「秘境冒険小説」の版間の差分
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'''ロストワールドもの'''({{Lang-en-short|Lost World}})は、[[ファンタジー]]または[[サイエンス・フィクション]]のジャンルの1つで、時間的・場所的に隔絶された新たな世界を発見することをプロット上の要とする。[[ヴィクトリア朝]]後期の[[騎士道物語]]のサブジャンルとして始まり、今も人気が続いている。 |
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このジャンルが生まれたのは、エジプトの[[王家の谷]]の多数の墓、半ば神話と思われていた[[イリオス|トロイ]]の要塞、ジャングルに囲まれた[[マヤ文明|マヤ]]のピラミッド、[[アッシリア]]帝国の都市など、世界中で失われた文明の魅力的な名残が発見されていた時代である。したがって、ヴィクトリア朝の冒険家が考古学的発見をしたという現実の物語が大衆の想像力を捕らえることに成功した。[[1871年]](明治4年)年から第一次世界大戦までの間に、様々な大陸を舞台にしたロストワールドものの出版数は劇的に増加した<ref>{{Cite journal|first=Bradley|last=Deane|year=2008|title=Imperial barbarians: primitive masculinity in Lost World fiction|journal=Victorian Literature and Culture|issue=36|pages=pp. 205-225|publisher=Cambridge University Press|doi=10.1017/S1060150308080121|url=http://journals.cambridge.org/production/action/cjoGetFulltext?fulltextid=1689316}}</ref>。このジャンルに似たようなテーマとして[[エル・ドラード]]のような「伝説の王国」もある。 |
このジャンルが生まれたのは、エジプトの[[王家の谷]]の多数の墓、半ば神話と思われていた[[イリオス|トロイ]]の要塞、ジャングルに囲まれた[[マヤ文明|マヤ]]のピラミッド、[[アッシリア]]帝国の都市など、世界中で失われた文明の魅力的な名残が発見されていた時代である。したがって、ヴィクトリア朝の冒険家が考古学的発見をしたという現実の物語が大衆の想像力を捕らえることに成功した。[[1871年]](明治4年)年から第一次世界大戦までの間に、様々な大陸を舞台にしたロストワールドものの出版数は劇的に増加した<ref>{{Cite journal|first=Bradley|last=Deane|year=2008|title=Imperial barbarians: primitive masculinity in Lost World fiction|journal=Victorian Literature and Culture|issue=36|pages=pp. 205-225|publisher=Cambridge University Press|doi=10.1017/S1060150308080121|url=http://journals.cambridge.org/production/action/cjoGetFulltext?fulltextid=1689316}}</ref>。このジャンルに似たようなテーマとして[[エル・ドラード]]のような「伝説の王国」もある。 |
2012年2月7日 (火) 13:01時点における版
ロストワールドもの(英: Lost World)は、ファンタジーまたはサイエンス・フィクションのジャンルの1つで、時間的・場所的に隔絶された新たな世界を発見することをプロット上の要とする。ヴィクトリア朝後期の騎士道物語のサブジャンルとして始まり、今も人気が続いている。
このジャンルが生まれたのは、エジプトの王家の谷の多数の墓、半ば神話と思われていたトロイの要塞、ジャングルに囲まれたマヤのピラミッド、アッシリア帝国の都市など、世界中で失われた文明の魅力的な名残が発見されていた時代である。したがって、ヴィクトリア朝の冒険家が考古学的発見をしたという現実の物語が大衆の想像力を捕らえることに成功した。1871年(明治4年)年から第一次世界大戦までの間に、様々な大陸を舞台にしたロストワールドものの出版数は劇的に増加した[1]。このジャンルに似たようなテーマとしてエル・ドラードのような「伝説の王国」もある。
歴史
大人気となったヘンリー・ライダー・ハガードの『ソロモン王の洞窟』(1885年(明治18年)) が、このジャンルの起源とされることがある[2]。ハガードの小説がこのジャンルの形を作り、後のロストワールドものに影響を与えた。例えば、ラドヤード・キップリングの『王になろうとした男』(1888年(明治21年))、アーサー・コナン・ドイルの『失われた世界』(1912年(大正元年))、エドガー・ライス・バローズの『時間に忘れられた国』(1918年(大正7年))、A・メリットの『ムーン・プール』(1918年(大正7年))、H・P・ラヴクラフトの『狂気の山脈にて 』(1936年(昭和11年)) などがある。
それ以前の作品、例えばサミュエル・バトラーの『エレホン - 山脈を越えて - 』(1872年(明治5年)) も同様のプロットを採用しているが、冒険よりもジョナサン・スウィフト風の社会風刺をテーマとしている。他にシモン・ティソ・ド・パトの先史時代の動植物を描いている『ジャック・マッセの旅と冒険』(1710年(宝永7年))、ロバート・ポルトックの『ピーター・ウィルキンズの生涯と冒険』(1751年(宝暦元年)) などがある。後者はデフォーとスウィフトに影響を受けた18世紀の空想的航海を描いており、主人公ピーター・ウィルキンズが険しい峰で囲まれた絶海の孤島で翼を持つヒト型の種を発見する物語である。1818年(文政元年)年のジョン・クリーブス・シムズの地球空洞説から地球内部の空洞を舞台とした小説『シムゾニア・ある発見航海』(1923年(大正12年)) が書かれたが、これもロストワールドものの起源とされることがある[3]。エドガー・アラン・ポーの『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』(1838年(天保9年)) は、特に終盤に向かってロストワールド的要素が濃くなっている。
ジェームズ・ヒルトンの『失われた地平線』(1933年(昭和8年)) は、ロストワールドものの体裁で哲学や社会について語ることを主眼としている。そこから生まれた「シャングリラ」という言葉が、楽園として理想化されたロストワールドを意味するミームとなった。
最近の例
アメリカの作家マイケル・クライトンは、著書『失われた黄金都市』(1980年(昭和55年)) でこのジャンルを復活させた。コンゴの奥地にある失われたジャングル文明ジンジの古代都市、そしてそこにあるソロモン王の財宝を探す物語である。1990年代になるとジェームズ・ガーニーが「ダイノトピア」と呼ばれる地図にない島を舞台にしたジュブナイル小説シリーズを出版している。その島では人類と恐竜が共存している。
ロストワールドものは小説以外にも存在する。テレビゲームでは『トゥームレイダー』とその続編が有名。映画ではインディ・ジョーンズ シリーズのコンセプトがロストワールドものに近い。
脚注
- ^ Deane, Bradley (2008). “Imperial barbarians: primitive masculinity in Lost World fiction”. Victorian Literature and Culture (Cambridge University Press) (36): pp. 205-225. doi:10.1017/S1060150308080121 .
- ^ Robert E. Morsberger (1993), "Afterword", in The Reader's Digest, King Solomon's Mines
- ^ Becker, Allienne R. (1992). The Lost Worlds Romance: From Dawn Till Dusk. Westport, CT: Greenwood Press. ISBN 0-313-26123-7
関連項目
外部リンク
- 「ロストワールド/失われた種族」ものについてのチェックリスト
- ポップカルチャーにおけるロストワールドの例 from tvtropes.org