取材

税金の無い島ケイマンに銀行口座を開けるか、実際に現地に行ってチャレンジしてみました


オリンパスやエンロンの巨額損失隠し事件の舞台として知られるタックスヘイブン(租税回避地)ケイマン。この島は企業が本国での課税を逃れるためにペーパーカンパニーを設立する場所として有名ですが、個人向けサービスを行うための銀行も存在しているようなので、実際に窓口に行ってどのようにしたら口座を開くことができるのか調べてみることにしました。

窓口に行ってみた

さっそく、首都ジョージタウンの中心部にあるCayman National銀行に突撃。


入り口はこんな感じ。


銀行内でカメラ付きのスマートフォンを取り出したら警備員に止められてしまいましたが、「旅行の記念に1枚だけ」とお願いしたら「ツリーなら撮っていいよ」と言われ、撮影できたのが以下。


窓口で旅行者である事を伝えて口座が開けるか聞いてみたことろ「居住者でなければ口座開設はできません」とのこと。海外の銀行は割と担当者の裁量が大きいので、不審に思われて断られた可能性もありますが、とにかく今回はここに口座を開くことはできませんでした。

次は、外資系であれば状況は違うかもしれないので近所にあったFirstCaribbean International銀行に行ってみることにします。


1階のフロアに入ってすぐの受付の人に「口座を開きたい」と告げると「個人向けは3階で承ります」とのことなので、エレベーターに乗って指定された場所に向かいます。

扉を開けた先には以下のようなデスクがありました。


誰も居なかったので、しばらく以下のような待合室で待機していると、営業スマイル全開のスーツ姿の女性が現れて「どのようなご用件でしょう?」と聞いてきます。


「旅行者でも銀行口座を開けますか?」と聞いたところ問題ないとのことで、必要な書類や条件が書かれた書類を渡されました。


口座開設に必要なものとして書かれていたのは以下の4点。

1:公証人の署名と捺印のあるパスポートと運転免許証のコピー。
2:自分がケイマン国籍でないことや特定の法的手続きを経た場合は銀行が個人情報を政府などに提供する、といった内容が書かれた確認依頼書に同意する旨を記入した書類。
3:記入済みの口座開設フォーム。
4:口座開設の目的や、預けるお金をどのように入手したかを記入したドキュメント。

なお、下から2つめの項目はアメリカ国籍の人のみに向けてのものなので日本人には関係ないとのこと。


これだけを見ると「英文でドキュメントを作成してくれる公証人さえ見つけられれば意外とハードルは低いのでは?」と思えてしまいますが、書類の最後には最低預金額として10万ドル(840万円前後)が必要と書かれていました。というわけで、そんな大金は持っているはずもなく、口座開設を断念……。

担当の女性は「書類とお金をご用意いただければ1週間ほどで口座のご用意ができますよ」と笑顔で言ってくれましたが、力なく「また今度にします」と答えて銀行を後にしました。

ケイマンで見かけた銀行

今回は閉店時間を過ぎており訪問することはできませんでしたが、グランドケイマンでは以下の銀行を見つけることができました。

全世界に1万以上の支店を持つというイギリスの巨大銀行HSBC


カナダで最大手のカナダロイヤル銀行


4階建ての巨大なビル。


同銀行の略称「RBC」と書かれたロゴ。


ATMも設置されており、国際キャッシュカードやVISA、Masterのクレジットカードなどでキャッシングが可能。


バミューダの銀行Butterfield Bank


カナダの大手銀行スコシアバンク


というわけで、最低預金額があまりにも高いので一般人がすぐにできる方法ではありませんがお金さえあればケイマンに住んでいない人でもすぐに銀行口座を開くことは可能であることがわかりました。

なお、もし口座を開設する場合、利子などで得た所得を日本で申告する必要があるか否かは口座を開いた当人の国籍、居住地などにより変わるようなので専門家に確認を行い、あくまでも自己責任の範疇に収まるように注意しましょう。

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in 取材, Posted by darkhorse_log

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