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==経歴==
==経歴==
:1959年 [[東京大学]]工学部冶金学科卒業
1959年 [[東京大学]]工学部冶金学科卒業

:1964年 [[京大学]]大学院博士課程修了
::: [[東大学]][[金属材料研究所]]講師
1964年 [[東大学]]大学院博士課程修了
:: [[東北大学]][[金属材料研究所]]講師
:1967年 同助教授

:::この間ラムゼー卿記念研究員 (英国[[オックスフォード大学]]留学 1969年〜1971年)
:1979年 同教授
1967年 同教授
::この間ラムゼー卿記念研究員 (英国[[オックスフォード大学]]留学 1969年〜1971年)
:1985年 [[京都大学]]工学部教授

:1995年 [[京都大学]]大学院工学研究科教授
:2000年 定年退官
1979年 同教授

::: [[京都大学]][[名誉教授]]
1985年 [[京都大学]]工学部教授

1995年 [[京大学]]大学院工学研究科教授

2000年 定年退官
:: [[京都大学]][[名誉教授]]


==主な研究分野と業績==
==主な研究分野と業績==
:体心立方金属中の侵入型原子と置換型原子の相互作用
体心立方金属中の侵入型原子と置換型原子の相互作用
::[[内部摩擦]]のスネーク・ピークの解析により侵入型原子と置換型原子の相互作用を評価.従来の解析法の問題点を指摘,正統な解析法を示す.
:[[内部摩擦]]のスネーク・ピークの解析により侵入型原子と置換型原子の相互作用を評価.従来の解析法の問題点を指摘,正統な解析法を示す.

:固体中の[[拡散]]の基礎理論
固体中の[[拡散]]の基礎理論
::各種の結晶格子における原子の自己拡散に関わる諸量を求める.また,従来近似的にしか与えられていなかった不純物拡散の相関因子の厳密な表式を導く.また,溶質原子の自己拡散促進効果,侵入型原子の拡散のトラップ効果を解明.
:各種の結晶格子における原子の自己拡散に関わる諸量を求める.また,従来近似的にしか与えられていなかった不純物拡散の相関因子の厳密な表式を導く.また,溶質原子の自己拡散促進効果,侵入型原子の拡散のトラップ効果を解明.
:[[金属間化合物]]における[[拡散]]

::B2 型化合物について,従来提唱されていた Six Jump Vacancy Cycle 機構の場合の自己拡散係数の解析的表式を導く.また,Ni<sub>3</sub>Al など実用的にも重要な化合物を含む L1<sub>2</sub> 型規則構造をとる化合物中の自己拡散係数をトレーサー法等により決定するとともに,それらの化合物中の拡散挙動を統一的に理解できるモデルを提唱.
:[[金属間化合物]][[単結晶]]の[[弾性率]]
[[金属間化合物]]における[[拡散]]
:B2 型化合物について,従来提唱されていた Six Jump Vacancy Cycle 機構の場合の自己拡散係数の解析的表式を導く.また,Ni<sub>3</sub>Al など実用的にも重要な化合物を含む L1<sub>2</sub> 型規則構造をとる化合物中の自己拡散係数をトレーサー法等により決定するとともに,それらの化合物中の拡散挙動を統一的に理解できるモデルを提唱.
::Ni<sub>3</sub>Al, TiAl をはじめとする種々の[[金属間化合物]]の[[弾性定数]]を直方体共振法により極低温から高温領域まで広汎な温度範囲で決定.

:[[規則-不規則変態]]の微視的機構
[[金属間化合物]][[単結晶]]の[[弾性率]]
::Fe-Pt, Fe-Pd 系など L1<sub>0</sub> 型規則合金の規則-不規則変態における組織形成過程への一軸応力場あるいは磁場といった外場の影響を実験・理論の両面から解明.
:Ni<sub>3</sub>Al, TiAl をはじめとする種々の[[金属間化合物]]の[[弾性定数]]を直方体共振法により極低温から高温領域まで広汎な温度範囲で決定.

[[規則-不規則変態]]の微視的機構
:Fe-Pt, Fe-Pd 系など L1<sub>0</sub> 型規則合金の規則-不規則変態における組織形成過程への一軸応力場あるいは磁場といった外場の影響を実験・理論の両面から解明.


==主な受賞歴== 
==主な受賞歴== 
:[[日本金属学会]]功績賞 (1975年)
[[日本金属学会]]功績賞 (1975年)

:[[日本金属学会]]論文賞 (1984年)
:谷川ハリス賞 (1996年)
[[日本金属学会]]論文賞 (1984年)

:本多記念講演者 (1998年)
:Zener メダル (2002年)
谷川ハリス賞 (1996年)

:[[日本金属学会]]賞 (2006年)
本多記念講演者 (1998年)

Zener メダル (2002年)

[[日本金属学会]]賞 (2006年)


==主な学界活動==
==主な学界活動==
:1992年 材料中の拡散国際会議 主宰
1992年 材料中の拡散国際会議 主宰

:1997年 [[日本金属学会]]会長
:1997年~2000年 [[文部省]][[科学研究費補助金]]特定領域研究
1997年 [[日本金属学会]]会長
1997年~2000年 [[文部省]][[科学研究費補助金]]特定領域研究
::「材料組織制御を目指した相変態の微視的機構の解明」領域代表
:「材料組織制御を目指した相変態の微視的機構の解明」領域代表

:1999年 固体-固体相変態国際会議 主宰
1999年 固体-固体相変態国際会議 主宰


==著述活動==
==著述活動==
*学術論文 多数
学術論文 多数

*著書・訳書
著書・訳書
:「ものの強さの秘密―材料強度学入門」 (J. W. Martin 著,共訳) (共立出版,1975年)
:「ものの強さの秘密―材料強度学入門」 (J. W. Martin 著,共訳) (共立出版,1975年)
:「赤外線加熱工学ハンドブック」 (監修) (アグネ技術センター,2004年)
:「赤外線加熱工学ハンドブック」 (監修) (アグネ技術センター,2004年)
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:「材料における拡散 格子上のランダム・ウォーク」 (共著) (内田老鶴圃,2009年)
:「材料における拡散 格子上のランダム・ウォーク」 (共著) (内田老鶴圃,2009年)


*その他
==その他==
# [[東北大学]]および[[京都大学]]在任時には,inspec や metadex といった学術論文のデータベースを日本でいち早く導入・普及させるべく尽力した.
# [[東北大学]]および[[京都大学]]在任時には,inspec や metadex といった学術論文のデータベースを日本でいち早く導入・普及させるべく尽力した.
#近年は,自ら収集した高名な科学者の来歴・重大な学術的発見にまつわるエピソードに関する著述が多い.
#近年は,自ら収集した高名な科学者の来歴・重大な学術的発見にまつわるエピソードに関する著述が多い.

2010年9月10日 (金) 12:05時点における版

小岩昌宏 (こいわまさひろ、1936年11月18日 -) は,日本の材料科学者.工学博士.専門は,材料物性学.固体材料中の拡散弾性擬弾性 (内部摩擦),相変態について理論および実験の両面において先駆的な研究を行ってきた.また,自身の豊富な研究経験を背景に教育・研究者育成にも力を注いできた.

経歴

1959年 東京大学工学部冶金学科卒業

1964年 東京大学大学院博士課程修了

東北大学金属材料研究所講師

1967年 同助教授

この間ラムゼー卿記念研究員 (英国オックスフォード大学留学 1969年〜1971年)

1979年 同教授

1985年 京都大学工学部教授

1995年 京都大学大学院工学研究科教授

2000年 定年退官

京都大学名誉教授

主な研究分野と業績

体心立方金属中の侵入型原子と置換型原子の相互作用

内部摩擦のスネーク・ピークの解析により侵入型原子と置換型原子の相互作用を評価.従来の解析法の問題点を指摘,正統な解析法を示す.

固体中の拡散の基礎理論

各種の結晶格子における原子の自己拡散に関わる諸量を求める.また,従来近似的にしか与えられていなかった不純物拡散の相関因子の厳密な表式を導く.また,溶質原子の自己拡散促進効果,侵入型原子の拡散のトラップ効果を解明.

金属間化合物における拡散

B2 型化合物について,従来提唱されていた Six Jump Vacancy Cycle 機構の場合の自己拡散係数の解析的表式を導く.また,Ni3Al など実用的にも重要な化合物を含む L12 型規則構造をとる化合物中の自己拡散係数をトレーサー法等により決定するとともに,それらの化合物中の拡散挙動を統一的に理解できるモデルを提唱.

金属間化合物単結晶弾性率

Ni3Al, TiAl をはじめとする種々の金属間化合物弾性定数を直方体共振法により極低温から高温領域まで広汎な温度範囲で決定.

規則-不規則変態の微視的機構

Fe-Pt, Fe-Pd 系など L10 型規則合金の規則-不規則変態における組織形成過程への一軸応力場あるいは磁場といった外場の影響を実験・理論の両面から解明.

==主な受賞歴==  日本金属学会功績賞 (1975年)

日本金属学会論文賞 (1984年)

谷川ハリス賞 (1996年)

本多記念講演者 (1998年)

Zener メダル (2002年)

日本金属学会賞 (2006年)

主な学界活動

1992年 材料中の拡散国際会議 主宰

1997年 日本金属学会会長

1997年~2000年 文部省科学研究費補助金特定領域研究

「材料組織制御を目指した相変態の微視的機構の解明」領域代表

1999年 固体-固体相変態国際会議 主宰

著述活動

学術論文 多数

著書・訳書

「ものの強さの秘密―材料強度学入門」 (J. W. Martin 著,共訳) (共立出版,1975年)
「赤外線加熱工学ハンドブック」 (監修) (アグネ技術センター,2004年)
「金属学プロムナード―セレンディピティを追って」 (アグネ技術センター,2004年)
「激動の世紀を生きて―あるユダヤ系科学者の回想」 (R. W. Cahn 著,翻訳) (アグネ技術センター,2008年)
「材料における拡散 格子上のランダム・ウォーク」 (共著) (内田老鶴圃,2009年)

その他

  1. 東北大学および京都大学在任時には,inspec や metadex といった学術論文のデータベースを日本でいち早く導入・普及させるべく尽力した.
  2. 近年は,自ら収集した高名な科学者の来歴・重大な学術的発見にまつわるエピソードに関する著述が多い.