「電動バス」の版間の差分
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一般に内燃機関を用いたバスは、[[ブレーキ|制動(減速)]]は容易だが、電気車に比べ発進と[[加速]]が難しいとされる。内燃機関としての[[ディーゼルエンジン]]と、[[トランスミッション]]として[[セミオートマチックトランスミッション|セミAT]]または[[オートマチックトランスミッション|AT]]を組み合わせることで、加速時の負担を減らすのが一般的であるが、電気バスの場合には動力が電気エネルギーのため、加速時も操作は容易である。 |
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これとは多少違うものだが、[[ハイブリッドカー|ハイブリッド]]タイプのもので、車上で発電した電気を車載バッテリーに蓄電し、その電気でモーターを駆動するものが無料輸送用として用いられている。[[日の丸自動車興業]]の無料巡回バス「[[丸の内シャトル#運行車両|丸の内シャトル]]」「[[メトロリンク日本橋#車両|メトロリンク日本橋]]」では[[デザインライン#タービン電気バス|デザインライン・タービン電気バス]]を使用している。このバスは[[ガスタービンエンジン#マイクロガスタービン|マイクロガスタービン]]を用いた発電装置と蓄電池・モーターによるもので、[[ディーゼルエンジン]]でないところが環境対応として考えられたものとなっており<ref>[http://www.hinomaru.co.jp/metrolink/bus/index.html バスの紹介] 日の丸リムジングループ公式サイト</ref>、加減速を頻繁に行なう市街地走行に適しているといえる。 |
2021年2月24日 (水) 17:17時点における版
電気バス(でんきバス、Electrical Bus)は電気自動車の一種であり、電気のみを動力として走るバスのうち、電力を架線から集電するトロリーバス(無軌条電車)以外のものを指す。蒸気や内燃機関(炭素化合物の燃焼により発生する気体の膨張を主に利用するもの)ではなく、電気エネルギーを動力源とするバスである。ほとんどが蓄電池の電力により電動機を回転させて走行する。
概要
一般に内燃機関を用いたバスは、制動(減速)は容易だが、電気車に比べ発進と加速が難しいとされる。内燃機関としてのディーゼルエンジンと、トランスミッションとしてセミATまたはATを組み合わせることで、加速時の負担を減らすのが一般的であるが、電気バスの場合には動力が電気エネルギーのため、加速時も操作は容易である。
歴史的にトロリーバス運行の経験がない福岡県でも、北九州市交通局が北九州市若松区で電気バスの試験運行をしている(変種にあたる電磁走行カートをみやま市で試験運行の経験はある)。
これとは多少違うものだが、ハイブリッドタイプのもので、車上で発電した電気を車載バッテリーに蓄電し、その電気でモーターを駆動するものが無料輸送用として用いられている。日の丸自動車興業の無料巡回バス「丸の内シャトル」「メトロリンク日本橋」ではデザインライン・タービン電気バスを使用している。このバスはマイクロガスタービンを用いた発電装置と蓄電池・モーターによるもので、ディーゼルエンジンでないところが環境対応として考えられたものとなっており[1]、加減速を頻繁に行なう市街地走行に適しているといえる。
歴史
欧米
19世紀末のヨーロッパでは公共交通にOmnibusと呼ばれる乗合馬車がみられた、自動車が発明されると乗合馬車も電動機などで駆動する試みが現れた[2]。
1881年、パリでの電気の博覧会(Exposition Internationale d 'Électricité)にフランスのGustave Trouveが3輪自転車に電動機を搭載した車両を展示した[2]。1882年にはパリバス会社が50人乗り馬車を改造した電気自動車の試作が行われた[2]。
1901年には米国のフィッシャー社が30人乗りのハイブリッド駆動のバスを開発し、1903年からロンドンのバス会社で運行されたが重量と燃費に問題がありすぐに使われなくなった[2]。
イギリスではサウス・シールズで1913年から1920年ごろまで電気バスが運行されていた[2]。
日本
戦前の日本では1930年に東邦電力、湯浅電池、中島製作所が共同開発し名古屋市電気局で約1年間営業運転された[2]。さらに1933年には名古屋乗合自動車(通称青バス)が名バス公園線(鶴間公園)に電気バスを導入した[2]。その後、石油燃料統制への対応策として大都市の事業者で導入された。
戦後も石油燃料の不足・統制は続いていたことから、1948年から1950年代初頭までの時期を中心に、各地の都市の事業者で使用されたが、石油事情の好転とともにディーゼルバスに置き換えられ、短期間の使用に終わった。
1970年代には、低公害に着目して神戸市交通局や大阪市交通局などの排気ガス公害の深刻だった都市の事業者が導入するなど、公営バス事業者を中心に導入の試みが続けられた[3]。
京都市交通局では、1970年代に、路線を廃止したため余剰となったトロリーバス車両(300形318号)を用いて蓄電池を搭載し京都駅 - 深泥池間で実証試験を行った。その後1979年から西京区内の洛西ニュータウンで本格的に行った営業運行では、三菱自動車工業(現:三菱ふそうトラック・バス)製の電気バスME460型[4]6両を洛西営業所に配置し、蓄電池を脱着可能にして専用設備で蓄電済のバッテリーユニットを取り替えることで車両運用効率を向上したシステムを採用した[3]。しかしニュータウン内の環境汚染対策としては効果が認められたが、当該運行区間は坂が多いこともあって蓄電池の消耗劣化が如何ともしがたいこと、バスの冷房化が困難であることなどにより、1987年に電気バスの運行を取りやめた。
大阪市交通局においては、1972年にいすゞ自動車製の電気バスEU05型を2両導入し、「あおぞら号」の愛称で使用した[5]。神戸市・京都市の三菱車と同様にバッテリーをユニット化した構造で、営業所には3分間でバッテリー交換ができる設備も備えていた。1982年まで使用された。
また、名古屋市営バスでは、1973年に日野BT900を1両導入して[5]1979年まで運行した[6]。日野自動車では、このときに苦労した経験が後にHIMR(ハイエムアール)の開発に役立ったという。
日野ポンチョ電気バス
2010年代からは、リチウムイオン二次電池を使用した電気バスの導入が進められている。
2012年には、電気バス車両とその充電設備の導入費用の半額を助成する国土交通省の「電気自動車による公共交通のグリーン化促進事業」を利用し[7]、東京都羽村市が日野・ポンチョベースの小型電気バス1台を導入、3月10日より羽村市コミュニティバス「はむらん」(西東京バスへ運行委託)の新路線に投入し、これが日本初の電気バスによる路線バス実用運行となった[8] [9]。羽村市には日野自動車羽村工場があることから協力関係が進められた。
この10日後の3月20日には、東京都墨田区で循環バス「すみだ百景 すみまるくん・すみりんちゃん」が運行を開始、導入された車両の中には電気バス「すみりんちゃん」1台が含まれている[10]。車両はポンチョ電気バスで、羽村市の「はむらん」と同型のものである[9]。
翌2013年3月30日には、小松バスが「宇宙バスこまち☆」として導入、内装は宇宙船をモチーフとした斬新なものとなっている[11]。サイエンスヒルズこまつ・小松駅 - 小松空港・石川県立航空プラザ間で運行(一部は安宅住吉神社発着)。「はむらん」「すみりんちゃん」と同型式である[12]。石川県小松市にはジェイ・バス本社および小松工場(旧:日野車体工業)がある。
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墨田区コミュニティバス「すみだ百景 すみりんちゃん」
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小松バス「宇宙バスこまち☆」
各国での普及
2019年現在、地球上のバスの約17パーセント、42万5,000台のバスが電動化されている[13]。
日本
リチウムイオン二次電池による電気バスの、試験運行ではない営業運行。営業開始日順。
- 七戸町電気シャトルバス - 2011年9月15日運行開始。十和田観光電鉄に委託し運行。ベース車は日野・リエッセ。改造施工はフラットフィールド。
- 羽村市コミュニティバス「はむらん」 - 2012年3月10日導入。西東京バスに委託。ベース車は日野・ポンチョ[8][9]。電池はIHI製。
- 墨田区コミュニティバス「すみだ百景 すみりんちゃん」 - 2012年3月20日運行開始。京成バスに委託。「はむらん」と同メーカー・同型式[9]。
- 岩手県北自動車 - 2012年12月17日導入。宮古駅前 - 浄土ヶ浜間で運行。ベース車は日野・レインボーHR。改造施工はフラットフィールド。
- 小松バス「宇宙バスこまち☆」 - 2013年3月30日導入[11]。「はむらん」「すみりんちゃん」と同メーカー・同型式[12]。
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)「e-BRT」 - 2014年2月21日導入。気仙沼線BRTの一部区間(本吉 - 気仙沼間)で使用[14]。ベース車はいすゞ・エルガミオ。電池は三菱重工業製。改造施工は東京アールアンドデー[15]。
- 北九州市交通局 - 2014年3月26日導入、2019年3月運用終了。車体材料は東レエンジニアリング製カーボンファイバー。電池は三菱重工業MLiX。車両組立は韓国・韓国ファイバー。車種はファイバー・ファイアーバード(화이버드、ファイバー→TGMを経て、現在はエジソン・モーターズ)。完成車であるが輸入後に共栄車体工業(現・西鉄車体技術)で小改造を実施。
- 三重交通「ポケモン電気バス」 - 2014年3月31日導入。外宮内宮線(宇治山田駅・伊勢市駅 - 伊勢神宮間)で運行。ベース車はいすゞ・エルガ。電池は東芝SCiB。改造施工はフラットフィールド。2017年3月15日からポケモンラッピングとなる[16]。
- 薩摩川内市コミュニティバス - 2014年4月導入、2019年3月運用終了。川内港シャトルバスで使用。南国交通に委託。北九州市交通局の車両と同メーカー・同形。
- プリンセスライン - 2015年2月23日導入。京都市内の路線バスで使用。中国・BYD製K9。
- 川崎鶴見臨港バス「川崎スマートEVバス」 - 2015年4月1日導入。川崎駅前 - 川崎病院線で使用。ベース車はいすゞ・エルガミオ。電池は東芝製SCiB[17]。
- フジエクスプレス - 2015年11月本格導入(実証運行は2014年から)。ベース車は日野・ポンチョ、電池は東芝SCiB[18]。港区コミュニティバス「ちぃばす」芝ルートで運行開始[19]。
- 産交バス - 2018年2月5日導入。熊本市内の路線バスとして2019年3月29日まで運行。環境省の委託プロジェクト「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業『EVバス、トラックの普及拡大を可能とする大型車用EVシステム技術開発』」の元で開発され、中古の日産ディーゼル・RAをベースに日産・リーフの電装品を組み合わせたコンバートEV。施工はイズミ車体製作所。
- 会津乗合自動車 - 2019年1月22日導入。同年5月中旬より尾瀬国立公園シャトルバスとして運行開始。それ以外の期間は会津若松市内の路線バスとして運行。中国・BYD製中型バス。
- 岩手県交通 - 2019年2月1日導入。盛岡市内・矢巾町内の一般路線(イオンモール盛岡南線・北高田線・岩手医大線)で運行[20]。中国・BYD製K9。
- 関西電力(関電トンネル電気バス) - 2019年4月15日運行開始。トロリーバスの後継で扇沢 - 黒部ダム間で運行。ベース車は日野・ブルーリボン。電池は東芝SCiB。改造施工はフラットフィールド。扇沢にて1往復毎にバス屋根のパンタグラフで充電を行っている。
- IKEBUS - 2019年11月導入。豊島区が運営しWILLER EXPRESSに委託。主に池袋駅・サンシャインシティ周辺で運行。車両はシンクトゥギャザー製・eCOM-10。
- 富士急バス - 2020年3月16日導入。富士五湖エリアで運行。中国・BYD製K9[21]。
- 伊豆箱根バス - 2020年3月18日導入。沼津駅 - 沼津港間で運行。車両はシンクトゥギャザー製・eCOM-10。
- イーグルバス - 2020年6月19日導入。川越市内の小江戸巡回バスで運行。中国・揚州亜星製をベースにオノエンジニアリングでボンネットバスに改造。
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JR東日本気仙沼線BRT「e-BRT」
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岩手県交通
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プリンセスライン
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北九州市交通局(除籍済)
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薩摩川内市コミュニティバス 川内港シャトルバス(除籍済)
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港区コミュニティバス「ちぃばす」
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産交バス「よかエコバス」
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三菱重工業の電気バス試作車(国土交通省実証実験・撮影時は西日本鉄道へ貸与)
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シンクトゥギャザーの小型低速電動バスeCOM-8(沼津市での実証運行)
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宇奈月温泉で運行されるシンクトゥギャザーの小型低速電動バスeCOM-8(後面)
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IKEBUS(シンクトゥギャザー・eCOM-10)
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伊豆箱根バス(シンクトゥギャザー・eCOM-10)
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イーグルバス「小江戸巡回バス」(揚州亜星+オノエンジニアリング)
中国
2019年現在、地球上の電気バスの99%が中国で運用されている[13]。深圳などでは路線バスは完全に電動化されている[13]。
脚注
- ^ バスの紹介 日の丸リムジングループ公式サイト
- ^ a b c d e f g 森本 雅之. “電動バスの歴史” (PDF). 東海大学. 2020年1月28日閲覧。
- ^ a b 「特集 電気バス2014(1970年代に登場した大型電気バス)」『バスラマ・インターナショナル』第142号、ぽると出版、2014年3月、p.23。
- ^ これより早い1973年から1976年まで、神戸市交通局が試験的に4両を採用していた。
- ^ a b 鈴木文彦 『日本のバス年代記』 グランプリ出版、1999年、pp.201-202
- ^ 電気自動車の時代 (読売科学選書). 東京: 読売新聞社. (1991). ISBN 978-4643911312
- ^ "「電気自動車による公共交通のグリーン化促進事業」の対象案件の決定について(第2次公募)" (Press release). 国土交通省自動車局環境政策課. 2 December 2011. 2012年3月10日閲覧。
- ^ a b “【EVバス運行開始】定期路線として全国初の運用開始”. Response.. (2012年3月11日) 2012年3月12日閲覧。
- ^ a b c d “【EVバス運行開始】車両価格8000万円、満充電での航続は30km”. Response.. (2012年3月12日) 2018年7月26日閲覧。
- ^ “すみだ区報(墨田区のお知らせ「すみだ」)2012年3月13日号 区内循環バス特集号”. 墨田区役所 (2012年3月13日). 2012年3月21日閲覧。
- ^ a b “EVバス”. 小松市 (2018年12月4日). 2019年2月24日閲覧。
- ^ a b “【人とくるまのテクノロジー13】日野がフルEVのコミュニティバスを出品”. Response. (2013年5月24日). 2019年2月24日閲覧。
- ^ a b c “クリーンなはずの「電気バス」は、なぜ世界を席巻しないのか? その理由を考える”. wired.jp. (2019年7月1日) 2020年1月28日閲覧。
- ^ 電気BRT車両および観光型BRT車両の導入について (PDF) - 東日本旅客鉄道盛岡支社プレスリリース(2014年2月21日)
- ^ "JR気仙沼線BRT向け電気バスを東日本旅客鉄道株式会社へ納入しました。" (Press release). 東京アールアンドデー. 3 June 2014.
- ^ “ポケモン電気バス”. 三重交通公式サイト. 2020年5月2日閲覧。
- ^ "当社初の商用EVバスが川崎鶴見臨港バス株式会社川崎病院線で運転を開始" (Press release). 東芝. 30 March 2015.
- ^ “コミュニティバスの路線を活用したEVバスの実証運行を開始”. 東芝. 東芝インフラシステムズ (2014年2月5日). 2020年5月2日閲覧。
- ^ “港区、EVバスを本格導入 来月から芝ルートに 3年間で6台”. 産経ニュース (2015年10月2日). 2020年5月2日閲覧。
- ^ “岩手医大附属病院バス路線に電気バス導入/岩手”. IBC岩手放送 (2020年2月20日). 2020年2月21日閲覧。
- ^ “電気バスを山梨県内初導入 3/16(月)より富士五湖エリアで運行開始” (PDF). 富士急行バス株式会社. 2020年3月20日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 電気バス - 三重交通公式サイト
- コミュニティバス「はむらん」のご案内 羽村市公式サイト
- “【EVバス運行開始】定期路線として全国初の運用開始”. Response.. (2012年3月11日) 2012年3月12日閲覧。
- “【EVバス運行開始】車両価格8000万円、満充電での航続は30km”. Response.. (2012年3月12日) 2018年7月26日閲覧。