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'''防空'''(ぼうくう、{{lang-en-short|air defense}})は、敵の航空戦力の攻撃を無効化・減少させる手段の総称である。 |
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[[File:SC Guard ready to protect nation's capital 140407-Z-WS267-025.jpg|thumb|300px|アベンジャーシステムによる[[ターゲット・ドローン]]の撃墜]] |
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'''防空'''(ぼうくう、{{Lang-en|Air defense}})とは、攻撃してくる[[航空機]]や[[ミサイル]]の破壊、ないしその効果の低減・無効化を目的とした防衛手段{{Sfn|U.S. Airforce|2019|pp=9-11}}。[[アメリカ空軍]]では、[[対空戦]]における[[防勢作戦]]の一部と位置付けている{{Sfn|U.S. Airforce|2019|pp=9-11}}{{Efn2|name=USAF|アメリカ空軍の分類では、防空と[[ミサイル防衛]]が防勢対空戦の能動的措置を構成し、これに擬装や隠蔽などといった受動的措置を加えたものを防勢対空戦({{Lang|en|Defensive Counterair}})と位置付けている{{Sfn|U.S. Airforce|2019|pp=9-11}}。}}。 |
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== 国土防空 == |
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経空脅威の撃墜には、発見・捕捉・追尾・撃破の4段階のステップを踏むことになる{{Sfn|Dunnigan|1992|pp=186-188}}。[[第一次世界大戦]]では[[要撃機]]をどのように管制してこれらのステップを効率的に遂行させるかについて試行錯誤が繰り返されたが、後期には、対空監視員の視覚・聴覚によって得た情報を[[電話]]によって管制所に集約し、作戦を立案したうえで[[無線機]]によって戦闘機に指示を伝えるという方式が登場し、航空警戒管制組織の萌芽となった{{Sfn|Hogg|1982|pp=37-42}}。 |
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一般的に防空とは敵航空機による攻撃で発生する危機を防ぎ、被害を最小化するために[[陸軍|陸]]・[[海軍]]が監視、警報及び地対空火力防御を行い、[[空軍]]が[[戦闘機]]によって敵機を要撃することをいう。 |
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[[戦間期]]には、目標の発見手法として[[聴音機]]が重視されていたが、[[1930年代]]頃より各国で[[レーダー]]の研究が進み、特に[[イギリス]]は早くから[[国土防空]]での活用を模索して、[[第二次世界大戦]]における[[バトル・オブ・ブリテン]]でその成果が生かされた{{Sfn|Hogg|1982|pp=68-78}}。大戦末期の[[ジェット機]]の登場で対応の迅速化が急務となったほか、[[冷戦]]の始まりとともに[[核兵器]]の脅威が重大問題となり、より高性能な[[早期警戒レーダー]]の配備が進むとともに、[[アメリカ合衆国]]の[[半自動式防空管制組織]](SAGE)を端緒として、航空警戒管制組織の自動化・システム化が急がれた{{Sfn|Hogg|1982|pp=167-176}}。また戦闘機を補完する長射程の[[対空兵器]]として[[地対空ミサイル]](SAM)が登場し、[[アメリカ陸軍]]は[[1953年]]より[[MIM-3 (ミサイル)|ナイキ・エイジャックス]]を、また[[1959年]]には[[アメリカ空軍]]も[[CIM-10 ボマーク|ボマーク]]を配備した{{Sfn|Hogg|1982|pp=151-161}}。なおSAMは野戦防空にも用いられることから、アメリカ空軍が独立する際にSAMの運用を陸・空軍のどちらが担当するかが問題となったが、議論の結果、野戦防空用のものは陸軍、地域防空用のものは空軍と両者で分担することになった{{Sfn|航空幕僚監部|2006|pp=226-230}}。 |
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一般市民の協力に基づいた防空活動、すなわち監視・通信・警報・灯火管制・偽装・消防・防火・防弾・避難・救護・防疫・配給・応急復旧などの活動、は民間防衛の一部である。([[日本]]では通例として民防空と呼ばれた)航空戦力の持つ打撃力は極めて高く、陸上戦力・海上戦力・諸軍事施設・政経中枢都市にとって非常に大きな脅威である。ゆえに敵航空戦力に対する専門的な対抗手段が必要であり、その手段は各国軍隊で組織化されてきた。 |
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[[航空自衛隊]]では[[領空]]の外側に[[防空識別圏]](JADIZ)を設定し、[[1958年]]より戦闘機の警戒待機(アラート)を開始して、必要に応じて[[スクランブル]](対[[領空侵犯]]措置)を行っている{{Sfn|航空幕僚監部|2006|pp=154-159}}。当初は[[陸上自衛隊]]の所属として導入計画が進んでいたナイキについても、航空警戒管制組織との連携が必要であることから、[[1962年]]の決定に基づいて空自に移管された{{Sfn|航空幕僚監部|2006|pp=226-230}}。その後、[[MIM-14 (ミサイル)|ナイキJ]]を経て、[[1989年]]より[[パトリオットミサイル]]の導入が開始された{{Sfn|航空幕僚監部|2006|pp=489-495}}。一方、基地の防空のためには、陸自に準じた短射程SAMや対空機関砲の配備も行われている{{Sfn|航空幕僚監部|2006|pp=560-562}}。 |
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=== 偽装隠蔽 === |
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防空の基本は偽装・隠蔽である。陸上戦力は敵航空機の目から逃れるために陣地を土や枝葉で偽装し、通信においても最大限の防護対策が必要である。 |
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SAGE control room.png|SAGEの管制室 |
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敵航空機に発見されて空爆を受けた場合は速やかに各員・各車両ともに分散して間隔を空ける。さらに壕や頭上を覆える位置に隠れるよう努める。なぜなら攻撃機が投下する爆弾の多くは頭上で爆発してその榴散弾を撒き散らすからである。 |
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Convair F-106A Delta Dart 1.jpg|[[AIR-2 ジニー|ジニー]]を発射する[[F-106 (戦闘機)|F-106]] |
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MIM-3 Nike-Ajax 01.jpg|発射機上のナイキ・エイジャックス |
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== 野戦防空 == |
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[[普仏戦争]]で初めて登場して以降、[[高射砲]]はもっとも重要な対空兵器であり続けてきた{{Sfn|Hogg|1982|pp=1-4}}。しかしSAMが登場すると、特に高・中高度においてはSAMへの移行が進み、例えばイギリス軍は1958年には中・大口径の[[対空砲]]をこれ以上改良しないことを決定して、SAMへの移行を加速させた{{Sfn|Hogg|1982|pp=151-161}}。一方、SAMが登場した後でも、高度1,000メートル以下の低高度領域では対空[[機関砲]]がもっとも有効な対空兵器であり続けているが、システムの可搬性の面では、[[携帯式防空ミサイルシステム]](MANPADS)など小型SAMのほうが優れている面もある{{Sfn|Dunnigan|1992|pp=188-190}}。 |
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もし仮に[[地対空ミサイル]]・[[重機関銃]]・携帯可能防空システム([[スティンガーミサイル]]など)が装備に含まれており、敵航空機が低空飛行で留まっていれば、反撃の可能性がある。しかし、敵航空機と友軍の航空機が交戦しており、敵味方が識別しにくい場合は攻撃は控えたほうが良い。 |
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理想的な防空システムを完成させるには、前後(縦深)と上下(高度差)方向に何層もの防空網を配置することが望ましい{{Sfn|Dunnigan|1992|pp=190-192}}。[[アメリカ陸軍]]では、[[最前線]](FLOT)付近は[[アベンジャーシステム]]などを保有する[[短距離防空]](SHORAD)部隊、その後方の支援地域などはパトリオットミサイルなどを保有する高・中高度防空{{Enlink|High-to-medium altitude air defense|HIMAD}}部隊が分担するという二段構えであるのに対し{{Sfn|Department of the Army|2020|loc=ch.1}}、[[ソビエト連邦軍]]では、MANPADSと長射程SAMの間にも、[[9K33]](SA-8)や[[9K37]](SA-11)など短・中射程のSAMを重層的に配備していた{{Sfn|Dunnigan|1992|pp=190-192}}。これらの対空兵器は専門の部隊によって運用されるが、[[歩兵]]部隊なども自衛用としてMANPADSを保有する場合もあるほか、状況によっては[[小火器]]による対空射撃も行われる{{Sfn|McNab|Fowler|2003|pp=160-165}}。 |
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== 大日本帝国陸軍の防空通信 == |
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[[大日本帝国陸軍]]の防空通信は、(1) 情報通信、(2) 警報通信、(3) 指揮通信および(4) 連絡通信などに分けられ、必要な場合はそれぞれ所要の通信機が備えられる。 |
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またアメリカ陸軍・海兵隊では、これらの能動的措置のほか、[[カモフラージュ|擬装]]や[[wikt:掩蔽|掩蔽]]などといった受動的措置も防空に含めている{{Sfn|Headquarters Marine Corps|2018|loc=ch.3}}{{Sfn|Department of the Army|2020|loc=ch.11}}{{Efn2|name=USAF}}。[[野戦築城]]を行う場合、地上からだけでなく[[偵察機|空中からの偵察]]にも対応できるように擬装を行う必要がある{{Sfn|McNab|Fowler|2003|pp=160-165}}。地上部隊が航空攻撃に直面した場合、兵士や車両はできる限り広く[[wikt:散開|散開]]し、掩蔽を求めて[[樹冠]]の下や急斜面、窪地などに退避したのちに、応戦することになる{{Sfn|McNab|Fowler|2003|pp=160-165}}。 |
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(1) 情報通信は、要地の外周に配置された防空監視哨および補助防空監視機関から防衛司令部に敵機の発見の報告をする通信である。 |
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要地の防空のために主として有線電話が使用され、野戦または特殊な場所の間で無線電信が利用される。 |
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Oerlikon GDF-006 35mm Twin Cannon at Chiayi AFB 20120811a.jpg|[[35mm2連装高射機関砲 L-90]] |
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FIM-92 Stinger USMC.JPG|無線機からの情報により[[FIM-92 スティンガー|スティンガー]]を構える海兵隊員 |
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NATO air defenders train together in Poland for exercise Saber Strike 2022 (3).jpg|森林に潜伏する自走式SHORADシステム |
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要地の情報通信機は、情報送受信機、情報標示機などがある。 |
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洋上において[[艦隊]]が経空脅威から自らを防護する場合、その艦艇自身の装備([[艦載機]]を含む)を組み合わせて構築された防空体制が主体となっており、これを艦隊防空({{Lang|en|fleet air defense}})と称する{{Sfn|大賀|2022}}。一方、艦載機の運用能力を持たない艦船に対して地上基地からの航空援護を提供することは早くから行われていたが、[[OTHレーダー]]や[[早期警戒管制機]](AWACS)が登場すると、艦載機の運用能力を有する艦船に対しても、その行動圏外での防空を陸上機によって補完することが可能となっており、このような艦艇部隊の外部を含む大きな枠組みでの広域防空体制を洋上防空({{Lang|en|maritime air defense}})と称するようになった{{Sfn|大賀|2022}}。 |
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艦隊防空においては、航空機によるアウター・ディフェンス・ゾーン({{Lang|en|outer defense zone}})、艦艇装備の対空兵器を組織化して運用するエリア・ディフェンス・ゾーン({{Lang|en|area defense zone}})、各艦ごとに自らの対空兵器によって防空を行うポイント・ディフェンス・ゾーン({{Lang|en|point defense zone}})の3つのゾーンにわけて[[縦深防御]]が行われる{{Sfn|大賀|2022}}{{Sfn|香田|2016}}。第二次世界大戦後期の[[アメリカ海軍]]では、[[戦闘指揮所]](CIC)を中核として[[艦上戦闘機]]や艦艇装備の対空兵器を組織化しての艦隊防空システムを構築した{{Sfn|香田|2016}}。これに対し、[[大日本帝国海軍]]では[[攻勢作戦]]を重視する一方で艦隊防空の観念が少なく、その戦法が確立していなかったため、[[珊瑚海海戦]]・[[ミッドウェー海戦]]での損失の原因となった{{Sfn|吉田|1999}}。 |
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(2) 警報通信は、防空監視隊から敵機の発見の報告があり、空襲が予想されると防護の準備を命じ、夜間は灯火管制を実施させるため空襲警報が発せられる。 |
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その後、長射程の[[艦対空ミサイル]](SAM)が実用化されるとこちらがエリア・ディフェンスの主役となった一方{{Sfn|大賀|2022}}、[[対艦ミサイル]]防御(ASMD)の必要性がクローズアップされるとポイント・ディフェンス用兵器に[[CIWS]]が加わった{{Sfn|香田|2016}}。また[[海軍戦術情報システム]](NTDS)の導入など、システム化も進められた{{Sfn|香田|2016}}。 |
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この警報を伝達する通信を警報通信という。 |
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この警報は迅速かつ確実にもれなく通達されることが必要であるために有線であると無線であるとを問わず要地内にすべての通信機関が利用される。 |
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VF-143 F-14 F-18 2005.jpg|[[F-14 (戦闘機)|F-14艦上戦闘機]]と[[F/A-18E/F (航空機)|F/A-18E戦闘攻撃機]] |
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この目的を達成するために専用の特別の通信機は通常使用されない。 |
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USS Sterett (DDG-104).jpg|艦対空ミサイルを連続発射する[[アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦]] |
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US Navy 050802-N-9907G-022 Smoke rolls down the barrels of the forward-starboard-mounted Phalanx Close-In weapons System (CWIS) as it tracks and fires at an aerial target drone.jpg|射撃中の[[ファランクス (火器)|ファランクスCIWS]] |
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== 脚注 == |
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モーターサイレンは音響警報機として直接市民に警報を伝達するために有利に利用される。 |
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(3) 指揮通信は、要地の周囲に配置された聴測隊、照空隊、高射砲隊、防空飛行隊および阻塞気球隊などを指揮する通信であり、(4) 連絡通信は、防衛司令部間および防衛司令部と軍部外の関係諸官公署との間の連絡の通信である。 |
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=== 出典 === |
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これらのためには特別な通信機は使用されないが、通信系として種々の条件がある。 |
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{{Reflist|2}} |
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==参考文献== |
== 参考文献 == |
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* {{Cite book|和書|authorlink=:en:Jim Dunnigan|first=James F.|last=Dunnigan|year=1992|origyear=1988|others=岡芳輝 (訳)|title=新・戦争のテクノロジー|chapter=第8章 防空|pages=185-201|publisher=[[河出書房新社]]|isbn=978-4309241357|ref=harv}} |
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*Benshby, J. 1973. The air defense of Great Britain. London: Ian Allen. |
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* {{Citation|date=December 2020|url=https://armypubs.army.mil/epubs/DR_pubs/DR_a/ARN31339-FM_3-01-000-WEB-1.pdf|author=Department of the Army|authorlink=アメリカ合衆国陸軍省|title=FM 3-01 U.S. Army Air and Missile Defense Operations}} |
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*Chant, C. 1975. The encyclopedia of air warfare. New York: Spring Books. |
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* {{Citation|date=April 4, 2018|url=https://www.marines.mil/portals/1/Publications/MCTP%203-20C%20GN.pdf|author=Headquarters Marine Corps|authorlink=:en:Headquarters Marine Corps|title=MCTP 3-20C Antiair Warfare}} |
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*Collier, B. 1974. A history of air power. London: Weidenfeld and Nicolson. |
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* {{Cite book|和書|authorlink=:en:Ian V. Hogg|first=Ian V.|last=Hogg|year=1982|origyear=1978|title=対空戦|others=[[陸上自衛隊高射学校]] (翻訳)|publisher=[[原書房]]|isbn=978-4562012466|ref=harv}} |
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*Collier, B. 1962. The battle of Britain. London: Macmillan. |
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* {{Cite book|和書|first=Chris|last=McNab|last2=Fowler|first2=Will |others=小林朋則 (訳)|origyear=2002|year=2003|title=コンバット・バイブル―現代戦闘技術のすべて||publisher=[[原書房]]|isbn=978-4562036240|ref=harv}} |
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*Futrell, R. F. 1974. Ideas, concepts and doctrine: A history of basic thinking in the United States Air forces 1907-1964. Washington, D.C.: government Printing Office. |
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* {{Citation|date=September 6, 2019|url=https://www.doctrine.af.mil/Portals/61/documents/AFDP_3-01/3-01-AFDP-COUNTERAIR.pdf|author=U.S. Airforce|title=Air Force Doctrine Publication 3-01 Counterair Operations}} |
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*Hogg, I. 1978. Anti-aircraft: A history of air defense. London: Macdonald and Jane's. |
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* {{Citation|和書|title=洋上防空と艦隊防空 (ヒストリー 海自防空戦)|authorlink=大賀良平|last=大賀|first=良平|journal=[[世界の艦船]]|publisher=[[海人社]]|issue=982|pages=106-111|year=2022|month=10|id={{CRID|1520293578189983616}}}} |
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*Wykeham, P. 1961. Fighter command: A study of air defense 1914-1960s. London: Putnam. |
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* {{Citation|和書|authorlink=香田洋二|last=香田|first=洋二|year=2016|month=6|title=艦隊防空 : 発達の足跡と今後 (特集 現代の艦隊防空)|journal=世界の艦船|issue=838|pages=69-77|publisher=海人社|naid=40020832532}} |
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* {{Citation|和書|editor=航空幕僚監部|year=2006|title=航空自衛隊50年史 : 美しき大空とともに|ncid=BA77547615}} |
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* {{Citation|和書|last=吉田|first=昭彦|year=1999|month=3|title=攻勢作戦と守勢作戦--国家防衛政策、その作戦目標策定の見地から(上)|pages=60-76|journal=[[波涛 (雑誌)|波涛]]|volume=24|number=6|publisher=兵術同好会|id={{近代デジタルライブラリー|2884803}}}} |
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== 関連項目 == |
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{{Wikt}} |
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*[[ |
* [[国土防空]] - [[民間防衛]] - [[灯火管制]] |
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*[[ |
* [[防空監視隊]] - [[防空監視哨]] |
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* [[日本本土空襲]] |
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* [[空襲下の日本]] |
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* [[ミサイル防衛#日本におけるミサイル防衛]] |
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* [[レーダー]] - [[ミサイル防衛]] - [[戦略防衛構想]] |
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* [[未確認飛行物体]] |
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== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
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* [ |
* [https://www.jacar.go.jp/index.html アジア歴史資料センター(公式)](国立公文書館)※環境によっては表示できません。 |
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** {{アジア歴史資料センター|A06050738800|関東防空演習実施ニ際シ一般交通ニ関スル件内閣官房総務課長通牒| |
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** {{アジア歴史資料センター|A03023804300|関東防空演習に関する件|omitted=y}} |
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* [https://osakanet.web.fc2.com/osaka-kusyu/hanketsu.html 大阪地裁・大阪高裁が認定した日本の防空法制] |
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* [https://osakanet.web.fc2.com/bokuho/index.html 防空法について] |
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2024年8月14日 (水) 06:51時点における最新版
防空(ぼうくう、英語: Air defense)とは、攻撃してくる航空機やミサイルの破壊、ないしその効果の低減・無効化を目的とした防衛手段[1]。アメリカ空軍では、対空戦における防勢作戦の一部と位置付けている[1][注 1]。
国土防空
[編集]経空脅威の撃墜には、発見・捕捉・追尾・撃破の4段階のステップを踏むことになる[2]。第一次世界大戦では要撃機をどのように管制してこれらのステップを効率的に遂行させるかについて試行錯誤が繰り返されたが、後期には、対空監視員の視覚・聴覚によって得た情報を電話によって管制所に集約し、作戦を立案したうえで無線機によって戦闘機に指示を伝えるという方式が登場し、航空警戒管制組織の萌芽となった[3]。
戦間期には、目標の発見手法として聴音機が重視されていたが、1930年代頃より各国でレーダーの研究が進み、特にイギリスは早くから国土防空での活用を模索して、第二次世界大戦におけるバトル・オブ・ブリテンでその成果が生かされた[4]。大戦末期のジェット機の登場で対応の迅速化が急務となったほか、冷戦の始まりとともに核兵器の脅威が重大問題となり、より高性能な早期警戒レーダーの配備が進むとともに、アメリカ合衆国の半自動式防空管制組織(SAGE)を端緒として、航空警戒管制組織の自動化・システム化が急がれた[5]。また戦闘機を補完する長射程の対空兵器として地対空ミサイル(SAM)が登場し、アメリカ陸軍は1953年よりナイキ・エイジャックスを、また1959年にはアメリカ空軍もボマークを配備した[6]。なおSAMは野戦防空にも用いられることから、アメリカ空軍が独立する際にSAMの運用を陸・空軍のどちらが担当するかが問題となったが、議論の結果、野戦防空用のものは陸軍、地域防空用のものは空軍と両者で分担することになった[7]。
航空自衛隊では領空の外側に防空識別圏(JADIZ)を設定し、1958年より戦闘機の警戒待機(アラート)を開始して、必要に応じてスクランブル(対領空侵犯措置)を行っている[8]。当初は陸上自衛隊の所属として導入計画が進んでいたナイキについても、航空警戒管制組織との連携が必要であることから、1962年の決定に基づいて空自に移管された[7]。その後、ナイキJを経て、1989年よりパトリオットミサイルの導入が開始された[9]。一方、基地の防空のためには、陸自に準じた短射程SAMや対空機関砲の配備も行われている[10]。
-
SAGEの管制室
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発射機上のナイキ・エイジャックス
野戦防空
[編集]普仏戦争で初めて登場して以降、高射砲はもっとも重要な対空兵器であり続けてきた[11]。しかしSAMが登場すると、特に高・中高度においてはSAMへの移行が進み、例えばイギリス軍は1958年には中・大口径の対空砲をこれ以上改良しないことを決定して、SAMへの移行を加速させた[6]。一方、SAMが登場した後でも、高度1,000メートル以下の低高度領域では対空機関砲がもっとも有効な対空兵器であり続けているが、システムの可搬性の面では、携帯式防空ミサイルシステム(MANPADS)など小型SAMのほうが優れている面もある[12]。
理想的な防空システムを完成させるには、前後(縦深)と上下(高度差)方向に何層もの防空網を配置することが望ましい[13]。アメリカ陸軍では、最前線(FLOT)付近はアベンジャーシステムなどを保有する短距離防空(SHORAD)部隊、その後方の支援地域などはパトリオットミサイルなどを保有する高・中高度防空 (HIMAD) 部隊が分担するという二段構えであるのに対し[14]、ソビエト連邦軍では、MANPADSと長射程SAMの間にも、9K33(SA-8)や9K37(SA-11)など短・中射程のSAMを重層的に配備していた[13]。これらの対空兵器は専門の部隊によって運用されるが、歩兵部隊なども自衛用としてMANPADSを保有する場合もあるほか、状況によっては小火器による対空射撃も行われる[15]。
またアメリカ陸軍・海兵隊では、これらの能動的措置のほか、擬装や掩蔽などといった受動的措置も防空に含めている[16][17][注 1]。野戦築城を行う場合、地上からだけでなく空中からの偵察にも対応できるように擬装を行う必要がある[15]。地上部隊が航空攻撃に直面した場合、兵士や車両はできる限り広く散開し、掩蔽を求めて樹冠の下や急斜面、窪地などに退避したのちに、応戦することになる[15]。
-
無線機からの情報によりスティンガーを構える海兵隊員
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森林に潜伏する自走式SHORADシステム
洋上防空
[編集]洋上において艦隊が経空脅威から自らを防護する場合、その艦艇自身の装備(艦載機を含む)を組み合わせて構築された防空体制が主体となっており、これを艦隊防空(fleet air defense)と称する[18]。一方、艦載機の運用能力を持たない艦船に対して地上基地からの航空援護を提供することは早くから行われていたが、OTHレーダーや早期警戒管制機(AWACS)が登場すると、艦載機の運用能力を有する艦船に対しても、その行動圏外での防空を陸上機によって補完することが可能となっており、このような艦艇部隊の外部を含む大きな枠組みでの広域防空体制を洋上防空(maritime air defense)と称するようになった[18]。
艦隊防空においては、航空機によるアウター・ディフェンス・ゾーン(outer defense zone)、艦艇装備の対空兵器を組織化して運用するエリア・ディフェンス・ゾーン(area defense zone)、各艦ごとに自らの対空兵器によって防空を行うポイント・ディフェンス・ゾーン(point defense zone)の3つのゾーンにわけて縦深防御が行われる[18][19]。第二次世界大戦後期のアメリカ海軍では、戦闘指揮所(CIC)を中核として艦上戦闘機や艦艇装備の対空兵器を組織化しての艦隊防空システムを構築した[19]。これに対し、大日本帝国海軍では攻勢作戦を重視する一方で艦隊防空の観念が少なく、その戦法が確立していなかったため、珊瑚海海戦・ミッドウェー海戦での損失の原因となった[20]。
その後、長射程の艦対空ミサイル(SAM)が実用化されるとこちらがエリア・ディフェンスの主役となった一方[18]、対艦ミサイル防御(ASMD)の必要性がクローズアップされるとポイント・ディフェンス用兵器にCIWSが加わった[19]。また海軍戦術情報システム(NTDS)の導入など、システム化も進められた[19]。
-
艦対空ミサイルを連続発射するアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦
-
射撃中のファランクスCIWS
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c U.S. Airforce 2019, pp. 9–11.
- ^ Dunnigan 1992, pp. 186–188.
- ^ Hogg 1982, pp. 37–42.
- ^ Hogg 1982, pp. 68–78.
- ^ Hogg 1982, pp. 167–176.
- ^ a b Hogg 1982, pp. 151–161.
- ^ a b 航空幕僚監部 2006, pp. 226–230.
- ^ 航空幕僚監部 2006, pp. 154–159.
- ^ 航空幕僚監部 2006, pp. 489–495.
- ^ 航空幕僚監部 2006, pp. 560–562.
- ^ Hogg 1982, pp. 1–4.
- ^ Dunnigan 1992, pp. 188–190.
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- ^ Department of the Army 2020, ch.1.
- ^ a b c McNab & Fowler 2003, pp. 160–165.
- ^ Headquarters Marine Corps 2018, ch.3.
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- ^ a b c d 大賀 2022.
- ^ a b c d 香田 2016.
- ^ 吉田 1999.
参考文献
[編集]- Dunnigan, James F.「第8章 防空」『新・戦争のテクノロジー』岡芳輝 (訳)、河出書房新社、1992年(原著1988年)、185-201頁。ISBN 978-4309241357。
- Department of the Army (December 2020), FM 3-01 U.S. Army Air and Missile Defense Operations
- Headquarters Marine Corps (April 4, 2018), MCTP 3-20C Antiair Warfare
- Hogg, Ian V.『対空戦』陸上自衛隊高射学校 (翻訳)、原書房、1982年(原著1978年)。ISBN 978-4562012466。
- McNab, Chris、Fowler, Will『コンバット・バイブル―現代戦闘技術のすべて』小林朋則 (訳)、原書房、2003年(原著2002年)。ISBN 978-4562036240。
- U.S. Airforce (September 6, 2019), Air Force Doctrine Publication 3-01 Counterair Operations
- 大賀良平「洋上防空と艦隊防空 (ヒストリー 海自防空戦)」『世界の艦船』第982号、海人社、106-111頁、2022年10月。CRID 1520293578189983616。
- 香田洋二「艦隊防空 : 発達の足跡と今後 (特集 現代の艦隊防空)」『世界の艦船』第838号、海人社、69-77頁、2016年6月。 NAID 40020832532。
- 航空幕僚監部 編『航空自衛隊50年史 : 美しき大空とともに』2006年。 NCID BA77547615。
- 吉田昭彦「攻勢作戦と守勢作戦--国家防衛政策、その作戦目標策定の見地から(上)」『波涛』第24巻、第6号、兵術同好会、60-76頁、1999年3月。NDLJP:2884803。
関連項目
[編集]- 国土防空 - 民間防衛 - 灯火管制
- 防空監視隊 - 防空監視哨
- 日本本土空襲
- 空襲下の日本
- 攻撃機 - 電子戦 - 制空権
- ミサイル防衛#日本におけるミサイル防衛
- レーダー - ミサイル防衛 - 戦略防衛構想
- 未確認飛行物体
外部リンク
[編集]- アジア歴史資料センター(公式)(国立公文書館)※環境によっては表示できません。
- 大阪地裁・大阪高裁が認定した日本の防空法制
- 防空法について
- 『防空』 - コトバンク