「押切もえ」と書いて「苦労人」と読む 新潮文芸振興会主催の「第29回山本周五郎賞」をめぐって、異例の“場外バトル”が起こったと、出版関係者の間で注目が集まっているという。同賞を19冊目となる『ユートピア』(集英社)で受賞した湊かなえが、僅差で受賞を逃した押切もえ著『永遠とは違う一日』(新潮社)のノミネートについて「なんだそりゃ、とあきれる思い」などと猛批判したのだ。 22日発売の「小説新潮」(新潮社)は、受賞者や選考委員へのインタビューなど同賞の特集を掲載。問題となっているのは、そこに寄せられた湊の受賞記念エッセイ「山本周五郎賞とは」だ。前半では、過去の落選を振り返るなどして、受賞の喜びをかみしめている。 「問題は後半部分です。押切や『永遠とは違う一日』の名前は出さずとも、明らかに同作とわかるように『文芸の外の人が2作目なのに上手にかけているという、イロモノ扱いのままで審査された作品と僅差