「Wi-Fiの高出力化を」 製造現場での無線利用活性化に向けて検討会発足

工場にもっとWi-Fiを――日本では遅れているとされるFAを、無線通信によって推進することを目指す検討会が先月発足した。諸外国より厳しいと言われるWi-Fiの出力規制を乗り越え、Wi-Fi 6E/7を活用したFAソリューションの拡大を目指す。

「長距離無線通信を活用した製造業向けFAソリューション実現」に関する検討会は2024年9月17日、「製造業の観点からみる無線の現状とこれから」と題するセミナーを開催した。

今年8月26日に設置が発表された同検討会は、シスコシステムズ、ファーウェイ・ジャパン、ビーマップ、無線LANビジネス推進連絡会(Wi-Biz)に、キリンホールディングスで取締役常務執行役員を務めた小林憲明氏で構成される。

製造業DXの遅れは“Wi-Fi出力規制が一因”

日本の製造業DXは海外に遅れを取っているとされる。その理由の1つとして同検討会が挙げるのが、無線出力の規制の在り方だ。日本ではWi-Fiの出力(空中線電力)は10mW/MHzに制限され、到達距離は長くても約50~100メートル。工場のように障害物の多い環境ではさらに短くなる。

ビーマップ 代表取締役社長の杉野文則氏によれば、米国など諸外国では1W/MHzの出力が可能な国・地域が多く、中国では10W/MHzもの出力が認められているという。こうした国・地域では、Wi-Fiの電波到達距離は200メートルから時には1キロメートルにも及び、日本に比べて少ないアクセスポイント、低いコストで無線ネットワークを整備できると指摘した。

ビーマップ 代表取締役社長の杉野文則氏

こうした現状に鑑み、同検討会では、工場などの一部エリアにおけるWi-Fiの出力制限の緩和を総務省に働きかけたり、通信機器メーカーの長距離無線通信技術を応用し、製造現場でより効率的に無線ネットワークを活用する検討を開始しているという。

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