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「コスプレ系飲食店」の版間の差分

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'''コスプレ系飲食店'''(コスプレけいいんしょくてん)とは、[[漫画]]や[[アニメ]]を中心とした[[サブカルチャー]]、とりわけ[[おたく]]文化を取り入れ、店員が[[コスプレ]]をして接客を行う[[飲食店]]である。
'''コスプレ系飲食店'''(コスプレけいいんしょくてん)とは、[[漫画]]や[[アニメ (日本のアニメーション作品)|アニメ]]を中心とした[[サブカルチャー]]、とりわけ[[おたく]]文化を取り入れ、店員が[[コスプレ]]をして接客を行う[[飲食店]]である。


== 概要 ==
== 概要 ==
[[喫茶店]]ないしは[[居酒屋]]などを[[業態]]とする飲食店である。[[女性]]店員が[[メイド]]のコスプレを行って接客する喫茶店を特に'''メイド喫茶'''あるいは'''メイドカフェ'''と呼び、[[男性]]店員が[[執事]]のコスプレをして接客する飲食店を'''執事喫茶'''と呼ぶ。女性店員が男装のコスプレをして接客を行う'''王子喫茶'''や'''ギャルソン喫茶'''もある。メイド喫茶では客を旦那様のお屋敷に招きパーラーメイドが客に給仕もしくは、客を「旦那様(ご主人様)」、「お嬢様」してメイドが給仕するケースがある。サービスコンセプトとしては、「[[癒やし]]」をテーマにした店舗や「[[萌え]]」をテーマにした店舗など様々あり、店員とのコミュニケーションも魅力のひとつとなっている。
[[女性]]店員が[[メイド]]のコスプレを行って接客する喫茶店を特に'''[[メイド喫茶]]'''、メイド喫茶に[[ガールズバー]]、[[キャバクラ]]の要素を含めたものを'''メイドカフェ'''と呼び、[[男性]]店員が[[執事]]のコスプレをして接客する飲食店を'''執事喫茶'''女性店員が男装のコスプレをして接客を行う'''王子喫茶'''や'''ギャルソン喫茶'''と呼んでいる。


これらの業態は店に何かのコンセプトがあるということが共通しており、さらにメイドカフェから始まったため、一括して「'''コンセプトカフェ'''」<ref>{{Cite web |url=https://con-ca.jp/column/article_1/ |title=コンカフェとは?各種コンセプトや業態・サービス内容について|CONCA (コンカ) |access-date=2022-09-07 |website=【CONCA (コンカ)】}}</ref>と総称するようになった。
コスプレ系飲食店の[[ウェイトレス]]は主に[[漫画]]、[[アニメ]]、[[ゲーム]]に登場したキャラクターが元になっている。なお、衣装としての[[メイド服]]は[[19世紀]]末に[[イギリス]]に実在したものが[[映画]]、アニメ、ゲームなどに取り入れられデフォルメされたという説もある。近年はアニメやゲームのコスプレやメイド服以外にも[[巫女]]、[[修道女|シスター]]、[[女子高生]]、[[ゴシック・アンド・ロリータ|ゴスロリ]]、[[アイドル]]風など様々なコスチュームを制服として採用し、世界観を持つ店舗が登場している。


店内内装や制服、メニューなどにある特定のテーマを打ちだして営業する飲食店であり、メイドカフェはその一形態にくくられることになった<ref name="tokyo202165">「[http://www.tokyo-np.co.jp/article/108666 メイドカフェに見せかけ、強引に…コロナで変わる秋葉原 らしさどう守る?]」東京新聞 TOKYO Web2021年6月5日</ref>。
アルコールを提供する[[居酒屋]]、[[バー (酒場)|バー]]やマッサージを行う[[リフレクソロジー#JKリフレ・メイドリフレ|リフレ]]店の形態を取る店舗も増えている。

コスプレ系飲食店は全国各地に広まり、一般にも広く認知されている。因みに店舗のほとんどは東京都や大阪府などの都市部に集中している。2021年現在、秋葉原地区には約200店ほどのコンカフェがあるとされる<ref name="tokyo202165" />。

発生当時のサービスコンセプトとしては、「[[癒やし]]」をテーマにした店舗や「[[萌え]]」をテーマにした店舗など様々であり、店員とのコミュニケーションも魅力のひとつとなっている。

コスプレ系飲食店の[[ウェイトレス]]は、[[漫画]]、アニメ、[[ゲーム]]に登場するキャラクターが元となっている。近年はアニメやゲームのコスプレやメイド服以外にも[[巫女]]、[[修道女|シスター]]、[[女子高生]]、[[ゴシック・アンド・ロリータ|ゴスロリ]]、[[アイドル]]風など、さまざまなコスチュームを制服として採用する店舗が登場している。

店員に歌や踊りをさせ客を楽しませる店舗も出現した。そこに特化してアイドル志望の人間を店員にし、地下アイドルとしてデビューをさせプロデュース業と兼務をする店舗も現れている。

近年では店舗の増加による競争の激化や客単価増加目的、おたくブームをあてにした夜の飲食業の参入が相次ぎ、喫茶店形式ではなくアルコールを提供する[[居酒屋]]、[[バー (酒場)|バー]]、キャバクラ、ガールズバー、またマッサージを行う[[リフレクソロジー#JKリフレ・メイドリフレ|リフレ]]店の形態を取る店舗が増えてきており、現在ではこの業態が主流となっている。

このような理由により経営者や客層もおたく層から一般層に広がったため、「癒し」や「萌え」よりもわかりやすい「コミュニケーション」がクローズアップ、さらにそこにサービスを集中する店舗も現れた。

2020年台頃から本来、「コンセプトカフェ」の略語であった「コンカフェ」という言葉が独立し、意味も「コンカフェ」=「コスプレガールズバー」、「コスプレキャバクラ」などの認識に変化している。特に男性がキャストの場合は「[[メンズコンカフェ]]」=「メンコン」と呼ばれる。


== 歴史 ==
== 歴史 ==
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コスプレ系飲食店ができる以前にも[[アンナミラーズ]]など[[ウェイトレス]]の[[制服]]に特徴があり、話題となる飲食店は存在していた。
コスプレ系飲食店ができる以前にも[[アンナミラーズ]]など[[ウェイトレス]]の[[制服]]に特徴があり、話題となる飲食店は存在していた。


ウェイトレスの制服をコンセプトとしたゲームは『[[ヴァリアブル・ジオ]]』シリーズ([[1993年]]-)や[[Piaキャロットへようこそ!!シリーズ|『Piaキャロットへようこそ!!』シリーズ]]([[1996年]]-)など、パソコン用に多数発売されており、当時のパソコンユーザーから支持を得ていた。
ウェイトレスの制服をコンセプトとしたゲームは『[[ヴァリアブル・ジオ]]』シリーズ([[1993年]]-)や[[Piaキャロットへようこそ!!シリーズ|『Piaキャロットへようこそ!!』シリーズ]]([[1996年]]-)など、パソコン用に多数発売されており、当時のパソコンユーザーから支持を得ていた<ref name="nissei2022215">「[http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=70239?pno=2&site=nli 昨今のメイドカフェ事情-「萌え萌えキュン」だけがコンカフェじゃない!?]」ニッセイ基礎研究所2022年2月15日</ref>


[[1999年]]には、制服系ジャンルオンリー[[同人誌即売会]]「[[コスチュームカフェ]]」が始まった。こうした中、同人誌即売会やコスプレイベントではオタクの理想の具現化として人気キャラやメイドが接客するカフェの営業がイベント内で恒例化するようになった。一つは前述の「コスチュームカフェ」のイベント内で、主催者がコスプレ店員のいるカフェイベントを開催したものである。このイベントは好評を博し、同イベント及び姉妹イベントの「[[帝國メイド倶楽部]]」で毎回行われるようになった。もう一つはキャラクターコンテンツ製作会社「[[ブロッコリー (企業)|ブロッコリー]]」が行った企画である。[[1998年]]8月に開催された「[[東京キャラクターショー]]」で『Piaキャロットへようこそ!!』の舞台であるレストランを模した喫茶店を設置、作中の制服をまとったウェイトレスが飲食物を販売した。この企画が成功を収め、コスプレ系飲食店の下地を作った{{#tag:ref|こうしたイベント内で行われるコスプレ喫茶は現在でも[[同人誌即売会]]や展示会などで、主にアニメやゲームのプロモーション企画として新作品や人気作品のキャラクターを用いて行われている。|group="注"}}。
[[1999年]]には、制服系ジャンルオンリー[[同人誌即売会]]「[[コスチュームカフェ]]」が始まった<ref name="nissei2022215" />。こうした中、同人誌即売会やコスプレイベントではオタクの理想の具現化として人気キャラやメイドが接客するカフェの営業がイベント内で恒例化するようになった。一つは前述の「コスチュームカフェ」のイベント内で、主催者がコスプレ店員のいるカフェイベントを開催したものである。このイベントは好評を博し、同イベント及び姉妹イベントの「帝國メイド倶楽部」で毎回行われるようになった。もう一つはキャラクターコンテンツ製作会社「[[ブロッコリー (企業)|ブロッコリー]]」が行った企画である。[[1998年]]8月に開催された「[[東京キャラクターショー]]」で『Piaキャロットへようこそ!!』の舞台であるレストランを模した喫茶店を設置、作中の制服をまとったウェイトレスが飲食物を販売した<ref name="gendai202186">「[https://gendai.media/articles/-/85735 メイドカフェの「メイド」が悩む、時間外労働としての「SNS労働」]」現代ビジネス2021年8月6日</ref>。この企画が成功を収め、コスプレ系飲食店の下地を作った{{#tag:ref|こうしたイベント内で行われるコスプレ喫茶は現在でも[[同人誌即売会]]や展示会などで、主にアニメやゲームのプロモーション企画として新作品や人気作品のキャラクターを用いて行われている。|group="注"}}。


=== コスプレ喫茶の誕生 ===
=== コスプレ喫茶の誕生 ===
東京キャラクターショーでの企画の成功を受けブロッコリーは、[[1999年]]7月から[[ゲーマーズ]]スクエア店にて「Piaキャロレストラン」を、数回にわたって期間限定で開店し話題呼んだ。[[2000年]][[5月1日]]には「カフェ・ド・コスパ」として常設運営を開始、店員はこれまでのPiaキャロットシリーズだけではなく他の作品のコスプレもして人気を獲得していった。
東京キャラクターショーでの企画の成功を受けブロッコリーは、[[1999年]]7月から[[ゲーマーズ]]スクエア店にて「Piaキャロレストラン」を、数回にわたって期間限定で開店<ref name="nissei2019617">「[http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=61840?site=nli 現代消費文化覗く-あなたの知らないオタクの世界(3)]」ニッセイ基礎研究所2019年6月17日</ref>。[[2000年]][[5月1日]]には「カフェ・ド・コスパ」として常設運営を開始<ref name="gendai202186" />、店員はこれまでのPiaキャロットシリーズだけではなく他の作品のコスプレもった<ref name="nissei2022215" />


また[[2000年]][[2月25日]]、ゲーマーズ旧本店に「ゲーマーズカフェ」を開店。開店当初は[[デ・ジ・キャラット]]のコスプレをした店員がいた他、「[[ギャラクシーエンジェル|GA]]カフェ」、「[[朝霧の巫女]]カフェ」などそれぞれの作品にちなんだコスプレ喫茶を展開した([[2003年]][[4月6日]]の旧本店閉店と同時に終了)。
また[[2000年]][[2月25日]]、ゲーマーズ旧本店に「ゲーマーズカフェ」を開店。開店当初は[[デ・ジ・キャラット]]のコスプレをした店員がいた他、「[[ギャラクシーエンジェル|GA]]カフェ」、「[[朝霧の巫女]]カフェ」などそれぞれの作品にちなんだコスプレ喫茶を展開した([[2003年]][[4月6日]]の旧本店閉店と同時に終了)。


=== メイド喫茶の誕生 ===
=== メイド喫茶の誕生 ===
[[2001年]]3月、ゲーマーズスクエア店の運営権がブロッコリーからコスプレ衣装製作会社「[[コスパ]]」とその関連会社に委譲された。それとともに「カフェ・ド・コスパ」も[[3月30日]]に「[[タブリエ・マーケティング#キュアメイドカフェ|CURE MAID CAFÉ]](キュアメイドカフェ)」へとリニューアル、ウェイトレスの制服をメイド服に統一し落ち着いた雰囲気のある空間と「癒やし」をコンセプトに運営されることとなる。これが飲食店としての「[[メイド喫茶]](メイドカフェ)」の第一号店と考えられている<ref>『秋葉原は今』、152頁。</ref>。
[[2001年]]3月、ゲーマーズスクエア店の運営権がブロッコリーからコスプレ衣装製作会社「[[コスパ]]」とその関連会社に委譲された<ref name="nissei2022215" />。それとともに「カフェ・ド・コスパ」も[[3月30日]]に「[[タブリエ・マーケティング#キュアメイドカフェ|CURE MAID CAFÉ]](キュアメイドカフェ)」へとリニューアル、ウェイトレスの制服をメイド服に統一し<ref name="gendai202186" />、落ち着いた雰囲気のある空間と「癒やし」をコンセプトに運営されることとなる。これが飲食店としての「[[メイド喫茶]](メイドカフェ)」の第一号店と考えられている<ref>『秋葉原は今』、152頁。</ref><ref name="nissei2019617" />。


アキバ文化が[[マスメディア]]に取り上げられるようになり一般にも広く知られるようになったのち、さまざまなコスプレ系飲食店が秋葉原で急増する。「CURE MAID CAFÉ」はあくまでウェイトレスがメイドの格好をした喫茶店だったが、[[2002年]][[7月19日]]に「Mary's(メアリーズ)」として開店した後<ref>[https://web.archive.org/web/20070717125605/http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/2002/0717/tzone.htm PC Watch:T・ZONE.、コスプレ喫茶「Mary's」発表記者会見を開催]</ref>同年[[10月1日]]に現店名に変更した<ref>[https://web.archive.org/web/20151005163629/http://www.magnet-hd.co.jp/pressrelease/613 カフェメイリッシュに店名変更のお知らせ]</ref>「[[メイリッシュ|Cafe Mai:lish]]」の登場により、後のメイド喫茶全般にみられるような「特定のコスプレネーム{{#tag:ref|各メイドが持つ名前は制服につけた名札で表示していたり、店舗の公式ウェブサイトで紹介されていたりする<ref name="moemoe">『萌え萌えジャパン 2兆円市場の萌える構造』、34-37頁。</ref>。|group="注"}}を持ったメイドが在籍し、メイドと客のコミュニケーションの場としても機能する」というような形態が定着した<ref name="moemoe"/>。
[[アキバ文化]]が[[マスメディア]]に取り上げられ一般にも広く知られるようになったのち、さまざまなコスプレ系飲食店が秋葉原で急増する。「CURE MAID CAFÉ」はあくまでウェイトレスがメイドの格好をした喫茶店だったが、[[2002年]][[7月19日]]に「Mary's(メアリーズ)」として開店した後<ref>[https://web.archive.org/web/20070717125605/http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/2002/0717/tzone.htm PC Watch:T・ZONE.、コスプレ喫茶「Mary's」発表記者会見を開催]</ref>同年[[10月1日]]に現店名に変更した<ref>[https://web.archive.org/web/20151005163629/http://www.magnet-hd.co.jp/pressrelease/613 カフェメイリッシュに店名変更のお知らせ]</ref>「[[メイリッシュ|Cafe Mai:lish]]」の登場により、後のメイド喫茶全般にみられるような「特定のコスプレネーム{{#tag:ref|各メイドが持つ名前は制服につけた名札で表示していたり、店舗の公式ウェブサイトで紹介されていたりする<ref name="moemoe">『萌え萌えジャパン 2兆円市場の萌える構造』、34-37頁。</ref>。|group="注"}}を持ったメイドが在籍し、メイドと客のコミュニケーションの場としても機能する」というような形態が定着した<ref name="moemoe"/>。


=== コスプレ居酒屋と水商売 ===
=== コスプレ居酒屋と水商売 ===
[[2000年]][[8月]]、[[神田駅 (東京都)|神田駅]]前の[[居酒屋]]「蔵・太平山(くら・たいへいざん)」が毎週日曜限定で'''コスプレ居酒屋'''を開始、一時は予約なしに入店できないほどの人気となり[[角川書店]]の「[[東京ウォーカー]]」にも掲載された(2012年8月28日閉店)。[[2001年]][[11月10日]]には[[台東区]]の秋葉原の近くに個人営業の「ひよこ家」が開店、昼間はメイド喫茶、夜間はメイド居酒屋として営業を行い固定客を確保して定着するようになった。
[[2000年]][[8月]]、[[神田駅 (東京都)|神田駅]]前の[[居酒屋]]「蔵・太平山(くら・たいへいざん)」が毎週日曜限定で'''コスプレ居酒屋'''を開始、一時は予約なしに入店できないほどの人気となり[[角川書店]]の「[[東京ウォーカー]]」にも掲載された(2012年8月28日閉店)。[[2001年]][[11月10日]]には秋葉原の近くに個人営業の「ひよこ家」が開店、昼間はメイド喫茶、夜間はメイド居酒屋として営業を行った。


[[2003年]][[5月3日]]に神田駅前にコスプレ[[パブ]]「MJ+C(エムジェープラスシー、後に[[新橋 (東京都港区)|新橋]]に移転、[[2005年]][[12月13日]]閉店)」が開店して以降はコスプレ居酒屋以外にメイド[[バー (酒場)|バー]]、メイド[[焼肉]]店などができていった。コスプレパブやコスプレ[[キャバクラ]]などはそれ以前から存在していたが、メイド喫茶の増加に伴い新た開店た。また既存の[[ガールズバー]]やキャバクラ、[[風俗店]]の中にもこれまで衣装の一つであったメイド服をデフォルトとする店舗もあらわれた。
[[2003年]][[5月3日]]に神田駅前にコスプレ[[パブ]]「MJ+C(エムジェープラスシー、後に[[新橋 (東京都港区)|新橋]]に移転、[[2005年]][[12月13日]]閉店)」が開店して以降はコスプレ居酒屋以外にメイド[[バー (酒場)|バー]]、メイド[[焼肉]]店などが開店した。コスプレパブやコスプレ[[キャバクラ]]などはそれ以前から存在していたが、メイド喫茶の増加に伴い新た開店が増えた。また既存の[[ガールズバー]]やキャバクラ、[[風俗店]]の中にもこれまで衣装の一つであったメイド服をデフォルトとする店舗もあらわれた。


=== 他地域への拡大 ===
=== 他地域への拡大 ===
2003年[[2月14日]]に「Cafe Mai:lish」が[[吉祥寺#吉祥寺(東京都武蔵野市、地名)|吉祥寺]]に2号店を開店([[2004年]][[2月15日]]閉店)したのをはじめ[[首都圏 (日本)|首都圏]]では[[池袋]]、[[渋谷区|渋谷]]、[[新宿]]や[[中野区|中野]]、[[横浜市|横浜]]などターミナル駅を持つ街にメイド喫茶が開店した。[[池袋駅]]東口の[[サンシャインシティ]]前のいわゆる「[[乙女ロード]]」には[[腐女子]]向けにアレンジした「[[執事]]喫茶」が並び、秋葉原とは客層の異なる独自の文化を形成していった。
店舗数の飽和、治安、客層などの面から秋葉原を避け[[下町]]や[[ベッドタウン]]に開店する事業者があらわれた。2003年[[2月14日]]に「Cafe Mai:lish」が[[吉祥寺]]に2号店を開店([[2004年]][[2月15日]]閉店)したのをはじめ[[首都圏 (日本)|首都圏]]では[[池袋]]、[[渋谷区|渋谷]]、[[新宿]]や[[中野区|中野]]、[[横浜市|横浜]]などターミナル駅を持つ街にメイド喫茶が開店した。[[池袋駅]]東口の[[サンシャインシティ]]前のいわゆる「[[乙女ロード]]」には[[腐女子]]向けにアレンジした「[[執事]]喫茶」が並び、秋葉原とは客層の異なる独自の文化を形成していった。


[[名古屋市|名古屋]]・[[大須]]では「[[グッドウィル (パソコンショップ)|M's Melody]](エムズ・メロディ、2002年9月13日開店)」が、[[札幌市|札幌]]では「Cafe Primevere(カフェ・プリムヴェール、2003年[[2月17日]]開店、2007年[[12月30日]]閉店)」が、[[神戸市|神戸]]では「KANON(カノン、2003年[[8月31日]]開店、[[2008年]][[6月30日]]閉店)」が秋葉原を追うように開店した。
その後、[[名古屋市|名古屋]]・[[大須 (名古屋市)|大須]]、[[札幌市|札幌]]、[[神戸市|神戸]]などが秋葉原を追うように開店した。また、「Cafe Doll(カフェドール)」の様に地方から秋葉原に進出した店舗もあらわれた。

[[2004年]]には[[大阪市|大阪]]・[[日本橋 (大阪市)|日本橋]]に「CCOちゃ(こっちゃ、2004年[[10月16日]]開店)」が開店、[[福岡市|福岡]]では天神地区に「よかちゃ、[[2005年]][[8月]]に開店、[[2014年]][[12月]]閉店」、[[9月8日]]には[[松山市|松山]]に四国初の「メリーメイド」が、[[仙台市|仙台]]では「fairy tale(フェアリー・テール、[[2005年]][[9月18日]]開店)」が、[[広島市|広島]]では[[10月27日]]に「めいぷりてぃ」(2009年10月22日閉店)が、[[沖縄]]では「喫茶キング」(2008年中閉店)が開店している。近年は「Cafe Doll(カフェドール)」の様に地方から秋葉原に進出した店舗もあり[[2007年]]には[[堺市]][[堺区]]・[[南海高野線]][[堺東駅]]近くに「Moe-Cha」が、[[長野市]]の[[長野駅]]近くに「麗」がそれぞれ開店した。


その後も2008年12月現在、札幌から沖縄まで各地に店舗ができており、さらに[[台湾]]・[[台北市|台北]]・[[香港]]、[[大韓民国|韓国]]・[[ソウル特別市|ソウル]]、[[タイ王国|タイ]]・[[バンコク]]、[[シンガポール]]、[[カナダ]]・[[トロント]]の各市内にも常設のメイド喫茶が、また[[中華人民共和国|中国]]・[[北京市|北京]][[上海市|上海]]や[[フランス]]・[[パリ]]などではイベントなどでの期間限定店舗が開店するまでになった。
その後も2008年12月現在、札幌から沖縄まで各地に店舗ができており、さらに[[台湾]]・[[台北市|台北]]・[[香港]]、[[大韓民国|韓国]]・[[ソウル特別市|ソウル]]、[[タイ王国|タイ]]・[[バンコク]]、[[シンガポール]]、[[カナダ]]・[[トロント]]の各市内にも常設のメイド喫茶が、また[[中華人民共和国|中国]]・[[北京市|北京]][[上海市|上海]]や[[フランス]]・[[パリ]]などではイベントなどでの期間限定店舗が開店するまでになった。

中国ではアニメや漫画、オンラインゲームを要素とするいわゆる「二次元産業」はサブカルチャーだったが消費の主流へと移った<ref name="afp20170820">{{Cite news|title=中国「二次元」産業は「打ち出の小づち」|newspaper=AFPBB|date=2017-08-20|url=https://www.afpbb.com/articles/-/3139365|accessdate=2019-02-16}}</ref>。スマートフォンゲーム「陰陽師」を開発したピザハットと網易(NetEase)は、異業種コラボとして「陰陽師」のキャラクターに扮したスタッフが食事を提供するレストランを、北京や上海など1700店舗に展開している<ref name="afp20170820" />。


=== メイド喫茶から非メイド服の喫茶へ ===
=== メイド喫茶から非メイド服の喫茶へ ===
それまで店員の制服や店舗のコンセプトはアニメ・ゲーム系のコスプレまたはメイドがメインの状態だったが、さらにジャンルは広がっていった。名古屋・大須に「大須の巫女茶屋(2003年2-11月)」というメイド同様にコスプレの一ジャンルであり、ゲームでも登場する[[巫女]]をコンセプトとした店舗もあった。また、名古屋には「やすらぎ居酒屋 月天・がってん」(前身の「飲食夜神 月天(いんしょくやしん がってん)」から店名変更)という巫女が接客する居酒屋もあらわれた。
それまで店員の制服や店舗のコンセプトはアニメ・ゲーム系のコスプレまたはメイドがメインの状態だったが、さらにジャンルは広がっていった。名古屋・大須に「大須の巫女茶屋(2003年2-11月)」というメイド同様にコスプレの一ジャンルであり、ゲームでも登場する[[巫女]]をコンセプトとした店舗もあった。また、名古屋には「やすらぎ居酒屋 月天・がってん」(前身の「飲食夜神 月天(いんしょくやしん がってん)」から店名変更)という巫女が接客する居酒屋もあらわれた。


また、萌え属性の一つである「妹萌え」に着目した「妹系カフェ NAGOMI(いもうとけいカフェなごみ)」、[[修道女 |シスター]]や[[教会]]をイメージした「St.GraceCourt(セントグレイスコート)」が[[秋葉原]]に(2010年10月31日閉店)、店舗を[[魔法]]学校であるというコンセプトの下に営業を行う「[[MAGES.#主要事業|王立アフィリア魔法学院]]」が池袋が開店他に[[上野]]、[[六本木]]、名古屋の大須、大阪・日本橋にも同じグループが運営する同一コンセプトの店が開店。2008年[[6月12日]]には秋葉原に「巫女さんかふぇ」が開店、店舗自体が[[神社]]というコンセプトでイベントスペースも併設していた([[2009年]][[1月25日]]閉店)。
また、萌え属性の一つである「妹萌え」に着目した「妹系カフェ NAGOMI(いもうとけいカフェなごみ)」(2012年5月6日閉店)、[[修道女 |シスター]]や[[教会]]をイメージした「St.GraceCourt(セントグレイスコート)」が[[秋葉原]]に(2010年10月31日閉店)、店舗を[[魔法]]学校であるというコンセプトの下に営業を行う「[[MAGES.#主要事業|王立アフィリア魔法学院]]」が池袋が開店{{#tag:ref|他に[[上野]]、[[六本木]]、名古屋の大須、大阪・日本橋にも同じグループが運営する同一コンセプトの店が開店。|group="注"}}。2008年[[6月12日]]には秋葉原に「巫女さんかふぇ」が開店、店舗自体が[[神社]]というコンセプトでイベントスペースも併設していた([[2009年]][[1月25日]]閉店)。


池袋には[[男装]]した女性スタッフによる[[ボーイズラブ]]をコンセプトに据えた(実際は男女カプ系の[[乙女ゲーム]]に近い)「B:Lily-rose(リリーローズ)」(閉店)、メイドとともに扱われることがある[[バトラー|執事]]をコンセプトにした「[[K-BOOKS|執事喫茶 Swallowtail]]」が開店し、[[吉祥寺]]にも2006年[[6月23日]]に「男装レイヤーズ Cafe & Bar Prince」([[クロス吉祥寺]]3F)が開店(2007年[[12月31日]]閉店)して女性客を意識した店舗もあらわれた。
池袋には[[男装]]した女性スタッフによる[[ボーイズラブ]]をコンセプト(実際は男女カプ系の[[乙女ゲーム]]に近い)に据えた「B:Lily-rose(リリーローズ)」(閉店)や男装コスプレイヤーが接客をする[https://dataraw.jp/xinglang-concafe/ 男装BLコンカフェ星狼]、メイドとともに扱われることがある[[バトラー|執事]]をコンセプトにした「[[K-BOOKS|執事喫茶 Swallowtail]]」が開店し、[[吉祥寺]]にも2006年[[6月23日]]に「男装レイヤーズ Cafe & Bar Prince」([[クロス吉祥寺]]3F)が開店(2007年[[12月31日]]閉店)して女性客を意識した店舗もあらわれた。


[[2006年]]6月に渋谷にスタッフ全員が外国人で、外国人執事が女性客をプリンセスとしてもてなすというコンセプトの「外国人執事喫茶 BUTLERS CAFE」が開店。日本初の外国人執事喫茶であった。
[[2006年]]6月に渋谷にスタッフ全員が外国人で、外国人執事が女性客をプリンセスとしてもてなすというコンセプトの「外国人執事喫茶 BUTLERS CAFE」が開店。日本初の外国人執事喫茶であった。
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2006年12月には秋葉原で初の男装カフェ「[[男装Cafe&Bar QUEEN DOLCE|男装Cafe&Bar QUEEN DOLCE]]」が開店。ギャルソン服を着た男装達がシェイカーを振り、カウンターからカクテルを提供した。
2006年12月には秋葉原で初の男装カフェ「[[男装Cafe&Bar QUEEN DOLCE|男装Cafe&Bar QUEEN DOLCE]]」が開店。ギャルソン服を着た男装達がシェイカーを振り、カウンターからカクテルを提供した。


[[2008年]]12月に、[[鷲宮神社]]の最寄り駅である、埼玉県の[[鷲宮駅]]の駅前に、『[[らき☆すた]]』のテーマカフェ、らき☆かふぇがミアグループにより開店。『らき☆すた』のキャラクターの衣装を着た女性スタッフが給仕するコスプレ飲食店であり、『らき☆すた』好きが集まる店として、アニメ町おこしの一例として注目を浴びた。
[[2007年]]11月に、歌と[[オタ芸]]を売りとした「[[DEMPAビル|Dear Stage]]」が台東区秋葉原にオープンした。同店では「ディアガール」と呼ばれる[[ライブアイドル]]が所属し、一日数回のステージとお給仕を行った。店内にはステージが設置され、お酒やお食事を楽しみながら歌を観賞したり[[オタ芸]]を打つことができた。

[[2008年]]12月に、[[鷲宮神社]]の最寄り駅である、埼玉県の[[鷲宮駅]]の駅前に、『[[らき☆すた]]』のテーマカフェ、[[らき☆かふぇ]]が[[ミアグループ]]により開店。『らき☆すた』のキャラクターの衣装を着た女性スタッフが給仕するコスプレ飲食店であり、『らき☆すた』好きが集まる店として、アニメ町おこしの一例として注目を浴びた。

[[2010年]][[3月21日]]、[[茨城県]]の[[ひたちなか海浜鉄道]]と[[鹿島臨海鉄道]]で列車を使ったメイド喫茶「メイドトレイン」を運行した。ひたちなか海浜には[[1960年代]]の古い車両が多いことを逆手に取り、同年代の[[食堂車]]をイメージした[[ウエイトレス]]風の[[メイド]]が、鹿島臨海では[[鹿島臨海鉄道#旧在籍車両|7000形]]を用い、秋葉原のメイド喫茶をイメージした萌え系の[[メイド]]がそれぞれ給仕した。同様な列車は[[西武鉄道]]でも運行された。

2010年[[12月19日]]、西武鉄道で「[[K-BOOKS|執事喫茶 Swallowtail]]」と「[[近畿日本ツーリスト]]」の主催による「バトラーズエクスプレス」を運行した。

== 「メイドカフェ」の商標登録 ==
{{Anchors|商標登録}}
過去にいくつかの企業がこの「メイドカフェ」という言葉の商標登録を申請したが、2006年にゲームメーカー[[アトラス (ゲーム会社)|アトラス]]のグループ企業である、[[パチンコ]]・[[パチスロ]]機メーカー「[[アトム (企業)|アトム]]」が商標権を取得した(2006年6月、第4965354号、指定商品は耳栓他の第9類とスキーワックス他の第28類,飲食物の提供(第43類)等は含まれていない<ref>[https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/TR/JP-2005-101826/C26AB3EE132A49E5E7B21EE83B667647265C415723F3723B6A68FEF025E281C8/40/ja 特許電子図書館] 2021年9月閲覧</ref>)。


== 業務内容 ==
== 業務内容 ==
=== サービス・特典 ===
=== サービス・特典 ===
{{main|メイド喫茶#メニュー}}
[[ポイントカード]]の発行や会員制サービス、店員とのコミュニケーションがとれるサービスなどがある。


[[ポイントカード]]の発行や会員制サービス、店員とのコミュニケーションがとれるサービスなどがある。なおゲームや一部のサービスは「萌えメニュー」、「アミューズメントメニュー」などとして料金が発生することがある。
御主人様、お嬢様の帰宅を記録するポイントカードは満了すると、2ショット撮影や価値の高いコミュニケーションサービスが受けられる。お客をメイドが名前で呼ぶことにより、同一性が保持されリピーター増加に繋がる。コミュニケーションサービスには「お帰りなさいませ、御主人様(店によっては「旦那様」、女性客なら「お嬢様」)」などの挨拶で客を出迎える他に跪いておしぼりを渡す・注文を取る、メイドとゲームで遊ぶ、ドリンクにミルクなどを入れてかき混ぜる(店によっては「愛込め」と呼んでいる)、席でオムライスにケチャップを用いた落書きをする、パスタなどをかき混ぜる、息を吹きかけて冷まして食べさせてあげる、客が帰る時には「行ってらっしゃいませ、ご主人様(旦那様、お嬢様)」と声をかける、などがある。

なおゲームや一部のサービスは「萌えメニュー」、「アミューズメントメニュー」などとして料金が発生することがある。


=== 飲食物 ===
=== 飲食物 ===
[[image:Maid cafe 5.jpg|thumb|250x250px|メイドがチョコレートで装飾したケーキプレート。2013年4月に閉店した<ref name="ぼったくり両巨頭撤退">[http://nippon-bashi.biz/news/20130520_bottakuri.html 日本橋・ぼったくり店舗の“両巨頭”が完全撤退へ? 摘発後の動向] - デシリットル・ファクトリーが運営するサイト『NIPPON-BASHI SHOP HEADLINE』内のページ</ref>大阪のメイド喫茶「めいどりぃむ」にて撮影。|代替文=]]
[[image:Maid cafe 5.jpg|thumb|250x250px|メイドがチョコレートで装飾したケーキプレート。2013年4月に閉店した<ref>[http://nippon-bashi.biz/news/20130520_bottakuri.html 日本橋・ぼったくり店舗の“両巨頭”が完全撤退へ? 摘発後の動向] - デシリットル・ファクトリーが運営するサイト『NIPPON-BASHI SHOP HEADLINE』内のページ</ref>大阪のメイド喫茶「めいどりぃむ」にて撮影。|代替文=]]


提供される飲食物は飲食店で提供されるメニューを基本としているが、以下のような特徴がある。
提供される飲食物は飲食店で提供されるメニューを基本としているが、以下のような特徴がある。
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* [[デザート]]系([[ケーキ]]、[[パフェ]]など)のメニュー。
* [[デザート]]系([[ケーキ]]、[[パフェ]]など)のメニュー。
* 量が少ない。
* 量が少ない。
* フード系では[[オムライス]]が前面に出され、[[ケチャップ]]・[[ソース (調味料)|ソース]]などにより装飾を施す。
* フード系では[[オムライス]]が前面に出され、[[ケチャップ]]・[[ソース (調味料)|ソース]]などにより装飾を施す。ソースなどでトッピングを施し、遊び要素を盛り込む
* 器の盛り付けや装飾にアニメ、[[アスキーアート]]などのキャラクターを用いる。
* 器の盛り付けや装飾にアニメ、[[アスキーアート]]などのキャラクターを用いる。
* ソースなどでトッピングを施し、遊び要素を盛り込む。
* 店員がオリジナル[[カクテル]]を持っている。
* 店員がオリジナル[[カクテル]]を持っている。


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前者の例としては季節にあわせ衣装をメイド服から水着や浴衣、人気アニメのコスプレに変えるなどがある。「Cos-Cha」(2012年[[10月30日]]閉店)では2003年12月15日に店員が[[スクール水着]]を着用するイベントを開催したところ、570人近くの客が集まり待機列が公道にまで伸び、警察が出動して騒ぎになった<ref>『萌え萌えジャパン 2兆円市場の萌える構造』、16頁、39頁。</ref>{{#tag:ref|2012年5月現在でも同店では「プール解放日」として週末にスクール水着イベントを実施している<ref>[http://www.cos-cha.com/event.html Cafe & Kitchen Cos-Cha EVENT](2012年5月20日閲覧)</ref>。|group="注"}}。
前者の例としては季節にあわせ衣装をメイド服から水着や浴衣、人気アニメのコスプレに変えるなどがある。「Cos-Cha」(2012年[[10月30日]]閉店)では2003年12月15日に店員が[[スクール水着]]を着用するイベントを開催したところ、570人近くの客が集まり待機列が公道にまで伸び、警察が出動して騒ぎになった<ref>『萌え萌えジャパン 2兆円市場の萌える構造』、16頁、39頁。</ref>{{#tag:ref|2012年5月現在でも同店では「プール解放日」として週末にスクール水着イベントを実施している<ref>[http://www.cos-cha.com/event.html Cafe & Kitchen Cos-Cha EVENT](2012年5月20日閲覧)</ref>。|group="注"}}。


「NAGOMI」では妹系キャラの店員が[[ツンデレ]]キャラになるというイベントを定期的に開催、[[TBSテレビ|TBS]]の『[[王様のブランチ]]』でもイベントの模様が紹介された。
売上の拡大のためにインターネットを活用や、[[マスメディア]]に登場することは新たな客を獲得することに繋がる。「NAGOMI」では妹系キャラの店員が[[ツンデレ]]キャラになるというイベントを定期的に開催、[[TBSテレビ|TBS]]の『[[王様のブランチ]]』でもイベントの模様が紹介された。


アイドル活動している店員を在籍させる店舗もある。[[2007年]]11月に、歌と[[オタ芸]]を売りとした「[[秋葉原ディアステージ]]」が台東区秋葉原にオープンした。同店では「ディアガール」と呼ばれる[[ライブアイドル]]が所属し、一日数回のステージとお給仕を行っている。
店自体をイベントスペースとして、トークライブやミニライブなどを行っているケースもある。その代表的な店舗は2005年[[11月8日]]に開店した「めいどinじゃぱん」(2007年[[9月9日]]閉店)である<ref name="メイド喫茶で会いましょう">『メイド喫茶で会いましょう』、94頁。</ref>。ドラマ「[[電車男 (テレビドラマ)|電車男]]」に出演した[[野水伊織]]や<ref name="メイド喫茶で会いましょう"/>、のちにメジャーデビューする[[アキバ系アイドル]]の[[桜川ひめこ]]らが在籍していた<ref name="メイド喫茶で会いましょう"/>。期間限定で開店するメイド喫茶(2006年1月の「萌えカフェin[[六本木ヒルズ]]」など)やライブイベントとコラボレーションした「アキバなライブカフェ」、既存のメイド喫茶を借り切って行う移動型店舗形式の「雲雀亭」などメイド喫茶そのものがメインのイベントもある。


== 飲食店以外のコスプレ系業態 ==
== 展開と展望 ==
=== 日本 ===
コスプレ系飲食店は全国各地に広まり、一般にも広く認知されている。ちなみに店舗のほとんどは東京都や大阪府などの都市部に集中している。秋葉原で配布されるフリーペーパーを参照しても、飲食系・非飲食系を問わずコスプレ系業態は秋葉原だけで100店舗にもなる。また店舗数の飽和、治安、客層などの面から秋葉原を避け[[下町]]や[[ベッドタウン]]に開店する事業者もいる。

様々なサービス・イベント・宣伝などを行い利益を出している店舗がある一方で、採算が取れず閉店という選択を取る店舗もある。客の回転を良くするため時間制限を設けたり、チャージ料を設定する店舗もある。既存のメイド喫茶に混じり、あえてポジショニングとしてコミュニケーションを重視した[[キャバクラ]]的なノリの店舗も出てきている<ref>[http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0705/03/news010_3.html ITmedia +D PC USER:5年後の秋葉原を歩く 第2回:“メイドさん”の現在と未来(3/3)]</ref>。

一部では過剰な「アキバ系萌えサービス」を廃し、フードメニューや紅茶やコーヒーに対する専門店並のこだわりを売りにしたメイド喫茶店も出てきている。大阪・日本橋には既存のカフェレストランから業種転換して幅広い客層を取り込み成功した「e-maid(イーメイド)」やオープン前に[[洋食]]店へ修行に行き本格的に料理の腕を磨いたメイドが在籍し内装デザインもメイド自身が手がけた「Love Charm(ラブチャーム、後に閉店)」という店舗があり、萌えだけではなく穏当な価格設定やフードメニューも質と量ともに充実させるという理念を掲げた店も登場している。秋葉原ではフードメニューに力を入れていた「ショコラッテ」(2005年[[8月3日]]開店)が2007年3月31日に閉店し、秋葉原においては店員の質やサービス内容、店の世界観などの重要性が再認識されることとなった。

こうした状況の中、乱立状態にあるメイド喫茶やメイド関連業種の初の業界団体として2007年4月1日に「CANDY FRUIT(キャンディフルーツ)」が中心となって「'''日本メイド協会'''」が設立された。協会加盟の会員間の情報交換や従業員の教育やセミナーの開催、「メイド検定試験」の実施、メイドの普及や地位向上などを主目的としており法人・個人を問わず任意入会を呼びかけることにしている。また、2007年6月には「ミアグループ」が中心となった「'''日本メイド喫茶協同組合'''」が設立された。店舗間に跨る大きな組織をイメージさせるがいずれの団体も加入者の多くは自社、関係者に留まっている。2007年[[10月13日]]に日本メイド協会による第1回メイド検定が実施され、秋葉原のメイドを中心に約60名の受験生が筆記試験を受験した。ただしこの検定内容はあくまでキャンディフルーツ独自の解釈であり、検定の普遍性・公共性を確立したとはいえない状況にある。

==== インターネットとメディアの活用 ====
売上の拡大のためにインターネットを活用や、[[マスメディア]]に登場することは新たな客を獲得することに繋がる。アイドル活動している店員を積極的に在籍させる店舗もある。

2005年12月に[[新語・流行語大賞|ユーキャン流行語大賞]]で秋葉原の「[[@ほぉ〜むカフェ|@home cafe]]」のウェイトレスによるユニット、[[完全メイド宣言]]が「[[萌え|萌え〜]]」でノミネートされている。

==== 飲食店以外のコスプレ系業態 ====
{{出典の明記|section=1|date=2016年10月}}
{{出典の明記|section=1|date=2016年10月}}
秋葉原を中心にコスプレ系飲食店とは別の形で、コスプレをした店員を常駐させた新たな業態が展開されている事例もある。[[漫画]]専門[[古書店]]「[[まんだらけ]]」は、現在のようなコスプレを主体とした店舗ができる以前から「コスプレ店員」を常駐させていた。
秋葉原を中心にコスプレ系飲食店とは別の形で、コスプレをした店員を常駐させた新たな業態が展開されている事例もある。[[漫画]]専門[[古書店]]「[[まんだらけ]]」は、現在のようなコスプレを主体とした店舗ができる以前から「コスプレ店員」を常駐させていた。
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また、秋葉原の街をメイドやJKが案内するというサービスを行う店舗も増加し、ガイド専門の無店舗型の場合とカフェやリフレを併設しサービスのひとつとして行う店舗がある。手つなぎ、ハグ、ビンタ、馬乗りといったオプションがある。
また、秋葉原の街をメイドやJKが案内するというサービスを行う店舗も増加し、ガイド専門の無店舗型の場合とカフェやリフレを併設しサービスのひとつとして行う店舗がある。手つなぎ、ハグ、ビンタ、馬乗りといったオプションがある。


2010年[[12月19日]]、西武鉄道で「[[K-BOOKS|執事喫茶 Swallowtail]]」と「[[近畿日本ツーリスト]]」の主催による「バトラーズエクスプレス」を運行した。
2005年には「メイドホテル」と銘打った宿泊施設も登場、マスメディアやインターネット上で話題となったが採算が取れずに1カ月ほどで閉館となったというケースもある。


==== 出張メイド・イベントコンパニオン業 ====
== イベントコンパニオン業 ==
{{出典の明記|section=1|date=2016年10月}}
{{出典の明記|section=1|date=2016年10月}}
一般的な[[イベントコンパニオン]]業態の範囲内に収まる、コスプレイヤー専門又はコスプレ衣装を着用したアニメ関連企業向けに特化したイベントコンパニオン派遣企業も存在する。通常のコミケ会場企業ブースでのイベントコンパニオンはこれまでモーターショーなどでみかけるモデル体型のイベントコンパニオン又は企業対コスプレイヤー個人の直接契約によるイベントコンパニオンが主であったが、秋葉原のメイドカフェ「ミアカフェ」が運営するコスプレイベントコンパニオン専門派遣企業「ミア・スタッフ」がコスプレイヤーに特化したイベントコンパニオン派遣サービスを展開している。同様に、コスパやキャンディフルーツなどのコスプレ衣装メーカー数社が類似のサービスをイベント向けオーダーメイドコスプレ衣装納入の一環として行なっている。
「出張メイドサービス」という業態もできている。福岡の「maidear(メイディア、現在は営業終了)」がその始まりで、メイドの衣装を着た女性スタッフが派遣され、依頼者の部屋の掃除や洗濯を行うものでその後コスプレ衣装制作会社「[[キャンディフルーツ]]」が東京で同様のサービスを開始。マスメディアに取り上げられた事から話題となり同業者も急増している。このサービスにはオタク層だけでなく、ごく普通の主婦の間でも利用がある。

2007年には[[石川県]][[金沢市]]に、メイドが同乗し買い物や観光などでの外出を補助する「[[メイドたくしー]]」なる福祉[[タクシー]]が登場したが障害者を装った健常者のみの利用が相次ぎ、国土交通省が定める福祉限定許可から外れ、道路運送法に違反する恐れがあるとして1カ月で廃業した。

「出張メイドサービス」と類似するが一般的な[[イベントコンパニオン]]業態の範囲内に収まる、コスプレイヤー専門又はコスプレ衣装を着用したアニメ関連企業向けに特化したイベントコンパニオン派遣企業も存在する。通常のコミケ会場企業ブースでのイベントコンパニオンはこれまでモーターショーなどでみかけるモデル体型のイベントコンパニオン又は企業対コスプレイヤー個人の直接契約によるイベントコンパニオンが主であったが、秋葉原のメイドカフェ「[[ミアカフェ]]」が運営するコスプレイベントコンパニオン専門派遣企業「[[ミア・スタッフ]]」がコスプレイヤーに特化したイベントコンパニオン派遣サービスを展開している。同様に、コスパやキャンディフルーツなどのコスプレ衣装メーカー数社が類似のサービスをイベント向けオーダーメイドコスプレ衣装納入の一環として行なっている。

=== 中国 ===
中国ではアニメや漫画、オンラインゲームを要素とするいわゆる「二次元産業」はサブカルチャーだったが消費の主流へと移った<ref name="afp20170820">{{Cite news|title=中国「二次元」産業は「打ち出の小づち」|newspaper=AFPBB|date=2017-08-20|url=http://www.afpbb.com/articles/-/3139365|accessdate=2019-02-16}}</ref>。

例えば、スマートフォンゲーム「陰陽師」を開発したピザハットと網易(NetEase)は、異業種コラボとして「陰陽師」のキャラクターに扮したスタッフが食事を提供するレストランを、北京や上海など1700店舗に展開している<ref name="afp20170820" />。


== マナーとトラブル ==
== マナーとトラブル ==
コスプレ系飲食店が一般に認知され多くの人が訪れるようになり、さまざまなトラブルもまれに発生するようになった。各店舗はトラブル防止のため、店内掲示やホームページ上などで注意を呼びかけると同時にシステム面の改善に尽力している。一部では店員がキスをされる、胸や尻など体を触られるなどマナーの悪い客も存在した。こうしたトラブルを防止するために「当店はキャバクラではありません」という注意書きを掲示するメイド喫茶や「当店は風俗店ではありません」という注意書きを掲示するリフレ店もある。
コスプレ系飲食店が一般に認知され多くの人が訪れるようになり、さまざまなトラブルもまれに発生するようになった。各店舗はトラブル防止のため、店内掲示やホームページ上などで注意を呼びかけると同時にシステム面の改善に尽力している。一部では店員がキスをされる、胸や尻など体を触られるなどマナーの悪い客も存在した。こうしたトラブルを防止するために「当店はキャバクラではありません」という注意書きを掲示するメイド喫茶や「当店は風俗店ではありません」という注意書きを掲示するリフレ店もある。


秋葉原では店舗間での防犯面での情報交換を目的として、2007年6月に「秋葉原地区メイドカフェ等防犯連絡会議」が設置され、地元商店会や万世橋署とも連携している。コスプレ系飲食店での窃盗や強盗などの事件は置き引きが年に数件報告されているだけであるが、メイド喫茶は男性スタッフが前面に出ないため防犯対策の甘さが指摘されることもあり、「秋葉原地区メイドカフェ等防犯連絡会議」でも議論されている。
コスプレ系飲食店での窃盗や強盗などの事件は置き引きが年に数件報告されているだけである。


ほとんどの店舗が飲食物を除いて、店内の撮影を禁止している。撮影する場合は、メニューやポイント特典にチェキ撮影のある店舗は店側の[[ポラロイドカメラ]]によって行う。店内での無断撮影が問題になった例としては、[[講談社]]の女性誌「[[VoCE]]」による盗撮行為が挙げられる{{#tag:ref|池袋の執事喫茶の「Swallowtail」への潜入記事で、盗撮写真が使用されているとして問題となった<ref>「[http://www.new-akiba.com/archives/2006/05/voce.html 講談社の女性誌「VoCE」が執事喫茶の店内を盗撮した上バカにしている]」にゅーあきばどっとこむ(2006年5月16日)</ref>。|group="注"}}。また、店外でビラ配りをしているときの撮影も禁止している店舗もある。
ほとんどの店舗が飲食物を除いて、店内の撮影を禁止している。撮影する場合は、メニューやポイント特典にチェキ撮影のある店舗は店側の[[ポラロイドカメラ]]によって行う。店内での無断撮影が問題になった例としては、[[講談社]]の女性誌「[[VoCE]]」による盗撮行為が挙げられる{{#tag:ref|池袋の執事喫茶の「Swallowtail」への潜入記事で、盗撮写真が使用されているとして問題となった<ref>「[http://www.new-akiba.com/archives/2006/05/voce.html 講談社の女性誌「VoCE」が執事喫茶の店内を盗撮した上バカにしている]」にゅーあきばどっとこむ(2006年5月16日)</ref>。|group="注"}}。また、店外でビラ配りをしているときの撮影も禁止している店舗もある。
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店員に対する[[ストーカー]]行為は、店舗が最も警戒している行為である。また、メールやラインなどのアドレス交換は禁止してる。アイドル活動している店員のいる店舗では出待ち、入り待ちを禁止している。
店員に対する[[ストーカー]]行為は、店舗が最も警戒している行為である。また、メールやラインなどのアドレス交換は禁止してる。アイドル活動している店員のいる店舗では出待ち、入り待ちを禁止している。


[[2006年]]1月には秋葉原の「CAFE&DIMENSION」の閉店後に男性が店内へ入り閉店作業をしていたメイドを刃物で脅し、無理矢理店外へ連れ出すという事件が発生した。店内で通報していたため、犯人は急行した警官によって店を出た直後に威力業務妨害などの疑いで現行犯逮捕された。また別の事例として同年10月には秋葉原の路上でチラシを配っていたリフレ店のメイドに、男性が客を装って店に案内させ店舗の入居するビルの階段で猥褻な行為に及んだものの、メイドが抵抗したため犯人は逃走し未遂に終わったという事件もおきている。
[[2006年]]10月には秋葉原の路上でチラシを配っていたリフレ店のメイドに、男性が客を装って店に案内させ店舗の入居するビルの階段で猥褻な行為に及んだものの、メイドが抵抗したため犯人は逃走し未遂に終わったという事件もおきている。

過剰な客引きが問題となった事例もある。名古屋のコスプレ喫茶「moexレイヤーズ」(2005年8月-2006年2月)は、JR[[名古屋駅]]の近くで店員が警察の許可を得ずにコスプレ姿で公道で客引き行為を行い、警察から行政指導を受けている。また、大阪・日本橋でも、過剰な客引きを行うメイド店が2010年代に入って横行するようになり、問題となっている<ref name="mainichi120926">{{Cite web|date=2012年9月26日|url=http://mainichi.jp/select/news/20120926k0000m040135000c.html|title=メイド喫茶:気弱なオタク狙い…悪質、大阪・日本橋で横行|publisher=[[毎日新聞]]|language=日本語|accessdate=2012年9月29日}}</ref>。

大阪・日本橋の「めいどりぃむ」は「[[ぼったくり]]行為」を行うと[[朝日放送]]のテレビの情報番組『[[キャスト (テレビ番組)|キャスト]]』で放送された。店員とのトーク代やドリンク代、サービス料などで高額な請求がされたとしている。経営者は「料金説明はしているし、営業自体に問題は無い」と話しているが、弁護士の浦田忠興は「法制度の隙間をくぐったものであり、取り締まるためには新たな法整備が必要」と指摘している<ref>[http://webnews.asahi.co.jp/cast/archives/120206.html 『キャスト』公式ウェブサイト2012年2月9日放送分]</ref>。また同店の経営者は2012年9月別の不正行為(15歳未満を雇ったとして労基法違反)で逮捕されている<ref>[http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120901/crm12090118030004-n1.htm 大阪のメイドカフェ、女子中生働かせる 容疑の経営者逮捕] - MSN産経ニュース</ref><ref>[http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120901/waf12090117540017-n1.htm 難波のメイドカフェ、女子中生3人働かせる 容疑の経営者逮捕] - MSN産経ニュースwest</ref><ref>[http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120902-OYO1T00197.htm メイドカフェで14歳3人が接客…経営者逮捕] - YOMIURI ONLINE</ref>。2013年4月には同店の経営者は風俗営業の許可が無いにもかかわらず従業員に客の接待をさせたとして風営法違反で再度逮捕され<ref>[http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130415/waf13041518570036-n1.htm 無許可メイドカフェ摘発 女子高生ら勤務 「ぼったくり」の苦情も] - MSN産経ニュースwest</ref>、同店は閉店した<ref name="ぼったくり両巨頭撤退" />。他にも、日本橋に於いて、オタクなどを引っ張り込んで高額料金を請求する店が増加しており、地元で問題となっている<ref name="mainichi120926" />。

=== 風営法の規制 ===
{{出典の明記|section=1|date=2022年2月}}
店員が客と1対1で話すなどの接客が'''[[風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律|風営法]]上の[[接待]]'''に当たるのではないかという指摘により警察による指導が行われた事例もある。

2005年10月には福岡県警がメイドの接客内容が風営法で規定されている「接待(客の接待をして客に遊興または飲食をさせる営業)」に当たるとし[[福岡市]]内のメイド喫茶2店舗に対して風俗営業の届け出を行なうよう指導、同2店が風俗営業の許可申請を行った。風俗営業には開業地域や営業時間の制限を受けたり、18歳未満の従業員を雇用することはできないなどの規制がある。愛媛県警も[[松山市]]内のメイド喫茶に同様の指導を行っており、指導を受けた同店は「あくまで『喫茶店』としての営業を続ける」として届け出は出さず、指摘されたサービスを取り止めている。2005年11月には大阪・日本橋地区の店舗にも「客とゲームをする時の接客が接待にあたる」と管轄署である浪速警察署による指導が入り指導を受けた店舗が浪速署に「接待にあたる営業を行わない」とする誓約書を提出、該当するサービスを終了した。

[[警視庁]]は2005年10月時点で都内の店舗に対しては同様の指導は行っていないとしたが2006年11月に[[渋谷]]にある店舗が都内では初めての行政指導を受け、その店舗は営業を休止した。2007年8月には[[静岡市]]で夜間はパブ、土日の昼間はメイド喫茶として営業していた店舗がパブ営業の際に風適法の許可をとらずに女性店員に接待をさせたとして静岡中央署が同店舗の経営者を風適法違反容疑で逮捕、メイド喫茶営業の際にも接待営業があったか調べている。

== コスプレ系飲食店を題材とした作品 ==
コスプレ喫茶やメイド喫茶・メイドカフェを物語の主題や主たる舞台にした作品。

=== 漫画・アニメ ===
* [[ろりぽ∞]]
* [[チェリー]](2006年 - 2007年、ビッグコミックスピリッツ、全4巻、窪之内英策)
* [[会長はメイド様!]]
* [[それでも町は廻っている]]
* [[アキハバラ無法街 〜GUN MAID〜]]
* [[萌える麻雀入門 もえじゃん!]]
* [[ヒミツのアイちゃん]]
* [[この中に1人、妹がいる!]](ライトノベル原作)


過剰な客引きが問題となった事例もある。名古屋のコスプレ喫茶「moexレイヤーズ」(2005年8月-2006年2月)は、JR[[名古屋駅]]の近くで店員が警察の許可を得ずにコスプレ姿で公道で客引き行為を行い、警察から行政指導を受けている。
=== ゲーム ===
* [[ショコラ 〜maid cafe "curio"〜]]
* [[パルフェ 〜ショコラ second brew〜]]
* [[俺の彼女はロリで巨乳で秋葉系]]
* [[すうぃと!]]
* [[人妻コスプレ喫茶]]シリーズ
* [[はじめてのおてつだい]]


業界団体として、2022年1月に秋葉原コンセプトショップ協会が、2022年8月に大須コンセプトカフェ協会が、2023年6月に大阪日本橋コンセプトショップ協会が、それぞれ発足した。
=== その他 ===
類似のものに「コスプレ風俗」というものがあるが、これに関しては「[[性的ロールプレイ]]」を参照。


== 脚注 ==
== 脚注 ==
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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
{{参照方法|date=2022年2月|section=1}}
* [[堀田純司]] 著 『萌え萌えジャパン 2兆円市場の萌える構造』 [[講談社]]、[[2005年]]、ISBN 978-4063646351
* [[堀田純司]] 著 『萌え萌えジャパン 2兆円市場の萌える構造』 [[講談社]]、[[2005年]]、ISBN 978-4063646351
* 早川清・山崎龍・木全直弘・清水銀嶺・佐藤楓 編著 『メイド喫茶で会いましょう』 アールズ出版、[[2008年]]、ISBN 978-4862040787
* 三宅理一 著 『秋葉原は今』 [[芸術新聞社]]、[[2010年]]、ISBN 978-4875861928
* 三宅理一 著 『秋葉原は今』 [[芸術新聞社]]、[[2010年]]、ISBN 978-4875861928


211行目: 154行目:
* [[秋葉原的萌えクィーンコンテスト|萌えクィーンコンテスト]]
* [[秋葉原的萌えクィーンコンテスト|萌えクィーンコンテスト]]
* [[カフェー (風俗営業)]]
* [[カフェー (風俗営業)]]
* [[ブレストラン]]


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[[Category:コスプレ]]
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[[Category:飲食店]]
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[[Category:日本のサブカルチャー]]
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[[Category:日本の発明]]
[[Category:日本の発明]]
[[Category:日本の青少年]]
[[Category:日本の青少年]]

2024年2月27日 (火) 02:56時点における最新版

コスプレ系飲食店(コスプレけいいんしょくてん)とは、漫画アニメを中心としたサブカルチャー、とりわけおたく文化を取り入れ、店員がコスプレをして接客を行う飲食店である。

概要

[編集]

女性店員がメイドのコスプレを行って接客する喫茶店を特にメイド喫茶、メイド喫茶にガールズバーキャバクラの要素を含めたものをメイドカフェと呼び、男性店員が執事のコスプレをして接客する飲食店を執事喫茶、女性店員が男装のコスプレをして接客を行う王子喫茶ギャルソン喫茶と呼んでいる。

これらの業態は店に何かのコンセプトがあるということが共通しており、さらにメイドカフェから始まったため、一括して「コンセプトカフェ[1]と総称するようになった。

店内内装や制服、メニューなどにある特定のテーマを打ちだして営業する飲食店であり、メイドカフェはその一形態にくくられることになった[2]

コスプレ系飲食店は全国各地に広まり、一般にも広く認知されている。因みに店舗のほとんどは東京都や大阪府などの都市部に集中している。2021年現在、秋葉原地区には約200店ほどのコンカフェがあるとされる[2]

発生当時のサービスコンセプトとしては、「癒やし」をテーマにした店舗や「萌え」をテーマにした店舗など様々であり、店員とのコミュニケーションも魅力のひとつとなっている。

コスプレ系飲食店のウェイトレスは、漫画、アニメ、ゲームに登場するキャラクターが元となっている。近年はアニメやゲームのコスプレやメイド服以外にも巫女シスター女子高生ゴスロリアイドル風など、さまざまなコスチュームを制服として採用する店舗が登場している。

店員に歌や踊りをさせ客を楽しませる店舗も出現した。そこに特化してアイドル志望の人間を店員にし、地下アイドルとしてデビューをさせプロデュース業と兼務をする店舗も現れている。

近年では店舗の増加による競争の激化や客単価増加目的、おたくブームをあてにした夜の飲食業の参入が相次ぎ、喫茶店形式ではなくアルコールを提供する居酒屋バー、キャバクラ、ガールズバー、またマッサージを行うリフレ店の形態を取る店舗が増えてきており、現在ではこの業態が主流となっている。

このような理由により経営者や客層もおたく層から一般層に広がったため、「癒し」や「萌え」よりもわかりやすい「コミュニケーション」がクローズアップ、さらにそこにサービスを集中する店舗も現れた。

2020年台頃から本来、「コンセプトカフェ」の略語であった「コンカフェ」という言葉が独立し、意味も「コンカフェ」=「コスプレガールズバー」、「コスプレキャバクラ」などの認識に変化している。特に男性がキャストの場合は「メンズコンカフェ」=「メンコン」と呼ばれる。

歴史

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誕生前

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コスプレ系飲食店ができる以前にもアンナミラーズなどウェイトレス制服に特徴があり、話題となる飲食店は存在していた。

ウェイトレスの制服をコンセプトとしたゲームは『ヴァリアブル・ジオ』シリーズ(1993年-)や『Piaキャロットへようこそ!!』シリーズ1996年-)など、パソコン用に多数発売されており、当時のパソコンユーザーから支持を得ていた[3]

1999年には、制服系ジャンルオンリー同人誌即売会コスチュームカフェ」が始まった[3]。こうした中、同人誌即売会やコスプレイベントではオタクの理想の具現化として人気キャラやメイドが接客するカフェの営業がイベント内で恒例化するようになった。一つは前述の「コスチュームカフェ」のイベント内で、主催者がコスプレ店員のいるカフェイベントを開催したものである。このイベントは好評を博し、同イベント及び姉妹イベントの「帝國メイド倶楽部」で毎回行われるようになった。もう一つはキャラクターコンテンツ製作会社「ブロッコリー」が行った企画である。1998年8月に開催された「東京キャラクターショー」で『Piaキャロットへようこそ!!』の舞台であるレストランを模した喫茶店を設置、作中の制服をまとったウェイトレスが飲食物を販売した[4]。この企画が成功を収め、コスプレ系飲食店の下地を作った[注 1]

コスプレ喫茶の誕生

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東京キャラクターショーでの企画の成功を受けブロッコリーは、1999年7月からゲーマーズスクエア店にて「Piaキャロレストラン」を、数回にわたって期間限定で開店[5]2000年5月1日には「カフェ・ド・コスパ」として常設運営を開始[4]、店員はこれまでのPiaキャロットシリーズだけではなく他の作品のコスプレも行った[3]

また2000年2月25日、ゲーマーズ旧本店に「ゲーマーズカフェ」を開店。開店当初はデ・ジ・キャラットのコスプレをした店員がいた他、「GAカフェ」、「朝霧の巫女カフェ」などそれぞれの作品にちなんだコスプレ喫茶を展開した(2003年4月6日の旧本店閉店と同時に終了)。

メイド喫茶の誕生

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2001年3月、ゲーマーズスクエア店の運営権がブロッコリーからコスプレ衣装製作会社「コスパ」とその関連会社に委譲された[3]。それとともに「カフェ・ド・コスパ」も3月30日に「CURE MAID CAFÉ(キュアメイドカフェ)」へとリニューアル、ウェイトレスの制服をメイド服に統一し[4]、落ち着いた雰囲気のある空間と「癒やし」をコンセプトに運営されることとなる。これが飲食店としての「メイド喫茶(メイドカフェ)」の第一号店と考えられている[6][5]

アキバ文化マスメディアに取り上げられ一般にも広く知られるようになったのち、さまざまなコスプレ系飲食店が秋葉原で急増する。「CURE MAID CAFÉ」はあくまでウェイトレスがメイドの格好をした喫茶店だったが、2002年7月19日に「Mary's(メアリーズ)」として開店した後[7]同年10月1日に現店名に変更した[8]Cafe Mai:lish」の登場により、後のメイド喫茶全般にみられるような「特定のコスプレネーム[注 2]を持ったメイドが在籍し、メイドと客のコミュニケーションの場としても機能する」というような形態が定着した[9]

コスプレ居酒屋と水商売

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2000年8月神田駅前の居酒屋「蔵・太平山(くら・たいへいざん)」が毎週日曜限定でコスプレ居酒屋を開始、一時は予約なしに入店できないほどの人気となり角川書店の「東京ウォーカー」にも掲載された(2012年8月28日閉店)。2001年11月10日には、秋葉原の近くに個人営業の「ひよこ家」が開店、昼間はメイド喫茶、夜間はメイド居酒屋として営業を行った。

2003年5月3日に神田駅前にコスプレパブ「MJ+C(エムジェープラスシー、後に新橋に移転、2005年12月13日閉店)」が開店して以降はコスプレ居酒屋以外にメイドバー、メイド焼肉店などが開店した。コスプレパブやコスプレキャバクラなどはそれ以前から存在していたが、メイド喫茶の増加に伴い新たな開店が増えた。また既存のガールズバーやキャバクラ、風俗店の中にもこれまで衣装の一つであったメイド服をデフォルトとする店舗もあらわれた。

他地域への拡大

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店舗数の飽和、治安、客層などの面から秋葉原を避け下町ベッドタウンに開店する事業者があらわれた。2003年2月14日に「Cafe Mai:lish」が吉祥寺に2号店を開店(2004年2月15日閉店)したのをはじめ、首都圏では池袋渋谷新宿中野横浜などターミナル駅を持つ街にメイド喫茶が開店した。池袋駅東口のサンシャインシティ前のいわゆる「乙女ロード」には腐女子向けにアレンジした「執事喫茶」が並び、秋葉原とは客層の異なる独自の文化を形成していった。

その後、名古屋大須札幌神戸などが秋葉原を追うように開店した。また、「Cafe Doll(カフェドール)」の様に地方から秋葉原に進出した店舗もあらわれた。

その後も2008年12月現在、札幌から沖縄まで各地に店舗ができており、さらに台湾台北香港韓国ソウルタイバンコクシンガポールカナダトロントの各市内にも常設のメイド喫茶が、また中国北京上海フランスパリなどではイベントなどでの期間限定店舗が開店するまでになった。

中国ではアニメや漫画、オンラインゲームを要素とするいわゆる「二次元産業」はサブカルチャーだったが消費の主流へと移った[10]。スマートフォンゲーム「陰陽師」を開発したピザハットと網易(NetEase)は、異業種コラボとして「陰陽師」のキャラクターに扮したスタッフが食事を提供するレストランを、北京や上海など1700店舗に展開している[10]

メイド喫茶から非メイド服の喫茶へ

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それまで店員の制服や店舗のコンセプトはアニメ・ゲーム系のコスプレまたはメイドがメインの状態だったが、さらにジャンルは広がっていった。名古屋・大須に「大須の巫女茶屋(2003年2-11月)」というメイド同様にコスプレの一ジャンルであり、ゲームでも登場する巫女をコンセプトとした店舗もあった。また、名古屋には「やすらぎ居酒屋 月天・がってん」(前身の「飲食夜神 月天(いんしょくやしん がってん)」から店名変更)という巫女が接客する居酒屋もあらわれた。

また、萌え属性の一つである「妹萌え」に着目した「妹系カフェ NAGOMI(いもうとけいカフェなごみ)」(2012年5月6日閉店)、シスター教会をイメージした「St.GraceCourt(セントグレイスコート)」が秋葉原に(2010年10月31日閉店)、店舗を魔法学校であるというコンセプトの下に営業を行う「王立アフィリア魔法学院」が池袋が開店[注 3]。2008年6月12日には秋葉原に「巫女さんかふぇ」が開店、店舗自体が神社というコンセプトでイベントスペースも併設していた(2009年1月25日閉店)。

池袋には男装した女性スタッフによるボーイズラブをコンセプト(実際は男女カプ系の乙女ゲームに近い)に据えた「B:Lily-rose(リリーローズ)」(閉店)や男装コスプレイヤーが接客をする男装BLコンカフェ星狼、メイドとともに扱われることがある執事をコンセプトにした「執事喫茶 Swallowtail」が開店し、吉祥寺にも2006年6月23日に「男装レイヤーズ Cafe & Bar Prince」(クロス吉祥寺3F)が開店(2007年12月31日閉店)して女性客を意識した店舗もあらわれた。

2006年6月に渋谷にスタッフ全員が外国人で、外国人執事が女性客をプリンセスとしてもてなすというコンセプトの「外国人執事喫茶 BUTLERS CAFE」が開店。日本初の外国人執事喫茶であった。

2006年12月には秋葉原で初の男装カフェ「男装Cafe&Bar QUEEN DOLCE」が開店。ギャルソン服を着た男装達がシェイカーを振り、カウンターからカクテルを提供した。

2008年12月に、鷲宮神社の最寄り駅である、埼玉県の鷲宮駅の駅前に、『らき☆すた』のテーマカフェ、らき☆かふぇがミアグループにより開店。『らき☆すた』のキャラクターの衣装を着た女性スタッフが給仕するコスプレ飲食店であり、『らき☆すた』好きが集まる店として、アニメ町おこしの一例として注目を浴びた。

業務内容

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サービス・特典

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ポイントカードの発行や会員制サービス、店員とのコミュニケーションがとれるサービスなどがある。なおゲームや一部のサービスは「萌えメニュー」、「アミューズメントメニュー」などとして料金が発生することがある。

飲食物

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メイドがチョコレートで装飾したケーキプレート。2013年4月に閉店した[11]大阪のメイド喫茶「めいどりぃむ」にて撮影。

提供される飲食物は飲食店で提供されるメニューを基本としているが、以下のような特徴がある。

  • 商品に「萌え」又はアニメ・ゲーム世界を想起させる名前を付けている。
  • デザート系(ケーキパフェなど)のメニュー。
  • 量が少ない。
  • フード系ではオムライスが前面に出され、ケチャップソースなどにより装飾を施す。ソースなどでトッピングを施し、遊び要素を盛り込む。
  • 器の盛り付けや装飾にアニメ、アスキーアートなどのキャラクターを用いる。
  • 店員がオリジナルカクテルを持っている。

上記以外にも、飲食物の味の改善や、新規性より店舗のコンセプトや店員のキャラクター性を補強するなどの性質がある。よりも高級志向、グルメ指向を有する店舗もあり両極化の傾向にある。

コスプレ系飲食店の中でも喫茶店の場合、調理専門の店員を置かず、メイド(コスプレ店員)をキッチン担当とする店舗とキッチン専任スタッフが調理する店舗がある。コスプレ喫茶では料理が一つのサービス提供のツールとして機能している。キッチンやホールに男装のギャルソンを配置する店舗もある。

内装

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店舗内の装飾については萌え絵マスコットキャラクターを前面に出したり、店舗の構造上から通常のオープンカフェのような店舗やテーマ、世界観に基づきお屋敷風に装飾するなど様々である。テーブル席のみの店舗と、カウンターとテーブル席を併設している店舗がある。

イベント

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店舗が独自にコスチュームに変化を持たせ集客を図るイベントや、店舗外で常連客を集めライブや撮影会などを行うイベントがある。

前者の例としては季節にあわせ衣装をメイド服から水着や浴衣、人気アニメのコスプレに変えるなどがある。「Cos-Cha」(2012年10月30日閉店)では2003年12月15日に店員がスクール水着を着用するイベントを開催したところ、570人近くの客が集まり待機列が公道にまで伸び、警察が出動して騒ぎになった[12][注 4]

売上の拡大のためにインターネットを活用や、マスメディアに登場することは新たな客を獲得することに繋がる。「NAGOMI」では妹系キャラの店員がツンデレキャラになるというイベントを定期的に開催、TBSの『王様のブランチ』でもイベントの模様が紹介された。

アイドル活動している店員を在籍させる店舗もある。2007年11月に、歌とオタ芸を売りとした「秋葉原ディアステージ」が台東区秋葉原にオープンした。同店では「ディアガール」と呼ばれるライブアイドルが所属し、一日数回のステージとお給仕を行っている。

飲食店以外のコスプレ系業態

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秋葉原を中心にコスプレ系飲食店とは別の形で、コスプレをした店員を常駐させた新たな業態が展開されている事例もある。漫画専門古書店まんだらけ」は、現在のようなコスプレを主体とした店舗ができる以前から「コスプレ店員」を常駐させていた。

2000年ごろから秋葉原に店舗を構えるインターネットカフェ漫画喫茶ゲームセンターではメイド服を制服にした、もしくはコスプレをした店員が常駐する店がでてきている。更にリラクゼーションマッサージリフレクソロジー)店(マッサージ店単独で営業されている店舗と、メイド喫茶に併設されている店舗とがある)やパチンコ店、雀荘美容室眼鏡店、カラオケボックスなどにも広がりをみせ、漫画喫茶やゲームセンターでも秋葉原以外の地域にコスプレ店員を常駐させている店舗もある。

また、秋葉原の街をメイドやJKが案内するというサービスを行う店舗も増加し、ガイド専門の無店舗型の場合とカフェやリフレを併設しサービスのひとつとして行う店舗がある。手つなぎ、ハグ、ビンタ、馬乗りといったオプションがある。

2010年12月19日、西武鉄道で「執事喫茶 Swallowtail」と「近畿日本ツーリスト」の主催による「バトラーズエクスプレス」を運行した。

イベントコンパニオン業

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一般的なイベントコンパニオン業態の範囲内に収まる、コスプレイヤー専門又はコスプレ衣装を着用したアニメ関連企業向けに特化したイベントコンパニオン派遣企業も存在する。通常のコミケ会場企業ブースでのイベントコンパニオンはこれまでモーターショーなどでみかけるモデル体型のイベントコンパニオン又は企業対コスプレイヤー個人の直接契約によるイベントコンパニオンが主であったが、秋葉原のメイドカフェ「ミアカフェ」が運営するコスプレイベントコンパニオン専門派遣企業「ミア・スタッフ」がコスプレイヤーに特化したイベントコンパニオン派遣サービスを展開している。同様に、コスパやキャンディフルーツなどのコスプレ衣装メーカー数社が類似のサービスをイベント向けオーダーメイドコスプレ衣装納入の一環として行なっている。

マナーとトラブル

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コスプレ系飲食店が一般に認知され多くの人が訪れるようになり、さまざまなトラブルもまれに発生するようになった。各店舗はトラブル防止のため、店内掲示やホームページ上などで注意を呼びかけると同時にシステム面の改善に尽力している。一部では店員がキスをされる、胸や尻など体を触られるなどマナーの悪い客も存在した。こうしたトラブルを防止するために「当店はキャバクラではありません」という注意書きを掲示するメイド喫茶や「当店は風俗店ではありません」という注意書きを掲示するリフレ店もある。

コスプレ系飲食店での窃盗や強盗などの事件は置き引きが年に数件報告されているだけである。

ほとんどの店舗が飲食物を除いて、店内の撮影を禁止している。撮影する場合は、メニューやポイント特典にチェキ撮影のある店舗は店側のポラロイドカメラによって行う。店内での無断撮影が問題になった例としては、講談社の女性誌「VoCE」による盗撮行為が挙げられる[注 5]。また、店外でビラ配りをしているときの撮影も禁止している店舗もある。

店員に対するストーカー行為は、店舗が最も警戒している行為である。また、メールやラインなどのアドレス交換は禁止してる。アイドル活動している店員のいる店舗では出待ち、入り待ちを禁止している。

2006年10月には秋葉原の路上でチラシを配っていたリフレ店のメイドに、男性が客を装って店に案内させ店舗の入居するビルの階段で猥褻な行為に及んだものの、メイドが抵抗したため犯人は逃走し未遂に終わったという事件もおきている。

過剰な客引きが問題となった事例もある。名古屋のコスプレ喫茶「moexレイヤーズ」(2005年8月-2006年2月)は、JR名古屋駅の近くで店員が警察の許可を得ずにコスプレ姿で公道で客引き行為を行い、警察から行政指導を受けている。

業界団体として、2022年1月に秋葉原コンセプトショップ協会が、2022年8月に大須コンセプトカフェ協会が、2023年6月に大阪日本橋コンセプトショップ協会が、それぞれ発足した。

脚注

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注釈

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  1. ^ こうしたイベント内で行われるコスプレ喫茶は現在でも同人誌即売会や展示会などで、主にアニメやゲームのプロモーション企画として新作品や人気作品のキャラクターを用いて行われている。
  2. ^ 各メイドが持つ名前は制服につけた名札で表示していたり、店舗の公式ウェブサイトで紹介されていたりする[9]
  3. ^ 他に上野六本木、名古屋の大須、大阪・日本橋にも同じグループが運営する同一コンセプトの店が開店。
  4. ^ 2012年5月現在でも同店では「プール解放日」として週末にスクール水着イベントを実施している[13]
  5. ^ 池袋の執事喫茶の「Swallowtail」への潜入記事で、盗撮写真が使用されているとして問題となった[14]

出典

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  1. ^ コンカフェとは?各種コンセプトや業態・サービス内容について|CONCA (コンカ)”. 【CONCA (コンカ)】. 2022年9月7日閲覧。
  2. ^ a b メイドカフェに見せかけ、強引に…コロナで変わる秋葉原 らしさどう守る?」東京新聞 TOKYO Web2021年6月5日
  3. ^ a b c d 昨今のメイドカフェ事情-「萌え萌えキュン」だけがコンカフェじゃない!?」ニッセイ基礎研究所2022年2月15日
  4. ^ a b c メイドカフェの「メイド」が悩む、時間外労働としての「SNS労働」」現代ビジネス2021年8月6日
  5. ^ a b 現代消費文化を覗く-あなたの知らないオタクの世界(3)」ニッセイ基礎研究所2019年6月17日
  6. ^ 『秋葉原は今』、152頁。
  7. ^ PC Watch:T・ZONE.、コスプレ喫茶「Mary's」発表記者会見を開催
  8. ^ カフェメイリッシュに店名変更のお知らせ
  9. ^ a b 『萌え萌えジャパン 2兆円市場の萌える構造』、34-37頁。
  10. ^ a b “中国「二次元」産業は「打ち出の小づち」”. AFPBB. (2017年8月20日). https://www.afpbb.com/articles/-/3139365 2019年2月16日閲覧。 
  11. ^ 日本橋・ぼったくり店舗の“両巨頭”が完全撤退へ? 摘発後の動向 - デシリットル・ファクトリーが運営するサイト『NIPPON-BASHI SHOP HEADLINE』内のページ
  12. ^ 『萌え萌えジャパン 2兆円市場の萌える構造』、16頁、39頁。
  13. ^ Cafe & Kitchen Cos-Cha EVENT(2012年5月20日閲覧)
  14. ^ 講談社の女性誌「VoCE」が執事喫茶の店内を盗撮した上バカにしている」にゅーあきばどっとこむ(2006年5月16日)

参考文献

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関連項目

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