サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
ノーベル賞
sorae.info
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年10月8日付で、初期機能確認運用中の先進レーダ衛星「だいち4号(ALOS-4)」が、静止軌道上の「光データ中継衛星」との間で波長1.5μmのレーザー光を用いた通信速度1.8Gbpsの光衛星間通信に成功したと発表しました。 「だいち4号」は2014年5月に打ち上げられた陸域観測技術衛星2号「だいち2号(ALOS-2)」の後継機として開発されたJAXAの地球観測衛星で、2024年7月1日に「H3」ロケット3号機で打ち上げられました。「だいち4号」には「だいち2号」から能力が向上したLバンド合成開口レーダー(SAR)「PALSAR-3」と、船舶自動識別装置(AIS)の信号を受信して船舶情報を取得する船舶自動識別信号受信器「SPAISE3」の他に、静止軌道上の衛星と光衛星間通信を行うための低軌道衛星用光ターミナル「OLLCT」が搭載されています。 光ター
太陽系のいくつかの天体は「環」を持っています。また、現在は消えているものの、過去には環を持っていたと推定される天体もいくつかあります。では、私たちが住む「地球」には、現在では消えてしまった環があったことはあるのでしょうか? モナシュ大学のAndrew G. Tomkins氏、Erin L. Martin氏、Peter A. Cawood氏の研究チームは、「オルドビス紀」の中期から約4000万年の間に形成された21個のクレーターの分布が赤道付近に偏っていることから、今から約4億6600万年前の地球には環があったのではないかとする推定を発表しました。 また3氏は、当時の地球で起きた大規模な気候変動の原因は、環の影響による日射量の変化であるとも推定しています。オルドビス紀には気候変動に伴う生物の多様化と、その末期に地球史上2番目に大規模な大量絶滅が起きたと考えられています。生物の進化と絶滅に、環
こちらは「ろ座(炉座)」の一角にある「ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド(Hubble Ultra Deep Field: HUDF)」で観測された銀河のペアを拡大した画像です。 【▲ ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド(HUDF)で活動銀河核(AGN)が見つかった約104億年前の銀河を示した図。活動銀河核は超大質量ブラックホールの存在を示唆する(Credit: NASA, ESA, M. Hayes (Stockholm University), J. DePasquale (STScI))】 注目は、拡大画像の注釈で示されている活動銀河核(Active Galactic Nucleus: AGN)の輝きです。これは質量が太陽の数百万~数十億倍以上に達する超大質量(超巨大)ブラックホールの存在を示唆しています。活動銀河核とは強い電磁波が放射されている銀河中心部の狭い領域のこと
地球の近くを通過する小惑星は、時々地球の重力で捕獲されて周回軌道に乗る、一時的な “第2の月” となることがあります。ただし、大半はあまりにも小さいために観測されておらず、たまに見つかっても、その多くはロケットなどの人工物を誤認しているケースです。地球を周回する小惑星が真に天然の天体であった事例は稀であり、確実なものはこれまでに4例しかありません。 マドリード・コンプルテンセ大学のCarlos de la Fuente Marcos氏とRaúl de la Fuente Marcos氏の研究チームは、2024年8月に見つかったばかりの小惑星「2024 PT5」の公転軌道を解析したところ、同年9月29日から11月25日まで(世界時)、地球の重力に一時的に捕獲される “第2の月” となることを示しました(※1)。研究者は、捕獲される前後の軌道から、2024 PT5が人工物である可能性は低いと考
アメリカ航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)は2024年9月10日付で、惑星探査機「Vayager 1(ボイジャー1号)」の姿勢をコントロールするために欠かせないスラスターの切り替えに成功したと発表しました。 1977年9月に打ち上げられたボイジャー1号は、2024年9月12日時点で地球から約246億km(約164天文単位)離れたところを飛行しています。JPLによると、ボイジャーに搭載されている2セットの姿勢制御スラスターと1セットの軌道制御スラスターは、推進剤タンクで使用されているゴム製ダイヤフラム(ダイアフラム)の経年劣化で生じる二酸化ケイ素によって配管が徐々に詰まり、推進効率が低下しているといいます。 ボイジャー1号では2002年にそれまで使用されていた姿勢制御スラスターのセットが詰まり始めたことから別のセットへの切り替えが行われましたが、切り替え後のセットにも詰まり
アメリカの民間宇宙企業SpaceX(スペースX)は日本時間2024年9月10日、民間主導の有人宇宙飛行ミッション「Polaris Dawn(ポラリス・ドーン)」の打ち上げを実施しました。Crew Dragon(クルードラゴン)宇宙船「Resilience(レジリエンス)」は無事にロケットから分離されたことを、SpaceXがSNSを通じて発表しています。 打ち上げに関する情報は以下の通りです。 ■打ち上げ情報:ファルコン9(Polaris Dawn) ロケット:ファルコン9 ブロック5 打ち上げ日時:日本時間2024年9月10日18時23分【成功】 発射場:ケネディ宇宙センター(アメリカ) ペイロード:Crew Dragon(クルードラゴン)宇宙船「Resilience(レジリエンス)」 Polaris Dawnは地球低軌道で史上初の商業船外活動などの実施を目的としたミッションです。クルーは
現代は人工知能(AI)によって作成された画像が広く流通し、一般の人々でも入手や使用が可能な時代を迎えています。そのためフェイク画像を見分ける方法は喫緊の課題となっています。特に人物のディープフェイク画像を検出する方法は重要性が増しています。 2024年7月にイギリスのハル大学(University of Hull)で開催された王立天文学会の全国天文学会議で興味深い研究成果が発表されました。それは画像に映された人物の目を見るだけでフェイク画像かどうか見分けることができるというものです。 【▲ 左側の人物が本物の画像で、右側の人物はAIによって作成されたディープフェイク画像。顔の下に示されている眼球の反射は、本物の人物の場合は一致しているが、偽物の人物の場合は(物理学の観点から)不正確である(Credit:Adejumoke Owolabi)】 ハル大学大学院の修士課程に在籍するAdejumo
太陽系に無数に存在する「小惑星」は、一定の条件を満たすことで名前を付けることができます。命名に関するルールは比較的緩いため、フィクション作品に登場する架空の人物に由来する名称も多数あります。 国際天文学連合(IAU)の小天体命名作業部会(WGSBN)は、提案された小惑星の名称が適切かどうかを審査する作業部会です。このWGSBNが2024年9月2日付で発行した速報にて、697402番小惑星「2017 BX232」の名称として提案された「アオ(Ao)」が承認され、正式に命名されたことが公表されました(※1)。これは漫画作品『恋する小惑星(アステロイド)』の2人の主人公が交わしたある “約束” に由来しています。その理由は、同漫画の略称にちなんだ未発見小惑星検出アプリ『COIAS』を通じて発見されたことにあります。 COIASを通じて発見・命名された小惑星はアオが初めてであり、市民科学の成功の一
スペースワン株式会社は2024年8月25日、同社の「カイロス(KAIROS)」ロケット初号機の打ち上げ結果と2号機に関する記者会見を開催しました。 カイロスはスペースワンが開発した全長約18mの3段式固体燃料ロケットで、ペイロード(搭載物)の軌道投入制度を高めるための液体推進系キックステージを備えています。内閣衛星情報センターの「短期打上型小型衛星」を搭載した初号機は2024年3月13日に和歌山県のスペースポート紀伊から打ち上げられましたが、発射約5秒後にロケットの自律飛行安全システムによる飛行中断措置が自律的に行われて射場直上で爆発し、衛星の軌道投入には至りませんでした。 スペースワンによると、カイロスに使用される推進薬の燃焼速度を予測するプロセスに問題があり、実際の性能よりも高めの推力が出ると予測してしまったことが、初号機の飛行中断の原因だと判明しました。初号機の飛行計画はこの高めの予
アメリカ航空宇宙局(NASA)はアメリカ東部夏時間2024年8月24日13時に記者会見を開き、Boeing(ボーイング)の新型宇宙船「Starliner(スターライナー)」による有人宇宙飛行ミッション「Crew Flight Test(CFT)」の一環として国際宇宙ステーション(ISS)に滞在しているNASAの宇宙飛行士2名について、Starlinerでは地球に帰還させないことを決定したと発表しました。 StarlinerはSpaceX(スペースX)の宇宙船「Crew Dragon(クルードラゴン)」とともにNASAのCommercial Crew Program(コマーシャルクループログラム、商業乗員輸送計画)のもとで開発がスタートした有人宇宙船です。これまでに2回の無人飛行試験が実施されており、今回のCFTミッションは開発の最終段階となる有人飛行試験の位置付けです。 アメリカ・フロリダ
数十億年前の「火星」の表面には豊富な液体の水が存在していたと考えられています。この大量の水は、少なくない量が地下に染み込んで現在でも存在する、という説もありますが、どの深さにどのような状態で存在するのかは大きな謎でした。 カリフォルニア大学サンディエゴ校のVashan Wright氏とMatthias Morzfeld氏、およびバークレー校のMichael Manga氏の研究チームは、アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査機「インサイト(InSight)」が計測した地震波のデータを分析しました。その結果、火星の地下には、岩石の隙間を埋める形で豊富な液体の水があるとする、これまでで最も確かな証拠を発見しました。その豊富さは、過去の火星が表面に湛えていたであろう液体の水の量を上回るほどです。 見つかった水は深さ11.5~20km(※1)の地下にあり、近い将来に汲み上げることは不可能です。しか
私たちの宇宙には「反物質」はほとんどありませんが、その理由はよく分かっていません。この謎を解決するために、反物質の性質を測定し、物質と比較する実験が行われていますが、精密な測定をするには課題がいくつもあります。 欧州原子核研究機構(CERN)の国際研究チーム「BASEコラボレーション」は、これまでで最も効率的な反陽子冷却装置“マクスウェルの悪魔二重冷却トラップ(Maxwell’s daemon cooling double trap)”を開発しました(※1)。この装置は、従来の100分の1以下の時間で反陽子を冷却することができるため、反陽子の性質の測定回数を増やすことができます。これにより、反陽子の性質をより正確に測定できることになります。 ※1…マクスウェルの悪魔(Maxwell’s daemon)とは、物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルが提唱した思考実験です。本題から逸れるため
「重力」はごく身近な力のひとつです。われわれ人間は地球上をふわふわ浮いているわけではなく、重力によって地上につなぎ止められていますし、どれほど高くジャンプしてもすぐに着地します。テーブルが大きく傾けば、その上に置いてあるものは床に向かってなだれ落ちます。 こうした現象はわれわれにとって“自然”なことであるため、ふだんから重力の存在を意識する人はあまりいません。しかし、重力は宇宙を形作る上で本質的に重要な役割を果たしてきました。重力が存在しなければ、太陽や地球はもちろん人間も誕生せず、「重力とは何か」などと頭を悩ませる者も存在しなかったはずです。 では、重力とはいったいどんな力で、ほかの力とは何が違うのでしょうか? 重力についての理解は時代によって変遷し、現在では重力の存在そのものに疑問を投げかける研究者もいます。後半となる本稿ではアインシュタインの重力理論から量子重力理論までの現代的な重力
「重力」はごく身近な力のひとつです。われわれ人間は地球上をふわふわ浮いているわけではなく、重力によって地上につなぎ止められていますし、どれほど高くジャンプしてもすぐに着地します。テーブルが大きく傾けば、その上に置いてあるものは床に向かってなだれ落ちます。 こうした現象はわれわれにとって“自然”なことであるため、ふだんから重力の存在を意識する人はあまりいません。しかし、重力は宇宙を形作る上で本質的に重要な役割を果たしてきました。重力が存在しなければ、太陽や地球はもちろん人間も誕生せず、「重力とは何か」などと頭を悩ませる者も存在しなかったはずです。 では、重力とはいったいどんな力で、ほかの力とは何が違うのでしょうか? 重力についての理解は時代によって変遷し、現在では重力の存在そのものに疑問を投げかける研究者もいます。前編となる本稿では宇宙における重力の役割とニュートン力学までの重力研究の歴史を
皆さんは日の出前や日没後の空を駆け抜ける星のような光、通称「ISS」と呼ばれる国際宇宙ステーション(International Space Station)を見たことがあるでしょうか? 世界各国が協力して作り上げた地球の上空約400㎞にある巨大な宇宙実験室、それがISS。そこでは、ミッションに任命された宇宙飛行士達が何か月間も滞在しながら、日々様々な実験を行っています。 ISSには日本が開発した実験棟「きぼう」があり、最先端の宇宙実験が行われています。とはいえ、細胞や遺伝子の研究、新薬の開発などがあまり身近に感じられず、実際にどのような実験が行われているのか、詳しくご存知ではない方も多いと思います。 本記事では、きぼうの歴史やそこで行われた研究事例を解説していき、宇宙に浮かぶ最先端の実験室「きぼう」でのすばらしい成果を見ていきたいと思います。 この記事でわかること ・宇宙実験のメリット ・
多くの科学者は、大昔の「火星」の環境は地球と似ており、独自の生命が発生していたと考えています。火星の探査が進めば進むほど、生命の存在を肯定する証拠が数多く見つかっています。しかし今のところ、生命の存在を直接的に証明する証拠は見つかっていません。 アメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車「パーサヴィアランス(Perseverance)」の科学チームは、2024年7月25日付の記事で、数十億年前の生命の直接的証拠であるかもしれない、潜在的に重要な岩石の発見を報告しました。多くの謎が未解決のままであるため、現時点では火星独自の生命の証拠であると確定させることはできませんが、このサンプルを地球で調べることができれば、より多くのことが分かるでしょう。 【▲ 図1: 今回分析された岩石「チェヤヴァ・フォールズ」にあるヒョウ柄の斑点は、数十億年前にいた火星の生命の痕跡である可能性があります。(Cred
「GPS(Global Positioning System)」は1973年にアメリカ合衆国国防総省によって着手された全地球航法衛星システム(GNSS)のひとつで、軍事用のみならず産業用や民生用の測位システムとして広く利用されています。GPS以外にも、ロシアの「GLONASS」、欧州の「GALILEO」、中国の「Beidou(北斗)」、日本の「QZSS(みちびき)」など複数のGNSSが運用されています。 【▲ 地球周回軌道に配備された測位衛星の想像図。SpaceNewsがDALL-Eで生成。(Credit: SpaceNews)】しかしながら、ウクライナや中東での紛争衝突、およびアメリカと中国の地政学的な覇権争いの影響で、GNSSの脆弱性が明らかになってきました。第三者になりすます「スプーフィング(spoofing)」や電波を妨害する「ジャミング(jamming)」といった攻撃が、戦場での
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年7月31日、初期機能確認運用中の先進レーダ衛星「だいち4号(ALOS-4)」に搭載されているLバンド合成開口レーダー(SAR)「PALSAR-3」で取得した初観測画像を公開しました。【最終更新:2024年8月1日11時台】 【▲ 観測を行う先進レーダ衛星「だいち4号(ALOS-4)」のCGイメージ。機体下部(地球側)の左側に展開されているのがLバンド合成開口レーダー(SAR)の「PALSAR-3」、右側に展開されているのが船舶自動識別信号受信器「SPAISE3」のアンテナ(Credit: JAXA)】「だいち4号」は2014年5月に打ち上げられた陸域観測技術衛星2号「だいち2号(ALOS-2)」の後継機として開発されたJAXAの地球観測衛星で、PALSAR-3の他に船舶自動識別装置(AIS)の信号を受信して船舶情報を取得する船舶自動識別信号受信器
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年7月29日(日本時間・以下同様)、X(旧Twitter)の小型月着陸実証機「SLIM」プロジェクト公式アカウントにて、6回目の夜を越したとみられるSLIMとの通信を試みたものの、電波を受信できなかったことを明らかにしました。【最終更新:2024年7月31日14時台】 ■2024年5月と6月に続いて7月も応答なし 今後の運用は議論中【▲ 参考画像:小型月着陸実証機「SLIM」から放出された探査ロボット「LEV-2(SORA-Q)」のカメラで撮影された画像。大きく傾きつつ接地した状態のSLIMが右奥に写っている。画像は試験画像で、もう1機の探査ロボット「LEV-1」経由の試験電波データ転送により取得されたもの(Credit: JAXA/タカラトミー/ソニーグループ(株)/同志社大学)】SLIMは2024年1月20日0時20分頃に日本の探査機として初め
宇宙には「暗黒物質(ダークマター)」という、重力でのみ存在を知ることのできる物質が大量にあるとされています。暗黒物質は普通の物質と極めて稀に相互作用する可能性があるため、原子核と暗黒物質との衝突で発生する信号を捉える検出器が世界中に設置されています。しかし正しい観測のためには、無関係の信号であるノイズを除去する必要があります。 国際共同実験「XENON(ゼノン)コラボレーション」は、液体キセノンで暗黒物質を検出する最新の装置「XENONnT(ゼノンエヌトン)」にて、太陽から放出される素粒子「ニュートリノ」が原子核と衝突する形式の1つである「ニュートリノ‐原子核コヒーレント弾性散乱(CEvNS)」に由来する信号を検出したと発表しました。 地球の外に由来するニュートリノによるCEvNSを捉えたのは世界で初めてのことです。この結果から、XENONnTは小型の装置の割に、ニュートリノというノイズに
宇宙には、私たち人類以外の文明は存在するのでしょうか? もしも存在するとしたら、それはどれくらいの数となるのでしょうか? 文明の数を推定する方法として有名な「ドレイクの方程式」にもとづくと、天の川銀河の中には多数の文明が存在すると予測できます。その一方で、ドレイクの方程式で予測される文明の数は、私たちがとっくの昔に地球外文明に出会っていてもおかしくはないはずだという「フェルミのパラドックス」との矛盾にしばしば遭遇します。 テキサス大学ダラス校のRobert J. Stern氏とスイス連邦工科大学チューリッヒ校のTaras V. Gerya氏の研究チームは、進化した生命が知性を獲得して文明を構築するには、大規模な地殻の運動である「プレートテクトニクス」の継続時間がカギを握っているのではないかと考えた研究を行いました。そして、ドレイクの方程式の項目の1つである「fi(生命が知性を獲得する割合)
モントリオール大学の博士課程学生Charles Cadieuxさんを筆頭とする研究チームは、「くじら座(鯨座)」の方向約48光年先の太陽系外惑星「LHS 1140 b」について、表面が氷もしくは水に覆われた岩石惑星であり、未確認ながら窒素を多く含む大気を持つ可能性があるとする研究成果を発表しました。 【▲ 今回の研究成果をもとに描かれた太陽系外惑星「LHS 1140 b」の2つの姿(左、中央)と地球(右)の大きさを比較した図。左は太陽系の氷衛星のようにLHS 1140 bの表面全体が氷に覆われているとした場合、中央はLHS 1140 bが大気を持ち昼側に海が広がっているとした場合の想像図(Credit: B. Gougeon/Université de Montréal)】 LHS 1140 bは地球と比べて直径が約1.73倍・質量が約5.60倍と推定される系外惑星で、太陽と比べて直径と質
宇宙をテーマとするSF作品には光の速さを越えて遠くへと移動するワープ航法(超光速航法)が登場するものがありますが、実際の宇宙においては禁止されているというのが現代物理学の一般的な見解です。その一方で、現代物理学の枠組みでも可能なワープ方法の考察も存在します。 ロンドン大学クイーン・メアリーのKaty Clough氏、ポツダム大学のTim Dietrich氏、およびカーディフ大学のSebastian Khan氏らの研究チームは、比較的現実味のあるワープ航法として考案された「アルクビエレ・ドライブ(Alcubierre drive)」を対象に計算を行ったところ、ワープする宇宙船が加速や減速をした時、およびワープに “失敗” した場合において、時空の波である「重力波」が生じることが分かったとする研究成果をプレプリントサーバー「arXiv」(※1)に投稿しました。 想定された重力波は現在の観測体制
重力を通してのみその存在を知ることができる「暗黒物質(ダークマター)」の正体は今でもよく分かっていません。候補の1つとして誕生直後の宇宙で生成されたとされる「原始ブラックホール(Primordial black hole)」があげられているものの、その生成過程はよく分かっていません。 マサチューセッツ工科大学のElba Alonso-Monsalve氏とDavid I. Kaiser氏の研究チームは、初期宇宙で原始ブラックホールが生成される過程を調査しました。その研究の副産物として、理論的には提唱されていたものの生成ルートが判明していない “異色” の存在であった、いわば「色荷ブラックホール」とでも表現できるような存在に辿り着きました。色荷ブラックホールはあまりにも小さすぎるため、現在の宇宙には残っていないと考えられていますが、それでも初期宇宙の歴史に無視できない影響を与えた可能性がありま
こちらはアメリカの民間宇宙企業SpaceX(スペースX)が公式Xアカウントを通じて公開した動画です。日本時間2024年6月6日夜に実施された同社の新型ロケット「Starship(スターシップ)」第4回飛行試験で使用された1段目の大型ロケット「Super Heavy(スーパーヘビー)」が、計画通りメキシコ湾の海上へ軟着水する様子が24秒間にまとめられています。 動画では、上空から降下してきたSuper Heavyがエンジンを点火して減速しながら海面へ迫っていく様子を捉えた映像(※着水予定区域に設置されたブイのカメラで撮影されたものと思われる)に続いて、Super Heavy側のカメラで捉えた着水の瞬間を見ることができます。ちなみに、Super Heavyの全長は71mで、大型旅客機であるBoeing(ボーイング)777-300ER型機の全長73.9mとほぼ同じです。 【▲ 大型宇宙船「Sta
アメリカの民間宇宙企業SpaceX(スペースX)は日本時間2024年6月6日、同社が開発中の新型ロケット「Starship(スターシップ)」による第4回飛行試験を実施しました。今回の飛行試験でStarship宇宙船は上昇飛行を完了して宇宙空間を慣性飛行した後に大気圏へ再突入し、海上へ軟着水することに初めて成功しました。【最終更新:2024年6月7日16時台】 【▲ アメリカ・テキサス州にあるSpaceX(スペースX)の施設「Starbase(スターベース)」から第4回飛行試験のために打ち上げられた新型ロケット「Starship(スターシップ)」(Credit: SpaceX)】Starshipは1段目の大型ロケット「Super Heavy(スーパーヘビー)」と2段目の大型宇宙船「Starship」からなる全長121mの再利用型ロケットで、打ち上げシステムとしてもStarshipの名称で呼ば
アメリカの民間宇宙企業SpaceX(スペースX)は日本時間2024年6月6日、同社が開発中の新型ロケット「Starship(スターシップ)」による第4回飛行試験を実施しました。Starship宇宙船は宇宙空間を飛行後に大気圏へ再突入し、予定されていたインド洋への着水を行って飛行を終えています。【最終更新:2024年6月6日23時台】 【▲ 米国テキサス州にあるSpaceX(スペースX)の施設「Starbase(スターベース)」から第4回飛行試験のために打ち上げられた新型ロケット「Starship(スターシップ)」。SpaceXのライブ配信より(Credit: SpaceX)】Starshipは1段目の大型ロケット「Super Heavy(スーパーヘビー)」と2段目の大型宇宙船「Starship」からなる全長121mの再利用型ロケットで、打ち上げシステムとしてもStarshipの名称で呼ばれ
中国国家航天局(CNSA)は2024年6月4日、CNSAの月探査機「嫦娥6号(Chang’e 6)」が世界初となる月の裏側でのサンプル採取を完了し、離陸した上昇機が月周回軌道へ戻ることに成功したと発表しました。CNSAは嫦娥6号のセルフィーを含む複数の画像もあわせて公開しています。【最終更新:2024年6月4日13時台】 嫦娥6号はCNSAによる月探査ミッションの無人探査機です。地球からは直接見ることができない月の裏側に着陸して周辺の観測を行うと同時に、スコップとドリルを使用して約2kgのサンプルを採取し地球へ持ち帰るサンプルリターンを目的としています。成功すれば月の裏側からのサンプルリターンは世界初となります。 【▲ 打ち上げ準備中の月探査機「嫦娥6号」。着陸機の側面に取り付けられた小型探査車らしき装置が写っている(Credit: CASC/CAST)】2024年5月3日(日本時間・以下
約6億年前の「エディアカラ紀(エディアカラン)」は、目に見える大きさの多細胞生物が発見されている最も古い時代として注目されています。しかし、なぜエディアカラ紀に生物の身体が複雑化・大型化したのか、その理由はよく分かっていません。 ロチェスター大学のWentao Huang氏などの研究チームは、エディアカラ紀の「地磁気」の強さを調査しました。その結果、エディアカラ紀の約2600万年の間、地磁気の強さは現在の10分の1以下、最小で約30分の1というかなり低い水準だったことが判明しました。詳しくは後述しますが、この出来事は最終的に海水中の酸素濃度を増加させ、生物の進化を促した可能性があります。 【▲ 図1: 今回の研究により、エディアカラ紀の地球は地磁気が極端に弱かった可能性が示されました。当時の生物にとって、オーロラは極地以外でも見られる、日常的な現象であったかもしれません。(Credit:U
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『sorae 宇宙へのポータルサイト』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く