近代化において、正確な時計と時間意識は不可欠だった。定められた時間通りに動くことが、工業生産や軍をはじめあらゆる場面で求められていった。
コンピューターやモノがネットワークでつながる現代は、桁違いの精度での時刻合わせが必要となる。例えば5G通信では、基地局がマイクロ秒(μs)からナノ(ns)秒単位で正確に時刻を合わせている。電力制御やコネクテッドカー等の重要インフラでもこの正確な時刻同期は不可欠だ。
NTP/PTPにはじまり測定器まで 幅広い時刻同期製品を展開
丸文ではロケット打ち上げ時のデータレコーダー向けに始まり、数十年にわたって正確な時刻を供給し同期するためのソリューションを提供してきた。特に需要が広がった2000年代からミリ秒単位の時刻同期を行うMicrochip社製のNTP(Network Time Protocol)タイムサーバーを国内向けに販売。様々な場面で活用されてきた。
現在では、ns単位へ精度が上がったPTP(Precision Time Protocol)対応製品も展開。GPS/GNSSから受け取った時刻情報を配信するグランドマスター等を幅広く提供している。丸文 アントレプレナ事業本部 イーリスカンパニー 測位タイミング課の尾形ケネス氏は、「時刻同期はあまり目立たないが非常にクリティカルな要素だ。産業・社会インフラのデジタル化に伴ってその重要性が認知され、さらに市場が盛り上がっているのを感じる」と話す。
丸文 アントレプレナ事業本部 イーリスカンパニー 測位タイミング課 尾形ケネス氏
また、正確な時刻を供給し続けるための測定器や、基準信号を得るためのセシウム原子時計、ルビジウム原子時計等も備える(図表1)。「要求される精度をきちんと満たしているかを確認するため、模擬的なGNSS信号を出力するGNSSシミュレータや、ITU-T標準に準拠している測定器を用いて計測するといったソリューションを包括的に提供し、本当に高精度な時刻同期を実現している」(尾形氏)
図表1 Microchip社の時刻同期ソリューション
技術サービスを提供する子会社とも連携しつつ、導入前の支援から運用サポートまでを、数十年にわたる経験やノウハウを踏まえながら提供できることも、丸文ならではの特徴だ。