なぜフランスで「残酷な斬首テロ事件」が起きたのか、その「複雑すぎる背景」 はたしてムスリムとの対立が原因なのか 10月16日、パリ近郊の中学校に勤務する教員が、ロシア国籍を持つチェチェン出身のムスリムの若者に学校の近くで首を切断されるというショッキングな事件が起きた。授業で「シャルリ・エブド」紙に掲載されたムハンマドの風刺画を見せたのが理由とされる。 なぜこのような事件が起きたのだろうか。日本から眺めると、日本人には理解しにくいフランスの「ライシテ」という厳しい政教分離の考え方と、それに肩身の狭い思いを強いられているムスリムの対立が背景にあると見えるかもしれない。 たしかにこの対立図式は強力で、ある程度は妥当と言うことができる。だが、これではうまくピントを合わせたことにはならない。ライシテの考えには幅があり、大方のフランスのムスリムはライシテを受け入れているからである。 背景は複雑で、問題