の敷地利用権と、大阪市がスタジアムの北西部(京セラドーム大阪から自動車で片道15分圏内)に保有する土地の[[定期借地権]](50年間)を「大阪シティドーム」が[[2016年]][[4月1日]]付で取得したことが挙げられる。オリックスバファローズはこの契約を基に、ブルーウェーブ時代の[[1991年]]から使用してきた神戸総合運動公園周辺の二軍施設(球団合宿所の「青濤館」や室内練習場)を上記の土地へ移転させたうえで、[[2017年]]シーズンから舞洲ベースボールスタジアムと合わせて使用。同スタジアムはナイター照明設備を擁する一方で、アマチュア野球での使用を優先しているため、移転に際しては二軍の練習・主管デーゲーム専用の球場として(ナイター照明設備のない)[[舞洲ベースボールスタジアム|舞洲サブ球場(現在のオセアンバファローズスタジアム舞洲)]]を二軍施設の隣に建設した。移転1年目のウエスタン・リーグ主管試合ではサブ球場のみを使用していたが、一軍公式戦の大半をナイトゲームが占めていることを踏まえて、翌[[2018年]]以降の舞洲開催試合ではサブ球場とベースボールスタジアムを併用中。</ref>であった[[神戸総合運動公園野球場#サブ球場|神戸総合運動公園サブ球場(神戸第二球場)]]などが移転先の候補に挙げられていた<ref>[http://www.nikkansports.com/baseball/news/1666971.html 阪神に二軍本拠地移転プラン 神戸第2など候補] 日刊スポーツ 2016年6月22日</ref><ref>[https://www.sanspo.com/article/20160605-NNQPZXA7UZPQPODHL24UYYFYEU/ 早ければ2017年シーズンから掛布阪神が、ほっともっとフィールドへ移転] サンケイスポーツ 2016年6月5日</ref>。

==== 構想から実現まで ====
尼崎市による阪神大物駅周辺地区の公園・緑地再整備・機能再編計画では、小田南公園について、「住民の憩いの場」としての機能の補完・拡充や防災機能の向上を図りながら、「にぎわいの創出の場」としての機能を加えることが志向されていた。同市では、この計画や阪神側の事情を踏まえて、阪神の二軍施設を「スポーツ・観光振興施設」として小田南公園へ誘致する構想を新たに立案。タイガースの親会社である阪神電気鉄道(阪神電鉄)との間で、構想の実現に向けて2016年から協議を重ねた<ref name="ODA">[https://www.kobe-np.co.jp/news/sports/202105/0014324917.shtml 阪神タイガース二軍本拠地、尼崎移転へ 近く基本合意] 神戸新聞 2021年5月14日</ref>。

当初の構想では、二軍施設の建設を伴う公園の再整備に伴って、軟式野球場の配置を変更したうえで面積を若干縮小させることや、多目的グラウンドの面積を建設前の6割程度にまで縮小させることや、ため池広場を廃止することなどが検討されていた<ref name="enquete">[https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/024/254/sanko-iraibun.pdf 小田南公園での阪神タイガースファーム施設の誘致に関するアンケート調査ご協力のお願い] 尼崎市 2021年12月19日閲覧</ref>。さらに、タイガースが二軍本拠地の移転先として小田南公園を有力候補に挙げていることが[[2020年]][[10月2日]]に報じられたこと<ref>[https://hochi.news/articles/20201002-OHT1T50171.html 【阪神】二軍の本拠地を鳴尾浜から尼崎に移転検討 2025年の完成を目指す] スポーツ報知 2020年10月2日</ref><ref>[https://www.sanspo.com/article/20191002-2FU56D4UVFO2RKFTTPEXBXYS4E/2/ 新・虎の穴計画!阪神二軍本拠地に尼崎・大物が候補、手狭な鳴尾浜から移転] サンケイスポーツ 2020年10月2日</ref>をきっかけに、同年11月4日から近隣住民・公園利用者を対象にアンケート調査を実施。二軍用に新設するナイター照明設備付き球場でのナイトゲームの開催や上記の検討内容を明示した<ref name="enquete" />ところ、二軍施設の誘致構想に賛成する旨の回答件数が有効回答(2,738件)の過半数(57.3%、「どちらかと言えば賛成」を含めれば75.4%)を占めた一方で、(賛否とは別に)誘致によって公園内の自然環境や市民の利用環境が損なわれることを懸念する意見が多く寄せられた。

尼崎市では、以上の調査結果を[[2021年]][[2月19日]]に公表したうえで、二軍施設の誘致計画を修正<ref name="ODA" />。小田南公園を大物公園などと一体的に整備する修正案を周辺住民に説明した<ref>[https://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/202105/0014324389.shtml 周辺公園と一体整備 阪神タイガース二軍施設移転で尼崎市] 神戸新聞 2021年5月14日</ref>結果、[[5月13日]]開催の市議会で誘致構想が承認された<ref name="sponichi210515">[https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2021/05/15/kiji/20210514s00001173726000c.html 阪神二軍施設 尼崎市移転に近く基本合意へ 13日の市議会で小田南公園への誘致を承認] スポーツニッポン 2021年5月15日</ref>後に、阪神電鉄・タイガースとの間で「小田南公園整備事業に関する基本協定」を[[5月21日]]に締結した<ref>[https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/kurashi/tosi_seibi/koen/1025069.html 阪神と尼崎市は、小田南公園での阪神タイガースファーム施設等の整備事業に関する基本協定を締結しました] 尼崎市公式ホームページ 2021年5月21日</ref>。これを受けて、市議会がタイガースの二軍施設を公園内へ建設することを正式に承認したため、タイガースは[[12月22日]]に二軍施設の移転を正式に発表した<ref name="tigers211222">[https://hanshintigers.jp/news/topics/info_7800.html 阪神タイガースファーム施設(二軍本拠地)の尼崎市への移転が正式に決定] 阪神タイガース公式サイト 2021年12月22日</ref>。

=== 誘致に伴う公園の整備 ===
小田南公園整備事業に関する基本協定では、小田南公園の整備区域を北側(阪神本線と阪神なんば線の高架橋に挟まれた公園供用部分)と南側(なんば線高架橋南側の公園未供用部分)に分割することを前提に、阪神電鉄が施設の建設に着手することを想定。北側には、球団専用のメイン球場(3階建ての球場で最大収容人数4,400人)および練習場、小田南公園野球場(サブ球場)、一般園地を建設した上で全域を市へ寄附する。南側には、球団専用の室内練習場、選手寮・クラブハウス、駐車場などを建設<ref name="ODA" /><ref name="sponichi210515" /><ref>[https://www.nikkansports.com/baseball/news/202105210000528.html 阪神二軍施設尼崎市移転合意 創設90周年25年から小田南公園使用目指す] 日刊スポーツ 2021年5月21日</ref>。尼崎市は、[[2025年]][[2月1日]]までの供用開始を目途に、公園供用部分に関する営業権を40年契約で阪神電鉄に付与する。その一方で、建設の期間中には、[[尼崎市立琴ノ浦高等学校]]のグラウンドを市民に無料で開放<ref name="next">[https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202111/0014879010.shtml タイガースの新二軍本拠地、甲子園と同方位、同サイズに 内野は黒土、外野は天然芝] 神戸新聞 2021年11月29日</ref>。メイン球場についても、タイガースが尼崎市外での春季キャンプによって使用しない期間(2月頃)に市民へ開放することを検討している<ref name="enquete" />。

メイン球場は阪神大物駅の北改札口から南東の方角(徒歩で5分圏内の場所で軟式野球場の隣接地)に建設されるため、阪神電鉄では駅と球場をつなぐ歩道も整備。既設の遊歩道を拡幅したうえで、自転車専用道路と歩道を分離するほか、沿道に緑地帯を新設する<ref name="next" /><ref name="sun-tv">[https://sun-tv.co.jp/suntvnews/news/2021/12/07/46315/ 阪神二軍の本拠地が移転へ 新球場の全貌に迫る] サンテレビ 2021年12月7日</ref>。

タイガースでは、以上の整備が想定どおりに進んだ場合に、鳴尾浜球場の使用を2024年シーズンで終了。翌2025年シーズンから、二軍の本拠地を上記のメイン球場へ移転する。タイガースの二軍が尼崎市内の球場を本拠地として使用するのは、浜田球場の使用終了以来30年振りだが、西宮市では鳴尾浜球場の使用終了後も尼崎市へ協力する姿勢を示している<ref>[https://www.asahi.com/articles/ASP5P639LP5PPIHB018.html 阪神二軍本拠地、尼崎移転へ 球場整備などで市と協定] 朝日新聞 2021年5月21日</ref>。

当初の計画では[[2022年]][[12月]]から施設の建設を始めることを予定していたが、尼崎市が同年[[10月]]に発表した小田南公園の再整備計画では、[[2023年]][[1月]]からの工事開始を想定。公園内に植わっているおよそ1,300本の樹木のうち、300本以上を保存するか園内の別の場所に移植する。メイン球場建設予定地の遊歩道の周囲に存在していた[[イチョウ]]並木(総距離およそ300メートル)は西側の一部を残して消滅する<ref name="ginkgo" />ものの、園を利用する市民から「(メイン球場の建設後も)自然を残して欲しい」との要望が相次いでいること<ref>[https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202111/0014844607.shtml 輝くイチョウの遊歩道、来年で見納め 阪神タイガースの新球場着工] 神戸新聞 2021年11月15日</ref>を踏まえて、並木の一部を公園の北側に移植。街路樹のイチョウとの一体化によって、「イチョウ並木の中を利用者が通り抜ける」という環境を小規模ながら再現する。その一方で、メイン球場と軟式野球場のそれぞれ南側におよそ160本の樹木(ハナミズキやサルスベリなど)を新たに植えるほか、メイン球場の西側に芝生広場を新設。園内の別の場所からウメの木を広場の南側に移植するほか、広場を囲む格好で桜を植える<ref name="ginkgo">[https://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/202210/0015701732.shtml タイガース二軍球場移転の尼崎・小田南公園、イチョウ並木は一部保存 芝生広場を新設]神戸新聞 2022年10月7日</ref>。ただし、実際には着工が計画より遅れていて、[[2023年]]の[[3月]]以降にまでずれ込んでいる<ref>[https://amagasaki-park.com/info/4733.html 小田南公園、再整備工事の着工](橘公園・小田南公園・西向島公園・猪名川公園・魚つり公園公式サイト 2022年12月1日</ref>。
=== 施設の概要 ===
メイン球場の建設に際しては、津波による浸水対策として、地盤を平均で40センチメートル嵩上げ<ref name="sun-tv" />。この地盤の上に、甲子園球場の環境(グラウンドのサイズ、方位、フェアグラウンドの内野に黒土・外野に天然芝を敷設した構成、[[LED]]を使用した照明設備など)を可能な限り再現するほか、選手によるランニング専用の走路を外野の外周に設ける<ref name="tigers211222" />。スタンドに常設される観客席は3,600席で、鳴尾浜球場の500席から大幅に増加<ref name="koshien" />。特別なイベント(タイガース選手の引退試合など)を開催する場合には、外野の場外に臨時で800席を増設する。さらに、スタンドの1階にタイガースの公式グッズショップ、2階に売店、敷地内に62台分の駐車場を配置。前述のアンケート調査で示された懸念を踏まえて、最高で55メートルの防球ネット<ref group="注">外野(右中間)の場外が[[阪神なんば線]]の高架橋と近接していることも踏まえた設置で、当初は外野部分の高さを55メートルより低く抑えることも検討されていた。しかし、設計期間中の2021年にタイガースへ入団した左打者の[[佐藤輝明]]が[[横浜スタジアム#エピソード|同年4月9日の対横浜DeNAベイスターズ戦(横浜スタジアム)で推定飛距離140メートルの本塁打を右中間の場外へ放ったこと]]を受けて、外野部分の設計を急遽見直した([https://www.nikkansports.com/baseball/news/202112220000793.html 参考])。</ref>を球場の外周、録画機能付きの監視カメラを観客席と球場の周辺に設置する<ref name="next" /><ref name="koshien">[https://www.nikkansports.com/baseball/news/202111260001276.html 阪神二軍の新本拠地は甲子園そっくりなグラウンド 25年2月から使用へ] 日刊スポーツ 2021年11月26日</ref>。その一方で、浸水対策として、主な電気設備をスタンドの2階へ集約。災害が発生した場合に近隣住民の避難場所として活用すること<ref name="sun-tv" />を想定しているため、非常用のコンセント、発電機、防火水槽も設置する<ref name="tigers211222" />。これに伴って、隣接する軟式野球場にも備蓄倉庫を新設する<ref name="ginkgo" />。

室内練習場は平屋(地上1階)建てで、打撃練習用のレーンを6ヶ所(内野グラウンドに3ヶ所)設置できるように設計しているほか、投球練習用のブルペンを6レーン常設。延べ床面積は6,160平方メートルで、甲子園球場に隣接している室内練習場のおよそ1.7倍に相当する<ref name="next" />。

選手寮は地上3階建ての鉄骨造りで、クラブハウスを併設。38室の寮室、食堂、浴室、一軍選手用を含めたロッカールーム、ミーティングルーム、トレーニングルーム、リハビリルーム、75台分の駐車場を備える<ref name="tigers211222" />。

なお、阪神タイガースは2023年2月22日に、メイン球場を「'''日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎'''」という名称で開場することを発表した。[[日鉄鋼板]]は西日本製造所の施設の一部を尼崎市内で運営していて、タイガースとの間で二軍本拠地移転プロジェクトに関するパートナーシップ契約を[[熊谷組]]と共に締結。「'''SGL'''」とは「従来品の3倍もの耐久性を擁する」とされる新素材で、この素材を使った日新鋼板製の鋼板を室内練習場などの球団施設の壁面に用いることも決まっている<ref>[https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2023/02/23/kiji/20230223s00001173118000c.html 阪神二軍新球場は脱炭素化&新素材使用で若虎躍動をアシスト 百北球団社長「SGLと呼んで」] スポーツニッポン 2023年2月22日</ref>。
====「ゼロカーボン・ベースボールパーク」としての整備・運営====
上記の球団施設では、「創エネ」と銘打って、太陽光パネルを室内練習場・選手寮兼クラブハウスの屋上とメイン球場のバックスクリーン背面に設置。蓄電池と併用することによって、メイン球場で想定される年間使用電力量の80%強(73万キロワット)の発電や、年間1000トン以上の二酸化炭素排出量の削減を見込んでいる。なお、上記の発電手段でも補えない電力については、二酸化炭素を一切排出せずに尼崎市立クリーンセンター(ゴミ処理施設)内の廃棄物から生み出される電力で賄う<ref>[https://www.nikkansports.com/baseball/news/202212140000571.html 【阪神】二軍新施設はゼロカーボンパーク 太陽光パネル、蓄電池を設置] 日刊スポーツ 2022年12月14日</ref>。

また、性能の高い断熱材を施設の屋根や壁に用いるほか、高効率空調機・全熱交換器・電力消費量の表示装置も導入。脱炭素に関する認証の取得を目指しながら、雨水や井戸水、バイオマス製品の活用や、施設内での使用済みペットボトル・プラスチックカップの回収・リサイクルにも取り組む。なお、施設内には前述したように駐車場を設置しているが、阪神タイガースと阪神電鉄では来場者に対して公共交通機関の利用を呼び掛ける方針を打ち出している<ref>[https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2022/12/14/kiji/20221214s00001173328000c.html 阪神 尼崎の新2軍施設は二酸化炭素排出ゼロ バックスクリーン背面に太陽光パネル 整備・運営方針を発表] スポーツニッポン 2022年12月14日</ref>。

====メイン球場のデータ====
タイガースが2021年12月22日付で公表した [https://hanshintigers.jp/news/topics/info_7800.html 施設概要(予定)] を基に記載。
*スタンドの建築面積:6,690<sup>2</sup>
*スタンドの延べ床面積:10,812<sup>2</sup>
*グラウンド面積:約13,000<sup>2</sup>(阪神甲子園球場と統一)
*内野:黒土 外野:天然芝(同上)
*両翼:95m 中堅:118m(同上)
*収容人員:最大で4,400人(車椅子専用の18席を含む約3,600席をスタンドに常設)
*照明:6基(いずれもLEDナイター照明塔)
*スコアボード:LEDビジョン


== 交通アクセス ==
== 交通アクセス ==
121行目: 73行目:


=== 出典 ===
=== 出典 ===
{{Reflist}}
{{Reflist|2}}


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* {{Official website|name=小田南公園軟式野球場}} - 尼崎市
* {{Official website|name=小田南公園軟式野球場}} - [[尼崎市]]
* [https://amagasaki-park.com/plant2/baseball2 小田南公園軟式野球場‐橘公園・小田南公園・西向島公園・猪名川公園・魚つり公園]
* [https://amagasaki-park.com/plant2/baseball2 小田南公園軟式野球場‐橘公園・小田南公園・西向島公園・猪名川公園・魚つり公園]
* [https://baseballpark.hanshin.co.jp/ 「日鋼板SGLスタジアム尼崎」特設サイト] - 阪神電気鉄道
* {{Official website|https://baseballpark.hanshin.co.jp|ゼロカーボンベースボールパーク}} - [[阪神電気鉄道]]株式会社 「日鋼板SGLスタジアム尼崎」特設サイト


{{デフォルトソート:あまかさきしおたみなみこうえんなんしきやきゆうしよう}}
{{デフォルトソート:あまかさきしおたみなみこうえんなんしきやきゆうしよう}}
[[Category:近畿地方の野球場]]
[[Category:兵庫県の野球場]]
[[Category:尼崎市のスポーツ施設]]
[[Category:尼崎市のスポーツ施設]]
[[Category:1983年開業のスポーツ施設]]

2024年9月3日 (火) 05:55時点における最新版

尼崎市小田南公園軟式野球場
小田南公園の東部に位置する。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成 地図
施設データ
所在地 兵庫県尼崎市杭瀬南新町3丁目3
座標 北緯34度42分57.1秒 東経135度25分51.1秒 / 北緯34.715861度 東経135.430861度 / 34.715861; 135.430861座標: 北緯34度42分57.1秒 東経135度25分51.1秒 / 北緯34.715861度 東経135.430861度 / 34.715861; 135.430861
所有者 兵庫県尼崎市
グラウンド 内野:黒土 外野:天然芝
スコアボード 不明
照明 4基
収容人員
不明
グラウンドデータ
球場規模 面積:-m2
両翼:90m
中堅:110m

尼崎市小田南公園軟式野球場(あまがさきしおだみなみこうえんなんしきやきゅうじょう)は、兵庫県尼崎市の小田南公園内にある軟式野球場[1][2]。2025年には公園の東側(ゼロカーボンベースボールパーク)に「小田南公園野球場」(仮称)を新設する。

ここでは軟式野球場と(仮称)小田南公園野球場に関して記載する。旧公園と阪神タイガースが2025年2月に開業予定の二軍の本拠地球場については「ゼロカーボンベースボールパーク」を参照。

軟式野球場

[編集]

1983年10月8日に竣工[3]。公園の中心に位置していて、観客を収容するスペースやナイター照明設備を内外野に擁している。

球場の使用には予約が必要で、原則として使途を軟式野球に限定[4]。小学生による野球の練習で使用する場合には、シートノックまで硬式球の使用を認めている[3]

大物駅阪神本線阪神なんば線の共用駅)や国道2号に近く、場内に60台分の市営駐車場を設けていることから、休場日(12月29日 - 1月3日)以外の期間には曜日を問わず草野球などの予約でほぼ埋まっている[3]

データ

[編集]
  • グラウンド面積:-m2
  • 内野:黒土 外野:天然芝
  • 両翼:90m 中堅:110m[3]
  • 収容人員:不明
  • 照明:4基[3]
  • スコアボード:不明

小田南公園野球場(仮称)

[編集]

ゼロカーボンベースボールパーク(旧小田南公園)の東側に新設する野球場[5]

  • 設計者:久米設計、建設者:熊谷組
  • 管理:阪神電気鉄道
  • 鉄筋コンクリート造[6]・地上2階。
  • 収容客席数:50席
  • 内野:黒土、外野:天然芝
  • 両翼:90m、中堅:93m
  • 照明:LED 4基

交通アクセス

[編集]

脚注

[編集]

注釈

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ 施設案内 小田南公園軟式野球場
  2. ^ 新・虎の穴計画!阪神二軍本拠地に尼崎・大物が候補、手狭な鳴尾浜から移転 サンケイスポーツ 2019年10月2日
  3. ^ a b c d e 小田南公園軟式野球場‐橘公園・小田南公園・西向島公園・猪名川公園・魚つり公園 amagasaki-park.com 2020年2月13日閲覧
  4. ^ 小田南公園 パークマネジメント尼崎 2021年12月16日閲覧
  5. ^ 【資料2】小田南公園に関する検討状況”. 尼崎市 (2021年11月25日). 2024年3月2日閲覧。
  6. ^ 阪神タイガース2軍施設 熊谷組施工で着工”. 建通新聞 電子版 (2023年3月3日). 2024年3月2日閲覧。
  7. ^ 小田南公園軟式野球場 尼崎市公式ホームページ 2020年2月3日閲覧

外部リンク

[編集]