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'''アプリケーション層'''(アプリケーションそう、Application layer)とは、通信ネットワークにおいて[[ホスト (ネットワーク)|ホスト]]が用いる共用の[[通信プロトコル|プロトコル]]と[[インタフェース (情報技術)|インターフェース]]メソッドを示す[[抽象化レイヤー]]である。「アプリケーション層」という抽象概念は[[コンピュータネットワーク]]の標準的なモデルである[[インターネット・プロトコル・スイート]](

[[TCP/IPモデル]])および[[開放型システム間相互接続]]モデル([[OSI参照モデル]])の両方で使われている。

'''アプリケーション層'''とは、通信ネットワークにおいて[[ホスト]]が用いる共用の[[通信プロトコル|プロトコル]]と[[インタフェース (情報技術)|インターフェース]]メソッドを示す[[抽象化レイヤー]]である。「アプリケーション層」という抽象概念は[[コンピュータネットワーク]]の標準的なモデルである[[インターネット・プロトコル・スイート]](
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いずれのモデルでも「アプリケーション層」という用語を、それぞれにおける最高レベルのレイヤの名前として用いているが、詳細な定義やレイヤの役割は異なっている。
いずれのモデルでも「アプリケーション層」という用語を、それぞれにおける最高レベルのレイヤの名前として用いているが、詳細な定義やレイヤの役割は異なっている。


[[TCP/IP参照モデル]]においては、アプリケーション層は4階層ある内の第4層にあたり、[[Internet Protocol|IP]]の[[コンピュータネットワーク]]を介したプロセス間通信に使われる[[通信プロトコル]]と[[インタフェース (情報技術)|インターフェース]]メソッドを含んでいる。アプリケーション層は通信だけを標準化しており、ホスト間のデータ通信チャネルの確立と、[[クライアントサーバモデル|クライアントーサーバ間]]または[[Peer to Peer|ピアツーピア]]のネットワーキング・モデルにおけるデータ交換の管理は、下位の[[トランスポート層]]のプロトコルに依存している。TCP/IPのアプリケーション層は、通信の際にアプリケーションが考慮せねばならない特定のルールあるいはデータ形式を定めていないが、元々の仕様(RFC 1123)はソフトウェア設計における[[堅牢性原則]](robustness principle) に依拠し、またそれを勧告している<ref name=rfc1123>{{cite web
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TCP/IP参照モデルでのアプリケーション層は、[[OSI参照モデル]]のアプリケーション層、[[プレゼンテーション層]]、および[[セッション層]]の三階層に対応する。従ってOSI参照モデルの「アプリケーション層」の定義が意味する範囲はTCP/IPの「アプリケーション層」よりも狭い。
TCP/IPモデルでのアプリケーション層は、[[OSI参照モデル]]のアプリケーション層、[[プレゼンテーション層]]、および[[セッション層]]の三階層に対応する。従ってOSI参照モデルの「アプリケーション層」の定義が意味する範囲はTCP/IPの「アプリケーション層」よりも狭い。


OSIモデルにおけるアプリケーション層は、7階層ある内の第7層にあたり、受信した情報をユーザーに表示するユーザー・インターフェイスと定義している。一方、[[Internet Protocol|IP]]モデルでは、その部分にOSIモデルほどの詳細さで関心を寄せてはいない。OSIモデルでは、トランスポート層の上にも二つの追加的なレベルがあるすなわち[[セッション層]]と[[プレゼンテーション層]]である。OSIはこれらのレベルの機能を厳格にモジュール分離し、各層にOSIプロトコルの実装を提供すべきことを規定している。
OSIモデルにおけるアプリケーション層は、7階層ある内の第7層にあたり、受信した情報をユーザーに表示するユーザー・インターフェイスと定義している。一方、[[Internet Protocol|IP]]モデルでは、その部分にOSIモデルほどの詳細さで関心を寄せてはいない。OSIモデルでは、トランスポート層の上にも二つの追加的なレベルがある――すなわち[[セッション層]]と[[プレゼンテーション層]]である。OSIはこれらのレベルの機能を厳格にモジュール分離し、各層にOSIプロトコルの実装を提供すべきことを規定している。


OSIモデルのアプリケーション層は、アプリケーションプロセスのための共通アプリケーションサービスへ直接接続して実行する。また[[プレゼンテーション層]]に対して要求も行う。共通アプリケーション層サービスは、関連するアプリケーションプロセス間の意味的な変換を提供する。''注意:'' 一般的に興味が有る共通アプリケーションサービスの一例としては、仮想ファイル、[[仮想端末]]、[[バッチ処理|ジョブ]]の[[転送]]及び操作プロトコルを含む。
OSIモデルのアプリケーション層は、アプリケーションプロセスのための共通アプリケーションサービスへ直接接続して実行する。また[[プレゼンテーション層]]に対して要求も行う。共通アプリケーション層サービスは、関連するアプリケーションプロセス間の意味的な変換を提供する。''注意:'' 一般的に興味が有る共通アプリケーションサービスの一例としては、仮想ファイル、[[仮想端末]]、[[バッチ処理|ジョブ]]の[[転送]]及び操作プロトコルを含む。


==例==
==例==

*[[9P]], [[Plan 9 from Bell Labs]] distributed file system protocol
*[[9P]], [[Plan 9 from Bell Labs]] distributed file system protocol
*AFP, [[Apple Filing Protocol]]
*AFP, [[Apple Filing Protocol]]
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*IRCP, [[Internet Relay Chat]] Protocol
*IRCP, [[Internet Relay Chat]] Protocol
*LDAP, [[Lightweight Directory Access Protocol]]
*LDAP, [[Lightweight Directory Access Protocol]]
*LPD, [[Line Printer Daemon]] Protocol
*LPD, [[Line Printer Daemon protocol|Line Printer Daemon Protocol]]
*MIME (S-MIME), [[Multipurpose Internet Mail Extensions]] and Secure MIME
*MIME (S/MIME), [[Multipurpose Internet Mail Extensions]]と[[S/MIME|Secure MIME]]
*[[Modbus]]
*[[Modbus]]
*[[Netconf]]
*[[NETCONF]]
*NFS, [[Network File System]]
*NFS, [[Network File System]]
*NIS, [[Network Information Service]]
*NIS, [[Network Information Service]]
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*SNMP [[Simple Network Management Protocol]]
*SNMP [[Simple Network Management Protocol]]
*SNTP, [[Simple Network Time Protocol]]
*SNTP, [[Simple Network Time Protocol]]
*[[SOAP (プロトコル)|SOAP]]
*SOAP, [[Simple Object Access Protocol]]
*RDP, [[Remote Desktop Protocol]]
*RDP, [[Remote Desktop Protocol]]
*[[Secure Shell|SSH]], Secure Shell
*[[Secure Shell|SSH]], Secure Shell
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*[[X.500]], Directory Access Protocol (DAP)
*[[X.500]], Directory Access Protocol (DAP)
*XMPP, [[Extensible Messaging and Presence Protocol]]
*XMPP, [[Extensible Messaging and Presence Protocol]]

== 出典 ==
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==外部リンク==
==外部リンク==
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[[Category:OSI参照モデル]]
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2024年6月11日 (火) 07:30時点における最新版

アプリケーション層(アプリケーションそう、Application layer)とは、通信ネットワークにおいてホストが用いる共用のプロトコルインターフェースメソッドを示す抽象化レイヤーである。「アプリケーション層」という抽象概念はコンピュータネットワークの標準的なモデルであるインターネット・プロトコル・スイート( TCP/IPモデル)および開放型システム間相互接続モデル(OSI参照モデル)の両方で使われている。

いずれのモデルでも「アプリケーション層」という用語を、それぞれにおける最高レベルのレイヤの名前として用いているが、詳細な定義やレイヤの役割は異なっている。

TCP/IPモデルにおいては、アプリケーション層は4階層ある内の第4層にあたり、IPコンピュータネットワークを介したプロセス間通信に使われる通信プロトコルインターフェースメソッドを含んでいる。アプリケーション層は通信だけを標準化しており、ホスト間のデータ通信チャネルの確立と、クライアントーサーバ間またはピアツーピアのネットワーキング・モデルにおけるデータ交換の管理は、下位のトランスポート層のプロトコルに依存している。TCP/IPのアプリケーション層は、通信の際にアプリケーションが考慮せねばならない特定のルールあるいはデータ形式を定めていないが、元々の仕様(RFC 1123)はソフトウェア設計における堅牢性原則(robustness principle) に依拠し、またそれを勧告している[1]

TCP/IPモデルでのアプリケーション層は、OSI参照モデルのアプリケーション層、プレゼンテーション層、およびセッション層の三階層に対応する。従ってOSI参照モデルの「アプリケーション層」の定義が意味する範囲はTCP/IPの「アプリケーション層」よりも狭い。

OSIモデルにおけるアプリケーション層は、7階層ある内の第7層にあたり、受信した情報をユーザーに表示するユーザー・インターフェイスと定義している。一方、IPモデルでは、その部分にOSIモデルほどの詳細さで関心を寄せてはいない。OSIモデルでは、トランスポート層の上にも二つの追加的なレベルがある――すなわちセッション層プレゼンテーション層である。OSIはこれらのレベルの機能を厳格にモジュール分離し、各層にOSIプロトコルの実装を提供すべきことを規定している。

OSIモデルのアプリケーション層は、アプリケーションプロセスのための共通アプリケーションサービスへ直接接続して実行する。またプレゼンテーション層に対して要求も行う。共通アプリケーション層サービスは、関連するアプリケーションプロセス間の意味的な変換を提供する。注意: 一般的に興味が有る共通アプリケーションサービスの一例としては、仮想ファイル、仮想端末ジョブ転送及び操作プロトコルを含む。

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出典

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  1. ^ Robert Braden: “RFC [https://datatracker.ietf.org/doc/html/rfc1123 1123: Requirements for Internet Hosts ― Application and Support]”. Network Working Group of the IETF (October 1989). 20 Jul 2015閲覧。

外部リンク

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