コンテンツにスキップ

「フランス国立行政学院」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
タグ: モバイル編集 モバイルウェブ編集
タグ: モバイル編集 モバイルウェブ編集
 
(40人の利用者による、間の85版が非表示)
5行目: 5行目:
|mottoeng =
|mottoeng =
|established = 1945年
|established = 1945年
|closed=2021年12月31日
|type = 公立
|type = 公立
|calendar =
|calendar =
|endowment =
|endowment =
|director = ジャン=マルク・ソーヴェ([[:fr:Jean-Marc Sauvé]])
|director = Nathalie Loiseau<ref>[http://www.vousnousils.fr/2012/10/03/une-diplomate-de-carriere-nathalie-loiseau-nommee-directrice-de-lena-535104 La diplomate Nathalie Loiseau a été nommée mercredi 3 octobre 2012 en Conseil des ministres directrice de l'Ecole nationale d'administration (ENA), devenant ainsi la deuxième femme à diriger la prestigieuse école qui forme les hauts fonctionnaires]</ref>
|undergrad = N/A
|undergrad = [[n/a|N/A]]
|postgrad = 533人
|postgrad = 533人
|staff = 229
|staff = 229
23行目: 24行目:
}}
}}
[[File:Strasbourg-RemiLeblond-ENA-MAMC2.jpg|right|thumb|300px|ストラスブールのENA校舎]]
[[File:Strasbourg-RemiLeblond-ENA-MAMC2.jpg|right|thumb|300px|ストラスブールのENA校舎]]
'''フランス国立行政学院'''(フランスこくりつぎょうせいがくいん、École nationale d'administration、略称は'''ENA (エナ)'''<ref>{{Cite book|和書 |author = [[田中素香]] |year = 2016 |title = ユーロ危機とギリシャ反乱 |publisher = [[岩波書店]] |page = 142 |isbn = 978-4-00-431586-5}}</ref>)は、[[グランゼコール]] (Grandes Ecoles) のひとつであり、[[ラン]]随一の[[エリート]][[官僚]][[養成学校]]。
'''国立行政学院'''(こくりつぎょうせいがくいん、École nationale d'administration、略称は'''ENA (エナ)'''<ref>{{Cite book|和書 |author= 田中素香|authorlink=田中素香 |year = 2016 |title = ユーロ危機とギリシャ反乱 |publisher = [[岩波書店]] |page = 142 |isbn = 978-4-00-431586-5}}</ref>)は、[[エリート]][[官僚]][[養成学校|養成校]]を趣旨とする[[グランゼコール]]である。政治家や企業経営者も多数輩出しており、卒業生の人脈は[[鉄のトイアグル|政官財界]]にまたがっている<ref name="毎日新聞20210421">「[https://mainichi.jp/articles/20210421/ddm/007/030/105000c 仏ENA廃止 大改革か愚民政策か]」/[[吉田徹 (政治学者)|吉田徹]][[同志社大学]]教授(比較政治学)「[https://mainichi.jp/articles/20210421/ddm/007/030/102000c 庶民の批判くみ上げ、多様性模索]」『[[毎日新聞]]』朝刊2021年4月21日(国際面)同日閲覧</ref>


20194月、[[黄色いベスト運動]]が沸き起こり、[[エリート主義]]への民衆の風当たりが強まったことから、同校の卒業生でもある[[エマニュエル・マクロン]][[共和国大統領 (フランス)|大統領]]によって、閉校宣言された<ref>{{Cite web|title=Unconvinced by Macron's promises, Yellow Vests keep up the pressure|url=https://www.france24.com/en/20190427-france-yellow-vest-macron-great-national-debate-act-24-tax-protest|website=France 24|date=2019-04-27|accessdate=2019-05-13|language=en}}</ref><ref>{{Cite web|title=母校を生贄!「エリート」マクロンの反エリート主義 窮地のマクロンが超名門「国立行政学院」の廃止を宣言するまで|url=https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56388?page=1|website=JBpress|date=2019-5-15|accessdate=2019-6-24|language=Ja}}</ref>。
2018秋からの[[黄色いベスト運動]][[エリート主義]]への民衆の風当たりが強まった<ref name="毎日新聞20210421"/>ことから、同校の卒業生でもある[[エマニュエル・マクロン]][[共和国大統領 (フランス)|大統領]]が2019年4月、ENAを廃止する方針を表明<ref>{{Cite web|title=Unconvinced by Macron's promises, Yellow Vests keep up the pressure|url=https://www.france24.com/en/20190427-france-yellow-vest-macron-great-national-debate-act-24-tax-protest|website=France 24|date=2019-04-27|accessdate=2019-05-13|language=en}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=母校を生贄!「エリート」マクロンの反エリート主義 窮地のマクロンが超名門「国立行政学院」の廃止を宣言するまで|url=https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56388?page=1|website=[[JBpress]]|date=2019-5-15|accessdate=2019-6-24|language=Ja}}</ref>。同月8日に改めて廃校を宣言した。他のグランゼコールと共に、2022年1月に新設の「[[国立公務学院]]」(Institut national du service public、INSP)へ統合された<ref name="毎日新聞20210421"/>。


== 概要 ==
== 概要 ==
他の多くのグランゼコールと異なり、[[大学]]または他のグランゼコールを卒業後入学する高等教育機関(3e cycle:第三課程)であり、{{要出典範囲|date=2019年3月|日本の博士後期課程に相当する}}
他の多くのグランゼコールと異なり、大学または他のグランゼコールを卒業後入学する高等教育機関(3e cycle:第三課程)である。[[大学院大学]]に相当する。


設立背景には、[[コーポラティズム]]やネポティズム([[縁故主義]])等の歴史的な理由があった<!--仏語版より-->[[第二次世界大戦]][[1945年]]設立され、歴史は浅いがフランス社会において絶大なる影響力を持っている。とりわけ政界官界において、その存在感が大きいが、[[フランス#経済|フランス資本主義もエナルクが主導]]している。政権中枢を'''エナルク(Enarque、ENA卒業生)'''が占めていること'''エナルシー (Enarchie、[[ラン#概要|エナ帝国]])'''と呼。[[ヴァレリー・ジスカール・デスタン]]以降の[[フランスの大統領]]では、[[フランソワ・ミッテラン]]<ref>但し、ミッテランは第二次世界大戦前に[[パリ政治学院]](シアンスポ)の前身校出身、なおかつ当時エナは未だ設立されていなかった。</ref>や[[ニコラ・サルコジ]]大統領以外は全てエナルクになる。政権閣僚も、サルコジ政権以外ではエナルクによる高い占有率が見られる。
設立背景には、[[フランス銀行#200家族|200家族]]による"協調" を軸にした閉鎖的な[[カルテル]]([[カルテル|談合]])にみる[[特権階級]]層による[[コーポラティズム]]やネポティズム([[縁故資本主義]])等の歴史的な理由があった<!--仏語版より--><ref>{{Cite journal|和書|author= |date=2013-07-31|title=エリートは教養豊かな知識人でなければならない -国立行政学院(ENA)校長 ナタリー・ロワゾー氏 PRESIDENT 2013年7月1日号 |url=https://president.jp/articles/-/10080?page=1 |journal=[[プレジデント社|PRESIDENT Online]]|accessdate=2020-5-11}}</ref>。第二次世界大戦後の1945年、[[シャルル・ド・ゴール]]政権下[[ミシェル・ドブレ|ミシェル・ドゥブレ]]の主導で設立され、歴史は浅いが[[エコール・ポリテクニーク]]と共にフランス社会において絶大なる影響力を持っている<ref name="tana">{{Cite journal|和書|url=https://nara-u.repo.nii.ac.jp/records/2001784 |title=フランスにおけるエリート主義 |author=田中文憲 |date=2007-03 |journal=奈良大学紀要 |ISSN=03892204 |publisher=[[奈良大学]] |issue=35 |pages=13-32 |CRID=1050019058225692032 |ref=harv}}</ref>。とりわけ政界官界において、その存在感が大きいが、[[フランス#経済|フランス資本主義もエナルクが主導]]している。[[民主主義|デモクラシー]]のフランスにおいて、政権中枢を'''エナルク(Enarque、ENA卒業生)'''が占めていることから'''エナルシー(Enarchie、[[ランゼコール#批判|エナ帝国]]'''と呼ばれ、エナルクはまさに'''ラ・ヌーヴェル・ノブレス(La nouvelle noblesse、新しい貴族)'''と括られている<ref name="tana"/>。[[ヴァレリー・ジスカール・デスタン]]以降の[[フランスの大統領]]では、[[フランソワ・ミッテラン]]<ref>但し、ミッテランは第二次世界大戦前にENAと共に[[パリ政治学院]](シアンスポ)の前身にあたる学校出身である。<!--、なおかつ当時エナは未だ設立されていなかった。--></ref>や[[ニコラ・サルコジ]]大統領以外は全てエナルクになる。政権閣僚も、サルコジ政権以外ではエナルクによる高い占有率が見られる。


[[フランソワ・ミッテラン]]大統領の治政下で企業の国有化が進められ、経営陣にENA出身者が多く送り込まれたことから、経済界でもENA出身者の影響力が高まった<ref name="毎日新聞20210421"/>。
合格者の多くは、グランゼコールの一つである[[パリ政治学院]]の卒業生によって占められている。

合格者の多くは、[[パリ政治学院]]などグランゼコールの中でも難関校の卒業生によって占められ、長い受験勉強を乗り切れる経済力がある家庭の子弟が多い。このため、[[格差社会|格差]]是正を求める黄色いベスト運動への対応として、マクロン政権が改革の対象とした。ENA廃止だけでなく、グランゼコールを目指す学生用の準備クラスに低所得世帯の成績優秀者枠の創設も計画されている<ref name="毎日新聞20210421"/>。


1991年に[[ストラスブール]]のサント=マルグリット通り (rue Sainte-Marguerite) 1番地に移転後も、およそ10年間、[[7区 (パリ)|パリ7区]]の創設の地、サン=ペール通り (rue des Saints-Pères) 56番地、及び同区ユニヴェルシテ通り (rue de l'Université) 13番地にも校舎があった。
1991年に[[ストラスブール]]のサント=マルグリット通り (rue Sainte-Marguerite) 1番地に移転後も、およそ10年間、[[7区 (パリ)|パリ7区]]の創設の地、サン=ペール通り (rue des Saints-Pères) 56番地、及び同区ユニヴェルシテ通り (rue de l'Université) 13番地にも校舎があった。
ENAストラスブール校には毎年、選抜試験により、初期養成コースに90人から120人の学生を受け入れており、また学生の中には、一般的マスター専門的マスターの学生、そして120名の留学生がいる。[[パリ]]校 ([[6区 (パリ)|6区]]オプセルヴァトワール通り2番地、2 avenue de l'Observatoire) では、2500人以上の公務員や経営者幹部などが短期間の生涯学習で登録している。
ENAストラスブール校には毎年、選抜試験により、初期養成コースにおよそ80人から100人弱<!--https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR0903R0Z00C21A4000000/、 https://www.asahi.com/articles/ASP497TDPP49UHBI00N.html 90人から120人、https://courrier.jp/news/archives/41229/ 79人-->の学生を受け入れている。学生の構成は、<!--一般的[[マスター]]→曖昧な表現でよく分からない。-->[[ディプロマ|ディプロム]]修了の学生と共に<!--専門的→曖昧な表現でよく分からない。-->ディプロムに加え[[マスター]]修了の学生、そして総勢120名ほど[[留学生]]となる。[[パリ]]校 ([[6区 (パリ)|6区]]オプセルヴァトワール通り2番地、2 avenue de l'Observatoire) では、2500人以上の公務員や経営者幹部などが短期間の[[生涯学習]]枠で登録している。

ここを優秀な成績で卒業できない学生達には、[[CFAフラン|西アフリカの諸国]]でのハイペイドの重要な公職に付けるというフレンチエリートの為の "job creation Program" が存在し、これらの諸国は独立後もフランスの影響下にあるが、独立の自覚が芽生え始めたこの美味しい "就職先" からは、それらのフレンチエリートは不要と言われつつあるのが実情である{{要出典|date=2023年3月}}。


== 役割 ==
== 役割 ==
=== 養成 ===
=== 養成 ===
この学校は、実力ある学生たちを受け入れ、この学校出身者は、フランスの高等公務職の地位に就く権利を有する。また一般的に、国家公務の中心の貴重なキャリアを保障される。俗に「[[フランス#概要|エナ帝国]]」などと呼ばれたりする所以である。
この学校は、実力ある学生たちを受け入れ、この学校出身者は、フランスの高等公務職の地位に就く権利を有する。また一般的に、国家公務の中心の貴重なキャリアを保障される。俗に「[[フランス#概要|エナ帝国]]」などと呼ばれる所以である。


=== 研究 ===
=== 研究 ===
ENAはまた、行政学研究の役割を次のように担っている。
ENAはまた、行政学研究の役割を次のように担っている。
* 公職における主な争点について、一連した討議の展開
* 公職における主な争点について、一連した討議の展開
* 現在検討されている諸問題における、エナ学生の研究への助成
* 現在検討されている諸問題における、エナ学生の研究への助成
* 海外の行政システム比較を推進
* 海外の行政システム比較を推進


=== 海外交流 ===
=== 海外交流 ===
1945年の設立以来、ENAはその二つの国際課程の中で、2000人以上の各国からの留学生を卒業させた。
1945年の設立以来、ENAはその二つの国際課程の中で、2000人以上の各国からの留学生を卒業させた。
各学年は80100人当たりのフランス人学生につき、30〜40人余りの30ヶ国に及ぶ外国人留学生を抱え、同一の養成がなされる。
各学年は80人から100人<!--https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR0903R0Z00C21A4000000/、 https://www.asahi.com/articles/ASP497TDPP49UHBI00N.html-->当たりのフランス人学生につき、30人余りの30ヶ国に及ぶ外国人留学生を抱え、同一の養成がなされる。


ENAはいくつかの国とパートナーシップを結んでいる。また、学校間や国家間の援助協定を結んでいる([[マグリブ|マグレブ]]、[[中国]]、[[ポーランド]]、[[タイ王国|タイ]]、[[シリア]]など)。協定などにより、行政管理や公的管理運営についてのエンジニア講習を行っている。日本からも[[務省]]、[[財務省]]、[[経済産業省]]、[[警察庁]]、[[国土交通省]]、[[農林水産省]]などから新人官僚が定期的に留学している。
ENAはいくつかの国とパートナーシップを結んでいる。また、学校間や国家間の援助協定を結んでいる([[マグリブ|マグレブ]]国、[[中華人民共和国]]、[[ポーランド]]、[[タイ王国|タイ]]、[[シリア]]など)。協定などにより、行政管理や公的管理運営についてのエンジニア講習を行っている。日本からも[[務省]]、[[経済産業省]]、[[外務省]]、[[警察庁]]<!--、[[国土交通省]]、[[農林水産省]] これら現業官庁であり、かつ下記のような人例の記載が無いため、定期的な省枠があるのか不明。-->などから新人官僚が定期的に留学している。


== 著名な出身者等 ==
== 著名な出身者等 ==
[[File:Jacques Chirac.jpg|thumb|right|シラク大統領]]
[[File:Jacques Chirac.jpg|thumb|160px|シラク大統領]]
[[File:François Hollande (Journées de Nantes 2012).jpg|thumb|right|オランド大統領]]
[[File:François Hollande (Journées de Nantes 2012).jpg|thumb|160px|オランド大統領]]
60の創立以来、ENAは5600名のフランス人と2600名の外国人を世に出した。
1945年の創立以来、ENAは5600名のフランス人と2600名の外国人を世に出した。
{{Main|:fr:Liste d'élèves de l'École nationale d'administration|:en:List of énarques}}

;大統領
;大統領
*[[ヴァレリー・ジスカール・デスタン]](元[[共和国大統領 (フランス) |フランス大統領]])
*[[ヴァレリー・ジスカール・デスタン]](元[[共和国大統領 (フランス) |フランス大統領]])
72行目: 77行目:
*[[ローラン・ファビウス]](元フランス首相)
*[[ローラン・ファビウス]](元フランス首相)
*[[ドミニク・ガルゾー・ド=ビルパン|ドミニク・ドビルパン]](元フランス首相、元[[外務大臣 (フランス)|フランス外務大臣]])
*[[ドミニク・ガルゾー・ド=ビルパン|ドミニク・ドビルパン]](元フランス首相、元[[外務大臣 (フランス)|フランス外務大臣]])
*[[エドゥアール・フィリップ]](フランス首相)
*[[エドゥアール・フィリップ]](フランス首相)
<!--*[[フラソワフィヨン]](フランス首相)→英仏語版見ても、最終学歴はパリ第5大学-->
*[[ジャン・カステックス]](フランス首相


;その他
;その他
;[[ファイル:Emmanuel Macron (7).JPG|サムネイル|エマニュエル・マクロン大統領]][[ファイル:Jacques Attali en 2015.jpg|サムネイル|ジャック・アタリ(元大統領顧問)]]
[[ファイル:Members debated the French Presidency’s priorities with Emmanuel Macron - 51829314802 (cropped).jpg|サムネイル|160px|エマニュエル・マクロン大統領]]
[[ファイル:Jacques Attali en 2015.jpg|サムネイル|160px|ジャック・アタリ(元大統領顧問)]]


*[[ジャック・アタリ]](ミッテラン元大統領顧問)
*[[ジャック・アタリ]](ミッテラン元大統領など政府顧問、経済思想家
*[[エリザベート・ギグー]](元フランス法相)
*[[エリザベート・ギグー]](元フランス法相)
*[[ジャン=ベルナール・レイモン]](元フランス外務大臣)
*[[ジャン=ベルナール・レイモン]](元フランス外務大臣)
*[[ジャン=クロード・トリシェ]]([[欧州中央銀行]]総裁、[[フランス銀行]]総裁)
*[[ジャン=クロード・トリシェ]]([[欧州中央銀行]]総裁、[[フランス銀行]]総裁)
<!--*[[アラン=ピエール・レノー]](Alain-Pierre Raynaud, [[アレバ]][[CFO]]、元[[日産自動車]]常務)https://www.sa.areva.com/EN/news-1035/alainpierre-raynaud-is-appointed-chief-financial-officer-and-member-of-the-executive-committee.html https://www.lesechos.fr/2003/03/alain-pierre-raynaud-662377 からI.E.Pパリ政治学院修了だがENAは修了していない。-->
*[[アラン=ピエール・レノー]](現[[日産自動車]]常務)
*[[ユベール・ヴェドリーヌ]](元フランス外務大臣)
*[[ユベール・ヴェドリーヌ]](元フランス外務大臣)
*[[エルヴェ・ド・シャレット]](元フランス外務大臣)
*[[エルヴェ・ド・シャレット]](元フランス外務大臣)
*[[パスカル・ラミー]](元[[欧州委員会]]貿易政策担当委員、現[[世界貿易機関|WTO]]事務局長)
*[[パスカル・ラミー]](元[[欧州委員会]]貿易政策担当委員、現[[世界貿易機関|WTO]]事務局長)
*[[ミシェル・カムドシュ]](元[[国際通貨基金|IMF]]専務理事)
*{{仮リンク|ミシェル・カムドシュ|fr|Michel Camdessus}}(元[[国際通貨基金|IMF]]専務理事)
*{{仮リンク|アントワーヌ・ヴェイユ|fr|Antoine Veil}}(財政監察局財政監査官などの高級官僚、[[シモーヌ・ヴェイユ (政治家)]]の夫)
*{{仮リンク|アントワーヌ・ヴェイユ|fr|Antoine Veil}}(財政監察局財政監査官などの高級官僚、[[シモーヌ・ヴェイユ (政治家)]]の夫)
*[[シモン・ノラ]](財政監察局財政監査官などの高級官僚、元首相秘書官)
*[[シモン・ノラ]](財政監察局財政監査官などの高級官僚、元首相秘書官)
*[[ドミニク・ペルベン]](元フランス海外領土大臣)
*[[ドミニク・ペルベン]](元フランス海外領土大臣)
*{{仮リンク|クララ・ゲマール|fr|Clara Gaymard}}(元{{仮リンク|対仏投資庁|fr|Agence française pour les investissements internationaux}}長官、[[ゼネラル・エレクトリック|GEインターナショナル]]副社長, 2009年- 、下記エルヴェの妻)
*[[クララ・ゲマール]](現[[対フランス投資庁]]長官
*[[エルヴェ・ゲマール]](元[[フランス経済・財政・産業省|経済・財政・産業]]大臣)
*[[エルヴェ・ゲマール]](元[[フランス経済・財政・産業省|経済・財政・産業]]大臣)
*[[ヴァレリー・ペクレス]](現[[イル=ド=フランス地域圏]]知事, 2015年- 、元経済・財政・産業大臣, 2011-2012年)
*[[ヴァレリー・ペクレス]](現[[イル=ド=フランス地域圏]]知事, 2015年- 、元経済・財政・産業大臣, 2011-2012年)
*{{仮リンク|ミッシェル・サパン|fr|Michel Sapin}}(元経済・財政・産業大臣, 2014-17年)
*{{仮リンク|ミッシェル・サパン|fr|Michel Sapin}}(元経済・財政・産業大臣, 2014-17年)
*[[ベルナール・ド・モンフラン]]([[駐日フランス大使館|駐日フランス大使]]) 
*{{仮リンク|・ドラマール|fr|Louis Delamare}}(駐[[レバノ]]フランス大使) - 1981年、[[ベイルート]]の大使公邸近くで暗殺された[[カルロス (テロリスト)#フランスでの連続テロ|シリア情報部によるフランス大使暗殺]]
*{{仮リンク|ベルナール・ド・モンフェラン|fr|Bernard de Montferrand}}([[駐日フランス大使館|駐日フランス大使]], 2003-2005年)
*[[フィリップ・セガン]](会計検査院院長、元フランス社会大臣)
*[[フィリップ・セガン]](会計検査院院長、元フランス社会大臣)
*[[ンソワレオタール]](フランス国防大臣
*[[アラン・リシャール]](元フランス国防大臣)
*[[アラン・リシャール]](元フランス国防大臣)
*[[フランソワ・アスリノ]](財務上級監査官、[[人民共和連合]]の創設者兼党首)
*[[フランソワ・アスリノ]](財務上級監査官、[[人民共和連合]]の創設者兼党首)
*[[マルティーヌ・オブリー]](元フランス労働大臣)
*[[マルティーヌ・オブリー]](元フランス労働大臣)
*[[フルール・ペルラン]](元フランス文化・通信大臣)
*[[フルール・ペルラン]](元[[文化省 (フランス)|フランス文化・通信]]大臣)
*[[オードレ・アズレ]](現[[国際連合教育科学文化機関|UNESCO]]事務局長、元フランス文化大臣)
*[[セゴレーヌ・ロワイヤル]](2007年フランス大統領選候補者)
*[[セゴレーヌ・ロワイヤル]](2007年フランス大統領選候補者)
*{{仮リンク|ブリュノ・ル・メール|fr|Bruno Le Maire}}(現経済・財務大臣)
*[[シルヴィ・グラール]](元フランス軍事大臣)
*[[シルヴィ・グラール]](元フランス軍事大臣)
*{{仮リンク|フロランス・パルリ|fr|Florence Parly}}フランス軍事大臣)
*[[フロランス・パルリ]]フランス軍事大臣)
*[[フィリップ・セトン]](駐日フランス大使)
*[[カトリーヌ・コロナ]](フランス欧州・外務大臣)


;海外
;海外
*[[テア・ツルキアニ]]([[ジョージア]]法相)
*[[テア・ツルキアニ]]([[ジョージア (国)|ジョージア]]法相)
*[[アドリー・マンスール]](2013年エジプト暫定大統領)
*[[アドリー・マンスール]](2013年[[エジプト大統領|エジプト暫定大統領]]
*[[ヘンリク・シュミーゲロー]](駐日ドイツ大使)
*[[ヘンリク・シュミーゲロー]]([[駐日ドイツ大使]]


;日本
;日本
;[[財務省 (日本)|財務省]]
*[[内海孚]]([[財務官 (日本)|財務官]]、大蔵官僚)
*[[内海孚]]([[財務官 (日本)|財務官]]、大蔵官僚)
*[[村田吉隆]]([[国家公安委員長]]、衆議院議員、大蔵官僚)
*[[村田吉隆]]([[国家公安委員長]]、衆議院議員、大蔵官僚)
*[[片山さつき]](院議員、大蔵・財務官僚)
*[[清水治]](早大教授、[[内閣府審官]]、大蔵・財務官僚)<!--https://www.waseda.jp/fpse/faculty/2019/08/13/432-->
*[[古澤満宏]]([[国際通貨基金|IMF]]副専務理事、財務官、大蔵省理財局長)<!--https://www.m2j.co.jp/seminar/teacher_furusawa.php 参照-->
*[[古澤満宏]]([[国際通貨基金|IMF]]副専務理事、財務官、[[大蔵省]]理財局長)<!--https://www.m2j.co.jp/seminar/teacher_furusawa.php 参照-->
*[[片山さつき]]([[内閣府特命担当大臣(地方創生担当)|地方創生担当大臣]]、参議院議員、大蔵・財務官僚)
*[[三村淳]](財務省[[国際局]]長)<ref>{{Cite web |title=「ミスター円」の将来、“女傑抜擢説”の裏側、「復活組」の活躍、異能のアラビスト |url=https://bunshun.jp/bungeishunju/articles/h7902 |website=文藝春秋 電子版 |date=2024-04-09 |access-date=2024-05-03 |last=「文藝春秋」編集部}}</ref>
;[[経済産業省]]
*[[伊吹迪人]]([[経済産業研究所|通産研究所]]次長、通産官僚)
*[[伊吹迪人]]([[経済産業研究所|通産研究所]]次長、通産官僚)
*[[古田肇]]([[岐阜県知事]]、通産・経産官僚)
*[[古田肇]]([[岐阜県知事]]、[[外務省]]経済協力局長、通産・経産官僚)
*[[八幡和郎]](評論家、通産官僚)
*[[八幡和郎]](評論家、通産官僚)
*[[羽藤秀雄]]([[特許庁長官]]、通産・経産官僚)<!--NRA ニューメディアリスク協会HP より-->
*[[羽藤秀雄]]([[特許庁長官]]、通産・経産官僚)<!--NRA ニューメディアリスク協会HP より-->
*[[増山壽一]]([[環境省]]特別参与・[[G20]]大臣[[首脳個人代表|シェルパ]]、[[経済産業局|北海道経産局]]長、通産・経産官僚)<!--
https://masuyama-toshikazu.com/profile/ オフィス・ドゥ・マスヤマ-->
;[[外務省]]
*[[高橋文明 (外交官)|高橋文明]](駐[[スペイン]]大使)
*[[高橋文明 (外交官)|高橋文明]](駐[[スペイン]]大使)
*[[小田部陽一]]([[ジュネーヴ]]国際機関政府代表部大使)
*[[小田部陽一]]([[ジュネーヴ]]国際機関政府代表部大使)
123行目: 142行目:
*[[西村篤子]](駐[[ルクセンブルク]]大使)
*[[西村篤子]](駐[[ルクセンブルク]]大使)
*[[桂誠]](駐[[フィリピン]]大使)
*[[桂誠]](駐[[フィリピン]]大使)
*[[山田文比古]]([[東京外国語大学]]教授、外務官僚)
*[[山田文比古]]([[東京外国語大学|東京外大]]教授、外務官僚)
*[[兼原信克]]([[内閣官房副長官補]]、外務官僚)
*[[津川貴久]](駐[[ベナン]]大使)
*[[樋口義広]](駐[[マダガスカル]]大使([[コモロ]]兼轄))
*[[赤堀毅]]([[外務審議官]])
;[[警察庁]]
*[[川田晃]]([[国際刑事警察機構]]警察局長、[[皇宮警察]]本部長)
*[[川田晃]]([[国際刑事警察機構]]警察局長、[[皇宮警察]]本部長)
*[[安藤隆春]]([[警察庁長官]])
*[[安藤隆春]]([[警察庁長官]])
133行目: 157行目:


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[混合経済]] - [[特定産業振興臨時措置法案|特振法案]](日本)
* [[国立司法学院]]
* [[国立司法学院]]
* [[法服貴族 (フランス)]]
* [[次官]]
* [[:fr:L'École du pouvoir|L'École du pouvoir]](2009年1月に仏[[Canal+]]で放映されたENAを舞台にしたドラマ。{{YouTube|Hp1mS-Tyi3c|「L'ENA L'École du pouvoir」}})


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
141行目: 167行目:
*[http://www.e-mazarine.fr/ena-newsletter/ InterEnational]
*[http://www.e-mazarine.fr/ena-newsletter/ InterEnational]


{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:ふらんすこくりつきようせいかくいん}}
{{DEFAULTSORT:ふらんすこくりつきようせいかくいん}}
[[Category:グランゼコール]]
[[Category:グランゼコール]]
[[category:公施設法人]]
[[category:公施設法人]]
[[Category:1945年設立の教育機関]]
[[Category:学校記事]]
[[Category:学校記事]]

2024年8月31日 (土) 04:45時点における最新版

École nationale d'administration
種別 公立
開学期間 1945年–2021年12月31日
校長 ジャン=マルク・ソーヴェ(fr:Jean-Marc Sauvé
職員数
229
学部生 N/A
大学院生 533人
所在地 フランス
ストラスブール
サント=マルグリット通り1番地
公式サイト www.ena.fr
テンプレートを表示
ストラスブールのENA校舎

国立行政学院(こくりつぎょうせいがくいん、École nationale d'administration、略称はENA (エナ)[1])は、エリート官僚養成校を趣旨とするグランゼコールである。政治家や企業経営者も多数輩出しており、卒業生の人脈は政官財界にまたがっている[2]

2018年秋からの黄色いベスト運動エリート主義への民衆の風当たりが強まった[2]ことから、同校の卒業生でもあるエマニュエル・マクロン大統領が2019年4月、ENAを廃止する方針を表明[3][4]。同月8日に改めて廃校を宣言した。他のグランゼコールと共に、2022年1月に新設の「国立公務学院」(Institut national du service public、INSP)へ統合された[2]

概要

[編集]

他の多くのグランゼコールと異なり、大学または他のグランゼコールを卒業後入学する高等教育機関(3e cycle:第三課程)である。大学院大学に相当する。

設立背景には、200家族による"協調" を軸にした閉鎖的なカルテル談合)にみる特権階級層によるコーポラティズムやネポティズム(縁故資本主義)等の歴史的な理由があった[5]。第二次世界大戦後の1945年、シャルル・ド・ゴール政権下ミシェル・ドゥブレの主導で設立され、歴史は浅いがエコール・ポリテクニークと共にフランス社会において絶大なる影響力を持っている[6]。とりわけ政界官界において、その存在感が大きいが、フランス資本主義もエナルクが主導している。デモクラシーのフランスにおいて、政権中枢をエナルク(Enarque、ENA卒業生)が占めていることからエナルシー(Enarchie、エナ帝国と呼ばれ、エナルクはまさにラ・ヌーヴェル・ノブレス(La nouvelle noblesse、新しい貴族)と括られている[6]ヴァレリー・ジスカール・デスタン以降のフランスの大統領では、フランソワ・ミッテラン[7]ニコラ・サルコジ大統領以外は全てエナルクになる。政権閣僚も、サルコジ政権以外ではエナルクによる高い占有率が見られる。

フランソワ・ミッテラン大統領の治政下で企業の国有化が進められ、経営陣にENA出身者が多く送り込まれたことから、経済界でもENA出身者の影響力が高まった[2]

合格者の多くは、パリ政治学院などグランゼコールの中でも難関校の卒業生によって占められ、長い受験勉強を乗り切れる経済力がある家庭の子弟が多い。このため、格差是正を求める黄色いベスト運動への対応として、マクロン政権が改革の対象とした。ENA廃止だけでなく、グランゼコールを目指す学生用の準備クラスに低所得世帯の成績優秀者枠の創設も計画されている[2]

1991年にストラスブールのサント=マルグリット通り (rue Sainte-Marguerite) 1番地に移転後も、およそ10年間、パリ7区の創設の地、サン=ペール通り (rue des Saints-Pères) 56番地、及び同区ユニヴェルシテ通り (rue de l'Université) 13番地にも校舎があった。

ENAストラスブール校には毎年、選抜試験により、初期養成コースにおよそ80人から100人弱の学生を受け入れている。学生の構成は、ディプロム修了の学生と共にディプロムに加えマスター修了の学生、そして総勢120名ほどの留学生となる。パリ校 (6区オプセルヴァトワール通り2番地、2 avenue de l'Observatoire) では、2500人以上の公務員や経営者幹部などが短期間の生涯学習枠で登録している。

ここを優秀な成績で卒業できない学生達には、西アフリカの諸国でのハイペイドの重要な公職に付けるというフレンチエリートの為の "job creation Program" が存在し、これらの諸国は独立後もフランスの影響下にあるが、独立の自覚が芽生え始めたこの美味しい "就職先" からは、それらのフレンチエリートは不要と言われつつあるのが実情である[要出典]

役割

[編集]

養成

[編集]

この学校は、実力ある学生たちを受け入れ、この学校出身者は、フランスの高等公務職の地位に就く権利を有する。また一般的に、国家公務の中心の貴重なキャリアを保障される。俗に「エナ帝国」などと呼ばれる所以である。

研究

[編集]

ENAはまた、行政学研究の役割を次のように担っている。

  • 公職における主な争点について、一連した討議の展開。
  • 現在検討されている諸問題における、エナ学生の研究への助成。
  • 海外の行政システム比較を推進。

海外交流

[編集]

1945年の設立以来、ENAはその二つの国際課程の中で、2000人以上の各国からの留学生を卒業させた。 各学年は80人から100人当たりのフランス人学生につき、30人余りの30ヶ国に及ぶ外国人留学生を抱え、同一の養成がなされる。

ENAはいくつかの国とパートナーシップを結んでいる。また、学校間や国家間の援助協定を結んでいる(マグレブ諸国、中華人民共和国ポーランドタイシリアなど)。協定などにより、行政管理や公的管理運営についてのエンジニア講習を行っている。日本からも財務省経済産業省外務省警察庁などから新人官僚が定期的に留学している。

著名な出身者等

[編集]
シラク大統領
オランド大統領

1945年の創立以来、ENAは5600名のフランス人と2600名の外国人を世に出した。

大統領
首相
その他
エマニュエル・マクロン大統領
ジャック・アタリ(元大統領顧問)
海外
日本
財務省
経済産業省
外務省
警察庁

脚注

[編集]
  1. ^ 田中素香『ユーロ危機とギリシャ反乱』岩波書店、2016年、142頁。ISBN 978-4-00-431586-5 
  2. ^ a b c d e 仏ENA廃止 大改革か愚民政策か」/吉田徹同志社大学教授(比較政治学)「庶民の批判くみ上げ、多様性模索」『毎日新聞』朝刊2021年4月21日(国際面)同日閲覧
  3. ^ Unconvinced by Macron's promises, Yellow Vests keep up the pressure” (英語). France 24 (2019年4月27日). 2019年5月13日閲覧。
  4. ^ 母校を生贄!「エリート」マクロンの反エリート主義 窮地のマクロンが超名門「国立行政学院」の廃止を宣言するまで” (日本語). JBpress (2019年5月15日). 2019年6月24日閲覧。
  5. ^ エリートは教養豊かな知識人でなければならない -国立行政学院(ENA)校長 ナタリー・ロワゾー氏 PRESIDENT 2013年7月1日号」『PRESIDENT Online』2013年7月31日、2020年5月11日閲覧 
  6. ^ a b 田中文憲「フランスにおけるエリート主義」『奈良大学紀要』第35号、奈良大学、2007年3月、13-32頁、CRID 1050019058225692032ISSN 03892204 
  7. ^ 但し、ミッテランは第二次世界大戦前にENAと共にパリ政治学院(シアンスポ)の前身にあたる学校出身である。
  8. ^ 「文藝春秋」編集部 (2024年4月9日). “「ミスター円」の将来、“女傑抜擢説”の裏側、「復活組」の活躍、異能のアラビスト”. 文藝春秋 電子版. 2024年5月3日閲覧。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]