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蛇口（じゃぐち）は、水道水などの液体を運ぶ管の出口部分、あるいはその部分の器具のこと。液体の流れの開閉や流量を調整する栓（バルブ）がついている。水用のものは水栓、もしくはカランともいう。

概要

もっとも一般的なものは上水道用のものであり、室内では洗面所、台所、浴室、に設置されている。これらの場所の場合、温水用の蛇口も併設されている場合があり、さらに口がまとめられ水と温水を混合できるものもあり混合水栓と呼ばれる。屋外では庭、公園など水を必要とする各所で見ることができる。管口内側には整流板が取り付けてあり飛散を防いでいる^[1]。

栓はつまみや、レバーを人手で操作するのが一般的である。レバー方式（シングル湯水混合水栓）は従前、上げ止め式、下げ止め式の両方があり、阪神・淡路大震災時、落下物で貴重な水を流出させてしまった経験から下げ止め式レバーが主流となったという説があるが、実際の理由は欧米で「下げ止め式」が圧倒的に普及していることに合わせたためである。^[要出典]赤外線センサーにより手を差し出すことで自動的に開栓するものも普及しつつある。

施工時には、クロスコネクションによる汚染防止のため、洗面台のあふれ縁から吐水口空間を設けて取り付けることとなっている。

語源

蛇口

「蛇口」の語源は、日本の近代水道初期に道路脇の共用栓（公共水飲み場用の水栓）のデザインで、生物としての蛇を用いたことに由来する。

1887年（明治20年）に横浜から日本の近代水道が始まったが、当時はイギリスから輸入した共用栓に欧州の水の神である獅子の頭部が採用されており、日本製の共用栓を製作する時には龍を用い、一時期は「龍頭（竜頭りゅうず）」と呼ばれた^[2]^{[注釈 1]}が、その後、その名称は空想上の動物である龍の元となった蛇にちなみ、「蛇体鉄柱式共用栓」と呼ばれた。

やがて専用栓が作られ、この共用栓の名称から「蛇口」と呼ばれるようになった^[3]。

カラン

「カラン」の語源はオランダ語で「鶴」を意味するkraanから来ており^[4]、銭湯などでこの表記が用いられることが多い。

種類

センサー付きの蛇口
手を近づけると自動的に水が流れる。
万能ホーム水栓
吐出部が回転する。上に向けると飲水に便利。
自閉ホーム水栓
ハンドルをひねると水が出、手を離すと止まる水栓。
自在水栓
吐出部が長く、左右に振ることができる。
立水栓
洗面台に立ち上がった形状の水栓。
立水のみ
真上に水が出る、飲水に適した水栓。
2ハンドル混合栓
適温の水が出るよう湯水の量を各ハンドルで調整する。
サーモスタット混合栓
指定した温度になるよう湯水の量を自動調整する。
湯屋カラン
入浴施設用。
湯飲みを押しつけると熱湯が出る。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

^ 中国語では、蛇口を「水竜頭」（繁体字: 水龍頭、簡体字: 水龙头）と言う。

出典

^ 管野浩編『雑学おもしろ事典頭に栄養と休養を』日東書院、1988年5月、361頁。ISBN 4-528-00518-2。
^ 「堂下に一場あり、板を以て椽とし、中に上水の櫃を安んじ、竜頭を施して汲むに便にす」（久米邦武『米欧回覧実記』（1877年））
^ 高堂彰二『トコトンやさしい水道の本』日刊工業新聞社〈B&Tブックス今日からモノ知りシリーズ〉、2011年11月、26-30頁。ISBN 978-4-526-06780-8。
^ “カランとは｜用語辞典｜WEBコラム｜杉田エース株式会社｜建築金物総合商社”. www.sugita-ace.co.jp. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月22日閲覧。

外部リンク

水栓・蛇口を知ろう - カクダイ

[3] 中国語では、蛇口を「水竜頭」（繁体字: 水龍頭、簡体字: 水龙头）と言う。

[zatsugakuomoshirojiten_p361-1] 管野浩編『雑学おもしろ事典頭に栄養と休養を』日東書院、1988年5月、361頁。ISBN 4-528-00518-2。

[2] 「堂下に一場あり、板を以て椽とし、中に上水の櫃を安んじ、竜頭を施して汲むに便にす」（久米邦武『米欧回覧実記』（1877年））

[4] 高堂彰二『トコトンやさしい水道の本』日刊工業新聞社〈B&Tブックス今日からモノ知りシリーズ〉、2011年11月、26-30頁。ISBN 978-4-526-06780-8。

[5] “カランとは｜用語辞典｜WEBコラム｜杉田エース株式会社｜建築金物総合商社”. www.sugita-ace.co.jp. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月22日閲覧。

[1]

[2]

[注釈 1]

[3]

[4]

@@ 1行目: / 1行目: @@
+{{Otheruses|水道設備の器具等|[[中華人民共和国|中国]][[深圳市]]の地名|蛇口街道}}
-[[ファイル:Wasserhahn.jpg|thumb|洗面所の蛇口]]
+[[ファイル:Wasserhahn.jpg|thumb|300px|洗面所の蛇口]]
-'''蛇口'''（じゃぐち）は[[水道]]水などの液体を運ぶ管の出口部分、あるいはその部分の器具のこと。液体の流れの開閉や流量を調整する栓（[[バルブ]]）がついている。水用のものは'''水栓'''、もしくは'''カラン'''ともいう。
+[[ファイル:Tap.svg|thumb|200px|単水栓の断面図]]
+'''蛇口'''（じゃぐち）は、[[水道]]水などの液体を運ぶ管の出口部分、あるいはその部分の器具のこと。液体の流れの開閉や流量を調整する栓（[[バルブ]]）がついている。水用のものは'''水栓'''、もしくは'''カラン'''ともいう。
+== 概要 ==
-もっとも一般的なものは[[上水道]]用のものであり、室内では[[洗面所]]、[[台所]]、[[浴室]]に設置されている。これらの場所の場合、温水用の蛇口も併設されている場合があり、さらに口がまとめられ水と温水を混合できるものもある。屋外では[[庭]]、[[公園]]など水を必要とする各所で見ることができる。管口内側には整流板が取り付けてあり飛散を防いでいる<ref name="zatsugakuomoshirojiten_p361"> 管野浩編 『雑学おもしろ事典』 p.361 日東書院 1991年</ref>。
+もっとも一般的なものは[[上水道]]用のものであり、室内では[[洗面所]]、[[台所]]、[[浴室]]、に設置されている。これらの場所の場合、温水用の蛇口も併設されている場合があり、さらに口がまとめられ水と温水を混合できるものもあり混合水栓と呼ばれる。屋外では[[庭]]、[[公園]]など水を必要とする各所で見ることができる。管口内側には整流板が取り付けてあり飛散を防いでいる<ref name="zatsugakuomoshirojiten_p361">{{Cite book |和書 |editor=管野浩 |title=雑学おもしろ事典 頭に栄養と休養を |publisher=日東書院 |date=1988-05 |isbn=4-528-00518-2 |page=361}}</ref>。
-栓はつまみや、[[レバー (操作機具)|レバー]]を人手で操作するのが一般的である。レバー方式（シングル湯水混合水栓）は従前、上げ止め式、下げ止め式の両方があり、[[阪神・淡路大震災]]時、落下物で貴重な水を流出させてしまった経験から下げ止め式レバーが主流となったという説があるが、実際の理由は欧米で「下げ止め式」が圧倒的に普及していることに合わせたためである。[[赤外線]]センサーにより手を差し出すことで自動的に開栓するものも普及しつつある。
+栓はつまみや、[[レバー (操作機具)|レバー]]を人手で操作するのが一般的である。レバー方式（シングル湯水混合水栓）は従前、上げ止め式、下げ止め式の両方があり、{{要出典範囲|date=2019年8月|[[阪神・淡路大震災]]時、落下物で貴重な水を流出させてしまった経験から下げ止め式レバーが主流となったという説があるが、実際の理由は欧米で「下げ止め式」が圧倒的に普及していることに合わせたためである。}}[[赤外線]]センサーにより手を差し出すことで自動的に開栓するものも普及しつつある。
 施工時には、[[クロスコネクション]]による汚染防止のため、洗面台のあふれ縁から吐水口空間を設けて取り付けることとなっている。
-なお、[[英語]]の"tap"には[[ガス栓]]も含まれる。
 == 語源 ==
+=== 蛇口 ===
-「蛇口」の語源は、日本の近代水道初期に[[道路]]脇の共用栓（公共水飲み場用の水栓）のデザインで「[[ヘビ|蛇]]」を用いたことに由来する。1887年（明治20年）に[[横浜]]から日本の近代水道が始まったが、当時は[[イギリス]]から輸入した共用栓に[[欧州]]の水の[[神]]である「[[ライオン]]の頭部」（獅子頭）が採用されており、日本製の共用栓を製作する時には「[[竜|龍]]」を用いたが、その名称は空想上の動物である龍の元となった生物としての「蛇」から「蛇体鉄柱式共用栓」と呼ばれた。やがて専用栓が作られたが、この共用栓の名称から「蛇口」と呼ばれるようになった<ref>高堂彰ニ著、『水道の本』、[[日刊工業新聞|日刊工業新聞社]]、2011年11月16日初版1刷発行、ISBN 9784526067808、26-30頁</ref>。
+[[ファイル:Lion Head water tap 01.jpg|サムネイル|150px|獅子の頭部を水栓とした例]]
+「蛇口」の語源は、日本の近代[[水道]]初期に[[道路]]脇の共用栓（公共水飲み場用の水栓）のデザインで、生物としての[[ヘビ|蛇]]を用いたことに由来する。
+年（明治20年）に[[横浜市|横浜]]から日本の近代水道が始まったが、当時は[[イギリス]]から輸入した共用栓に[[欧州]]の水の[[神]]である[[ライオン|獅子]]の頭部が採用されており、日本製の共用栓を製作する時には[[竜|龍]]を用い、一時期は「龍頭（竜頭 りゅうず）」と呼ばれた<ref>「堂下に一場あり、板を以て椽とし、中に上水の櫃を安んじ、'''竜頭'''を施して汲むに便にす」（[[久米邦武]]『米欧回覧実記』（1877年））</ref><ref group="注釈">中国語では、蛇口を「水竜頭」（{{繁体字|水龍頭}}、{{簡体字|水龙头}}）と言う。</ref>が、その後、その名称は空想上の動物である龍の元となった蛇にちなみ、「蛇体鉄柱式共用栓」と呼ばれた。
-「カラン」の語源は[[オランダ語]]で「[[ツル|鶴]]」を意味する''kraan''から来ており<ref>http://www.sugita-ace.co.jp/column/archives/2007/08/29/entry1465.html</ref>、[[銭湯]]などでこの表記が用いられることが多い。
+やがて専用栓が作られ、この共用栓の名称から「蛇口」と呼ばれるようになった<ref>{{Cite book |和書 |author=高堂彰二 |title=トコトンやさしい水道の本 |publisher=[[日刊工業新聞社]] |series=B&Tブックス 今日からモノ知りシリーズ |date=2011-11 |isbn=978-4-526-06780-8 |pages=26-30}}</ref>。
+===カラン===
+「カラン」の語源は[[オランダ語]]で「[[ツル|鶴]]」を意味する''kraan''から来ており<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.sugita-ace.co.jp/column/archives/2007/08/29/entry1465.html |title=カランとは｜用語辞典｜WEBコラム｜杉田エース株式会社｜建築金物総合商社 |website=www.sugita-ace.co.jp |accessdate=2018-07-22 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20160304122348/http://www.sugita-ace.co.jp/column/archives/2007/08/29/entry1465.html |archivedate=2016-03-04}}</ref>、[[銭湯]]などでこの表記が用いられることが多い。
+== 種類 ==
+<gallery>
+センサー付きの蛇口.jpg|alt=島根県出雲市のスーパーマーケットで撮影されたセンサー付きの蛇口|センサー付きの蛇口<br />手を近づけると自動的に水が流れる。
+Hie Station ag10 11.JPG|万能ホーム水栓<br />吐出部が回転する。上に向けると飲水に便利。
+良い子は手を洗いましょう (11920700933).jpg|自閉ホーム水栓<br />ハンドルをひねると水が出、手を離すと止まる水栓。
+蛇口 石けん (23453552034).jpg|自在水栓<br />吐出部が長く、左右に振ることができる。
+凍結防止のため、チョロ水を出しております。 ご理解をお願いいたします。 茅野市役所 (34775578322).jpg|立水栓<br />洗面台に立ち上がった形状の水栓。
+Pelican with plumbing (44062127).jpg|立水のみ<br />真上に水が出る、飲水に適した水栓。
+露天風呂 (80887123).jpg|2ハンドル混合栓<br />適温の水が出るよう湯水の量を各ハンドルで調整する。
+湯屋カラン.jpg|サーモスタット混合栓<br />指定した温度になるよう湯水の量を自動調整する。
+Tap of Men's Bath of Kodakara-Yu.jpg|湯屋カラン<br />入浴施設用。
+北日本カコー株式会社 (19579133484).jpg|湯飲みを押しつけると熱湯が出る。
+</gallery>
 == 脚注 ==
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+=== 出典 ===
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