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'''アクアパッツァ'''({{lang-it-short|acqua pazza}}) 、'''ペシェ・アッラックア・パッツァ'''({{lang-it-short|pesce all'acqua pazza}}、「魚のアックア・パッツァ風」)は、[[魚介類]]を[[トマト]]と[[オリーブオイル]]などとともに煮込んだ[[ナポリ]]料理である<ref name="Schwartz">{{Cite book|author=Arthur Schwartz|title=Naples at Table|year=1998|publisher=Harper Collins|isbn=0-06-018261-X|page=229}}</ref>。 |
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== 概要 == |
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魚は[[鯛|タイ]]、[[スズキ (魚)|スズキ]]、[[タラ]]、[[カサゴ]]、[[メバル]]、メダマヒメジなどの[[白身魚]]や[[サバ]]のような[[青魚]]が、[[貝|貝類]]は[[アサリ]]や[[ムール貝]]などがよく用いられる。骨から良い[[出汁]]が出るので、切り身よりも尾頭のついた小型の魚が好まれる<ref name="Schwartz"/>。さらに、好みにより[[イカ]]や[[タコ]]などを加えることもある。[[パン]]や[[パスタ]]とともに供される。選んだ素材により、[[レストラン|リストランテ]]などでは、「[[カレイ]]とアサリのアクアパッツァ」といった表記でメニューに登場する。 |
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アクア・パッツァとは、昔[[トスカーナ州|トスカーナ地方]]の小作人がワインを[[寄生地主制|寄生地主]]に納めた後に残ったブドウの茎、種、実の絞りかすを水と混ぜて火にかけ、[[テラコッタ]]の壷に密閉して数日発酵させて作った粗悪なワインのことである<ref name="Counihan">{{cite book| last = Counihan| first = Carole| authorlink =| title = Around the Tuscan Table | url= http://books.google.com/books?id=guMWMVFhqzwC&pg=PA301&dq=acqua+pazza+history#PPA333,M1| publisher = [[Routledge]]| year = 2004| page = 76| isbn = 0-415-94673-5}}</ref>。 |
アクア・パッツァとは、昔[[トスカーナ州|トスカーナ地方]]の小作人がワインを[[寄生地主制|寄生地主]]に納めた後に残った[[ブドウ]]の茎、種、実の絞りかすを水と混ぜて火にかけ、[[テラコッタ]]の壷に密閉して数日[[発酵]]させて作った粗悪なワインのことである<ref name="Counihan">{{cite book| last = Counihan| first = Carole| authorlink =| title = Around the Tuscan Table | url= http://books.google.com/books?id=guMWMVFhqzwC&pg=PA301&dq=acqua+pazza+history#PPA333,M1| publisher = [[Routledge]]| year = 2004| page = 76| isbn = 0-415-94673-5}}</ref>。 |
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少量の白ワインと海水で煮る調理法から来た名称<ref name="教本"/>とも、トマトで色づいた煮汁が水で薄まった赤ワインを連想させるからともいわれる。イタリア語の直訳では、「奇妙な(風変わりな)水」あるいは「狂った(暴れる)水」の意。 |
少量の白ワインと海水で煮る調理法から来た名称<ref name="教本"/>とも、トマトで色づいた煮汁が水で薄まった赤ワインを連想させるからともいわれる。[[イタリア語]]の直訳では、「奇妙な(風変わりな)水」あるいは「狂った(暴れる)水」の意。 |
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== 作り方 == |
== 作り方 == |
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# 魚を下処理する([[ウロコ]]、内臓などを取り除いてよく洗い、[[塩]]・[[コショウ]]をしてから、余分な水気を取る)。 |
# 魚を下処理する([[ウロコ]]、内臓などを取り除いてよく洗い、[[塩]]・[[コショウ]]をしてから、余分な水気を取る)。 |
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# 鍋(あるいはフライパン)にオリーブ |
# 鍋(あるいはフライパン)にオリーブオイル、[[ニンニク]]、イタリアンパセリ、赤または青[[唐辛子]]を入れ、火にかけて香りを出す。 |
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# そこに下処理をした魚を入れ、両面とも皮を焼く(火を完全に通す必要はない)。 |
# そこに下処理をした魚を入れ、両面とも皮を焼く(火を完全に通す必要はない)。 |
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# 水及び同量の白ワイン<ref name="教本"/>、ドライ |
# 水及び同量の白ワイン<ref name="教本"/>、ドライトマト(または生のトマトかトマトの缶詰)を加えて煮込む([[ハーブ]]類([[ローリエ]]、[[ローズマリー]]、[[タイム (植物)|タイム]]、[[オレガノ]]など)を加える場合もある)。[[カンパニア州]]では生のミニトマトが好まれる<ref name="Schwartz"/>。 |
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# 7割がた魚に火が通ったら、好みで貝類、[[ケッパー]]、種抜きした[[オリーブ]]を加えて煮込む。 |
# 7割がた魚に火が通ったら、好みで貝類、[[ケッパー]]、種抜きした[[オリーブ]]を加えて煮込む。 |
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# 貝が口を開いたら、オリーブオイルを回しかけ、イタリアンパセリのみじん切りを散らして完成。 |
# 貝が口を開いたら、オリーブオイルを回しかけ、イタリアンパセリのみじん切りを散らして完成。 |
2020年3月30日 (月) 10:54時点における版
アクアパッツァ(伊: acqua pazza) 、ペシェ・アッラックア・パッツァ(伊: pesce all'acqua pazza、「魚のアックア・パッツァ風」)は、魚介類をトマトとオリーブオイルなどとともに煮込んだナポリ料理である[1]。
概要
ブイヨンなどを用いず、水とトマトだけ[1]、あるいは白ワインを加えて煮込んだ魚のスープである[2]。最も古典的なアクアパッツァにはトマトが入らない一方で、海水、少量の白ワイン、オリーブオイル、ニンニク、イタリアンパセリは必ず使われる[1]。
魚はタイ、スズキ、タラ、カサゴ、メバル、メダマヒメジなどの白身魚やサバのような青魚が、貝類はアサリやムール貝などがよく用いられる。骨から良い出汁が出るので、切り身よりも尾頭のついた小型の魚が好まれる[1]。さらに、好みによりイカやタコなどを加えることもある。パンやパスタとともに供される。選んだ素材により、リストランテなどでは、「カレイとアサリのアクアパッツァ」といった表記でメニューに登場する。
アクア・パッツァとは、昔トスカーナ地方の小作人がワインを寄生地主に納めた後に残ったブドウの茎、種、実の絞りかすを水と混ぜて火にかけ、テラコッタの壷に密閉して数日発酵させて作った粗悪なワインのことである[3]。
少量の白ワインと海水で煮る調理法から来た名称[2]とも、トマトで色づいた煮汁が水で薄まった赤ワインを連想させるからともいわれる。イタリア語の直訳では、「奇妙な(風変わりな)水」あるいは「狂った(暴れる)水」の意。
作り方
- 魚を下処理する(ウロコ、内臓などを取り除いてよく洗い、塩・コショウをしてから、余分な水気を取る)。
- 鍋(あるいはフライパン)にオリーブオイル、ニンニク、イタリアンパセリ、赤または青唐辛子を入れ、火にかけて香りを出す。
- そこに下処理をした魚を入れ、両面とも皮を焼く(火を完全に通す必要はない)。
- 水及び同量の白ワイン[2]、ドライトマト(または生のトマトかトマトの缶詰)を加えて煮込む(ハーブ類(ローリエ、ローズマリー、タイム、オレガノなど)を加える場合もある)。カンパニア州では生のミニトマトが好まれる[1]。
- 7割がた魚に火が通ったら、好みで貝類、ケッパー、種抜きしたオリーブを加えて煮込む。
- 貝が口を開いたら、オリーブオイルを回しかけ、イタリアンパセリのみじん切りを散らして完成。
トマトと水を手順2で加えてもよく、その場合魚は焼かずに初めから煮て火を通す。唐辛子の代わりに唐辛子オイルを使ってもよい[1]。
関連項目
参考文献
- 吉川敏明 『イタリア料理教本. 上』 柴田書店、1999年、ISBN 4388058475