㈱電通を含むdentsu Japanは、広告をはじめ事業活動に関わるすべてのコミュニケーション活動を、人権の観点からも豊かなものにしたいと考えています。そのため、社員一人一人が人権について正しい知識を身につけて理解を深め、その知見を業務に生かしていくことを目指しており、dentsu Japan全体で各種の社員研修を定期的に実施しています。また社員の能力発揮のためにも、ハラスメントの防止を徹底し、社員およびサプライチェーン全体の人権を守ることも、重要なテーマであると考えています。
電通グループの中期経営計画におけるESG目標
-
従業員エンゲージメントスコアの
向上、従業員DEIの強化女性リーダー*比率 2030年までに
45%
※「リーダー」とは、当社グループ各社の取締役および経営執行に携わる人財と定義し、45%の目標は性自認をめぐる認識の変化をサポートするためと、各地域の特性を考慮して、5%の柔軟性をもたせた設定です。
ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン
ダイバーシティの尊重
電通の手掛けるコミュニケーション領域の広がりとともに、国籍、学歴、性別、年齢を問わず、あらゆる人財を幅広く採用し、その能力を発揮できる環境整備にとつめています。
dentsu Japanの直接出資子会社約60社において、全員活躍推進のためのグループ横断の会議体を設置して、各社での活動を連携しており、グループ内の幅広い業種におけるベストプラクティスなどの共有活動を実施しています。女性活躍推進のためキャリア支援策、研修及び福利厚生の充実とともに人事制度改正も進めています。
障害者雇用については、東京オフィスを始めとする事業所のバリアフリー化を推進し、障害が能力発揮の妨げにならない環境の整備に努める一方、(株)電通グループの特例子会社である(株)電通そらりとも人事交流を行い、社内イベントも活発に実施するなど、インクルーシブな文化の醸成に取り組んでいます。また電通では差別なく個性が尊重される職場環境の整備、LGBTQ+に関する理解促進と社内制度の改革を継続的に進めています。2019年に同性パートナーを配偶者とする人事施策を導入、結婚休暇や服喪休暇などの休暇施策、育児・介護休業、勤務時間に関する制度を改定しました。2024年1月より同性パートナーを配偶者とする人事制度を更に拡充、これにより、各種手当・赴任・保険・慶弔金について、同性パートナーをもつ従業員には、異性婚と同等の制度が適用されています。
こうした活動が評価されて、任意団体「work with Pride」が策定した職場におけるLGBTQ+の課題への取組の評価指標である「PRIDE指標」で2023年度ゴールドを受賞しました。
(2016年、2018年、2019年、2022年もゴールド受賞)
人権の尊重
研修などを活用した人権啓発
電通グループでは、人権尊重を社の存立基盤と認識し、倫理的かつ持続可能なビジネスの根幹をなすものとして推進するべく、グローバルで共通の「電通グループ人権方針」を定めています。
dentsu Japanでは、様々な人権啓発研修を体系的に実施しています。(株)電通での新入社員、キャリア採用社員、新任マネジメント職を対象とする階層別の研修、営業部門やクリエーティブ部門などを対象とする職域別の研修、およびdentsu Japan各社での研修なども含め、全社員が定期的に人権研修を受講することになっています。さらに(株)電通の人権教育責任者とグループ会社の人権教育統括者を対象に半期に一度の「dentsu Japan人権教育会議」を行っており、同会議では社外の有識者(人権関連団体、研究者、国際機関担当者、法曹といった専門家による人権講演会も実施しています。
また、業務において人権への配慮を適切に行うための情報提供を行う専用サイト(「広告業務と人権」)を社内のイントラネットにアップし、従業員が常時アクセスできるようにしています。人権に関わる広告表現の過去事例を集めた「人権カレッジ」などのメニューや人権に関わる情報の提供を行っています。
さらに、日常的に社員の意識啓発を図るために、人権関連の時事的なトピックスを紹介する「人権ニュースメール」を、毎月2回dentsu Japan各社に配信しています。
ほかにも、業務に関連するあらゆる人権関連のを相談を受け付ける窓口を専門部署が開設しています。
このほか、日本広告業協会で実施される人権関連セミナーなどに協力し、広告業界全体の啓発にも尽力しています。
人権スローガンとポスター制作
1988年より毎年、dentsu Japanの社員と家族を対象に、「人権スローガン」の募集を行っています。「スローガン」と呼んでいますが、標語というよりは、広告コピーのように自由なスタイルで書かれたショートメッセージが集まる、当社ならではのユニークな活動になっています。2023年度は合計5,120点(社員:4,409点、家族:711点)の応募がありました。※dentsu Japan各社の合計数
人権スローガンの入選作品をもとに社員のアートディレクターが「人権ポスター」を制作しています。社内啓発として始めた取り組みですが、今では自治体や企業などからポスター貸出しのご要望があり、全国の人権啓発の催しで活用されています。
- dentsu Japan・人権ポスター 2023年度(第36回)制作
-
調べようと思う気持ちも、もう差別です。
【テーマ】
部落差別をなくすために知らない。は、のびしろだ。
【テーマ】
多文化共生社会のために
- 2022年度(第35回)制作
-
いつかなくなるよね、では、いつまでもなくならない差別があります。
【テーマ】
部落差別をなくすために選んだのは、生まれたときの性ではなく、自分が素直になれる性でした。
【テーマ】
性的少数者の人権のために
- 2021年度(第34回)制作
-
住所を聞かれる。
それだけで傷つく人がいます。【テーマ】
部落差別をなくすために見る、聞く、話す、書く、歩く、走る、飛ぶ、泳ぐ、食べる、寝る、寛ぐ、、、
いくつか得意で、いくつか苦手だ。
誰だって。【テーマ】
障がい者の人権のために
- 2020年度(第33回)制作
-
社会を変えるには時間がかかるけど、
自分を変えるのに時間はいらない。【テーマ】
部落差別をなくすために夫は言う「こどもが生まれて妻は変わってしまった」
妻は言う「こどもが生まれても夫は変わってくれなかった」【テーマ】
ジェンダーの平等を実現するために
- 2019年度(第32回)制作
-
身元は大丈夫?って、
そんなこと聞くあなたこそ大丈夫?【テーマ】
部落差別をなくすために知らない文化を受け入れるたび、
あなたの世界は広がっていく。【テーマ】
多文化共生社会のために
- 2018年度(第31回)制作
-
差別の伝言ゲーム、
私たちでもう終了です。【テーマ】
部落差別をなくすために誰かを好きになることを
嫌いにならないでください。【テーマ】
性的少数者の人権のために
- 2017年度(第30回)制作
-
あの子と仲良くするかは
自分で決める【テーマ】
部落差別をなくすために育休とって、一番育ったのは、
夫の考え方でした。【テーマ】
男女共同参画社会のために「予約のとれないレストラン」が、
車いすの私にはたくさんあります。【テーマ】
障がい者の人権のために
- 2016年度(第29回)制作
-
産む前から、
わが子のいじめを心配する
母親がいます。【テーマ】
部落差別をなくすためにえ?育休を取る理由ですか?
だって僕は「親」になったからです。【テーマ】
男女共同参画社会の確立に向けて和の国なのに、和から出される人たちがいる。
【テーマ】
在日外国人差別をなくすために
- 2015年度(第28回)制作
-
お父さん。それ心配じゃなくて、差別だよ。
【テーマ】
部落差別をなくすために余計なお世話で、救える人権がある。
【テーマ】
子どもの人権のためにあなたが同性を愛せないのと、
わたしが異性を愛せないのは、同じこと。【テーマ】
性的少数者の人権のために
- 2014年度(第27回)制作
-
あなたのまわりに、いないんじゃない。
あなたには、言えないだけ。【テーマ】
部落差別をなくすために「女性活用」その支配的な思考を正そう。
【テーマ】
男女共同参画社会の確立に向けて子ども時代は、準備じゃなく、本番だ。
【テーマ】
子どもの人権のために
人権アートプロジェクト
「人権アートプロジェクト」は、電通グループが継続してきた人権ポスター制作を、社会に開かれた活動へと発展させたものです。人権スローガンに合わせて、美術大学の学生がビジュアルデザインを考えるという、人権ポスターの共同制作プロジェクトです。
2007年度にスタートし、現在は、女子美術大学、大阪芸術大学、京都芸術大学と協働しています。学生と電通のクリエイターが一緒にアイデア段階から検討を重ねて制作しています。2021年度は24人の学生が参加。これまでの参加者数は延べ約1,100人となっています。コロナ禍の影響もあり、リモートでの授業も初めて取り入れられました。広告の仕事で培ったコミュニケーションスキルを、社会の課題である人権啓発のために役立てる活動として取り組んでいます。
2023年度人権アートポスター
責任あるメディア・広告活動
電通では行動指針である「dentsu Japan社員のクリエーティブ業務綱領」に則って、自社が提供するクリエーティブ・アウトプットとそのプロセスが社会に与える影響の大きさ、社会的責任の重さを自覚し、クリエーティブ・ビジネスの倫理向上とクリエーティビティの向上に努めています。
また、「dentsu Japanパブリシティ業務ガイドライン」を策定するなどして、新聞や雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットメディア、ソーシャルメディアなどの各種メディアと連携し、企業などのメディアを活用した情報発信を目的とする活動の健全なる発展をサポートしています。
「ハラスメント対策活動」について
電通では、2012年度に法令違反等に対応する社内通報制度「コンプライアンスライン」とは別に、ハラスメント関連の相談については「ハラスメント相談課」に機能一元化しました。
ハラスメント相談課は、電通各支社および社外に窓口を設け、社員の人権尊重はもとより働きやすい職場環境の実現と維持のため、各種ハラスメントから社内の人間関係、マナー違反や迷惑行為などの相談を受けています。またdentsu Japan各社のハラスメント相談窓口とも連携し、グループ全体でハラスメント防止に努めています。
加えて意識調査をもとにした個別の研修プログラムの実施、パワハラ/セクハラを始めとした各種のハラスメントを未然に防ぐ社員啓発活動を行うとともに、ハンドブック「聞くに聞けないハラスメントの基礎知識」の発行、各対象者に合わせた研修や社内掲示板、各局HRMディレクターを通じての注意喚起を行っています。