「ピアノソナタ第7番 (シューベルト)」の版間の差分
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2021年10月13日 (水) 02:11時点における版
ピアノソナタ第7番[1] 変ホ長調 作品122 D 568 は、フランツ・シューベルトが1817年に作曲したピアノソナタ。
概要
初版(D 567)は変ニ長調で作曲されたが、後に変ホ長調に改作され、D 568として出版されている。ほぼ同様のソナタ作品を全音高い変ホ長調に改作した理由は明らかではない。同形式作品で同じ楽想を移調させたものがそれぞれ残っているのは本作品のみでなく、「グムンデン・ガスタイン交響曲」(交響曲第8番「ザ・グレート」の下書き的作品)のように後期にも見られ、作者の詳細な創作過程が残されている。研究には欠かせない重要作であり、本稿では両方扱う。
曲の構成
D 567(変ニ長調)
- 第1楽章 アレグロ
- 第3楽章 アレグレット
作者はあまり高速に弾き飛ばされるのを恐れたのか、随所に右手中声部のコードを入れて演奏者に負担を強いている。
D 568(変ホ長調)
- 第1楽章 アレグロ・モデラート
- 第2楽章 アンダンテ・モルト
- ト短調、4分の2拍子。
- ほぼD 567に同様。
- 第3楽章 メヌエット:アレグレット
- 変ホ長調、4分の3拍子。
- この楽章だけはD 567にはなく、結果として3楽章ソナタから4楽章のそれへと規模を拡大させている。意表をつく転調が多く、作曲者特有のロマン的和声が多い。中間部は変イ長調。
- 第4楽章 アレグロ・モデラート
なおハワード・ファーガソンによると「8分の6拍子であっても、不当に速いテンポで演奏することなく、リリックな主題を大きく歌い上げるべき」である。
その他
変ニ長調のほうがピアニスティックな演奏が可能になり、変ホ長調のものよりピアノソナタとしては優れている。しかし、管楽器で演奏する場合を想定すると変ホ長調のほうが適当である。ベートーヴェンも変ホ長調ソナタではホルンの音を模したといわれており、関連が示唆されている。
そのほかの例では「イタリア風序曲」D 590と「ロザムンデ序曲」D 797のコーダが同じテーマで、前者は下書き的要素が強い。
日本では内田光子の録音が有名。
脚注
- ^ マルティーノ・ティリモ校訂によるウィーン原典版ではD 567が第7番、D 568が第8番としてナンバリングされている。
外部リンク