「矢野康治」の版間の差分
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|出生地 = {{Flagicon|山口県}} [[山口県]] |
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|出身校 = [[一橋大学大学院経済学研究科・経済学部|一橋大学経済学部]] |
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|前職 = |
|前職 = [[財務事務次官]] |
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|現職 = [[一橋大学]]顧問<br />[[日本生命保険]]特別顧問<br />[[政策研究大学院大学]]経営協議会委員<br />[[神奈川大学]]特別招聘教授<br />[[構想日本]]アドバイザリー会議構成員 |
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|称号・勲章 = [[学士(経済学)|経済学士]](一橋大学・[[1985年]]) |
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|配偶者 = あり<ref name="現代">[[岩崎大輔]][https://gendai.media/articles/-/55530?page=2 「財務省非常勤職員が見た、福田前事務次官ら「エリート官僚」の素顔」] 講談社[[現代ビジネス]]2018年5月10日</ref> |
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|職名 = [[財務事務次官]] |
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|就任日 = [[2021年]]7月8日 |
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'''矢野 康治'''(やの こうじ、[[1962年]][[12月10日]] - )は、日本の[[財務省 |
'''矢野 康治'''(やの こうじ、[[1962年]][[12月10日]] - )は、[[日本]]の[[財務省|財務]][[官僚]]。元[[財務事務次官]]。[[文藝春秋読者賞]]受賞。退官後[[国立大学法人]][[一橋大学]]顧問、[[日本生命保険]]特別顧問。 |
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== 人物 == |
== 人物 == |
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⚫ | [[山口県]][[下関市]]出身。1978年 [[山口県立下関西高等学校]]に入学。高校時代の得意科目は[[数学 (教科)|数学]]だったが、[[白衣]]を着るイメージしか持てず、文系となる<ref name="Hitotsubashi HQ">[https://www.hit-u.ac.jp/hq-mag/pick_up/449_20210902/ 臆せず主張し、不足あらば素直に反省。 謙虚な姿勢で財務次官としての職責を担う] 一橋大学 HQ 2021年11月1日</ref>。1981年 [[一橋大学大学院経済学研究科・経済学部|一橋大学経済学部]]に入学。先輩である故[[瀧本徹]]元[[観光庁]]観光地域振興部長の勧めで[[荒憲治郎]]の経済原論のゼミを受講する。大学では庭球同好会に所属<ref name="Hitotsubashi HQ"/>。1985年3月 一橋大学経済学部卒業。卒論は「非自発的失業の解明」<ref name="Hitotsubashi HQ"/>。同年 旧[[大蔵省]](現[[財務省]])入省、[[財務省大臣官房|大臣官房]]文書課配属。[[三隅隆司]]一橋大教授は高校・大学の同期<ref name="for">[https://mainichi.jp/articles/20160209/org/00m/010/028000c 「毎日フォーラム・霞が関ふるさと記 山口県(下)」] 毎日新聞2016年2月10日</ref><ref>[https://researchmap.jp/read0138706/ 「三隅 隆司」]researchma</ref><ref name="kan"/>。 |
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⚫ | [[山口県]][[下関市]]出身。1978年 [[山口県立下関西高等学校]]に入学。高校時代の得意科目は[[数学 (教科)|数学]]だったが、[[白衣]]を着るイメージしか持てず、文系となる<ref name="Hitotsubashi HQ">[https://www.hit-u.ac.jp/hq-mag/pick_up/449_20210902/ 臆せず主張し、不足あらば素直に反省。 謙虚な姿勢で財務次官としての職責を担う] 一橋大学 HQ 2021年11月1日</ref>。1981年 [[一橋大学大学院経済学研究科・経済学部|一橋大学経済学部]]に入学。先輩である故 |
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[[小樽市|小樽]][[税務署|税務署長]]を経て、[[国税庁長官官房]]課長補佐<ref name="jst">[https://doi.org/10.5833/jjgs.40.979 「日本専門医認定制機構の社会的責務」]</ref>として定員配分見直しや[[行政手続法]]適用除外のための働きかけなどを行った。[[ハーバード大学]][[研究員]]を経て、1994年から[[証券局]]課長補佐を務め、毎日泊まり込みで働き続ける生活を送り、証券版[[金融ビッグバン]]をほぼ一人で策定したことで知られている<ref name="jst"/><ref name="matta"/><ref>[https://mainichi.jp/articles/20180105/org/00m/010/010000c 「毎日フォーラム・課長補佐時代:財務省官房長 矢野康治(55)」]毎日新聞2018年1月10日</ref><ref name="kan">[https://www.kwansei.ac.jp/a_affairs/attached/0000100050.pdf 「Page 1エグゼクティブコース」] 関西学院大学</ref>。 |
[[小樽市|小樽]][[税務署|税務署長]]を経て、[[国税庁長官官房]]課長補佐<ref name="jst">[https://doi.org/10.5833/jjgs.40.979 「日本専門医認定制機構の社会的責務」]</ref>として定員配分見直しや[[行政手続法]]適用除外のための働きかけなどを行った。[[ハーバード大学]][[研究員]]を経て、1994年から[[証券局]]課長補佐を務め、毎日泊まり込みで働き続ける生活を送り、証券版[[金融ビッグバン]]をほぼ一人で策定したことで知られている<ref name="jst"/><ref name="matta"/><ref>[https://mainichi.jp/articles/20180105/org/00m/010/010000c 「毎日フォーラム・課長補佐時代:財務省官房長 矢野康治(55)」]毎日新聞2018年1月10日</ref><ref name="kan">[https://www.kwansei.ac.jp/a_affairs/attached/0000100050.pdf 「Page 1エグゼクティブコース」] 関西学院大学</ref>。 |
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一般会計の歳出・歳入の推移のグラフにおいて、歳出総額の増加と税収の減少の折れ線グラフをワニの口と喩えたことで知られている<ref>27頁『決断!待ったなしの日本財政危機―平成の子どもたちの未来のために』</ref>。 |
一般会計の歳出・歳入の推移のグラフにおいて、歳出総額の増加と税収の減少の折れ線グラフをワニの口と喩えたことで知られている<ref>27頁『決断!待ったなしの日本財政危機―平成の子どもたちの未来のために』</ref>。 |
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人事担当官房企画官、[[主計局]]主計企画官、主計局厚生労働係<ref name="jst"/><ref name="matta">「著者略歴」『決断!待ったなしの日本財政危機―平成の子どもたちの未来のために』</ref><ref name="kan"/>、主税企画官、主計局調査課長を経て、2007年より[[内閣官房長官]][[秘書官]]として[[町村信孝]]に仕え知遇を得た<ref name="現代"/><ref name="kan"/><ref>[http://www.machimura.net/column_s/pages_0003.html「シリーズ 日本の国家像 -町村が変わる、町村が変える」] 町村信孝オフィシャルホームページ</ref>。続く[[麻生内閣]]でも[[河村建夫]]の下で内閣官房長官秘書官。[[民主党 (日本 1998-2016)#与党時代(2009年 - 2012年)|民主党政権]]時代には[[与謝野馨]][[内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)|経済財政担当大臣]]兼[[日本の福祉#社会保障制度改革|社会保障と税の一体改革]]担当大臣の「不安のない[[社会保障]]制度を確立するために」と掲げた目標に共鳴し、消費税率を8%、10%へと上げる[[三党合意|3党合意]]の成立に貢献した<ref>[https://news.yahoo.co.jp/articles/e63356c75dab0410c51e8132700a2f8a4749cb1d 異色の次官に込めた財務省の狙い 金融資産への課税を強化する道へ【政官財スキャニング】] [[日刊ゲンダイ]] 2021/7/21(水)</ref>。その後[[菅義偉]] |
人事担当官房企画官、[[主計局]]主計企画官、主計局厚生労働係<ref name="jst"/><ref name="matta">「著者略歴」『決断!待ったなしの日本財政危機―平成の子どもたちの未来のために』</ref><ref name="kan"/>、主税企画官、主計局調査課長を経て、2007年より[[内閣官房長官]][[秘書官]]として[[町村信孝]]に仕え知遇を得た<ref name="現代"/><ref name="kan"/><ref>[http://www.machimura.net/column_s/pages_0003.html「シリーズ 日本の国家像 -町村が変わる、町村が変える」] 町村信孝オフィシャルホームページ</ref>。続く[[麻生内閣]]でも[[河村建夫]]の下で内閣官房長官秘書官。[[民主党 (日本 1998-2016)#与党時代(2009年 - 2012年)|民主党政権]]時代には[[与謝野馨]][[内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)|経済財政担当大臣]]兼[[日本の福祉#社会保障制度改革|社会保障と税の一体改革]]担当大臣の「不安のない[[社会保障]]制度を確立するために」と掲げた目標に共鳴し、消費税率を8%、10%へと上げる[[三党合意|3党合意]]の成立に貢献した<ref>[https://news.yahoo.co.jp/articles/e63356c75dab0410c51e8132700a2f8a4749cb1d 異色の次官に込めた財務省の狙い 金融資産への課税を強化する道へ【政官財スキャニング】] [[日刊ゲンダイ]] 2021/7/21(水)</ref>。その後[[菅義偉]]内閣官房長官秘書官、主税局担当[[審議官#大臣(長官)官房審議官|審議官]]を歴任<ref name="kan"/>。この間、[[村尾信尚]]監修[[関西学院大学]]エグゼクティブコース講師も務めた<ref name="kan"/><ref>[http://hokuriku.mof.go.jp/kouhou/kouhou_konwakai.html 「イベント・講座」]北陸財務局長</ref><ref>[https://newswitch.jp/p/9630 「官僚たちの夏、次官・局長級人事まるっと早わかり」] 日刊工業新聞2017年07月08日</ref><ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS07H4E_X00C15A7EE8000/ 「人事、財務省 」] 日本経済新聞2015/7/7付</ref>。 |
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2017年7月、[[財務省大臣官房#官房長|財務省大臣官房長]]に就任した<ref name="fuk">[https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS04H36_U7A700C1EAF000/ 「財務次官に福田氏 」]日本経済新聞2017/7/4</ref>。2018年4月に入り、[[福田淳一]]前[[財務事務次官]]による[[テレビ朝日]]女性記者に対するセクハラ疑惑が[[不祥事|スキャンダル]]として[[メディアスクラム|報道が過熱]]するなか、4月18日に福田が辞任。次官辞職に伴い矢野が事務次官事務代理を務めた<ref>[https://jp.reuters.com/article/idJPT9N1RM03W 福田財務次官から辞職の申し出あり、認めた=麻生財務相]</ref><ref>[https://www.sankei.com/ |
2017年7月、[[財務省大臣官房#官房長|財務省大臣官房長]]に就任した<ref name="fuk">[https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS04H36_U7A700C1EAF000/ 「財務次官に福田氏 」]日本経済新聞2017/7/4</ref>。2018年4月に入り、[[福田淳一]]前[[財務事務次官]]による[[テレビ朝日]]女性記者に対するセクハラ疑惑が[[不祥事|スキャンダル]]として[[メディアスクラム|報道が過熱]]するなか、4月18日に福田が辞任。次官辞職に伴い矢野が事務次官事務代理を務めた<ref>[https://jp.reuters.com/article/idJPT9N1RM03W 福田財務次官から辞職の申し出あり、認めた=麻生財務相]</ref><ref>[https://www.sankei.com/article/20180419-PL2ZAYD4AVIEZM3TSHNPB62IQY/ 財務省、狂うシナリオ 人事見通せず、発言力も低下] 産経ニュース</ref><ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2962469020042018000000/ 「外遊を終え帰国 19日(木)・20日(金) 」] 日本経済新聞2018/04/20</ref><ref>[https://dot.asahi.com/articles/-/114335?__twitter_impression=true 「セクハラ告発で辞任した福田前次官の退職金 後任の「#MeToo」は? 」] 朝日新聞[[AERA.dot]] 2018/4/24 </ref>。財務省官房長としてセクハラ疑惑の事実に口をつぐみ認定も否認もしなかったが、同年4月27日になると一転して、官房長の矢野と[[伊藤豊 (財務・金融官僚)|伊藤豊]]官房秘書課長らが会見で、十分な[[反論]]・[[反証]]がなされていないとして前次官によるセクハラ行為を認定して調査を打ち切った<ref>[https://www.sankei.com/article/20180427-ND2OALKL7BJA5M2QDODKYXTWEI/ 【財務次官セクハラ疑惑】会見詳報(1)矢野官房長「福田氏から十分な反証反論はない」事実を認定 調査は打ち切り] 産経新聞 2018年4月27日</ref>。 |
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2019年7月より[[財務省主税局#歴代主税局長|財務省主税局長]](一橋大学出身の局長は1984年に[[矢澤富太郎]]が[[関税局#歴代関税局長|関税局長]]に就任して以来35年ぶり。出向者も含めると関税局長とバーターになった[[厚木進]]以来7年ぶり。)<ref name="bas">[http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKCN1TX0BU.html 岡本次官・太田主計局長は留任、財務官に武内氏=財務省人事] 朝日新聞デジタル2019年7月2日13時12分</ref>、さらに翌2020年7月20日より[[主計局#主計局長|主計局長]]に横滑りした<ref name=director_general>{{Cite web |
2019年7月より[[財務省主税局#歴代主税局長|財務省主税局長]](一橋大学出身の局長は1984年に[[矢澤富太郎]]が[[関税局#歴代関税局長|関税局長]]に就任して以来35年ぶり。出向者も含めると関税局長とバーターになった[[厚木進]]以来7年ぶり。)<ref name="bas">[https://web.archive.org/web/20190703011240/http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKCN1TX0BU.html 岡本次官・太田主計局長は留任、財務官に武内氏=財務省人事] 朝日新聞デジタル2019年7月2日13時12分</ref>、さらに翌2020年7月20日より[[主計局#主計局長|主計局長]]に横滑りした<ref name=director_general>{{Cite web|和書|date=2020-07-20 |url=https://www.mof.go.jp/about_mof/introduction/personnel/transfers/2020.07.20_42.pdf |title=令和2年7月20日発令 |format=PDF |publisher=財務省 |accessdate=2020-07-26}}</ref>。この人事は[[消費税|消費増税]]計画を控えて配置された[[田中一穂]]以来で戦後2人目<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61475810U0A710C2EE8000/ 最大のサプライズ人事 財務省主計局長に矢野氏] [[日本経済新聞]] 2020年7月14日 12:30(有料)</ref>。[[太田充]]財務次官の次の次官最有力になったが、入省同期では藤井健志(国税庁長官から内閣官房副長官補)と、可部哲生(理財局長から国税庁長官)の2人が早くからの次官候補と見做されていた。もとより財務省には旧[[大蔵省]]以来[[第一高等学校 (旧制)|旧制一高]]の気風を引き摺る[[バンカラ]]で"[[ワル]]の文化"が根を張っており、福田元次官、[[佐川宣寿]]元国税庁長官ら82年組入省のツートップを張る2人の騒動もそうした中で生起したものと指摘されている。官房長時代に上述のセクハラ騒動に対処するため、[[パワーハラスメント|パワハラ]]防止のための"360度評価"を導入した。この過程で藤井と、次官就任が本命視されていた可部が外れ、[[ダークホース]]の矢野が次期次官最有力に浮かび上がった<ref>{{Cite news|url=https://news.goo.ne.jp/article/dailyshincho/nation/dailyshincho-698163.html?from=amp_web-article-link |title=セクハラ次官「福田淳一」、公文書改ざん「佐川宣寿」… 財務省スキャンダルの背景にある「ワル」の文化 |author=[[岸宣仁]] |work = [[デイリー新潮]]([[週刊新潮]] 2021年1月14日号) |publisher=[[gooニュース]] |date = 2021-01-19 |accessdate = 2021-02-21}}</ref>。 |
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2021年7月8日、一橋大学出身者初の財務事務次官<ref>{{Cite news|title=財務次官に矢野主計局長が昇格、金融庁長官は中島総政局長=幹部人事|url=https://jp.reuters.com/article/finance-ministry-idJPKCN2ED0SQ|work=Reuters|date=2021-07-07|accessdate=2021-07-08|language=ja|first=Reuters|last=Staff}}</ref>。 |
2021年7月8日、一橋大学出身者初の財務事務次官<ref>{{Cite news|title=財務次官に矢野主計局長が昇格、金融庁長官は中島総政局長=幹部人事|url=https://jp.reuters.com/article/finance-ministry-idJPKCN2ED0SQ|work=Reuters|date=2021-07-07|accessdate=2021-07-08|language=ja|first=Reuters|last=Staff}}</ref>。 |
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田中一穂の直系の弟子であり<ref>[[山村明義]]『財務省人事が日本を決める』[[徳間書店]]、2019年2月28日発行、255頁</ref>、財務省内でも厳格な[[財政再建|財政再建論者]]として知られ、「原理主義者」と評されることもある<ref>[https://www.asahi.com/amp/articles/ASN7H01HCN7GULFA01K.html 財務省のサプライズ人事 「原理主義者」起用の狙いとは] 朝日新聞 2020年7月15日</ref>。また、「自分が正しいと思ったら、上司でも政治家にでも直言する人物」だともされている<ref>[https://www.dailyshincho.jp/article/2018/05090557/?all=1 セクハラ次官代行「矢野康治」官房長 次の次が見えて“ヒラメ化”?] [[週刊新潮|デイリー新潮]] 2018年5月3・10日号掲載</ref>。 |
田中一穂の直系の弟子であり<ref>[[山村明義]]『財務省人事が日本を決める』[[徳間書店]]、2019年2月28日発行、255頁</ref>、財務省内でも厳格な[[財政再建|財政再建論者]]として知られ、「原理主義者」と評されることもある<ref>[https://www.asahi.com/amp/articles/ASN7H01HCN7GULFA01K.html 財務省のサプライズ人事 「原理主義者」起用の狙いとは] 朝日新聞 2020年7月15日</ref>。また、「自分が正しいと思ったら、上司でも政治家にでも直言する人物」だともされている<ref>[https://www.dailyshincho.jp/article/2018/05090557/?all=1 セクハラ次官代行「矢野康治」官房長 次の次が見えて“ヒラメ化”?] [[週刊新潮|デイリー新潮]] 2018年5月3・10日号掲載</ref>。 |
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週刊誌にポリ袋ハンターと写真付きで紹介された人物でもある<ref>{{Cite web|title=【動画】財務省の事務次官がスーパーで「ポリ袋ハンター」になっていた|url=https://www.news-postseven.com/archives/20211001_1694916.html?DETAIL|website=NEWSポストセブン|accessdate=2021-10-13|language=ja}}</ref>。 |
週刊誌にポリ袋ハンターと写真付きで紹介された人物でもある<ref>{{Cite web|和書|title=【動画】財務省の事務次官がスーパーで「ポリ袋ハンター」になっていた|url=https://www.news-postseven.com/archives/20211001_1694916.html?DETAIL|website=NEWSポストセブン|accessdate=2021-10-13|language=ja}}</ref>。 |
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2022年6月24日、財務事務次官退任、財務省顧問<ref>[https://www2.kwansei.ac.jp/t_marunouchi/kouza/course/exective.html わが国の財政運営について]丸の内講座関西学院大学 東京丸の内キャンパス</ref>。同年9月、国立大学法人一橋大学顧問<ref>[https://www.hit-u.ac.jp/guide/organization/officers_2.html その他役職員等]一橋大学</ref>。同年11月1日、[[日本生命保険]]特別顧問<ref name="Kokkakōmuinsaisyūsyoku(R4.10.1〜12.31)">[https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/106-25-1-3/pdf/all.pdf 国家公務員法第106条の25第1項等の規定に基づく報告の概要(令和4年10月1日〜同年12月31日分)] 人事院 令和5年3月24日([[Portable Document Format|PDF]])</ref>。2023年[[神奈川大学]]特別[[招聘教授]]<ref name="kanaga">[https://www.kanagawa-u.ac.jp/cooperation/project/yoxo/ YOXOアントレプレナー育成プログラム]神奈川大学</ref>、国立大学法人[[政策研究大学院大学]]経営協議会委員<ref name="seisa"/>、[[新時代戦略研究所]]特別顧問<ref>[http://inesjapan.com/staff/ スタッフ]新時代戦略研究所</ref>、[[構想日本]]アドバイザリー会議構成員<ref>[http://www.kosonippon.org/mission/about/ 団体概要]構想日本</ref>。[[退官]]後は常勤職には就かず、[[日本の財政問題]]に関する講演活動を、1年間に数百回行うなどした<ref>[http://hit-press.org/projects/3833 【一橋祭2023】矢野康治氏独自取材 官僚人生と今の日本財政を語る]一橋新聞WEB</ref>。 |
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2022年6月24日、財務事務次官退任。 |
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== 経歴 == |
== 経歴 == |
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|2009 |
|2009 |
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|内閣官房[[国家戦略局#民主党による「国家戦略局」構想|国家戦略室]] |
|内閣官房[[参事官#内閣官房|内閣参事官]]([[内閣総務官室]])、内閣官房[[国家戦略局#民主党による「国家戦略局」構想|国家戦略室]]室員([[鳩山由紀夫内閣]])<ref name="kan" /> |
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|2010 |
|2010 |
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|11 |
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|内閣官房[[社会保障#日本の社会保障|社会保障]]改革担当室参事官([[菅直人内閣]]・[[野田内閣]])<ref name="kan" /> |
|内閣官房内閣参事官([[内閣官房副長官補]]付)、内閣官房[[社会保障#日本の社会保障|社会保障]]改革担当室参事官([[菅直人内閣]]・[[野田内閣]])<ref name="kan" /> |
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|内閣官房内閣参事官(内閣官房副長官補付)、内閣官房社会保障改革担当室参事官兼内閣官房社会保障・税一体改革情報発信推進室参事官 |
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|8 |
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|[[財務省主税局]]総務課長<ref name="kan" /> |
|[[財務省主税局]]総務課長<ref name="kan" /> |
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|10 |
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|[[不動産鑑定士#試験|不動産鑑定士試験]]短答式試験試験委員 |
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| rowspan="2" |2021 |
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== 「バラマキ合戦」発言 == |
== 「バラマキ合戦」発言 == |
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=== 経緯 === |
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[[2021年]][[10月8日]]発売の月刊誌『[[文藝春秋]]』に矢野が寄稿した記事において、[[新型コロナウイルス感染症 (2019年)|新型コロナウイルス感染症]]の経済対策にまつわる政策論争を「'''バラマキ合戦'''」と表現<ref name="nhk211008">{{Cite news|title=財務事務次官「バラマキ合戦のような政策論」と月刊誌で批判|newspaper=NHKニュース|date=2021-10-08|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211008/k10013298621000.html|accessdate=2021-10-18}}</ref>。このままでは国家財政が破綻する可能性があると主張した<ref name="nhk211008"/>。 |
[[2021年]][[10月8日]]発売の月刊誌『[[文藝春秋]]』に矢野が寄稿した記事『財務次官、モノ申す「このままでは国家財政は破綻する」』<ref>[https://bungeishunju.com/n/n441b267f2218 財務次官、モノ申す「このままでは国家財政は破綻する」矢野康治|文藝春秋digital]</ref><ref>[https://bunshun.jp/articles/-/49082 「このままでは国家財政は破綻する」矢野康治財務事務次官が“バラマキ政策”を徹底批判 | 文春オンライン]</ref>において、[[新型コロナウイルス感染症 (2019年)|新型コロナウイルス感染症]]の経済対策にまつわる政策論争を「'''バラマキ合戦'''」と表現<ref name="nhk211008">{{Cite news|title=財務事務次官「バラマキ合戦のような政策論」と月刊誌で批判|newspaper=NHKニュース|date=2021-10-08|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211008/k10013298621000.html|accessdate=2021-10-18}}</ref>。このままでは国家財政が破綻する可能性があると主張した<ref name="nhk211008"/>。また、「低金利・低インフレ・低成長という長期停滞の下では、積極財政がもっとも有効であり、大規模な財政出動により、政府債務の対GDP比は下がり、財政はより健全化する」という、今やアメリカの主流派経済学のコンセンサスを、「一見まことしやかな政策論ですが、これはとんでもない間違いです」と一蹴し<ref>中野剛志『奇跡の経済教室 大論争編』KKベストセラーズ2022年、 |
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pp.218-220</ref>、対[[GDP]]比の一般政府債務残高は減少させるべきであり、[[基礎的財政収支]]は黒字化しなくてはならないと改めて主張した(つまり、[[インフレ目標]]を基準とするのではなく、基礎的財政収支を基準とするべきであるという考え方である)。 |
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一般職の公務員である事務次官が在職中に政治的な意見表明を行うことは異例であり、閣僚や国会議員が発言に対する意見を述べるなど波紋を広げ<ref>{{Cite news|title=財務次官の「バラマキ批判」寄稿が波紋、与党内には不快感示す声も…首相は静観|newspaper=読売新聞オンライン|date=2021-10-12|url=https://www.yomiuri.co.jp/politics/20211011-OYT1T50266/|accessdate=2021-10-18}}</ref>、第83回[[文藝春秋読者賞]]を受賞した<ref name="bun">[https://bungeishunju.com/n/n44ac477dcf53 第83回文藝春秋読者賞発表]文藝春秋digital 2022年1月27日 08:00</ref>。 |
一般職の公務員である事務次官が在職中に政治的な意見表明を行うことは異例であり、閣僚や国会議員が発言に対する意見を述べるなど波紋を広げ<ref>{{Cite news|title=財務次官の「バラマキ批判」寄稿が波紋、与党内には不快感示す声も…首相は静観|newspaper=読売新聞オンライン|date=2021-10-12|url=https://www.yomiuri.co.jp/politics/20211011-OYT1T50266/|accessdate=2021-10-18}}</ref>、第83回[[文藝春秋読者賞]]を受賞した<ref name="bun">[https://bungeishunju.com/n/n44ac477dcf53 第83回文藝春秋読者賞発表]文藝春秋digital 2022年1月27日 08:00</ref>。 |
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[[内閣官房長官|官房長官]]の[[松野博一]]は、11日の記者会見で「財政健全化に向けた一般的な政策論について、私的な意見として述べたものと承知している」としたうえで、「政策の実行にあたっては、政府与党一体となって取り組むことが重要で、いろいろな議論をしたうえで、方向性が決まれば、関係者にはしっかりと協力してもらうことが重要だ」と述べた<ref>{{Cite news|title=財務次官の寄稿“バラマキ合戦”は「私的意見」官房長官|newspaper=NHKニュース|date=2021-10-11|url= https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211011/k10013301861000.html|accessdate=2021-10-18}}</ref>。 |
[[内閣官房長官|官房長官]]の[[松野博一]]は、11日の記者会見で「財政健全化に向けた一般的な政策論について、私的な意見として述べたものと承知している」としたうえで、「政策の実行にあたっては、政府与党一体となって取り組むことが重要で、いろいろな議論をしたうえで、方向性が決まれば、関係者にはしっかりと協力してもらうことが重要だ」と述べた<ref>{{Cite news|title=財務次官の寄稿“バラマキ合戦”は「私的意見」官房長官|newspaper=NHKニュース|date=2021-10-11|url= https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211011/k10013301861000.html|accessdate=2021-10-18}}</ref>。 |
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[[経済同友会]]の[[櫻田謙悟|桜田謙悟]]代表幹事は、12日の定例記者会見で「(寄稿で)書かれていることは |
[[経済同友会]]の[[櫻田謙悟|桜田謙悟]]代表幹事は、12日の定例記者会見で「(寄稿で)書かれていることは100%賛成だ」と述べ、矢野事務次官に対する支持を表明した<ref>{{Cite web|和書|title=財務次官の寄稿に「100%賛成」 バラマキ批判を擁護―同友会代表幹事|url=https://web.archive.org/web/20211012154741/https://www.jiji.com/jc/article?k=2021101200885|website=時事ドットコムニュース|accessdate=2021-01-21}}</ref>。 |
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== 1985年同期入省者 == |
== 1985年同期入省者 == |
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『ロクマル』と呼ばれ、優秀な人間がそろっていると評判の期だった<ref>[https://gendai. |
『ロクマル』と呼ばれ、優秀な人間がそろっていると評判の期だった<ref>[https://gendai.media/articles/-/55530?page=2 初の一橋大出身! 矢野康治・財務省新事務次官の「愛妻家伝説」] FRIDAY DIGITAL 2021/7/21</ref>。同期25名のうち一橋大学からの採用者は矢野1名である。同期の内訳は[[東京大学大学院法学政治学研究科・法学部|東大法学部]]15人、[[東京大学大学院経済学研究科・経済学部|同大学経済学部]]4人、[[東京大学大学院総合文化研究科・教養学部|同大学教養学部]]2人、[[東京大学大学院工学系研究科・工学部|同大学工学部]]1人、[[京都大学大学院経済学研究科・経済学部|京大経済学部]]1人、[[東京工業大学|東工大]]1名である<ref>[[神一行]]『大蔵官僚 超エリート集団の人脈と野望』[[講談社]]、1986年10月1日発行、807・808頁</ref><ref name="Hitotsubashi HQ"/>。 |
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2024年9月6日 (金) 17:15時点における最新版
矢野 康治 やの こうじ | |
---|---|
生年月日 | 1962年12月10日(61歳) |
出生地 | 山口県 |
出身校 | 一橋大学経済学部 |
前職 | 財務事務次官 |
現職 |
一橋大学顧問 日本生命保険特別顧問 政策研究大学院大学経営協議会委員 神奈川大学特別招聘教授 構想日本アドバイザリー会議構成員 |
称号 | 経済学士(一橋大学・1985年) |
配偶者 | あり[1] |
在任期間 | 2021年7月8日 - 2022年6月24日 |
財務大臣 |
麻生太郎 鈴木俊一 |
在任期間 | 2020年7月20日 - 2021年7月8日 |
財務大臣 | 麻生太郎 |
在任期間 | 2019年7月5日 - 2020年7月20日 |
財務大臣 | 麻生太郎 |
在任期間 | 2017年7月5日 - 2019年7月5日 |
財務大臣 | 麻生太郎 |
矢野 康治(やの こうじ、1962年12月10日 - )は、日本の財務官僚。元財務事務次官。文藝春秋読者賞受賞。退官後国立大学法人一橋大学顧問、日本生命保険特別顧問。
人物
[編集]山口県下関市出身。1978年 山口県立下関西高等学校に入学。高校時代の得意科目は数学だったが、白衣を着るイメージしか持てず、文系となる[2]。1981年 一橋大学経済学部に入学。先輩である故瀧本徹元観光庁観光地域振興部長の勧めで荒憲治郎の経済原論のゼミを受講する。大学では庭球同好会に所属[2]。1985年3月 一橋大学経済学部卒業。卒論は「非自発的失業の解明」[2]。同年 旧大蔵省(現財務省)入省、大臣官房文書課配属。三隅隆司一橋大教授は高校・大学の同期[3][4][5]。
小樽税務署長を経て、国税庁長官官房課長補佐[6]として定員配分見直しや行政手続法適用除外のための働きかけなどを行った。ハーバード大学研究員を経て、1994年から証券局課長補佐を務め、毎日泊まり込みで働き続ける生活を送り、証券版金融ビッグバンをほぼ一人で策定したことで知られている[6][7][8][5]。
一般会計の歳出・歳入の推移のグラフにおいて、歳出総額の増加と税収の減少の折れ線グラフをワニの口と喩えたことで知られている[9]。
人事担当官房企画官、主計局主計企画官、主計局厚生労働係[6][7][5]、主税企画官、主計局調査課長を経て、2007年より内閣官房長官秘書官として町村信孝に仕え知遇を得た[1][5][10]。続く麻生内閣でも河村建夫の下で内閣官房長官秘書官。民主党政権時代には与謝野馨経済財政担当大臣兼社会保障と税の一体改革担当大臣の「不安のない社会保障制度を確立するために」と掲げた目標に共鳴し、消費税率を8%、10%へと上げる3党合意の成立に貢献した[11]。その後菅義偉内閣官房長官秘書官、主税局担当審議官を歴任[5]。この間、村尾信尚監修関西学院大学エグゼクティブコース講師も務めた[5][12][13][14]。
2017年7月、財務省大臣官房長に就任した[15]。2018年4月に入り、福田淳一前財務事務次官によるテレビ朝日女性記者に対するセクハラ疑惑がスキャンダルとして報道が過熱するなか、4月18日に福田が辞任。次官辞職に伴い矢野が事務次官事務代理を務めた[16][17][18][19]。財務省官房長としてセクハラ疑惑の事実に口をつぐみ認定も否認もしなかったが、同年4月27日になると一転して、官房長の矢野と伊藤豊官房秘書課長らが会見で、十分な反論・反証がなされていないとして前次官によるセクハラ行為を認定して調査を打ち切った[20]。
2019年7月より財務省主税局長(一橋大学出身の局長は1984年に矢澤富太郎が関税局長に就任して以来35年ぶり。出向者も含めると関税局長とバーターになった厚木進以来7年ぶり。)[21]、さらに翌2020年7月20日より主計局長に横滑りした[22]。この人事は消費増税計画を控えて配置された田中一穂以来で戦後2人目[23]。太田充財務次官の次の次官最有力になったが、入省同期では藤井健志(国税庁長官から内閣官房副長官補)と、可部哲生(理財局長から国税庁長官)の2人が早くからの次官候補と見做されていた。もとより財務省には旧大蔵省以来旧制一高の気風を引き摺るバンカラで"ワルの文化"が根を張っており、福田元次官、佐川宣寿元国税庁長官ら82年組入省のツートップを張る2人の騒動もそうした中で生起したものと指摘されている。官房長時代に上述のセクハラ騒動に対処するため、パワハラ防止のための"360度評価"を導入した。この過程で藤井と、次官就任が本命視されていた可部が外れ、ダークホースの矢野が次期次官最有力に浮かび上がった[24]。
2021年7月8日、一橋大学出身者初の財務事務次官[25]。
田中一穂の直系の弟子であり[26]、財務省内でも厳格な財政再建論者として知られ、「原理主義者」と評されることもある[27]。また、「自分が正しいと思ったら、上司でも政治家にでも直言する人物」だともされている[28]。
週刊誌にポリ袋ハンターと写真付きで紹介された人物でもある[29]。
2022年6月24日、財務事務次官退任、財務省顧問[30]。同年9月、国立大学法人一橋大学顧問[31]。同年11月1日、日本生命保険特別顧問[32]。2023年神奈川大学特別招聘教授[33]、国立大学法人政策研究大学院大学経営協議会委員[34]、新時代戦略研究所特別顧問[35]、構想日本アドバイザリー会議構成員[36]。退官後は常勤職には就かず、日本の財政問題に関する講演活動を、1年間に数百回行うなどした[37]。
経歴
[編集]年 | 月 | 事柄 |
---|---|---|
1962 | 12 | 山口県下関市出身[3][6] |
1985 | 3 | 一橋大学経済学部卒業[6] |
4 | 大蔵省入省、大臣官房文書課[6] | |
1987 | 大臣官房調査企画課[6] | |
1988 | 7 | 理財局資金第一課原資係長心得[38][6] |
1989 | 理財局資金第一課企画係長[39] | |
1990 | 小樽税務署長[6] | |
1991 | 6 | 国税庁長官官房総務課課長補佐(調査一・二[40])[6] |
1993 | ハーバード大学国際問題研究所研究員[6] | |
1994 | 7 | 証券局証券市場課課長補佐(株式市場三[40])[6] |
1996 | 主税局調査課課長補佐[6] | |
1997 | 主税局税制第二課課長補佐(消費税[40])[6] | |
1998 | 主税局税制第一課課長補佐(所得税[40])[6] | |
1999 | 6 | 主税局税制第一課課長補佐兼主税局税制第一課審査室長[6] |
2000 | 大臣官房秘書課課長補佐(総括[40])[6] | |
2001 | 7 | 大臣官房企画官(人事担当)兼秘書課[6][5] |
2002 | 主計局主計企画官(財政分析・政策評価・予算執行調査係担当)[6] | |
2003 | 主計局主計企画官(財政分析・政策評価・予算執行調査係担当)兼主計局司計課[6] | |
2004 | 大臣官房企画官兼主計局厚生労働第一〜七係[40][6] | |
2005 | 主税局総務課主税企画官兼主税局調査課兼主税局税制第二課兼主税局税制第三課[6] | |
2006 | 主計局調査課長[6] | |
2007 | 9 | 町村信孝内閣官房長官秘書官(福田康夫内閣)[5] |
2008 | 河村建夫内閣官房長官秘書官(麻生内閣)[5] | |
2009 | 10 | 内閣官房内閣参事官(内閣総務官室)、内閣官房国家戦略室室員(鳩山由紀夫内閣)[5] |
2010 | 11 | 内閣官房内閣参事官(内閣官房副長官補付)、内閣官房社会保障改革担当室参事官(菅直人内閣・野田内閣)[5] |
2012 | 2 | 内閣官房内閣参事官(内閣官房副長官補付)、内閣官房社会保障改革担当室参事官兼内閣官房社会保障・税一体改革情報発信推進室参事官 |
8 | 財務省主税局総務課長[5] | |
10 | 不動産鑑定士試験短答式試験試験委員 | |
12 | 菅義偉内閣官房長官秘書官(第2次安倍内閣)[5] | |
2015 | 7 | 財務省大臣官房審議官(主税局担当)[5] |
2017 | 大臣官房長[15] | |
2018 | 4 | 財務事務次官事務代理[41][42] |
7 | 免・財務事務次官事務代理[43] | |
2019 | 財務省主税局長[21] | |
2020 | 財務省主計局長[22] | |
2021 | 財務事務次官 | |
12 | 文部科学省日本ユネスコ国内委員会委員[44]、第83回文藝春秋読者賞受賞[45] | |
2022 | 6 | 財務事務次官退任、財務省顧問 |
9 | 国立大学法人一橋大学顧問 | |
10 | 一橋大学社会科学の発展を考える円卓会議委員[46] | |
11 | 日本生命保険特別顧問[32] | |
2023 | 4 | 神奈川大学特別招聘教授[47]、国立大学法人政策研究大学院大学経営協議会委員兼学長選考・監察会議委員[34] |
「バラマキ合戦」発言
[編集]経緯
[編集]2021年10月8日発売の月刊誌『文藝春秋』に矢野が寄稿した記事『財務次官、モノ申す「このままでは国家財政は破綻する」』[48][49]において、新型コロナウイルス感染症の経済対策にまつわる政策論争を「バラマキ合戦」と表現[50]。このままでは国家財政が破綻する可能性があると主張した[50]。また、「低金利・低インフレ・低成長という長期停滞の下では、積極財政がもっとも有効であり、大規模な財政出動により、政府債務の対GDP比は下がり、財政はより健全化する」という、今やアメリカの主流派経済学のコンセンサスを、「一見まことしやかな政策論ですが、これはとんでもない間違いです」と一蹴し[51]、対GDP比の一般政府債務残高は減少させるべきであり、基礎的財政収支は黒字化しなくてはならないと改めて主張した(つまり、インフレ目標を基準とするのではなく、基礎的財政収支を基準とするべきであるという考え方である)。
一般職の公務員である事務次官が在職中に政治的な意見表明を行うことは異例であり、閣僚や国会議員が発言に対する意見を述べるなど波紋を広げ[52]、第83回文藝春秋読者賞を受賞した[45]。
反応
[編集]官房長官の松野博一は、11日の記者会見で「財政健全化に向けた一般的な政策論について、私的な意見として述べたものと承知している」としたうえで、「政策の実行にあたっては、政府与党一体となって取り組むことが重要で、いろいろな議論をしたうえで、方向性が決まれば、関係者にはしっかりと協力してもらうことが重要だ」と述べた[53]。
経済同友会の桜田謙悟代表幹事は、12日の定例記者会見で「(寄稿で)書かれていることは100%賛成だ」と述べ、矢野事務次官に対する支持を表明した[54]。
1985年同期入省者
[編集]『ロクマル』と呼ばれ、優秀な人間がそろっていると評判の期だった[55]。同期25名のうち一橋大学からの採用者は矢野1名である。同期の内訳は東大法学部15人、同大学経済学部4人、同大学教養学部2人、同大学工学部1人、京大経済学部1人、東工大1名である[56][2]。
- 可部哲生(国税庁長官)
- 岡村健司(IMF副専務理事、内閣官房参与(国際経済)、財務官)
- 藤井健志(内閣官房副長官補、国税庁長官)
- 小部春美(政策研究大学院大学教授、財務総合政策研究所副所長)
- 中島淳一(金融庁長官)
- 森田宗男(金融国際審議官)
- 中井徳太郎(環境事務次官)
- 岡本直之(国土交通省政策統括官)
- 中尾睦(内閣官房TPP等政府対策本部国内調整統括官、横浜税関長)
- 野島透(九州財務局長)
- 岸本浩(国立印刷局理事長、東京税関長)
- 川嶋真(造幣局理事長)
- 市川健太(東京国税局長、日本政策金融公庫代表取締役専務取締役、理財局次長(理財担当))
- 榎本直樹(東京税関長、大阪国税局長)
- 田中琢二(IMF理事、関東財務局長)
- 大西靖(神戸税関長、中国財務局長)
- 田中秀明(明治大学教授、内閣府行政刷新会議事務局参事官)
著書
[編集]- 『決断!待ったなしの日本財政危機―平成の子どもたちの未来のために』東信堂 2005年
関連項目
[編集]脚注
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- ^ 27頁『決断!待ったなしの日本財政危機―平成の子どもたちの未来のために』
- ^ 日本の国家像 -町村が変わる、町村が変える」 町村信孝オフィシャルホームページ
- ^ 異色の次官に込めた財務省の狙い 金融資産への課税を強化する道へ【政官財スキャニング】 日刊ゲンダイ 2021/7/21(水)
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- ^ 福田財務次官から辞職の申し出あり、認めた=麻生財務相
- ^ 財務省、狂うシナリオ 人事見通せず、発言力も低下 産経ニュース
- ^ 「外遊を終え帰国 19日(木)・20日(金) 」 日本経済新聞2018/04/20
- ^ 「セクハラ告発で辞任した福田前次官の退職金 後任の「#MeToo」は? 」 朝日新聞AERA.dot 2018/4/24
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- ^ 財務省のサプライズ人事 「原理主義者」起用の狙いとは 朝日新聞 2020年7月15日
- ^ セクハラ次官代行「矢野康治」官房長 次の次が見えて“ヒラメ化”? デイリー新潮 2018年5月3・10日号掲載
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- ^ 【人事速報】文部科学省時評社
- ^ a b 第83回文藝春秋読者賞発表文藝春秋digital 2022年1月27日 08:00
- ^ 社会科学の発展を考える円卓会議一橋大学
- ^ 矢野・前財務事務次官が神大特別招聘教授「財政実態話す」神奈川新聞 | 2023年6月7日(
- ^ 財務次官、モノ申す「このままでは国家財政は破綻する」矢野康治|文藝春秋digital
- ^ 「このままでは国家財政は破綻する」矢野康治財務事務次官が“バラマキ政策”を徹底批判 | 文春オンライン
- ^ a b “財務事務次官「バラマキ合戦のような政策論」と月刊誌で批判”. NHKニュース. (2021年10月8日) 2021年10月18日閲覧。
- ^ 中野剛志『奇跡の経済教室 大論争編』KKベストセラーズ2022年、 pp.218-220
- ^ “財務次官の「バラマキ批判」寄稿が波紋、与党内には不快感示す声も…首相は静観”. 読売新聞オンライン. (2021年10月12日) 2021年10月18日閲覧。
- ^ “財務次官の寄稿“バラマキ合戦”は「私的意見」官房長官”. NHKニュース. (2021年10月11日) 2021年10月18日閲覧。
- ^ “財務次官の寄稿に「100%賛成」 バラマキ批判を擁護―同友会代表幹事”. 時事ドットコムニュース. 2021年1月21日閲覧。
- ^ 初の一橋大出身! 矢野康治・財務省新事務次官の「愛妻家伝説」 FRIDAY DIGITAL 2021/7/21
- ^ 神一行『大蔵官僚 超エリート集団の人脈と野望』講談社、1986年10月1日発行、807・808頁
官職 | ||
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先代 太田充 |
財務事務次官 2021年 - 2022年 |
次代 茶谷栄治 |
先代 太田充 |
財務省主計局長 2020年 - 2021年 |
次代 茶谷栄治 |
先代 星野次彦 |
財務省主税局長 2019年 - 2020年 |
次代 住澤整 |
先代 岡本薫明 |
財務省大臣官房長 2017年 - 2019年 |
次代 茶谷栄治 |