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[[Image:Amacha.jpg|200px|thumb|甘茶]]
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'''甘茶'''(あまちゃ)は、[[ユキノシタ科|アジサイ科]]の[[落葉樹林|落葉低木]]のアジサイ(学名:''Hydrangea macrophylla'')の変種である。
'''甘茶'''(あまちゃ)は、[[ユキノシタ科|アジサイ科]]の[[落葉樹林|落葉低木]]のアジサイ(学名:''Hydrangea macrophylla'')の変種であるアマチャの若葉を、8月下旬に採取し、日干しして乾燥させた物に、水を噴霧し樽などに詰めて24時間[[発酵]]させたものを蒸して揉捻し、再度乾燥させたもの。また、それを煎じ、すなわち煮て作った[[飲料]]である。<!--{{要出典範囲|カフェイン、タンニンは含んでいない|title=同じ記事の別の記述と矛盾する|date=2023年6月}}-->
ガクアジサイ(''Hydrangea macrophylla'' f. ''normalis'')に良く似ている。アマチャ<ref name="本山">{{Cite book|和書|author=本山荻舟|title=飲食事典|publisher=平凡社|page=13|year=1958}}</ref>(学名:''Hydrangea macrophylla var. thunbergii'')。また、その若い葉を蒸して揉み、乾燥させたもの、およびそれを煎じて作った飲料のことも指す。[[ウリ科]]の[[つる植物|つる性]][[多年草]]である[[アマチャヅル]]の葉または全草を使った茶も甘茶ということもあるが、前者の「アマチャ」を使った甘茶が本来の甘茶である。


なお、飲料ではなくその元になっている日本や韓国南部原産の植物は学術的には「アマチャ」(学名:''Hydrangea macrophylla'' var. ''thunbergii'')と片仮名表記をする。中国の[[甜茶]]とは別種である。これ以降、飲料を指す場合は「甘茶」と漢字で表記し、植物を指す場合は「アマチャ」と片仮名で表記する。
甘茶の茶葉に「御法楽」という御祈祷を[[神社]]で行った茶葉のみ「天茶」の称号が許される{{要出典|date=2020年6月|}}(読みは同じ「あまちゃ」)。


;区別
== 風習 ==
なお、[[ウリ科]]の[[つる植物|つる性]]の[[多年草]]である[[アマチャヅル]]の葉または全草を、湯などで抽出した茶も「甘茶」という場合もあるが、前者の「アマチャ」を使った茶が、本来の甘茶である。また、[[緑茶]]や[[ほうじ茶]]や[[麦茶]]などに[[砂糖]]を入れた飲料は、本来の意味での甘茶ではない。当項目では区別する。
飲料としての甘茶は、黄褐色で甘みがあり、[[灌仏会]](花祭り)の際に[[仏像]]に注ぎかけるものとして古くから用いられた。これは、[[釈迦]]の生誕時に[[八大竜王]]がこれを祝って産湯に[[甘露]]を注いだという[[故事]]によるものである<ref name="本山" />。また、潅仏会の甘茶には虫除けの効能もあるとされ、甘茶を[[墨]]に混ぜてすり、四角の白紙に「千早振る卯月八日は吉日よ 神下げ虫を成敗ぞする」と書いて室内の柱にさかさまに貼ると虫除けになるという風習がかつて全国的に行われていた<ref name="本山" /><ref>神下げ虫とは[[ムカデ]]のことである。</ref>。


== 薬用 ==
== 植物のアマチャ ==
アマチャは、[[ガクアジサイ]](''Hydrangea macrophylla'' f. ''normalis'')によく似ており、変種と考えられる。発酵前の葉は甘くなく苦い。黒くウーロン茶葉のような外観である。
甘茶は甘味成分として[[フィロズルチン]]とイソフィロズルチンを含み、その甘さは[[ショ糖]]の400あるいは600 - 800倍<ref>{{Cite book|和書|author=瀬口正晴、多田洋、小関佐貴代、衣笠治子、道家晶子、八田一|title=食品学各論|editor=瀬口正晴、八田一(編)|publisher=化学同人|year=page=176頁|isbn=978-4-7598-0473-7}}</ref><ref>{{Cite book|author=Kinghorn, A. Douglas; Compadre, Cesar, M.|year=2011|title=Alternative Sweeteners|edition=4th|editor=O'Brien-Nabors, Lyn|publisher=CRC Press|location=Boca Raton|chapter=Less Common High-Potency Sweeteners|page=228|isbn=978-1-4398-4614-8}}</ref>、[[サッカリン]]の約2倍である<ref>{{Cite web|url=http://opensource.toho-u.ac.jp/yakusou/mihon/amatya.html|title=アマチャ|publisher=[[東邦大学]]薬用植物園|accessdate=2012-05-27}}</ref>。葉を乾燥させることにより甘味が出る。また苦味成分として[[タンニン]]を含むが、[[カフェイン]]は含まない。


[[岐阜県]](梶尾)、滋賀県([[伊吹山]])、兵庫県({{Ruby|[[宍粟市|宍粟]]|しそう}})などに自生している。特に、⻑野県[[信濃町 (代表的なトピック)|信濃町]]の甘茶[[栽培]]の歴史は古く、元禄14年([[1700年]])に僧の閑貞が植えて以来、気候風土が適したのか、盛んに栽培されるようになった。一時、消費が落ち生産が少なくなったが、それでも伝統に守られ順調な栽培が行われている。しかし、現状は国内流通量には十分でなく、インドネシアから甘茶が輸入されている。
[[生薬]]としては、抗[[アレルギー]]作用、[[歯周病]]に効果を有する(日本[[薬局方]]に収載)。


== 甘茶と灌仏会 ==
茶・[[麦茶]]などに[[砂糖]]を入れたものは本来の意味での甘茶ではない。
飲料としての甘茶は、江戸時代から[[灌仏会]](花祭り)の際に、[[仏像]]に注ぎかけることが古くから行われてきた。これは、[[釈迦]]の生誕時に[[八大竜王]]が、これを祝って産湯に[[甘露]]を注いだという[[故事]]による風習である<ref name="本山">{{Cite book|和書|title=飲食事典|page=13|author=本山 荻舟|publisher=平凡社|year=1958}}</ref>。また、潅仏会の甘茶には虫除けの効果もあると信じられ、甘茶を[[墨]]に混ぜてすり、四角の白紙に「千早振る卯月八日は吉日よ かみさけ虫を成敗ぞする<ref>{{Cite web|和書|url=https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E9%99%A4%E3%81%91%E3%81%AE%E6%AD%8C/#jn-227206 |title=除けの歌 |access-date=2023-02-22 |publisher=goo国語辞書,デジタル大辞泉,小学館}}</ref>」と書いて室内や厠の柱にさかさまに貼ると虫除けになるという風習が、かつて日本では見られた<ref name="本山" /><ref group="注釈">かみさけ虫(神下げ虫、紙下げ虫等)とは害虫・とくに[[蛆|蛆虫]]のことである。</ref>。灌仏会が始まった8.9世紀、寺院、宮中では種々の香料を用いた香湯を使っていたが、鎌倉時代になって五香水・五色水になり、江戸時代になり甘茶になった。当時は、甘味の少ない時代であったので、この甘味は貴重だったのかもしれない。常盤津の「はやし詞」に「カッポレカッポレ、アマチャでカッポレ」がある。このカッポレは「活惚」とも書くこともある。


== 性 ==
== 飲料の甘茶の ==
飲料の甘茶は、黄褐色で甘味が感じられる。この甘味は、アマチャの生の葉に、[[フィロズルチン]]と{{仮リンク|イソフィロズルチン|en|isophyllodulcin}}の配糖体が含まれているためである<ref group="注釈">フィロズルチンとイソフィロズルチンには「ズルチン」と付くものの、人工甘味料として知られる[[ズルチン]]とは全く異なる化合物である。</ref>。この配糖体が、アマチャの葉を乾燥させるなどの加工工程を踏んだ結果、加水分解されて、フィロズルチンとイソフィロズルチンが抽出されやすくなる。この抽出されたフィロズルチンとイソフィロズルチンが、[[甘味]]を感じさせる<ref group="注釈">なお、植物中に含まれている配糖体のままでは、甘味は感じられない。</ref>。これらの甘味成分の甘さは、[[スクロース]]の400あるいは600 - 800倍<ref>{{Cite book|和書
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なお、アマチャは苦味成分として{{要出典範囲|[[タンニン]]を含む|title=同じ記事の別の記述と矛盾する|date=2023年6月}}が、[[カフェイン]]は含まない{{要出典|date=2024年8月}}。
花祭りの際に濃すぎるアマチャを飲んだ児童が集団食中毒を起こした事例が報告されている([[最乗寺#食中毒事件|甘茶による集団食中毒事件]])。アジサイ属の植物には葉に青酸配糖体が含まれており、食すと中毒を起こす可能性があるが、それとの関連はよく解っていない。


;適切な濃度
[[厚生労働省]]は濃いアマチャを避けること、2〜3グラムを1リットルの水で煮出すことを推奨している<ref>[http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/higher_det_22.html 自然毒のリスクプロファイル:高等植物:アマチャ] 厚生労働省</ref>。
アマチャは昔から食用とされてきた植物であり、適度な濃さの甘茶を飲用しても害は無い。しかし、あまりに濃過ぎる甘茶を飲むと、中毒を起こして嘔吐する恐れがある。[[最乗寺#食中毒事件|花祭りの際に濃過ぎる甘茶を飲んだ児童が、集団食中毒を起こした事例]]が報告された。<!--一般にアジサイ属の植物には、葉に青酸配糖体が含まれており、食すと中毒を起こす可能性が考えられるものの、それとの関連は判っていない。-->[[厚生労働省]]は濃い甘茶を避け、アマチャの'''乾燥葉2グラムから3グラム程度を、1リットルの水で煮出す'''甘茶の作り方を推奨している<ref>[http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/higher_det_22.html 自然毒のリスクプロファイル:高等植物:アマチャ] 厚生労働省</ref>。

== 薬用 ==
甘味はズルチン類似の物質で糖類ではないため糖尿病に用いられる{{要出典|date=2024年8月}}。

アマチャやアマチャ末は、医療用も含めて一般的な漢方方剤には使用されない[[生薬]]ながら<ref>{{Cite book
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== 食品添加物 ==
アマチャの抽出物は、日本で食品添加物の化学的合成品以外の食品添加物の中で、甘味料として用いられる場合がある<ref>{{Cite book
| title = 食品添加物の実際知識 |edition=第4版 |pages=229、231<!--間のページは無関係なので、勝手に「229-231」とせぬ事。-->
| author = 谷村 顕雄
| publisher = 東洋経済新報社 |date=1992年4月16日
| isbn = 4-492-08349-9
}}</ref>。アマチャ抽出物の使用基準は、定められていない<ref>{{Cite book
| title = 食品添加物の実際知識 |edition=第4版 |pages=222、231<!--間のページは無関係なので、勝手に「222-231」とせぬ事。-->
| author = 谷村 顕雄
| publisher = 東洋経済新報社 |date=1992年4月16日
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== 脚注 ==
== 脚注 ==
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=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[甜茶]]
* [[甜茶]]

* [[アジサイ]]
== 外部リンク ==
* [https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082119.html アマチャ] - 厚生労働省


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甘茶

甘茶(あまちゃ)とは、アジサイ科落葉低木のアジサイ(学名:Hydrangea macrophylla)の変種であるアマチャの若葉を、8月下旬に採取し、日干しして乾燥させた物に、水を噴霧し樽などに詰めて24時間発酵させたものを蒸して揉捻し、再度乾燥させたもの。また、それを煎じ、すなわち煮て作った飲料である。

なお、飲料ではなくその元になっている日本や韓国南部原産の植物は学術的には「アマチャ」(学名:Hydrangea macrophylla var. thunbergii)と片仮名表記をする。中国の甜茶とは別種である。これ以降、飲料を指す場合は「甘茶」と漢字で表記し、植物を指す場合は「アマチャ」と片仮名で表記する。

区別

なお、ウリ科つる性多年草であるアマチャヅルの葉または全草を、湯などで抽出した茶も「甘茶」という場合もあるが、前者の「アマチャ」を使った茶が、本来の甘茶である。また、緑茶ほうじ茶麦茶などに砂糖を入れた飲料は、本来の意味での甘茶ではない。当項目では区別する。

植物のアマチャ

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アマチャは、ガクアジサイHydrangea macrophylla f. normalis)によく似ており、変種と考えられる。発酵前の葉は甘くなく苦い。黒くウーロン茶葉のような外観である。

岐阜県(梶尾)、滋賀県(伊吹山)、兵庫県(宍粟しそう)などに自生している。特に、⻑野県信濃町の甘茶栽培の歴史は古く、元禄14年(1700年)に僧の閑貞が植えて以来、気候風土が適したのか、盛んに栽培されるようになった。一時、消費が落ち生産が少なくなったが、それでも伝統に守られ順調な栽培が行われている。しかし、現状は国内流通量には十分でなく、インドネシアから甘茶が輸入されている。

甘茶と灌仏会

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飲料としての甘茶は、江戸時代から灌仏会(花祭り)の際に、仏像に注ぎかけることが古くから行われてきた。これは、釈迦の生誕時に八大竜王が、これを祝って産湯に甘露を注いだという故事による風習である[1]。また、潅仏会の甘茶には虫除けの効果もあると信じられ、甘茶をに混ぜてすり、四角の白紙に「千早振る卯月八日は吉日よ かみさけ虫を成敗ぞする[2]」と書いて室内や厠の柱にさかさまに貼ると虫除けになるという風習が、かつて日本では見られた[1][注釈 1]。灌仏会が始まった8.9世紀、寺院、宮中では種々の香料を用いた香湯を使っていたが、鎌倉時代になって五香水・五色水になり、江戸時代になり甘茶になった。当時は、甘味の少ない時代であったので、この甘味は貴重だったのかもしれない。常盤津の「はやし詞」に「カッポレカッポレ、アマチャでカッポレ」がある。このカッポレは「活惚」とも書くこともある。

飲料の甘茶の性質

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飲料の甘茶は、黄褐色で甘味が感じられる。この甘味は、アマチャの生の葉に、フィロズルチンイソフィロズルチン英語版の配糖体が含まれているためである[注釈 2]。この配糖体が、アマチャの葉を乾燥させるなどの加工工程を踏んだ結果、加水分解されて、フィロズルチンとイソフィロズルチンが抽出されやすくなる。この抽出されたフィロズルチンとイソフィロズルチンが、甘味を感じさせる[注釈 3]。これらの甘味成分の甘さは、スクロースの400あるいは600 - 800倍[3][4]サッカリンの約2倍である[5]。さらに、アマチャの葉には、例えば、フィロズルチンにグルコースが結合された配糖体が含まれる[注釈 4]。これが加水分解されているため、理屈の上では、グルコースの甘味も加わる。

なお、アマチャは苦味成分としてタンニンを含む[要出典]が、カフェインは含まない[要出典]

適切な濃度

アマチャは昔から食用とされてきた植物であり、適度な濃さの甘茶を飲用しても害は無い。しかし、あまりに濃過ぎる甘茶を飲むと、中毒を起こして嘔吐する恐れがある。花祭りの際に濃過ぎる甘茶を飲んだ児童が、集団食中毒を起こした事例が報告された。厚生労働省は濃い甘茶を避け、アマチャの乾燥葉2グラムから3グラム程度を、1リットルの水で煮出す甘茶の作り方を推奨している[6]

薬用

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甘味はズルチン類似の物質で糖類ではないため糖尿病に用いられる[要出典]

アマチャやアマチャ末は、医療用も含めて一般的な漢方方剤には使用されない生薬ながら[7]、第15改正の日本薬局方にも収録された。抗アレルギー作用歯周病に効果を有するといわれている。

食品添加物

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アマチャの抽出物は、日本で食品添加物の化学的合成品以外の食品添加物の中で、甘味料として用いられる場合がある[8]。アマチャ抽出物の使用基準は、定められていない[9]

脚注

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注釈

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  1. ^ かみさけ虫(神下げ虫、紙下げ虫等)とは害虫・とくに蛆虫のことである。
  2. ^ フィロズルチンとイソフィロズルチンには「ズルチン」と付くものの、人工甘味料として知られるズルチンとは全く異なる化合物である。
  3. ^ なお、植物中に含まれている配糖体のままでは、甘味は感じられない。
  4. ^ 具体的には、フィロズルチン-8-O-β-グルコシドなどが含有されている。

出典

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  1. ^ a b 本山 荻舟『飲食事典』平凡社、1958年、13頁。 
  2. ^ 除けの歌”. goo国語辞書,デジタル大辞泉,小学館. 2023年2月22日閲覧。
  3. ^ 瀬口 正晴、多田 洋、小関 佐貴代、衣笠 治子、道家 晶子、八田 一 著、瀬口 正晴、八田 一(編) 編『食品学各論』化学同人、176頁。ISBN 978-4-7598-0473-7 
  4. ^ Kinghorn, A. Douglas; Compadre, Cesar, M. (2011). “Less Common High-Potency Sweeteners”. In O'Brien-Nabors, Lyn. Alternative Sweeteners (4th ed.). Boca Raton: CRC Press. p. 228. ISBN 978-1-4398-4614-8 
  5. ^ アマチャ” (html). 東邦大学 薬用植物園. 2012年5月27日閲覧。
  6. ^ 自然毒のリスクプロファイル:高等植物:アマチャ 厚生労働省
  7. ^ 山田 陽城・花輪 壽彦・金 成俊(編集), ed (2007年4月20日). 薬学生のための漢方医薬学. 南江堂. p. 331. ISBN 978-4-524-40214-4 
  8. ^ 谷村 顕雄 (1992年4月16日). 食品添加物の実際知識 (第4版 ed.). 東洋経済新報社. pp. 229、231. ISBN 4-492-08349-9 
  9. ^ 谷村 顕雄 (1992年4月16日). 食品添加物の実際知識 (第4版 ed.). 東洋経済新報社. pp. 222、231. ISBN 4-492-08349-9 

関連項目

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外部リンク

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