イーロン・マスクは、いわゆる普通のCEOではありません

約2,500億ドルもの資産を持つ人物、と聞いて思い浮かべるような典型的な人ではないです。

イーロン・マスクの型破りな成功

イーロン・マスクの習慣は少し普通とは違っていました。

たとえば、イーロン・マスクは、自宅を含む物理的な所有物をほとんど売却し、自身のロケットの会社「スペースX」所有の約550万円の家に住んでいます。また、Twitterでは特に型破りな振る舞いをして、トラブルに見舞われることも

もちろん、イーロン・マスクがここ数年にわたって成し遂げてきた成功については異論はないでしょう。彼が経営する電気自動車の会社「テスラ」は、世界で最も価値のある自動車メーカーです。

彼が創業した「スペースX」は、何年も民間の競合他社から抜きん出ています。この2つの会社を併せると、マスクが築いた資産は2,300億ドル以上で、誰よりも多いのです。

このような成功を収めていることから、多くの人が特に関心を持っているのは、イーロン・マスクはどうしてそのように生産的であり続けられるのかということ。その答えは、いろいろな意味で“普通ではない”習慣にあります。

習慣を問い直す

習慣というのは、頭で考えずにやっている行動と大いに関係があるのです。

人間は、習慣によって特定の方法で行動するように自分を条件付けています。習慣はほんの些細なことでもあります。たとえば、早起きして、1日の最初に運動をする人は、それが習慣になっているということです。

大きな習慣もあります。達成しなければならないことのために、毎日決まった日課をこなしている人もいるかもしれません。

手順を決めて、同じ順番でやることで、それが習慣になり、精神的なエネルギーをそれ以外のことに集中させることができます。

興味深い習慣をひとつご紹介しましょう。「自分は間違っている」という前提でいるのです。今度、重要な決断をしなければならない時に、「自分のやり方が間違っているとしたら、どうするだろうか?」と考えるのです。

もしくは、今度誰かと会話をする時に、「自分の話している相手が持っている情報が役に立つとしたら、どんな風に聞くだろうか?」と考える。

これが正にイーロン・マスクがすすめていることで、何よりも一番変わっている習慣かもしれません。

2014年のインタビューで、イーロン・マスクは「自分が間違っているという考え方でやったほうがいいです。目標は間違いをより少なくすることです」と言っています。

成功するために、プライドを捨てる

気づいたかもしれませんが、彼は「目標は正しくあること」だとは言っていません

この違いは、自分の時間やリソースをアイデアに投資している起業家には特に重要です。自分のやり方が正しくあって欲しいと強く望んでいる場合、自分のやり方が間違っているかもしれないと言われるのは、受け入れがたいかもしれません。

しかし、問題は実際に間違えることもあるということです。

目標は議論に勝つことではなく、成功すること

目標は自分のプライドを守ることではなく、最高のものを築くことです。自分の身近な人は特別な立場にいることが多いです。

身近な人は、あなたやあなたが達成しようとしていることを理解していますが、あなたの死角にあるものが見えないほど近くにいるわけではありません。

マスクは言います。

あなたのやっていることに対する思慮深い批判は値千金です。できるだけ多くの人、特に友人からそのような批判をもらったほうがいいでしょう。

友だちは、大体何が間違っているかわかっていますが、あなたを傷つけたくないという思いから、それを言いたがらないものです。

大事なのは、自分に死角があるということに気づき、その死角にあるものによって何もかも失敗する可能性があると想定することです。それから、信頼できる人に死角にあるものを教えてくれるよう頼みましょう。

私が“普通ではない”と言ったのは、地球上で最も裕福な人間になった人物にとって、「あなたは間違っている」と言われるのは簡単なことではないからです。自分が間違っていると考えるのはもっと辛いことです。

さらに言えば、億万長者であろうがなかろうが、CEOであればそのような言葉を聞くのは嫌でしょう。その結果、貴重な情報源を閉ざしてしまうことになります。

成功する習慣のはじめ方

ではCEOの仕事とは。

たとえば、「重要なものを見落としている」と考えるべきだとしましょう。

そうすると、CEOの仕事は、自分のやってきたことがどれほど正しいかを知ることではなく、より正しくなるために必要な情報を見つけること。

自分はすべて理解していたと判明するかもしれません。だとしたら、良いことです。

しかし、ほとんどの場合、何かを学ぶことになります。

ほとんどの場合、誰かが重要な情報を持っています。結果的に、より良い決断ができるようになり、最終的にそれが重要になってくるはずです。

このやり方が普通ではないことは認めますし、間違いなく難しい。だからこそ、実践すると役に立ちます。

結局のところ、何かを習慣にするには、時間をかけて何度も実践するしかないのです。まずは会話からはじめてください。大きなことである必要はありません。

些細なことでも、この方法でやればもっと簡単になるかもしれませんね。

そうすれば、プライドを捨て、自分の部下やチームの言うことに何でも耳を傾けることが、もっと簡単になります。そして、それが習慣になるかもしれません。

──2023年4月7日の記事を再編集のうえ、再掲しています。

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訳: 的野裕子

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