少し前のギネス世界記録に「最も致死率の高い感染症」というカテゴリーがありました。ここにランキングされていたのがHIV感染症(エイズ)と狂犬病です。現在、HIV感染症には数多くの治療薬が開発されており、早期に治療を開始すれば死に至る病ではなくなりました。その一方、狂犬病は発病したら致死率がほぼ100%になるため、現在もランキング1位の感染症と言っていいでしょう。狂犬病の現状や予防法、海外で動物にかまれてしまった場合の対処法について、トラベルメディスンの第一人者である東京医科大学の濱田篤郎教授が解説します。【毎日新聞医療プレミア】 世界保健機関(WHO)の報告によれば、狂犬病はアジア、アフリカを中心に、世界150カ国以上で毎年5万9000人の患者が発生し、ほぼ全員が死亡しています。 日本国内では1950年代に根絶されましたが、2006年に京都と横浜で2人の狂犬病患者が発生しました。いずれの患者