タンザニア、パンガニ川沿いの灰色の砂からのぞく人間の頭蓋骨。かつてはスワヒリ族の初期の漁村だった遺跡から発掘された。約1000年前、突然の津波で村が破壊され、多くの村人が犠牲になった。(PHOTOGRAPH BY VITTORIO MASELLI) およそ1000年前、今のアフリカ、タンザニアの沿岸から数キロ内陸に入ったパンガニ川のほとりには、スワヒリ人の初期の村が栄え、賑わいを見せていた。格子に組んだ木に土を塗って家を建て、魚や貝殻でビーズを作り、簡素で機能的な陶器も使っていた。 だがある日、はるかに離れた東インド洋で発生した地震による津波が、村を襲った。 この大惨事について調査した新たな論文が、5月12日付けで学術誌「Geology」に発表された。なお、この研究はナショナル ジオグラフィック協会の支援を受けたものである。 村人たちに激流から逃れる術がなかったのは明らかだ。家は破壊され、