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「SDメモリーカード」の版間の差分

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SDメモリーカードにはロック機能がついており、カード側面のツマミをロック位置に移動させることでロックがかかり、データの削除/上書きを禁止することができる。
SDメモリーカードにはロック機能がついており、カード側面のツマミをロック位置に移動させることでロックがかかり、データの削除/上書きを禁止することができる。


ロックのツマミが書き込み可能位置に存在することで「書き込みが可能である」という判断をしている。ツマミの位置は機器側で物理的に検出しており、カード内部の電気回路とは接続されていない。そのため、ロックのツマミが破損するとロック状態であると認識されるが、カード側面のツマミのあった位置をセロハンテープ等で覆うようにすれば再度書き込みが可能となる。フロッピーディスクのロック、カセットテープやビデオテープの誤消去防止爪と機能的に同等と考えることができる。
ロックのツマミが書き込み可能位置に存在することで「書き込みが可能である」という判断をしている。ツマミの位置は機器側で物理的に検出しており、カード内部の電気回路とは接続されていない。そのため、ロックのツマミが破損するとロック状態であると認識されるが、カード側面のツマミのあった位置をテープ等で覆うようにすれば再度書き込みが可能となる。フロッピーディスクのロック、カセットテープやビデオテープの誤消去防止爪と機能的に同等と考えることができる。


=== miniSDカード ===
=== miniSDカード ===

2010年1月12日 (火) 07:21時点における版

さまざまなSDメモリーカード
(上からSD、miniSD、microSD)

SDメモリーカード(エスディーメモリーカード、SD Memory Card)は、フラッシュメモリに属するメモリーカードである。SDカードとも呼ばれる。デジタルカメラ携帯電話などの携帯機器テレビなどの家電機器まで幅広く利用されている。

本項では互換性を持つ規格においても併せて解説する。

概要

SD規格

SDメモリーカードは、1999年8月25日に松下電器産業(現パナソニック)、サンディスク東芝による共同開発規格として発表され、2000年1月7日には関連団体であるSDカードアソシエーション(SD Card Association, SDA)が設立された。松下電器産業が提唱したAV著作権保護を搭載した新メモリーカードに、かつてコンパクトフラッシュ陣営の雄だったサンディスクと、スマートメディア陣営の雄だった東芝が手を組んだ形となっている。

SD規格のロゴ1990年代前半に東芝が開発し、ソニーフィリップス陣営の対抗規格に競り勝つ形でDVDの原型となった光ディスクSuper Density Disc」のために製作されたものの転用のため、ロゴ内の「D」は光ディスクを図案化した印象が色濃くなっている。なお「SD」は「Secure Digital」の略とされることがあるが、これは公式な表明ではない。

2006年1月に米国の「2006 International CES」において、SDメモリーカードの規格限界容量である最大32GBを規定したSDHCカードが発表、発売された。

2009年1月にはSDカードの規格策定団体であるSDカードアソシエーションにおいて、64GB以上の記憶容量に対応する規格としてSDXCカードという新規格の仕様を策定した。2009年8月に64GB仕様のカードを発表した。規格に関してはファイルシステムにexFATを採用することで記憶容量を最大で2TB(2048GB)、データ転送速度は300MB/sまで拡張する予定となっている。

製品に対応スロットが用意されていても、SDメモリーカードの容量や製品と、相性問題の関係で使用できない場合がある

現在発売中のSDカードは、全て著作権保護規格CPRMにも対応している。国内ではSDメモリーカードの著作権保護機能(CPRM機能)を使って、携帯電話における着うた、着うたフル、ワンセグ放送の録画再生などに広く使われている。CPRM機能に加えて、参照不可能な著作権情報管理用領域が設けられており、メディアとして実際に使用できる容量とは若干の差分が存在する。

SPIモードが有り、低速で良いのならばSPIバスでの複数デバイスの接続を簡単にできる。

各SD規格メモリーカードの比較
SDメモリーカード miniSDカード microSDカード
24mm 20mm 11mm
長さ 32mm 21.5mm 15mm
厚さ 2.1mm 1.4mm 1.0mm
体積 1,596mm³ 589mm³ 165mm³
重量 約2g 約1g 約0.4g
動作電圧 2.7 - 3.6V 2.7 - 3.6V 2.7 - 3.6V
誤消去防止スイッチ あり なし[1] なし[1]
端子ガード突起 あり なし なし
端子数 9ピン 11ピン 8ピン

SDメモリーカード

ファイル:SDメモリカード1GB.jpg
SDメモリーカード

SDメモリーカードは、マルチメディアカード(MMC)に近い形状を持っており、SDメモリーカード用スロットは物理的にMMCも挿入可能な上位互換を持つ。そのため、SDメモリーカードを使用している機器では、マルチメディアカードも利用できることが多い。

一般的に市販されているSDメモリーカードの最大容量は2GBである。これは、SDメモリーカードでの事実上の標準的なファイルフォーマットとしてFAT16が用いられ、その規格上の最大ボリュームサイズが2GBに制約されているためである。2GBを越える製品もあるが、SDメモリーカード規格外なので使用できる製品がごく一部に限られている。

SDメモリーカードは、扱いやすい大きさや形状、側面の誤消去防止用のプロテクトスイッチ、SD Music Initiative(Secure Digital Music Initiative, SDMI)準拠の著作権保護機能など、家電などにおける幅広い用途を直接意識した機能が特徴である。これはソニーなどが推進するメモリースティック1997年7月17日発表)と直接競合するものだった。

SDメモリーカードの内部

メモリ容量

  • 2000年1月: 8MB
  • 2000年10月: 16MB
  • 2000年6月: 32MB
  • 2000年6月: 64MB
  • 2001年7月: 128MB
  • 2001年12月: 256MB
  • 2002年1月: 512MB
  • 2004年1月: 1GB
  • 2004年11月: 2GB

SDメモリーカードの速度表記

SDメモリーカードの転送速度(読込速度)を指標とした転送速度表記が存在するが、測定条件等が規格で定められていないため、同じ転送速度表記のメディアであっても製品によってアクセス速度が違うことがある。なお、SDHCメモリーカードの速度表記の一種であるスピードクラスは、測定条件が規格で定められている。速度の基準となる「1倍速」はコンパクトディスクの転送速度である150KB/secを基準としている。

速度表記の例
速度表記 転送速度
60倍速 9MB/sec
70倍速 10.65MB/sec
80倍速 12MB/sec
133倍速 20MB/sec
150倍速 22.5MB/sec

SDメモリーカードのロック

SDメモリーカードにはロック機能がついており、カード側面のツマミをロック位置に移動させることでロックがかかり、データの削除/上書きを禁止することができる。

ロックのツマミが書き込み可能位置に存在することで「書き込みが可能である」という判断をしている。ツマミの位置は機器側で物理的に検出しており、カード内部の電気回路とは接続されていない。そのため、ロックのツマミが破損するとロック状態であると認識されるが、カード側面のツマミのあった位置をテープ等で覆うようにすれば再度書き込みが可能となる。フロッピーディスクのロック、カセットテープやビデオテープの誤消去防止爪と機能的に同等と考えることができる。

miniSDカード

miniSDカード(ミニエスディーカード)は、SDメモリーカードの小型版で、端子が2ピン追加され11ピンとなっている。

SDメモリーカードとは電気的に互換性があり、端子の変換のみの簡易な構造のアダプタに装着することでSDメモリーカードとしても利用できる。実際に販売されているminiSDカード製品の多くは、アダプタを同梱している。

2006年には一時、SDメモリーカードの売り上げの半分以上がこのminiSDになった。日本では主に携帯電話端末向けに利用されていたが、2007年後半以降はより小型化されたmicroSDカードを採用することがほとんどになった。2008年頃には携帯端末のmicroSDカードへの対応化が進み、miniSDカードの販売数は減少。microSDカードをminiSDカードに変換するアダプタが存在することから、市場から姿を消し始めている。

ソニーと系列企業は、多くの場合メモリースティックを外部メディアとして採用している。携帯メーカーSony EricssonSO902iSO902iWP+までは「メモリースティック PRO Duo」を採用していたが、SO903iでは「メモリースティック PRO Duo」に加え「miniSDスロット」の両規格に対応した外部メモリースロットを搭載した。同社は後継機のSO903iTV以降、「microSD」を採用している。

メモリ容量

  • 2003年5月~ 16MB
  • 2003年5月~ 32MB
  • 2003年7月~ 64MB
  • 2003年10月~ 128MB
  • 2003年10月~ 256MB
  • 2004年8月~ 512MB
  • 2005年6月~ 1GB
  • 2005年12月~ 2GB

microSDカード

microSDカード(右)とアダプタ
microSDアダプタの内部構造。端子を変換するだけの非常に簡素な構造である。

microSDカード(マイクロエスディーカード)は、SDアソシエーションにより2005年7月13日に承認されたフラッシュメモリ電子媒体である。サンディスクが2004年2月に開発したトランスフラッシュ(TransFlash)の仕様を引き継いだもので、名称は異なるがメディアそのものは同じである。 外形寸法は11mm×15mm×1mmと、SDメモリーカードの1/4程度。汎用品として使われているリムーバブルメディアの中で最も寸法が小さい。miniSDの場合と同様に、SDメモリーカードとは電気的に互換性があり、microSDカードを変換アダプタに装着することによって、SDメモリーカードやminiSDカードとして利用することができる。 Panasonic松下電器)はmicroSDカードの誤飲防止のため、本体に苦味剤(デナトニウムベンゾエイト)を塗布している。この成分は健康には影響がない。苦味剤の期間は最大2年となっている。この塗布は2006年1月31日以降の物に限る。

携帯電話での利用

日本国外ではモトローラ携帯電話を中心に採用されていた。日本ではボーダフォン 日本法人(現:ソフトバンクモバイル)Vodafone 702MOVodafone 702sMO(いずれもモトローラ製)においてTransFlash規格で採用され、国内メーカーからも2006年1月に開発が発表されたVodafone 804Nを皮切りに、続々と対応端末が開発されている。ボディの小型化・薄型化にも貢献できるため、miniSDに替わって主流となっている。

auの2006年秋冬CDMA 1X WINモデルではW43SW44S(共にメモリースティック Duoに対応)及びW41SH(miniSDに対応)を除く全てが、NTTdocomoでも903iシリーズSO903iを除く)がmicroSD専用スロットを搭載するに至った。こうした背景のもと、2007年6月にはSD陣営でのシェアトップに君臨する規格となった[2]

なお、小型大容量化により頻繁な着脱を想定せず、電池パックの内側にmicroSDカードスロットを設ける端末が多い。

携帯電話以外での用途

近年では携帯電話以外にデジタルオーディオプレーヤーなどにも容量増設用としてmicroSDスロットが設置されているものもある。

他規格スロットでの利用

マトリョーシカ人形(正確には入れ子)の要領で各種変換アダプタを多重装着することで、microSDカードをPCカードサイズまで5段階の姿に変形することが、物理的には可能である(microSD<miniSD<SD<CFカード<PCカード)。しかし接触不良によるデータ消失の危険性等を考慮すれば安易に試すべきものではなく、規格上もmicroSD<miniSD<SDの多重装着は認められていない。

メモリースティックPro Duoに変換するアダプタ(CR-5300等)が販売されている。ただしアダプタは各メモリーカードの規格外の使用方法であり、カードと機器の組み合わせによっては正常に使用できない。双方の著作権保護技術に互換性がないためセキュアデータが扱えず、メーカーの保証も受けられない。

オリンパスは長らくデジタルカメラ用の記憶媒体にxDピクチャーカードを採用しているが、2008年以降発売のデジタルカメラの一部ではmicroSDカードをxDピクチャーカード型に変換するアダプタを同梱している。なお、このアダプターは特殊な形状をしているため対応機器でのみ使用可能。

メモリ容量

  • 2004年11月: 256MB
  • 2005年8月: 512MB
  • 2006年1月: 1GB
  • 2006年8月: 2GB

SDHCメモリーカード

SDHCメモリーカード

旧来のSDメモリーカードFAT32に未対応で、規格上の最大容量は2GBとなっていた。しかし、デジタルカメラの高画素化や動画撮影機能の充実によってデータの大容量化が進行、ストレージの上限が2GBでは十分でない状況も発生し始めた。そこで2006年にSDメモリーカードをFAT32に対応させると同時に、動画撮影などに対応するために最低保証転送速度を規定したクラス分けを行ったSDHC(SD High Capacity)という仕様が策定された。これにより規格上、最大32GBまでの大容量化が可能となった。FAT32の規格としては、32GB超のボリュームを作成することも可能だが、Windows 2000以降のWindowsでは32GB超のボリュームをFAT32でフォーマットすることができないため、その兼ね合いもあったと推測される。

物理的な寸法はSDメモリーカードと同一で、上位互換性を保持しているため、SDHC対応機器でSDメモリーカードを扱うことができる。逆に下位互換性は存在しないため、旧来のSD対応機器でSDHCメモリーカードを扱うことはできない。ただし近年に発売されているデジタルカメラ、メモリーカードリーダーパソコンであればファームウェアのアップデートによってSDHCメモリーカードに対応可能となる機器も多く存在する。詳しくは各製造メーカーの公式サイトなどにある。

転送速度は、最大で48Mbpsの高速な最低保証転送を可能としており、プロフェッショナルユースのビデオカメラデジタルカメラなどにも対応できるとされている。また、HDデジタルビデオカメラ用の規格としてAVCHDが策定されており、これをSDHCで保存するための仕様も策定されている。

SDスピードクラスの種類

SDHCカードの規格策定と同時に、データ転送速度の目安として「SDスピードクラス」が定められている。統一された基準を元にこのスピードクラスのロゴを明示することで、消費者がその用途にあったスピードクラスのカードを選択可能にするとしている。SDカードではオプション扱いだが、SDHCカードではスピードクラスの規格に準拠することが義務付けられている。

定められた単位の未使用領域(=汚れ率0%のAU)に定められた記録方法で書き込みを行ったとき

カード 最低保証レート
Class 2 2MB/sec (16Mbps)
Class 4 4MB/sec (32Mbps)
Class 6 6MB/sec (48Mbps)
Class 10 10MB/sec (80Mbps)[3]

SDHCメモリーカード

  • 2006年6月~ 4GB
  • 2006年11月~ 8GB
  • 2007年10月~ 16GB
  • 2008年1月~ 32GB
  • 2008年8月~ 6GB[4]
  • 2008年9月~ 12GB[4]

miniSDHCカード

  • 2006年11月~ 4GB
  • 2008年5月~ 8GB

microSDHCカード

  • 2007年7月~ 4GB
  • 2007年11月~ 6GB
  • 2007年12月~ 8GB
  • 2008年10月~16GB

SDXCメモリーカード

SDHCメモリーカードはファイルシステムとしてFAT32を採用していたため、規格上の最大容量は32GBとなっていた(ただし、FAT32の最大容量が32GBであるわけではない。最大容量が32GBであることと、ファイルシステムがFAT32であることには何の関係もない)。しかし、デジタルカメラの1000万画素以上の高画素化やHD動画撮影機能の登場によって、更なる大容量化が求められるようになった。そこで、ファイルシステムにexFATを採用するとともに、転送速度の高速化を図ったSDXC(SD eXtended Capacity)という仕様が2009年に策定された。

物理的な寸法は旧来のSDメモリーカード規格と同一で、上位互換性を保持しており、SDXC対応機器でSD/SDHCメモリーカードを扱うことができるが、SDXCではminiSDは用意されずSDXCとmicroSDXCの2種類になる(miniSDXCの規格自体は仕様書に存在しているが、マーケティング上現実的でないという理由から省かれている)。旧来のSDHC対応機器でSDXCメモリーカードをFAT32でフォーマットし使用する事も可能だが、その場合は64GB以上のSDXCメモリーカードであっても利用できる上限容量は32GBとなる。なお、2009年1月現在の所、exFATを扱えるのはMicrosoft Windows XP SP2以降(更新プログラム(KB955704)適用)、 Microsoft Windows Vista SP1以降のWindows OS、またはWindows Embedded CE 6.0に限られ、PCやモバイル環境によっては利用できない。2009年1月現在、Linux系、Mac OS X等のサポートに関しては、Microsoftからの発表はない。CES 2009 News release DS Assosiation においてもSDXCメモリーカードに関する概説のみが発表されており、サポートOS、周辺機器などに関する記述は無い。なお、Linuxにおいては、現在有志がLinux Kernel Mailing Listにおいて、exFATの読み取りを可能にするパッチの開発を行っている[5]

SDXCメモリーカードにおける規格上の最大容量は2TB(2048GB)となっている。また、転送速度は2009年内の製品では最大で104MB/sの実装予定となっているが、ロードマップ上では将来的に最大300MB/sの高速な転送を可能にするとしている。SDHCとEmbedded SD、SDIOにおいても転送速度の高速化の規格と技術は採用される予定である。

東芝が64GBモデルを世界で初めて製品化、2010年春に発売予定である。

SDXCメモリーカード

  • 2009年 ~ 32GB

microSDXCメモリーカード

  • 2009年 ~ 32GB

SDIO

SDIOカメラ

SDにはメモリーカード規格の他、SDIOと呼ばれるI/Oインターフェースを想定した規格もある。標準での電流容量はStandard-Power SDIOとして200mAまでだが、High-Power SDIOとして500mAまで拡張できる。

SDIOカード

Bluetooth無線LANワンセグチューナー、GPSデジタルカメラカードなどがある。 日本ではSDIOカードとしてデータ通信PHSカードが市販されている。

miniSDIOカード

Bluetooth、無線LAN、ビデオ出力インタフェースカードなどがある。

microSDIOカード

現在のところ無線LANアダプタ[6]が発売されている。

Embedded SD

SDメモリーカード仕様をベースにしたデジタル機器内蔵メモリ用規格、さまざまな機器で共通のI/Oインターフェースを利用しSDメモリーカードとの互換性を高めることを目的としている。

メモリーカード市場シェアの変遷

デジタルカメラにおけるシェア

SDメモリカードは規格として後発だったため、当初は他のメモリーカード規格に対してシェアや出荷数で大きな差をつけられていたが、2003年には最大のライバルであるメモリースティックとのシェアが逆転する。この年は、小型・薄型のコンパクトデジタルカメラに不向きな大柄のコンパクトフラッシュからの規格変更を最後まで決めかねていた、老舗カメラメーカーのニコンキヤノンが相次いでSDカードの採用を決定し、コンパクトデジタルカメラ分野における大勢も決した。

また、デジタル一眼レフカメラにもSDカードを使用する機種があり、ペンタックスでは*ist Dを除く全機種で、ニコンではD40/D40xD50D80D90D300s(CFとのデュアルスロット)で採用、またキヤノンではMark II以降のEOS-1D及びEOS-1DsでSDカードとコンパクトフラッシュのデュアルスロットを採用している。2007年春にはこれまでxDピクチャーカード陣営の中心だった富士フイルムがSDカードとxDピクチャーカードのどちらか一方を使えるデュアルスロット搭載という形でSDカードが使えるコンパクトデジタルカメラを発売している。2007年冬にはxDピクチャーカード陣営のもう一つの中心だったオリンパスも一部機種でアダプタによりmicroSDに対応する機種を発売している。

携帯電話におけるメモリーカードのシェア

携帯型電話機分野においては、2000年12月にDDIポケット(現WILLCOM)が発売した九州松下電器(現パナソニックコミュニケーションズ)製のPHS端末「KX-HS100」で初めて採用され、携帯電話では2002年3月にJ-フォン(現ソフトバンクモバイル)が発売したシャープ製端末「J-SH51」で採用、その後日本の他キャリア・メーカーに波及した。

2003年にminiSDカードが発売されるとフルサイズのSDカードにかわりこちらの採用が多くなり、NTTドコモ10月21日に発表した「505iS」シリーズでは当時首位のNEC、松下電器産業を含む4社がminiSDカードを採用し、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ三菱電機の2社が採用した小型版メモリースティック「メモリースティック Duo」に対して優勢となった。また、三菱電機も「901i」シリーズではminiSDを採用し、以後は機種毎のコンセプトに合ったメモリーカードを選択するようになっている。

microSDカードは、2004年モトローラ製端末Vodafone 702MOVodafone 702sMOに採用(当時の名称はトランスフラッシュ)されてからは、日本国内での普及が中心のminiSDを置き換える形で米国・日本での採用が進み、auでは2006年秋モデルではほとんどの機種をmicroSDカードに対応させた。対抗規格である「メモリースティック マイクロ」の採用例が日本国内では唯一W52Sのみにとどまり、しかもW52S自体も変換アダプタによりmicroSDに対応したこともあり、microSDの優勢は確固たるものとなっている。他社も追従する形で2007年以降は外部メモリースロットを用意している携帯電話のフォーマット形式はmicroSDカードになった。

一貫してメモリースティックを採用し続けていたソニー・エリクソンも、SO903iではメモリースティックDuoとminiSDカードの両対応とした。それ以降、同社が日本市場向けに供給している端末はほぼ全てmicroSDを採用している。なおmicroSDは2007年1月国内販売シェアでminiSDを抜いている。

デファクトスタンダードとしてのSDカード

2003年頃からSDカードが優勢になってきていたものの、しばらくはデファクトスタンダードと言えるほどの差をつけられていなかったが、携帯電話でのminiSD規格の採用が増加してきたこともあり、2005年からシェアを徐々に拡大し、2006年にはメモリーカードシェアの7割ほどがSD系列に移ったという売り上げ報告がある[7]。2008年現在、BCNランキングによるとメモリーカードシェアの7割以上をSD系列が占めている(microSD40.6%、SDカード33.1%)[8]

家電量販店などのメモリーカードコーナーにおいてもSD系列メディアは最も品揃えが豊富であり、身近な小売店ではコンビニエンスストアなどでも購入が可能となっている場合も多い。2009年現在ではUSBメモリと並び、最も有力なフラッシュメモリメディアとして普及している。

他にゲーム機では、任天堂は松下電器産業との提携でニンテンドーゲームキューブ対応のSDカードアダプタを発売したほか、ゲームボーイアドバンスSPの周辺機器「プレイやん」やWiiニンテンドーDSiにもSDメモリーカード規格を採用している。

このような市場動向から、消費者がデジタルカメラ、ビデオカメラなどを購入する際にSDカードを使えることが商品選択の際の一つのポイントとなっている。そのため、先述した自社規格であるメモリースティックを抱えるソニーも、自社製パソコン及びプレイステーション3(初期の一部のモデルのみ)にSDカードスロットを、携帯電話ではmicroSDやminiSDを採用するなどして消費者のニーズに応えている。ただし、同社はSDメモリーカード対応のデジタルカメラ(一部のデジタル一眼レフカメラを除く)や、SDメモリーカード単体の発売はしていなかったが、2010年からSDメモリーカードの販売も開始すると発表した。

欠点

フラッシュメモリの問題

SDカードがデータ記録用に採用しているフラッシュメモリは、アクセス速度、耐衝撃性、静音性、省電力性の点で優れているが、同時に欠点も併せ持つ。フラッシュメモリは書き換え可能回数に上限があり、これを超えると正常に保存できなくなるほか、保存されているデータも壊れたり失われたりする。またフラッシュメモリは精密な電子製品であり、電気的なストレスに弱く、水没など水に起因する故障も避けられない(ただし製品によっては防水加工になっている物がある。)。

小型の問題

SDカードは、スロットサイズを小さくできるなどの利点もあれば、見失ったり紛失しやすい欠点もある。セキュリティの問題にも絡んでいる。

著作権保護の問題

SDカードは違法コピーの蔓延するCDに変わり著作権保護機能を前面にアピールしたセキュアなメディアとして登場したが、SDMIはもとより途中から追加されたCPRMも対応製品が発表される前に突破されていた。 そのため音楽や映画、デジタル放送など、著作権保護を必須条件とする業界の期待には応えられず、商業用途での採用は国内の単価の安い携帯電話市場に限定されているのが実情である。 最新規格のXCでは、CPRMを補強(ただし互換性はない)したCPXMに新たに対応することにより、仕切りなおす予定である。

小型可搬媒体としての問題

SDカードは、その小型さゆえに、紛失や盗難の危険性が高い。すなわち、機密情報の漏洩(顧客情報等の個人情報漏洩事故)に繋がりやすい。また、近年は半導体メモリ系の媒体に感染し活動するタイプのコンピュータウイルスが増加している。SDカードもこの種のウイルスの感染対象になる。

紛失・盗難の問題、ウイルスの問題、どちらも組織・企業内の機密情報を漏洩してしまう可能性がある。

転送速度の問題

SDHCカードはSDスピードクラスの制定によって現在の最高速度の規定が「Class 10 のカード : 10MB/sec(80Mbps)以上の速度」である。だがコンパクトフラッシュでは2006年5月のCF Spec. Rev 4.0において、ATA/ATAPI-7のUDMA 6の最大888倍速133MB/sの転送速度を公称している。これは2009年現在SDXC規格にて最大300MB/sを目指しているが、実装においてはコンパクトフラッシュに負けている。この転送速度差は書き込み速度に直結し、高速化が著しい最高グレードのデジタルカメラにてコンパクトフラッシュが未だ採用され続けている理由になっている。

特許関連の問題

SDカードには複数の特許が絡む。このため、特許料無料を掲げるUSB端子を用いるUSBメモリが一般化しているPCにおいては、ライセンス契約などによる製造コストの増加を懸念し、SDカードスロットの搭載を見送るメーカーも多い。

加えて、LinuxなどのオープンソースOSでは、同様に特許の関係で、ドライバ等のソフトウェア的な実装自体は行われているものの、標準では使用できないようになっている。このため、Linuxなどを販売する商用ディストリビュータが、個別で特許契約した上で、各自の判断において有効化する必要がある。

ただし、FreeBSDにおいては、特許問題のない下位互換規格である「マルチメディアカードの例外的な実装」として認識し、「SDメモリーカードではない」と主張、実装が行われている。

脚注

  1. ^ a b SDへの変換アタプターを利用する場合は、アタプターに誤消去防止スイッチがあるため、それを利用することができる。
  2. ^ BCNランキング2007年7月「microSDがついにSDを逆転」
  3. ^ パナソニック、Class10のSDHCメモリーカードを海外発表
  4. ^ a b プレスリリース
  5. ^ MS以外で初の対応? LinuxでexFAT読み取り用のパッチが公開
  6. ^ Spectec SDW-823 無線LAN microSDIOカード
  7. ^ BCNランキング2006年6月「主役はminiSDへ」
  8. ^ microSDが4割突破のメモリカード、容量はGBクラスがあたりまえの時代に

関連項目

メーカー

外部リンク