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スクライド (漫画)

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スクライド
ジャンル 格闘漫画
漫画
原作・原案など (シナリオ:黒田洋介
作画 戸田泰成
出版社 秋田書店
掲載誌 週刊少年チャンピオン
発表期間 2001年27号 - 2002年21号
巻数 全5巻
テンプレート - ノート

スクライド』は、「週刊少年チャンピオン」の2001年27号から2002年21号まで連載されていた、シナリオ:黒田洋介スタジオオルフェ)、漫画:戸田泰成による漫画作品である。コミックス全5巻、全44+1話(5巻に描き下ろしのエピローグが収録)。

概要

アニメ作品『スクライド』の放映より少し先駆けて連載が開始された。そのため漫画がアニメの原作と捉えられることもしばしばあるが、あくまでメディアミックスの一環として作られた作品である。とはいえ、漫画はアニメと登場人物や基本的な設定を同じにしながらも、物語の本筋自体はアニメ版とは違った独自の路線を歩んでおり、作画においても戸田の画風はアニメ版キャラクターデザインの平井久司のそれとは大幅に異なる。これはアニメ版の監督である谷口悟朗の「同じことを二度やるほどつまらないものはない」という意向によって意図的に変えられたものであり、この手法は後に『舞-HiME』にも受け継がれた。


ストーリー

序盤の基本的なストーリーや世界観はスクライド#ストーリーを参照。
中盤、劉鳳との死闘の果てに倒れた反逆者(トリーズナー)・カズマは、箕条晶率いるネイティブアルター団体「ロウレス」に保護される。感染症に陥ったカズマを救うべく、ロウレスの医師である桐生水守は、薬を取りに向かうがホーリーに捕獲されて強制労働施設へ送られてしまう。復活したカズマは、水守を救うべく収容所へ乗り込むが、そこではカズマがかつて師とも兄とも慕ったストレイト・クーガーが、ホーリー隊員として待ち受けていた。死闘の末、クーガーを撃破するカズマ。だがクーガーはホーリーに利用されていただけだった。男泣きするカズマ。その場に現われた劉鳳と一触即発の事態に陥るが、瀕死のクーガーから全ての元凶がホーリー部隊隊長マーティン・ジグマールである事をカズマと劉鳳は知る。その頃、「ロウレス」はホーリー部隊によって壊滅させられ、劉鳳とシェリスはホーリー隊員の資格を剥奪されていた。そして、それぞれカズマ&箕条ら・劉鳳&シェリスらの前に、ジグマールの直属部隊スーパーホーリーが立ち塞がる。スーパーホーリーの圧倒的な力に、敗北するカズマ&箕条ら・劉鳳&シェリスら。
だが彼らの中からは反逆の心は消えておらず、二人の男は別の道を歩みながらも、それぞれジグマールに対して「反逆」を開始する。

登場人物

アニメとの違いを中心に説明する。

主人公

カズマ
あらゆる障害に対して反逆する「反逆者(トリーズナー)」の異名を持つ。基本的な設定はアニメ版と殆ど変わらない。
性格はアニメ版と多少違っており、スタッフ曰くアニメ版のカズマよりも漫画版のカズマの方が知能は高い。だが根源的な信念は共通している。
アルターはアニメ版と同じくシェルブリット。右腕をアルター化して殴るという基本は変わらないが、漫画版ではカズマの意思で形状を変化させたり、相手のアルターを吸収したりと様々な能力を持つ。
強化後のアルターの姿も大きく異なっており、進化後のアルターは劉鳳によって「ハイブリット」と名付けられる。
アルターでの攻撃時は「○○のシェルブリット(ハイブリット)」(○○は二字熟語、例:反逆)と言い、回数制限はない。
劉 鳳 (りゅう ほう)
ホーリーのAクラス隊員としてカズマの前に立ち塞がる。基本的な設定はアニメ版と殆ど変わらない。
中盤以降、ホーリー隊長・ジグマールの本性に気づき、ジグマールに対して反逆する。
アニメ版に比べるとカズマと共闘する機会が多い。また彼の母の死についての真相はアニメ版と大きく異なる。最終的に、カズマとほぼ完全に和解したのも特徴。
シェリスのアルター「エターナル・デボーデ」により彼女と合体し、「絶影・正義武装」へと進化する。

ヒロイン

由詑 かなみ (ゆた かなみ)
カズマと共に暮らしている少女。基本的な設定はアニメ版と殆ど変わらない。
しかしアニメ版と違い、アルター能力者であるという設定が無い。
シェリス・アジャーニ
劉鳳に恋心を抱くホーリー隊員。基本的な設定はアニメ版と殆ど変わらない。
漫画版ではヒロイン級の扱いを受けている。またエロチックな描写も多いお色気担当。アルターの能力が若干異なる。
一時第3のスーパーホーリーT・Tに囚われ、彼のアルター「知識万歳(ビバ・ノウレッジ)」によって人格を変えられてしまう。そしてT・Tの忠実な僕となりエターナル・デボーテを逆利用した「応用吸収(アプライド=サック=アップ)」で劉鳳を攻撃するが、劉鳳の愛により元の人格に戻る。
アニメでは死亡したが、漫画では君島と同じく最後まで生き残り、最終回では劉鳳と共に旅へ出た。
桐生 水守 (きりゅう みもり)
本編とは異なり、ネイティブアルター団体「ロウレス」に医師として参加している。かつて劉鳳とは恋人同士だった。

ロウレス

箕条 晶 (みじょう あきら)
漫画オリジナルキャラクター。音を奏でて相手の戦意を喪失させる「サウンド・スタッフ(音杖)」を扱う、「ロウレス」のリーダー。
リアクションには定評がある(例・「更正…なんと聞こえのいい言葉か」「デカッ…」「小林ってなんだ…!?」)。物語後半、女性である事が明かされる。
ハーニッシュ・ライトニング
漫画オリジナルキャラクター。「ロウレス」のメンバー。箕条とは深い絆で結ばれている。無敵のアルター「ゴーランド・フリート(殲滅艦隊)」を持つ寡黙な大男。最終回で箕条と結婚した模様。

ホーリー(HORY)

隊長

マーティン・ジグマール
ホーリー部隊隊長という基本設定はアニメ版と同じだが、それ以外の本性やアルター能力などは全く異なる。
漫画版の彼が中年の容姿をしているのは威厳を保つための物であり、本来の彼は設定年齢19歳の美形という驚愕の設定がある(元々アニメ用の設定だったが、「流石に無茶過ぎ」という事でボツになったらしい)。
「人間ワープ」と「スーパー光線銃」を使いこなし、カズマと劉鳳を圧倒するが、カズマ・劉鳳・蒼乃らの反逆によって大きなダメージを受ける。その後、自らのアルター・ギャラン=ドゥに泣きつくも、ギャラン=ドゥによって殺害される。
アニメ版とはホーリー部隊隊長という設定以外、殆ど共通している部分が無く、漫画版がアニメ版とは違う路線である事を象徴するキャラクターと言える。
ギャラン=ドゥ
マーティン・ジグマールのアルターでありながら自分の意志を持ち、人語も普通に話す。宇宙船型のタイムマシンを作ってアルターだけの世界を作ろうとしていた。外見はアニメ版のアルター結晶体のデザインを若干変えたもの(アニメ版では黒い炎のようだった頭部が、二房の頭髪のようになっている)。
カズマと劉鳳を圧倒し、彼らの仲間達もろともタイムマシンで古代(恐竜の時代)へ送ろうとしたが、カズマに反逆され、彼と二人で古代へ飛んでしまう。古代でもカズマを圧倒するが、カズマの反逆と自慢の拳により砕かれる。その際、放たれたアルターの光によってへと進化を遂げた。

A~D級隊員

ストレイト・クーガー
アニメ版と異なりクールなキャラクター(名前もちゃんと「カズマ」と呼ぶ)で、史上最強のネイティブ・アルターと呼ばれている。インナーへの援助物資を条件に入隊したが、ジグマールに騙されており、カズマと戦闘し速度を吸収した彼に敗北する。死に際、マーティン・ジグマールの悪行をカズマと劉鳳に伝えようとして、瓜核にトドメを刺される。
カズマに「弱い考え方」と「反逆」を教えた。漫画版のカズマが唯一尊敬する人物で、退場はアッサリだが、終盤の描写からもカズマに与えた影響は計り知れない。
「ビギンズ」では準主役。
橘 あすか (たちばな あすか)
Aクラス能力者のホーリー隊員。それ以外の基本的な設定はアニメ版と殆ど変わらない。
箕条との戦闘に敗北し、彼女のアルターにより心を開く。終盤では君島らを救い、ハーニッシュと共に援軍として駆けつけた。
瓜核 (うりざね)
Aクラス能力者のホーリー隊員。アニメ版と性格が大きく違い、シェリスや水守を人質にとるなど残忍で冷酷な極悪人。アルター能力も若干異なる。
立浪 ジョージ (たつなみ じょーじ)
Cクラス能力者のホーリー隊員。基本的な設定はアニメ版と殆ど変わらないが、かなみの友達を殺したためにカズマによって精神崩壊へ陥れられてしまう。
エマージー・マクスフェル
Aクラス能力者のホーリー隊員。基本的な設定はアニメ版と殆ど変わらないが、それなりにカズマを苦しめたアニメ版と扱いは大きく異なり、見開きでカッコ良く登場したはいいがカズマに瞬殺されてしまう。
小橋 真一郎(こばし しんいちろう)
漫画オリジナルキャラクター。Dクラス能力者のホーリー隊員。箕条とハーニッシュに襲い掛かるが、アルターを出す暇もなくハーニッシュに裏拳であっさりと殴り飛ばされる。
幽鬼 霊(ゆうき れい)
漫画オリジナルキャラクター。Aクラス能力者のホーリー隊員。ハーニッシュと戦うが、彼のゴーランド・フリートによって撃破される。アルター能力は、自らの頭髪を自由自在に操る「デシャブリット・ヘア(乱れ髪)」。「毛毛毛毛毛ーッ」という笑いが特徴。

スーパーホーリー(SUPER HORY)

蒼乃 大気 (あおの たいき)
漫画オリジナルキャラクター。漫画版オリジナルである三人の「スーパーホーリー」の一人。アルターは通過した物体の大きさを変える「レンズマン」。名前やキャラクターは無限のリヴァイアスのエアーズ・ブルーから。
大義のために戦っており、カズマの前に立ち塞がるが、戦闘の最中カズマの実兄である事を明かす。しかし、信念で反逆するカズマに敗れる。その後、ジグマールに反逆し、カズマと劉鳳を即死光線銃から庇い、カズマのハイブリットをレンズマンで巨大化させた「膨張のハイブリット」を放った後、息絶える。
メアリー・ジェーン
漫画オリジナルキャラクター。「スーパーホーリー」の一人。熟れた女。アルターは「悲しきレイディオ」。名前はラヂオの時間から。デザイン原案は脚本の黒田氏で、単行本のカバー裏にラフ設定が載っている。(ちなみにデザインイメージは天地無用!シリーズの魎呼が元とのこと。声優も魎呼と同じ折笠愛である。)
劉鳳、シェリスを一度は破り、箕条、ハーニッシュ、橘らを圧倒するが、箕条の強制進化とハーニッシュの捨て身の攻撃で敗れ去る。
T・T
漫画オリジナルキャラクター。「スーパーホーリー」の一人。メガネ君。アルターは「ビバ=ノウレッジ(知識万歳)」。
シェリスを洗脳して自分の物にしようとしたり、劉鳳の過去の真実を見せるなどの精神攻撃を仕掛けるが、劉鳳とシェリスの信念と愛の前に敗北する。
「ビバババババ」と奇妙な笑い声で笑う。

その他の登場人物

君島 邦彦 (きみしま くにひこ)
カズマの親友で、彼に仕事を紹介する。基本的な設定はアニメ版と殆ど変わらない。
アニメでは中盤に死亡するが、漫画では橘あすかに救われて最後まで生き残り、最終回ではアニメ版に登場する寺田あやせと結婚。子供ももうけている。
衣装がアニメ版に比べ非常に派手。カズマも同様の傾向があるが、君島はそれ以上である。
羽衣先生 (はごろも せんせい)
漫画オリジナルキャラクター。「自由学園」で、勝手に生徒を学校に入学(誘拐)させて入学金(身代金)を要求し荒稼ぎしていたが、生徒達の反逆を引き受けたカズマによって倒される。アルターは他者を取り込んで自らの筋肉や武器とする「おねがい☆ティーチャー」。
江上 (えがみ)
漫画オリジナルキャラクター。羽衣先生に拉致されて自由学園に通わされていたが、カズマに煽られて羽衣先生に反逆する。
今井 有希 (いまい ゆき)
漫画オリジナルキャラクター。今井財閥の令嬢で拉致されてきた。江上と同じく彼女も羽衣先生に反逆する。お色気描写あり。
李裏璃(りりり)
漫画オリジナルキャラクター。美女だが実際は老女であり、精気をアルターで吸って美貌を保っていた。アルターは雌雄のカマキリ型の「蟷刀螂嵌(とうとうろうは)」。
キーコ
漫画オリジナルキャラクター。かなみの友達な少女。アルター能力者だったために立浪ジョージに殺害される。どんな能力だったのかは不明。
アルター仙人
漫画オリジナルキャラクター。アルターの全てを知る老人。カズマと箕条に「或田 扇仁(あるた せんにん)」と名乗るが冗談であるらしい。本名、年齢は不明。
悪に染まった弟子・ジグマールを止めるべく、死してなお自らをアルター化させ、ジグマールを止められる者を長い間探していた。
カズマに、進化の言葉「s・CRY・ed(スクライド)」を刻み、男泣きしながら逝った。
アニメからのゲストキャラ
第42話と単行本収録のエピローグには、仲間達が集結するコマがあるが、さりげなく漫画には登場しなかったアニメ版のキャラが敵味方関係なく多数登場している。
(無常矜持、ビフ、常夏三姉妹、来夏月、雲慶、イカワ、ダース、キャミィ、君島あやせ(旧姓、寺田)etc)
カイゼルフューラー=ジェネラルJr3世
単行本収録のエピローグに登場。絶対壊滅無敵殲滅軍団を率いて、旗艦「天地無用」に搭乗し、地球を侵略しようと企んでいたがカズマに反逆される。何故かカズマを「カズマさん」と、さん付けで呼ぶ。容姿は無限のリヴァイアスのコンラッドに似ている。また、「天地無用」は天地無用シリーズの魎皇鬼にそっくりである。
ミラー
単行本収録のエピローグに登場。宇宙参謀。宇宙ハープを弾いていた。
無限のリヴァイアスのネーヤに似ている。

アルター能力

ALTER(アルター)一覧。

※アルター能力者 - アルター能力名

  • カズマ - シェルブリット→ハイブリット
  • 劉鳳 - 絶影→真・絶影→絶影・正義武装(シェリスとの合体時に進化)
  • シェリス・アジャーニ - エターナル・デボーテ(逆利用することで応用吸収(アプライド=サック=アップ)に)→絶影・正義武装(劉鳳との合体時に進化)
  • 箕条晶 - サウンド・スタッフ→サウンド・スタッフ・エヴォリューション
  • ハーニッシュ・ライトニング - 殲滅艦隊(ゴーランド・フリート)→無敵艦隊(インビンシブル=アルマダ)
  • 羽衣先生 - おねがい☆ティーチャー
  • 李裏璃 - 蟷灯螂嵌
  • 小橋真一郎 - ヨコスカ・ベイブルース
  • 幽鬼霊 - 乱れ髪(デシャヴリッド・ヘア)
  • 羽海野千力 - ユースフル・ワールド
  • 瓜核 - ウォーターメロン
  • ストレイト・クーガー - ストレイト・グッドスピード→ハイパー=グッドスピード
  • エマージー・マクスフェル - ファイナルピンチクラッシャー
  • 蒼乃大気 - レンズマン
  • メアリー・ジェーン - 悲しきレイディオ
  • T・T - 知識万歳(ビバ・ノウレッジ)
  • アルター仙人 - アルター仙人(自身のアルター化)
  • マーティン・ジグマール - ギャラン=ドゥ

関連作品

スクライド0(ゼロ)
連載開始前に初期設定を基に作られた、いわばプロトタイプと呼べる作品で、キャラの名称や設定が漫画・アニメとは異なっている。『スクライド アニメブック』に収録。
サウンドコミック
厳選されたエピソードの中から、漫画に音声と動きをつけて映像化したもの。DVD『FAN DISC スクライド GOLD/SILVER』に収録されており、『GOLD』には第9話「邂逅」第30話「アルター」第34話「確固たる信念」、『SILVER』には第25話「ラヂヲな女」第39話「過去」第40話「設定年齢19歳」が収録。
キャスト
スクライドビギンズ
チャンピオンRED」の2006年4月号に掲載された読み切りの新作。本編開始前にあたる物語である。コミックス未収録。なお、同作品は『チャンピオンRED』2007年3月号別冊付録の「チャンピオンREDセレクション2」にも再掲載されている。

単行本