思いの詰まった新聞が寄せられた。審査を通して、チームで協力しながら試行錯誤を重ねて新聞を作り読者とつながる過程は、貴重な学びであることをあらためて感じた。
1席の小宿中「むじらしゃ新聞」は、読者の興味を引く記事が充実している。また、紙面構成に優れ、見やすい新聞である。学校生活の話題に加え、奄美の歴史をテーマに取り上げ、読者に学びの機会を提供する特集記事を掲載するなど、読み応えのある内容である。
2席の福平中「福風新聞」は、記事本文が明快で、生徒会活動の様子がよく伝わる。給食の残食調査の記事など、取り組みの意義を示し、書き手の主張をしっかりと述べている点は好感がもてる。
3席の樋脇中「積極一歓」は、生徒の実態に着目した記事が印象的である。遅刻や家庭学習などの状況について、調査結果に基づく問題提起の記事を企画している。見出しの工夫もある。
応募されたどの新聞も「よさ」が光った。その「よさ」は、各紙が大切にしていることの表れだと思う。それが紙面により反映され、読者が次号をより心待ちにするように工夫を重ねながら、新聞作りを楽しんでほしい。
今年も、審査を大いに悩ませる優れた新聞が多かった。
1席の大島高「大髙ジャーナル」は、奄美の歴史や自然等から学校行事の話題まで、幅広い記事と優れた紙面構成で、作り手の取材力の高さと、生徒や地域の方々といった読み手への熱い思いが強く感じられた。
2席の松陽高「松陽スピリット」は、校内の話題を中心にユーモアあふれる記事が印象的だった。紙面構成の工夫はもちろん、漫画のレベルの高さに舌を巻いた。本年度創刊とのことだが、今後が楽しみである。
3席の甲南高校「甲南髙校新聞」は、通常とは異なる、鋭い視点からの記事が目を引いた。特に、7月の「号外」は、新入生に対する作り手の優しさや気遣いが強く感じられ、好感をもった。
佳作の頴娃高「開拓精神」は、カラフルな紙面で地元の魅力を再発見する記事が印象に残った。今後紙面構成を研究しコラム等の充実を図れば飛躍的に進化する可能性を感じた。
新聞は、一言一句や写真などに作り手の思いが込められており、読み手もそれを感じながら読む優れたコミュニケーションツールである。新聞を作る、読むことは、他者を思いやる姿勢を育むことにもつながる。
今後も思いあふれる新聞に出会うのを楽しみにしたい。