コンテンツにスキップ

「4tトラック (自衛隊)」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
Kurirai1 (会話 | 投稿記録)
編集の要約なし
m Bot: 分割に伴う内部リンク修正 (特科) - info
 
(7人の利用者による、間の9版が非表示)
2行目: 2行目:


== 概要 ==
== 概要 ==
このクラスの[[貨物自動車|トラック]]は、[[砲兵#自衛隊|特科]]や高射特科での軽火砲牽引の他、[[いすゞ・TX#TS/TW系(全輪駆動系)|2トン半トラック]]より大型の支援車両のベースとして使用された。東日本重工業(解体された旧[[三菱重工業]]の1社)製と[[日野自動車]]製の2種類が存在した。いずれも6×6で、当初は[[ガソリンエンジン]]搭載だったが、後に[[ディーゼルエンジン]]搭載に変更されている。どちらも民間向けにも販売され、工事用車両などとしてその姿を見ることができた<ref> 79pおよび三菱ふそう70周年記念特集http://www.mitsubishi-fuso.com/jp/prfuso/2002/0203/history/index.html</ref>。
このクラスの[[貨物自動車|トラック]]は、[[特科]]や高射特科での軽火砲牽引の他、[[いすゞ・TX#TS/TW系(全輪駆動系)|2トン半トラック]]より大型の支援車両のベースとして使用された。東日本重工業(解体された旧[[三菱重工業]]の1社)製と[[日野自動車]]製の2種類が存在した。いずれも6×6で、当初は[[ガソリンエンジン]]搭載だったが、後に[[ディーゼルエンジン]]搭載に変更されている<ref>奈良原(2008), p72</ref>。どちらも民間向けにも販売され、工事用車両などとしてその姿を見ることができた<ref name="#1">奈良原(2008), p79</ref><ref>{{Cite web|和書|title=旧車カタログ博物館 三菱ふそう トラック、バス |url=https://museum.qcar-catalog.com/mitsubh.html |accessdate=2018-10-20}}</ref>。


== 東日本重工業(三菱)製W11シリーズ ==
== 東日本重工業(三菱)製W11シリーズ ==
W11は、[[1951年]]に当時の[[警察予備隊]]向けに開発された[[貨物自動車|トラック]]である。初期型は[[キャブオーバー]]で、[[エンジン]]も[[直列6気筒]][[ガソリンエンジン]]だった。しかし、すぐにボンネットタイプで新開発のDB型[[直列4気筒]][[水冷エンジン|水冷]][[4ストローク機関|4サイクル]][[ディーゼルエンジン]]を搭載した後期型に生産が移行している。こちらが生産の主力となり、クレーン車タイプであるW13などの支援車両は、日野製ZCシリーズが中心となった後も[[1960年代]]末頃まで使用されていた。
W11は、[[1951年]]に当時の[[警察予備隊]]向けに開発された[[貨物自動車|トラック]]である。初期型は[[キャブオーバー]]で、[[エンジン]]も[[直列6気筒]][[ガソリンエンジン]]だった。しかし、すぐにボンネットタイプで新開発のDB型[[直列4気筒]][[水冷エンジン|水冷]][[4ストローク機関|4サイクル]][[ディーゼルエンジン]]を搭載した後期型に生産が移行している。こちらが生産の主力となり、クレーン車タイプであるW13などの支援車両は、日野製ZCシリーズが中心となった後も[[1960年代]]末頃まで使用されていた<ref>奈良原(2009), p101 - p102</ref>


== 日野自動車製ZCシリーズ ==
== 日野自動車製ZCシリーズ ==
ZCシリーズは、[[警察予備隊]]向けに[[1951年]]から生産が始まった[[貨物自動車|トラック]]である。三菱W11が、基本的に警察予備隊からの需要を見込んで自社開発したトラックだったのに対し、こちらは当初から警察予備隊の依頼で開発したものである。こちらも当初は[[ガソリンエンジン]]を搭載していたが、後に[[ディーゼルエンジン]]に変更された。様々な形式があり、通常のカーゴトラック(ZC20)や4tダンプ(ZC10)などのほか、変わった派生型として[[67式30型ロケット弾発射機]]の発射機および[[ロケット弾]]装填機のベースにもなっている。細かなモデルチェンジを行いながら長らく調達が行われたが、[[1973年]]に[[73式大型トラック]]の採用によって終了。4tトラックというカテゴリー自体も無くなった。
ZCシリーズは、[[警察予備隊]]向けに[[1951年]]から生産が始まった[[貨物自動車|トラック]]である。三菱W11が、基本的に警察予備隊からの需要を見込んで自社開発したトラックだったのに対し、こちらは当初から警察予備隊の依頼で開発したものである。こちらも当初は[[ガソリンエンジン]]を搭載していたが、後に[[ディーゼルエンジン]]に変更された。様々な形式があり、通常のカーゴトラック(ZC20)や4tダンプ(ZC10)などのほか、変わった派生型として[[67式30型ロケット弾発射機]]の発射機および[[ロケット弾]]装填機のベースにもなっている。細かなモデルチェンジを行いながら長らく調達が行われたが、[[1973年]]に[[73式大型トラック]]の採用によって終了。4tトラックというカテゴリー自体も無くなった<ref name="#1"/>

== 脚注 ==
{{Reflist}}


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
*ガリレオ出版グランドパワー」No.174 200811月号
*{{Cite journal|和書|publisher=ガリレオ出版|journal=グランドパワー|volume=|issue=174 |year=2008-11|jan=|page=|author=奈良原 裕也|title=自衛隊の車両と装備 大型トラック}}
*{{Cite journal|和書|publisher=ガリレオ出版|journal=グランドパワー|volume=|issue=178 |year=2009-03|jan=|page=|author=奈良原 裕也|title=自衛隊の車両と装備 特大型トラック系列}}
<references />


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==

2024年8月11日 (日) 14:37時点における最新版

4tトラック(よんトントラック)は、自衛隊が使用していた積載量4tのトラックである。

概要

[編集]

このクラスのトラックは、特科や高射特科での軽火砲牽引の他、2トン半トラックより大型の支援車両のベースとして使用された。東日本重工業(解体された旧三菱重工業の1社)製と日野自動車製の2種類が存在した。いずれも6×6で、当初はガソリンエンジン搭載だったが、後にディーゼルエンジン搭載に変更されている[1]。どちらも民間向けにも販売され、工事用車両などとしてその姿を見ることができた[2][3]

東日本重工業(三菱)製W11シリーズ

[編集]

W11は、1951年に当時の警察予備隊向けに開発されたトラックである。初期型はキャブオーバーで、エンジン直列6気筒ガソリンエンジンだった。しかし、すぐにボンネットタイプで新開発のDB型直列4気筒水冷4サイクルディーゼルエンジンを搭載した後期型に生産が移行している。こちらが生産の主力となり、クレーン車タイプであるW13などの支援車両は、日野製ZCシリーズが中心となった後も1960年代末頃まで使用されていた[4]

日野自動車製ZCシリーズ

[編集]

ZCシリーズは、警察予備隊向けに1951年から生産が始まったトラックである。三菱W11が、基本的に警察予備隊からの需要を見込んで自社開発したトラックだったのに対し、こちらは当初から警察予備隊の依頼で開発したものである。こちらも当初はガソリンエンジンを搭載していたが、後にディーゼルエンジンに変更された。様々な形式があり、通常のカーゴトラック(ZC20)や4tダンプ(ZC10)などのほか、変わった派生型として67式30型ロケット弾発射機の発射機およびロケット弾装填機のベースにもなっている。細かなモデルチェンジを行いながら長らく調達が行われたが、1973年73式大型トラックの採用によって終了。4tトラックというカテゴリー自体も無くなった[2]

脚注

[編集]
  1. ^ 奈良原(2008), p72
  2. ^ a b 奈良原(2008), p79
  3. ^ 旧車カタログ博物館 三菱ふそう トラック、バス”. 2018年10月20日閲覧。
  4. ^ 奈良原(2009), p101 - p102

参考文献

[編集]
  • 奈良原 裕也「自衛隊の車両と装備 大型トラック」『グランドパワー』第174号、ガリレオ出版、2008年11月。 
  • 奈良原 裕也「自衛隊の車両と装備 特大型トラック系列」『グランドパワー』第178号、ガリレオ出版、2009年3月。 

関連項目

[編集]