三菱重工業は日立製作所と火力発電事業を統合する前に日立が手がけた南アフリカの事業で多額の損失が出る見通しとなったことで日立に7000億円を超える支払いを求めてきましたが、協議がまとまらなかったとして31日、第三者に解決を委ねる仲裁の手続きを申し立てたと発表しました。 しかし三菱重工は、事業を統合する前に日立の子会社が南アフリカで受注した発電設備の建設事業で多額の損失が出る見通しになったとして、日立に対し7600億円余りの支払いを請求していました。 その後両社で協議してきましたがまとまらなかったとして三菱重工は31日、第三者に解決を委ねる仲裁の手続きを、日本商事仲裁協会に申し立てたと発表しました。 支払いを求める金額は、精査した結果、さらに増え、7700億円余りになったとしています。 仲裁では、外部の弁護士などが裁判官にあたる仲裁人に選ばれ、両社の主張を聞いたうえで、判決にあたる仲裁判断を示
■ 110年ぶりの刑法改正 6月16日、性犯罪を厳罰化する刑法改正案が参議院で可決・成立、7月13日から施行されました。 性犯罪に関する刑法の大幅改定は、なんと、明治時代に刑法が制定されて以来、110年ぶりです。 性犯罪は被害者の人格を踏みにじる「魂の殺人」と言われるような深刻な人権侵害であり、とりわけ女性に対する性犯罪は「女性に対する暴力の一つ」として、女性に対する暴力撤廃宣言などの国際文書で、根絶に向けた各国の努力が要請されてきました。 ところが、日本では性犯罪はとても軽く扱われてきました。 性犯罪に対する日本の取り組みは大幅に立ち遅れでは、明治時代(1907年)に制定された刑法がそのまま踏襲され、性犯罪の防止および被害救済、そして処罰の対応のいずれもが著しく遅れていました。 こうした中、たくさんの性犯罪被害者は泣き寝入りを余儀なくされてきたのです。 近年、こうした性犯罪の被害者の方々
「象がアリを踏みつけるのはよくあることだが、今日はアリが象を倒した」 これが、判決後の記者会見で、原告代理人を務める白井劍弁護士が発した第一声だった。「象」は金融庁、「アリ」は元金融コンサルタントの女性Hさんのことだ。この日の判決で、東京高等裁判所(阿部潤裁判長)は、Hさんの主張を全面的に認め、インサイダー取引などの不正に対する課徴金制度のあり方について、初めて司法として指針を示した。曖昧で一方的な事実認定による「冤罪」が生まれているとの指摘もある、この制度の運用について、司法がタガをはめる画期的な判決だった。 ところが、この判決の意義を大手メディアは伝えず、判決そのものを無視したメディアもある。そこでここで要旨をお伝えすることにしたい。 Hさんの身に事件が降りかかったのは、2012年4月24日朝。いきなり自宅に証券取引等監視委員会(SESC)の調査官らが5人ほどやってきた。Hさんは「弁護
1月19日、14時から衆議院第一会館地下会議室にて、「憲政の常道(立憲政治)を取り戻す国民運動委員会」(略称・民間「立憲」臨調)の発足記者会見が行われた。 この団体は昨年9月に成立した新安保法制に反対する学者やジャーナリスト、文化人などが結成したもの。代表事務局幹事の憲法学者・小林節氏は記者会見の冒頭「我々は政治運動をするつもりはありません」と明言。「学識のある人々による裏付けのある情報を発信する組織」とのことで、月に1度会合を開き、情勢分析を行っていくという。 憲法学者の樋口陽一氏、俳優の宝田明氏、弁護士の宇都宮健児氏、音楽家の三枝成彰氏、音楽評論家の湯川れい子氏らが代表世話人を務めるが、約200人が参加している。ただし、「民主主義と立憲政治を問う」という声明文には賛同しているが、立場や政治スタンスなどは異なる人々が集まっているとのこと。 記者会見の中で、どのような情報発信をしていくのか
1990年代、「同性愛者だから」という理由で、東京都の施設から宿泊を拒否された若者たちがいた。「法の下の平等や集会の自由を定める憲法に照らしておかしい」と裁判に訴え、「都は差別的な取り扱いをした」とする東京高裁の判決が確定した。それから20年、いまは教員や弁護士になった当事者に、憲法の理念と少数者が置かれている現実はどう映るのか。 90年2月、同性愛者への差別をなくしたい、と活動していた市民団体の18人が東京都の施設「府中青年の家」で合宿をした。 この施設では、滞在するグループ同士が自己紹介をする時間がある。同性愛者の団体だと言うべきか、言うべきでないか。みんなで悩んだ末、正直に伝えた。 その夜。他の利用者から、男性同性愛者をさげすむ「ホモ」「オカマ」という言葉で呼ばれたり、入浴をのぞかれたりした。 施設に対処を申し入れ、次の宿…
伊藤真のけんぽう手習い塾(第59回) 080206up グランドプリンスホテルで起こった、ある一つの事件。 その問題について、メディアも私たちも関心を示さず、重要視していませんでした。 それこそが問題であると、塾長は指摘しています。 いとう・まこと1958年生まれ。81年東京大学在学中に司法試験合格。95年「伊藤真の司法試験塾」を開設。現在は塾長として、受験指導を幅広く展開するほか、各地の自治体・企業・市民団体などの研修・講演に奔走している。近著に『高校生からわかる日本国憲法の論点』(トランスビュー)。法学館憲法研究所所長。法学館のホームページはこちら。 「伊藤真のけんぽう手習い塾」から生まれた本です。 集英社新書より絶賛発売中! ホテル集会会場拒否事件の問題 日教組の全国集会が行われる予定だったグランドプリンスホテル新高輪が、契約していた2月1日からの会場提供を拒否した事件がありました。
1.はじめに 自治体の公民館など「公」の施設の使用拒否が集会の自由の観点から争われた事件について、平成7年、同8年に相次いで最高裁判決が出されました。それに対して、集会に対する「民間」のホテルの使用拒否が争われた注目すべき判決が平成22年に出されました。本判決は下級審判決ではありますが確定しており、実務や学説などに与える影響は大きいものと考えられます。 ■参照 「公」の公民館の使用拒否については、こちらをご参照ください。 ・公民館等の使用不許可と集会・表現の自由/泉佐野市民会館事件判決 2.事案の概要 Ⅹ(日本教職員組合)は、平成20年2月2日から4日に教育研究のための全国集会を開催するために、平成19年10月までにY(株式会社プリンスホテル)との間で、Yの経営するホテルの2つの宴会場の使用契約を締結し、また客室の190室の宿泊契約を締結した。 しかしYは、同社の会場利用規約の「他のお客様
おとといに続いて、集会の自由に関する、上尾市福祉会館事件(最高裁平成8年3月15日判決)について復習してみました。 <事案の概要> 何者かにより殺害された労働組合幹部の合同葬儀に使用するためにされた市福祉会館の使用申請に対して、市側が、この殺人事件が、対立するセクトによろいわゆる内ゲバ事件ではないかとみて反対派による妨害などによる紛争が発生するおそれがあるとして使用不許可としたことを受け、原告らがこの使用不許可が違法であると訴訟を提起した。 <判旨> 原告らの主張を認容。 「主催者が集会を平穏に行おうとしているのに、その集会の目的や主催者の思想、信条等に反対する者らが、これを実力で阻止し、妨害しようとして紛争を起こすおそれがあることを理由に公の施設の利用を拒むことができるのは、前示のような公の施設の利用関係の性質に照らせば、警察の警備等によってもなお混乱を防止することができないなど特別な事
Ⅰ はじめに テロ等準備罪(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画罪)を創設する組織犯罪処罰法改正案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案、193回国会閣法64号)が衆議院を通過しました。このエントリは、これを受けて、衆議院の議論で積み残されたと思われること(=参議院で議論されるべきこと)を、刑事法研究者としての視点から整理しようとするものです。 なお、同法案は国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(英文名称は、United Nations Convention against Transnational Organized Crime。以下、「TOC条約」と記す)を受けて国内法の整備のためとして上程されているものですが、同条約の解釈には限定的にしか言及しません。このことは、私が国際法・国際刑事法・国際政治学
イタリア最高裁は16日、調理前のロブスターを氷漬けにして保存するのはロブスターを不当に苦しめることになるとして、レストランオーナーに罰金支払いを命じた。写真は2013年8月撮影(2017年 ロイター/Brian Snyder) [ローマ 16日 ロイター] - イタリア最高裁は16日、調理前のロブスターを氷漬けにして保存するのはロブスターを不当に苦しめることになるとして、レストランオーナーに罰金支払いを命じた。 動物保護団体の主張を受け入れたもの。同団体は、生きた甲殻類を氷で冷やして保存しているフィレンツェのレストランオーナーを相手取り、2000ユーロ(約25万円)の罰金と裁判費用3000ユーロの支払いを求めていた。 最高裁は、生きたまま調理されるからといって、その前に不当に扱っていいことにはならない、との下級審の判断を支持した。 判決文は「通常用いられる調理方法は法的に問題ないが、調理さ
前回の日本の状況と比較して、ドイツ刑法の過去・現在・未来を論じたハッセマー(前フランクフルト大学)教授の見解の要旨を紹介しておきたいと思います。これは、2009年5月の日本刑法学会で講演されたものです。 第1.過去 戦後のドイツ刑法は「非ナチ化」を意識的に自覚することなく推移したので、1962年草案はすでに時代遅れであり、実際の出発点はリベラルな「対案グループ」の提案を入れた1969年刑法典であった。 第2.現在 現在の刑法は応報と贖罪の観念から脱却し、「予防」「非犯罪化」「実践的理性」の3点に集約される(憲法と人間の尊厳、再社会化の思想)。しかし、すでに「治安刑法」への傾斜が見られ、テロ、組織犯罪、麻薬犯罪、情報犯罪などの領域では、治安のパラダイムが自由のパラダイムの犠牲の上に成り立っており、「敵味方刑法」という発想が「法治国家」の原則を危うくしているのが現状である。 第3.将来 治安の
政府は、これまでに何度も廃案となっている共謀罪を、「テロ等準備罪」の呼び名のもとに新設する法案を国会に提出する予定であると報道されています。しかし、この立法は以下に述べるように、犯罪対策にとって不要であるばかりでなく、市民生活の重大な制約をもたらします。 1. テロ対策立法はすでに完結しています。 テロ対策の国際的枠組みとして、「爆弾テロ防止条約」や「テロ資金供与防止条約」を始めとする5つの国連条約、および、その他8つの国際条約が採択されています。日本は2001年9月11日の同時多発テロ後に採択された条約への対応も含め、早期に国内立法を行って、これらをすべて締結しています。 2. 国連国際組織犯罪防止条約の締結に、このような立法は不要です。 2000年に採択された国連国際組織犯罪防止条約は、国際的な組織犯罪への対策を目的とし、組織的な犯罪集団に参加する「参加罪」か、4年以上の自由刑を法定刑
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