農業生物資源研究所(生物研)は、「昆虫幼若ホルモン様化合物(幼若ホルモン)」とその輸送タンパク質の複合体の立体構造を明らかにし、同ホルモンの血液中での輸送の仕組みも明らかにしたと発表した。成果は、生物研農業生物先端ゲノム研究センター 生体分子研究ユニットの鈴木倫太郎主任研究員、同藤本瑞主任研究員らによるもの。詳細な内容は、2011年10月28日付けで英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。 化学合成農薬は、作物の安定的な生産に貢献しているが、一方でその使用を誤ると、環境汚染や人体への害といった問題を引き起こす危険性も併せ持つ。その解決策の1つとして、人体や環境に影響を与えずに害虫だけを防除する農薬が考えられている。 この条件に叶う殺虫剤としては、昆虫成長制御剤が知られており、幼若ホルモンはその代表だ。幼若ホルモンは昆虫に固有で、血液中に存在するタンパク質の1つ。胚発生