衆院選を間近に控えた10月、財務省の矢野康治次官が月刊誌への寄稿で、予算編成を巡る与野党の動きを批判した。政府関係者によると、安倍晋三元首相は「矢野論文」を読み、財務省側に矢野氏の辞任を迫ったという。安倍氏は積極的な財政支出と金融緩和を組み合わせた経済政策「アベノミクス」を主導してきただけに「弓を引く主張と映ったのではないか」と関係者はみる。 矢野氏への反発が広がる中、自民党は12月1日、「財政政策検討本部」を発足させた。積極的な財政支出を求める議員が名を連ね、安倍氏が最高顧問についた。関係者によると、その会合で矢野氏を追及しようという意見が議員から出たこともあった。