60歳でいったん定年を迎えた後、再雇用されれば給与は下がるもの。だが自動車の金型の製造販売を中心に行っている「南海鋼材」(堺市)は、再雇用後も定年前と同じ水準の給与が支払われるという会社だ。「給与を下げられたら、プライドが傷つくやろ」と福原實晴(みはる)社長。確かにその通りだが、なぜこんな驚くべき取り組みに踏み切ったのだろう。再雇用でも同じ待遇 南海鋼材の規定では、60歳の誕生日を迎えた直後の給与の締め日が退職日。ここまでは普通の会社と同じだが、社員の“その後”を支える珍しい措置がとられている。 契約社員として再雇用された人は、原則として定年前の役職を維持したまま降格されず、定年前と同じ基本給と各種手当てが支払われる。賞与こそないものの、業績が良い年は臨時ボーナスも。契約期間は1年間だが、健康で働く意欲さえあれば更新が続く。好きなだけ働けるのだ。 南海鋼材の従業員は現在149人。このうち6