最大都市ヤンゴンの中心部から車で北へ約30分。日本からの中古車や模倣ブランドのバイクが往来する幹線道路を進むと、見慣れたキリンビールの看板が道沿いに現れた。 「ここは、ヤンゴン有数の水源地帯。他社工場も近くに集まっています」。そう言って出迎えたのは、キリンホールディングスの南方健志・常務執行役員。現地最大手ミャンマー・ブルワリーの社長も務める。 キリンが2015年に買収したミャンマー・ブルワリーの敷地内には、真新しい発酵タンクや、缶へのパッケージングラインが並ぶ。生産能力拡大に向けた工事は今も続いている。 ミャンマーでは長らく続いた軍事政権が外資参入を妨げ、その結果として未開の市場が残った。約5100万人の人口を有し、平均年齢は27.1歳。消費市場としての魅力は強い。アジア最後のフロンティアと呼ばれるゆえんだ。 年間の1人当たりビール消費量は3.7リットルと日本(43リットル)の10分の1