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落成時の[[所有権|所有者]]は、[[三井金属鉱業]]、古河鉱業(その後[[古河機械金属]]へ社名変更)、三井金属三池精錬所、[[日陸|日本陸運産業]]および[[同和鉱業]]である。[[1984年]](昭和59年)11月21日に三井金属三池精錬所所有車1両(<sup>コ</sup>タキ29306)が三井金属鉱業へ名義変更された。[[1988年]](昭和63年)8月6日に三井金属鉱業所有車2両(<sup>コ</sup>タキ29300、<sup>コ</sup>タキ29306)が[[神岡鉱山|神岡鉱業]]へ名義変更された。 |
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[[1979年]](昭和54年)10月より[[化成品分類番号]]「<small>侵(禁水)</small>84」(侵食性の物質、水と反応する物質、腐食性物質、禁水指定のもの)が標記された。 |
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2023年3月31日 (金) 08:31時点における最新版
国鉄タキ29300形貨車 | |
---|---|
タキ29300形、コタキ29327 2003年8月30日、神岡鉱山前駅 | |
基本情報 | |
車種 | タンク車 |
運用者 |
日本国有鉄道 日本貨物鉄道(JR貨物) |
所有者 |
三井金属鉱業→神岡鉱業 古河鉱業→古河機械金属 三井金属三池精錬所→三井金属鉱業→神岡鉱業 日本陸運産業 同和鉱業 |
製造所 | 富士重工業、川崎重工業、日本車輌製造 |
製造年 | 1976年(昭和51年) - 2004年(平成16年) |
製造数 | 62両 |
常備駅 | 神岡鉱山前駅、岳南富士岡駅、小坂駅他 |
主要諸元 | |
車体色 | 黒又は銀 |
専用種別 | 濃硫酸 |
化成品分類番号 | 侵(禁水)84 |
軌間 | 1,067 mm |
全長 | 10,800 mm |
全幅 | 2,460 mm |
全高 | 3,597 mm |
タンク材質 | 耐候性高張力鋼 |
荷重 | 39 t |
実容積 | 21.1 m3 |
自重 | 14.8 t |
換算両数 積車 | 5.5 |
換算両数 空車 | 1.4 |
台車 | TR225-1、TR213C |
車輪径 | 860 mm |
軸距 | 1,650 mm |
台車中心間距離 | 6,700 mm |
最高速度 | 75 km/h |
国鉄タキ29300形貨車(こくてつタキ29300がたかしゃ)は、1976年(昭和51年)から製作された、濃硫酸専用の 39 t 積 貨車(タンク車)である。
私有貨車として製作され、日本国有鉄道(国鉄)に車籍編入された。1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化後は日本貨物鉄道(JR貨物)に車籍を承継されている。
概要
[編集]1976年(昭和51年)4月28日から2004年(平成16年)にかけて、総数62両(コタキ29300 - コタキ29361)が富士重工業(22両)、川崎重工業(20両)、日本車輌製造(20両)の3社で製作された。
それまで製作されていた濃硫酸専用40 t 積タンク車タキ5750形の後継として製作された車両である。1974年(昭和49年)の保安対策に伴う諸基準の改訂に伴い、フレームレス構造・側梁なし台枠を持つ貨車の製作が禁止されたことを受け、台枠に側梁を設け、台車にコロ軸受を採用した。そのため、自重が増加し、荷重はタキ5750形と比べて1 t 減少している。
記号番号表記は特殊標記符号「コ」(全長 12 m 以下)を前置し「コタキ」と標記する。
落成時の所有者は、三井金属鉱業、古河鉱業(その後古河機械金属へ社名変更)、三井金属三池精錬所、日本陸運産業および同和鉱業である。1984年(昭和59年)11月21日に三井金属三池精錬所所有車1両(コタキ29306)が三井金属鉱業へ名義変更された。1988年(昭和63年)8月6日に三井金属鉱業所有車2両(コタキ29300、コタキ29306)が神岡鉱業へ名義変更された。
1979年(昭和54年)10月より化成品分類番号「侵(禁水)84」(侵食性の物質、水と反応する物質、腐食性物質、禁水指定のもの)が標記された。
年度別製造数
[編集]各年度による製造会社と両数、所有者は次のとおりである。(所有者は落成時の社名)
- 昭和51年度 - 1両
- 富士重工業 1両 三井金属鉱業(コタキ29300)
- 昭和52年度 - 5両
- 川崎重工業 5両 古河鉱業(コタキ29301 - コタキ29305)
- 昭和53年度 - 1両
- 富士重工業 1両 三井金属三池精錬所(コタキ29306)
- 昭和54年度 - 5両
- 川崎重工業 5両 古河鉱業(コタキ29307 - コタキ29311)
- 昭和55年度 - 10両
- 川崎重工業 10両 古河鉱業(コタキ29312 - コタキ29321)
- 平成2年度 - 10両
- 富士重工業 10両 日本陸運産業(コタキ29322 - コタキ29331)
- 平成4年度 - 10両
- 富士重工業 10両 同和鉱業(コタキ29332 - コタキ29341)
- 平成14年度 - 5両
- 日本車輌製造 5両 同和鉱業(コタキ29342 - コタキ29346)
- 平成15年度 - 10両
- 日本車輌製造 10両 同和鉱業(コタキ29347 - コタキ29356)
- 平成16年度 - 5両
- 日本車輌製造 5両 同和鉱業(コタキ29357 - コタキ29361)
構造
[編集]タンク体はコタキ29300 - コタキ29341は耐候性高張力鋼製で塗色は黒、コタキ29342以降は耐硫酸性鋼製で無塗装(銀)である。
荷役方式は、搬入は上部の注入口から、搬出は空気弁から空気を注入加圧して上部液出弁から行う上入れ・上出し方式である。
台枠はタキ5750形では自重軽減のために車体側面の側梁を省略していたが、本形式では保安向上のために側梁を設けた。
ブレーキ装置はコタキ29300 - コタキ29321は手ブレーキと積空ブレーキ、コタキ29322以降は手ブレーキとCSD型積空ブレーキである。
台車はスリーピース形状の台車が採用されており、コタキ29300 - コタキ29306はTR225-1、コタキ29307以降はTR213Cである。
下回りの塗色はコタキ29300 - コタキ29341は黒、コタキ29342以降はグレーである。
運用の変遷・現況
[編集]本形式は、1980年(昭和55年)までに22両が製作された時点で製作は一旦中止され、その後の増備は国鉄の財政難もあり、余剰車両活用の観点からタキ45000形の台枠を流用して改造名義で製作したタキ46000形が1985年(昭和60年)に登場し、製作はそちらに移行したが、1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化に際しては22両全車がJR貨物へ継承された。1991年(平成3年)からタキ46000形の種車であるタキ45000形が枯渇したため、本形式の製作が再開され、2004年までに40両が増備された。なお、2002年(平成14年)以降の増備車は初期車が廃車された後に新製されているため、62両全車が同時に在籍していたことはない。
1994年(平成6年)から廃車が開始され、その後も鉄道による硫酸輸送の減少から廃車が進み、2010年(平成22年)4月1日の時点では42両が在籍している。[1]
なお、タキ29312が廃車後、わたらせ渓谷鐵道足尾駅構内で静態保存されている。
脚注
[編集]- ^ 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」鉄道車両年鑑2010年度版 840号107頁「2009年度貨車動向」
参考文献
[編集]- 鉄道公報
- 吉岡心平 『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑(復刻増補)』 2008年、ネコ・パブリッシング刊 ISBN 978-4-7770-0583-3
- 『日本の貨車-技術発達史-』(貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年)