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スペインオオヤマネコ
	スペインオオヤマネコ Lynx pardinus
保全状況評価
	VULNERABLE; (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)); ワシントン条約附属書I
分類
学名
	Lynx pardinus; (Temminck, 1827)
シノニム
	Felis pardina Temminck, 1827
和名
	スペインオオヤマネコ
英名
	Iberian lynx; Pardel lynx; Spanish lynx

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スペインオオヤマネコ（学名：Lynx pardinus）は、哺乳綱食肉目ネコ科オオヤマネコ属に分類される食肉類。別名イベリアオオヤマネコ^[5]。

分布

スペイン南西部^[3]。ポルトガルに再導入^[3]。

形態

体長85 - 110センチメートル^[4]^[5]。尾長12 - 13センチメートル^[4]^[5]。肩高50 - 70センチメートル^[5]。体重オス12.9キログラム、メス9.4キログラム^[5]。耳介の先端には黒く長い房状の体毛が伸長する^[4]^[5]。胴体や尾、四肢には黒く明瞭な斑紋が点在するが^[5]、変異がある^[4]。

夏季は毛衣が赤褐色、冬季は毛衣が灰色がかる^[4]。

分類

オオヤマネコの亜種とする説もある^[5]。

生態

標高1,600メートル以下（主に標高400 - 900メートル）にある、硬葉樹からなる低木林に生息する^[5]。以前はコルクガシからなる森林や松林・藪地・沼沢地に生息していた^[4]。夜行性^[4]。木に登ることもあるが^[5]、あまり高所まで登らない^[4]。オスは平均18平方キロメートル、メスは10平方キロメートルの行動圏内で生活する^[5]。樹洞や茂み・ヨーロッパアナグマやヨーロッパコウノトリの古巣などを、巣として利用する^[5]。

主にアナウサギを食べる（80 - 99 %）^[3]。アナウサギがいなければ、齧歯類やシカなどの幼獣・カモなども食べる^[5]。視覚を頼りに発見した獲物（例としてノロは550メートル、アナウサギは270メートル、ネズミは70メートルの距離からでも発見できる）に3 - 4メートルの距離まで接近し、その後に喉に噛みついて捕える^[5]。

繁殖様式は胎生。1 - 7月（主に1 - 2月）に交尾を行う^[5]。妊娠期間は65 - 72日^[4]。主に3 - 4月に、1回に1 - 4頭（主に2 - 3頭）の幼獣を産む^[5]。幼獣は生後7 - 10か月で独立する^[5]。寿命は13年^[5]。

人間との関係

アルカンタラ湖のダム建設などによる生息地の破壊、農地開発やユーカリや松の植林などによる獲物であるアナウサギの減少などにより生息数は減少している^[5]。獲物であるアナウサギの感染症の伝搬や、本種自身もネコからの感染症の伝搬による影響が懸念されている^[3]。スペインでは1973年、ポルトガルでは1974年から法的に保護の対象とされているが、密猟されることもある^[3]。以前はイベリア半島広域に分布していた^[5]。国家レベルで分断した分布域の間に、通路をつくる試みが進められている^[5]。1977年にネコ科単位でワシントン条約附属書IIに掲載され、1990年にはワシントン条約附属書Iに掲載されている^[2]。1978年における生息数は1,000 - 1,500頭、1996年における生息数は1,200頭未満と推定されている^[5]。2002 - 2012年の生息数は増加傾向にあるが、再導入によるところが大きい^[3]。2002年には、イベリア半島の地中海沿岸に生息する個体数は100匹以下だったが、その後、10倍に増え、2022年現在は少なくとも1100匹がスペインとポルトガルに生息している^[6]

画像

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出典

[脚注の使い方]

^ Appendices I, II and III<https://cites.org/eng> (Retrived 15/08/2019)
^ ^a ^b UNEP (2019). Lynx pardinus. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. (Retrived 15/08/2019)
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l Rodríguez, A. & Calzada, J. 2015. Lynx pardinus. The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T12520A50655794. doi:10.2305/IUCN.UK.2015-2.RLTS.T12520A50655794.en. Downloaded on 15 August 2019.
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k 成島悦雄「スペインオオヤマネコ」『世界の動物分類と飼育2 (食肉目)』今泉吉典監修、東京動物園協会、1991年、150-171頁。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l ^m ⁿ ^o ^p ^q ^r ^s ^t ^u ^v ^w 小原秀雄「イベリアオオヤマネコ」『動物世界遺産レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年、140-141頁。
^ 復活するスペインオオヤマネコ | ナショナルジオグラフィック日本版。

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-[http://www.iucnredlist.org/ The IUCN Red List of Threatened Species]
-* Von Arx, M. & Breitenmoser-Wursten, C. 2008. [http://www.iucnredlist.org/apps/redlist/details/12520/0 ''Lynx pardinus'']. In: IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.3.
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-'''スペインオオヤマネコ'''（''Lynx pardinus''）は、[[動物|動物界]][[脊索動物|脊索動物門]][[哺乳類|哺乳綱]][[ネコ目]]（食肉目）[[ネコ科]]に分類される食肉類。別名'''イベリアオオヤマネコ'''。
+'''スペインオオヤマネコ'''（学名：''Lynx pardinus''）は、哺乳綱食肉目ネコ科オオヤマネコ属に分類される食肉類。別名'''イベリアオオヤマネコ'''<ref name="obara" />。
 == 分布 ==
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-[[スペイン]]南西部、[[ポルトガル]]南部<ref name="fn1">[[今泉吉典]]監修 『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』、東京動物園協会、[[1991年]]、166-167頁。</ref><ref name="fn2">[[小原秀雄]]・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』、[[講談社]]、[[2000年]]、14、140-141頁。</ref>
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+== 形態 ==
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 == 分類 ==
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-==生態==
+== 生態 ==
+標高1,600メートル以下（主に標高400 - 900メートル）にある、[[硬葉樹林|硬葉樹]]からなる低木林に生息する<ref name="obara" />。以前は[[コルクガシ]]からなる森林や松林・藪地・沼沢地に生息していた<ref name="narushima" />。[[夜行性]]<ref name="narushima" />。木に登ることもあるが<ref name="obara" />、あまり高所まで登らない<ref name="narushima" />。オスは平均18[[平方キロメートル]]、メスは10平方キロメートルの行動圏内で生活する<ref name="obara" />。[[樹洞]]や茂み・[[ヨーロッパアナグマ]]やヨーロッパコウノトリの古巣などを、巣として利用する<ref name="obara" />。
-[[Image:Linces1.jpg|left|thumb|スペインオオヤマネコの顔面]]
-標高1,600メートル以下にある（主に標高400-900メートル）にある硬葉樹の低木林に生息する<ref name="fn2"/>。以前は[[コルク#コルクガシ|コルクガシ]]からなる森林や松林、藪地、沼沢地に生息していた<ref name="fn1"/>。[[夜行性]]<ref name="fn1"/>。木に登ることもあるが<ref name="fn2"/>、あまり高所まで登らない<ref name="fn1"/>。オスは18平方キロメートル、メスは10平方キロメートルの行動圏内で生活する<ref name="fn2"/>。[[樹洞]]、茂み、[[アナグマ]]やコウノトリの古巣などを巣として利用する<ref name="fn2"/>。
-食性は動物食で、獲物の8割は[[アナウサギ]]だが、ネズミ等の小型哺乳類、[[カモ科|カモ]]や[[アヒル]]等の鳥類、昆虫も食べる。また小鹿も捕食する。<ref>コニカミノルタ絶滅危惧種図鑑「スペインオオヤマネコ」解説より</ref><ref name="fn2"/>。3-6月はカモ、7-10月はアナウサギ、11-翌1月はシカを主食とする<ref name="fn1"/>。視覚を頼りに発見した獲物（例としてノロは550メートル、アナウサギは270メートル、ネズミは70メートルの距離からでも発見できる）に3-4メートルの距離まで接近し、その後に喉に噛みついて捕える<ref name="fn2"/>。
+主に[[アナウサギ]]を食べる（80 - 99 %）<ref name="iucn" /><!-- obaraでも割合はないが、同じ記述あり -->。アナウサギがいなければ、齧歯類や[[シカ]]などの幼獣・[[カモ科|カモ]]なども食べる<ref name="obara"/>。視覚を頼りに発見した獲物（例としてノロは550メートル、アナウサギは270メートル、ネズミは70メートルの距離からでも発見できる）に3 - 4メートルの距離まで接近し、その後に喉に噛みついて捕える<ref name="obara" />。
-繁殖形態は胎生。1-7月（主に1-2月）に交尾を行う<ref name="fn2"/>。妊娠期間は65-72日<ref name="fn1"/>。主に3-4月に樹洞などで1回に1-4頭（主に2-3頭）の幼獣を産む<ref name="fn2"/>。幼獣は生後7-10か月で独立する<ref name="fn2"/>。寿命は13年<ref name="fn2"/>。
+繁殖様式は胎生。1 - 7月（主に1 - 2月）に交尾を行う<ref name="obara"/>。妊娠期間は65 - 72日<ref name="narushima" />。主に3 - 4月に、1回に1 - 4頭（主に2 - 3頭）の幼獣を産む<ref name="obara" />。幼獣は生後7 - 10か月で独立する<ref name="obara"/>。寿命は13年<ref name="obara"/>。
 == 人間との関係 ==
+[[アルカンタラ湖]]のダム建設などによる生息地の破壊、農地開発や[[ユーカリ]]や松の植林などによる獲物であるアナウサギの減少などにより生息数は減少している<ref name="obara" />。獲物であるアナウサギの感染症の伝搬や、本種自身もネコからの感染症の伝搬による影響が懸念されている<ref name="iucn" />。スペインでは1973年、ポルトガルでは1974年から法的に保護の対象とされているが、密猟されることもある<ref name="iucn" />。以前は[[イベリア半島]]広域に分布していた<ref name="obara" />。国家レベルで分断した分布域の間に、通路をつくる試みが進められている<ref name="obara" />。<!-- 1976年に本種が分布しないチュニジア個体群がワシントン条約IIIに掲載されているようだが詳細不明 -->1977年にネコ科単位でワシントン条約附属書IIに掲載され、1990年にはワシントン条約附属書Iに掲載されている<ref name="species+" />。1978年における生息数は1,000 - 1,500頭、1996年における生息数は1,200頭未満と推定されている<ref name="obara" />。2002 - 2012年の生息数は増加傾向にあるが、再導入によるところが大きい<ref name="iucn" />。2002年には、イベリア半島の地中海沿岸に生息する個体数は100匹以下だったが、その後、10倍に増え、2022年現在は少なくとも1100匹がスペインとポルトガルに生息している<ref>[https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/22/051800225/ 復活するスペインオオヤマネコ | ナショナル ジオグラフィック日本版]。</ref>
-[[File:Población lince.jpg|thumb|1950年～2007年の、スペインでのスペインオオヤマネコの個体数を示したグラフ]]
-開発による生息地の破壊およびアナウサギの減少などにより生息数は減少し、絶滅の危機に瀕している。<ref name="fn2"/>。以前はイベリア半島広域に分布していた<ref name="fn2"/>。国家レベルで分断した分布域の間に通路をつくる試みが進められている<ref name="fn2"/>。[[1978年]]における生息数は1,000-1,500頭、[[1996年]]における生息数は1,200頭未満と推定されている<ref name="fn2"/>。
 == 画像 ==
 <gallery>
+Linces1.jpg|頭部
-画像:Lince Ibérico Doñana.jpg|[[ドニャーナ国立公園]]にて撮影
 </gallery>
-== 参考文献 ==
+== 出典 ==
 {{脚注ヘルプ}}
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 == 関連項目 ==
-{{Commons|Lynx_pardinus}}
+{{Commons|Lynx pardinus}}
-{{Wikispecies|Lynx_pardinus}}
+{{Wikispecies|Lynx pardinus}}
-* [[ネコ科]]
-== 外部リンク ==
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 [[Category:ネコ科]]
 [[Category:ワシントン条約附属書I]]
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