日中国交正常化から50年となる2022年に合わせ、中国から江戸時代の日本に明代の多様な文物を伝えた黄檗山万福寺(おうばくさんまんぷくじ)(京都府宇治市)の隠元(いんげん)禅師(1592~1673年)の木像を、出身地である中国福建省の黄檗山万福寺に一時「里帰り」させる案が浮上している。日中関係は冷え込んでいるが、実現すれば前向きな動きの一つとなりそうだ。 隠元は、禅宗の一派である臨済宗を代表する著名な僧だった。福建省福清市の黄檗山万福寺の住職を長く務めた後、1654年に来日。その際に豆やスイカ、煎茶など多くの文物を日本に持ち込み「インゲン豆」にその名を残している。その後、京都に故郷の寺と同名の寺院を創建。禅宗の一派である黄檗宗を広め、日本で死去した。