弊誌の編集会議において「技術者倫理」に関する企画が提出された時,筆者は思った。「技術者倫理というのはよく耳にするが,経営者倫理や管理職倫理というのはあまり聞かない。そもそも,悪事が露見したときに,技術者だけが倫理(責任ではない)を問われるのは変ではないか」。 取りあえず,筆者は思ったままを口にしてみた。だが,議論はその後発散してしまったので,どのような結論が出たのかは筆者もよく分かっていない(ほかの編集部員がどう思っているのかもよく分からない)。 技術者倫理が話題になるのは,偽装や隠蔽といった行為が明らかになったときが多い。最近でいえばニチアスや東洋ゴム工業の耐火材性能偽装だろう(ちなみに筆者は本件を耳にしたとき,三井物産の排ガス浄化装置性能偽装を思い出した。何となくだが似ている気がしたのだ)。現場に居合わせた技術者は真実を知っているはずで,あなたがその技術者ならどう振る舞うべきかを示して