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経空脅威の撃墜には、発見・捕捉・追尾・撃破の4段階のステップを踏むことになる{{Sfn|Dunnigan|1992|pp=186-188}}。[[第一次世界大戦]]では[[要撃機]]をどのように管制してこれらのステップを効率的に遂行させるかについて試行錯誤が繰り返されたが、後期には、対空監視員の視覚・聴覚によって得た情報を[[電話]]によって管制所に集約し、作戦を立案したうえで |
経空脅威の撃墜には、発見・捕捉・追尾・撃破の4段階のステップを踏むことになる{{Sfn|Dunnigan|1992|pp=186-188}}。[[第一次世界大戦]]では[[要撃機]]をどのように管制してこれらのステップを効率的に遂行させるかについて試行錯誤が繰り返されたが、後期には、対空監視員の視覚・聴覚によって得た情報を[[電話]]によって管制所に集約し、作戦を立案したうえで[[無線機]]によって戦闘機に指示を伝えるという方式が登場し、航空警戒管制組織の萌芽となった{{Sfn|Hogg|1982|pp=37-42}}。 |
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[[戦間期]]には、目標の発見手法として[[聴音機]]が重視されていたが、[[1930年代]]頃より各国で[[レーダー]]の研究が進み、特に[[イギリス]]は早くから[[国土防空]]での活用を模索して、[[第二次世界大戦]]における[[バトル・オブ・ブリテン]]でその成果が生かされた{{Sfn|Hogg|1982|pp=68-78}}。大戦末期の[[ジェット機]]の登場で対応の迅速化が急務となったほか、[[冷戦]]の始まりとともに[[核兵器]]の脅威が重大問題となり、より高性能な[[早期警戒レーダー]]の配備が進むとともに、[[アメリカ合衆国]]の[[半自動式防空管制組織]](SAGE)を端緒として、防空管制の自動化・システム化が急がれた{{Sfn|Hogg|1982|pp=167-176}}。 |
[[戦間期]]には、目標の発見手法として[[聴音機]]が重視されていたが、[[1930年代]]頃より各国で[[レーダー]]の研究が進み、特に[[イギリス]]は早くから[[国土防空]]での活用を模索して、[[第二次世界大戦]]における[[バトル・オブ・ブリテン]]でその成果が生かされた{{Sfn|Hogg|1982|pp=68-78}}。大戦末期の[[ジェット機]]の登場で対応の迅速化が急務となったほか、[[冷戦]]の始まりとともに[[核兵器]]の脅威が重大問題となり、より高性能な[[早期警戒レーダー]]の配備が進むとともに、[[アメリカ合衆国]]の[[半自動式防空管制組織]](SAGE)を端緒として、防空管制の自動化・システム化が急がれた{{Sfn|Hogg|1982|pp=167-176}}。また戦闘機を補完する長射程の対空兵器として[[地対空ミサイル]](SAM)が登場し、[[アメリカ陸軍]]は[[1953年]]より[[MIM-3 (ミサイル)|ナイキ・エイジャックス]]を、また[[1959年]]には[[アメリカ空軍]]も[[CIM-10 ボマーク|ボマーク]]を配備した{{Sfn|Hogg|1982|pp=151-161}}。 |
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また戦闘機を補完する長射程の対空兵器として[[地対空ミサイル]](SAM)が登場し、[[アメリカ陸軍]]は1953年より[[MIM-3 (ミサイル)|ナイキ・エイジャックス]]を、また[[1959年]]には[[アメリカ空軍]]も[[CIM-10 ボマーク|ボマーク]]を配備した{{Sfn|Hogg|1982|pp=151-161}}。 |
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SAGE control room.png|SAGEの管制室 |
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== 関連項目 == |
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* [http://osakanet.web.fc2.com/bokuho/index.html 防空法について] |
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2022年12月19日 (月) 03:18時点における版
防空(ぼうくう、英語: Air defense)とは、攻撃してくる航空機やミサイルの破壊、ないしその効果の低減・無効化を目的とした防衛手段[1]。アメリカ空軍では、対空戦における防勢作戦の一部と位置付けている[1][注 1]。
国土防空
経空脅威の撃墜には、発見・捕捉・追尾・撃破の4段階のステップを踏むことになる[2]。第一次世界大戦では要撃機をどのように管制してこれらのステップを効率的に遂行させるかについて試行錯誤が繰り返されたが、後期には、対空監視員の視覚・聴覚によって得た情報を電話によって管制所に集約し、作戦を立案したうえで無線機によって戦闘機に指示を伝えるという方式が登場し、航空警戒管制組織の萌芽となった[3]。
戦間期には、目標の発見手法として聴音機が重視されていたが、1930年代頃より各国でレーダーの研究が進み、特にイギリスは早くから国土防空での活用を模索して、第二次世界大戦におけるバトル・オブ・ブリテンでその成果が生かされた[4]。大戦末期のジェット機の登場で対応の迅速化が急務となったほか、冷戦の始まりとともに核兵器の脅威が重大問題となり、より高性能な早期警戒レーダーの配備が進むとともに、アメリカ合衆国の半自動式防空管制組織(SAGE)を端緒として、防空管制の自動化・システム化が急がれた[5]。また戦闘機を補完する長射程の対空兵器として地対空ミサイル(SAM)が登場し、アメリカ陸軍は1953年よりナイキ・エイジャックスを、また1959年にはアメリカ空軍もボマークを配備した[6]。
航空自衛隊では領空の外側に防空識別圏(JADIZ)を設定し、1958年より戦闘機の警戒待機(アラート)を開始して、必要に応じてスクランブル(対領空侵犯措置)を行っている[7]。当初は陸上自衛隊の所属として導入計画が進んでいたナイキについても、航空警戒管制組織との連携が必要であることから、1962年の決定に基づいて空自に移管された[8]。その後、ナイキの後継として1989年よりパトリオットミサイルの導入が開始された[9]。一方、基地の防空のためには、野戦防空に準じた対空機関砲や短射程SAMの配備も行われている[10]。
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SAGEの管制室
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発射機上のナイキ・エイジャックス
野戦防空
普仏戦争で初めて登場して以降、高射砲はもっとも重要な対空兵器であり続けてきた[11]。しかし1958年、イギリス軍は対空砲のうち中・大口径のものについてはこれ以上改良しないことを決定し、その任務はSAMに移行していくことになった[6]。一方、SAMが登場した後でも、高度1,000メートル以下の低高度領域では対空機関砲がもっとも有効な対空兵器であり続けているが、システムの可搬性の面では、携帯式防空ミサイルシステム(MANPADS)など小型SAMのほうが優れている面もある[12]。
理想的な防空システムを完成させるには、前後(縦深)と上下(高度差)方向に何層もの防空網を配置することが望ましい[13]。アメリカ陸軍では、最前線(FLOT)付近はアベンジャーシステムなどを保有する短距離防空(SHORAD)部隊、その後方の支援地域などはパトリオットミサイルなどを保有する高・中高度防空 (HIMAD) 部隊が分担することになっている[14]。また歩兵部隊なども自衛用としてMANPADSを保有する場合もあるほか、小火器による対空射撃も有効な場合がある[15]。
またアメリカ陸軍・海兵隊では、これらの能動的措置のほか、擬装や隠蔽などといった受動的措置も防空に含めている[16][17][注 1]。
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アメリカ海兵隊のスティンガーチーム
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森林に潜伏するM-SHORADシステム
洋上防空
洋上において艦隊が経空脅威から自らを防護する場合、その艦艇自身の装備(艦載機を含む)を組み合わせて構築された防空体制が主体となっており、これを艦隊防空(fleet air defense)と称する[18]。一方、艦載機の運用能力を持たない艦船に対して地上基地からの航空援護を提供することは早くから行われていたが、OTHレーダーや早期警戒管制機(AWACS)が登場すると、艦載機の運用能力を有する艦船に対しても、その行動圏外での防空を陸上機によって補完することが可能となっており、このような艦艇部隊の外部を含む大きな枠組みでの広域防空体制を洋上防空(maritime air defense)と称するようになった[18]。
艦隊防空においては、航空機によるアウター・ディフェンス・ゾーン(outer defense zone)、艦艇装備の対空兵器を組織化して運用するエリア・ディフェンス・ゾーン(area defense zone)、各艦ごとに自らの対空兵器によって防空を行うポイント・ディフェンス・ゾーン(point defense zone)の3つのゾーンにわけて縦深防御が行われる[18][19]。第二次世界大戦後期のアメリカ海軍では、戦闘指揮所(CIC)を中核として艦上戦闘機や艦艇装備の対空兵器を組織化しての艦隊防空システムを構築した[19]。その後、長射程の艦対空ミサイル(SAM)が実用化されるとこちらがエリア・ディフェンスの主役となった一方[18]、対艦ミサイル防御(ASMD)の必要性がクローズアップされるとポイント・ディフェンス用兵器にCIWSが加わった[19]。また海軍戦術情報システム(NTDS)の導入など、システム化も進められた[19]。
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艦対空ミサイルを連続発射するアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦
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射撃中のファランクスCIWS
脚注
注釈
出典
- ^ a b c U.S. Airforce 2019, pp. 9–11.
- ^ Dunnigan 1992, pp. 186–188.
- ^ Hogg 1982, pp. 37–42.
- ^ Hogg 1982, pp. 68–78.
- ^ Hogg 1982, pp. 167–176.
- ^ a b Hogg 1982, pp. 151–161.
- ^ 航空幕僚監部 2006, pp. 154–159.
- ^ 航空幕僚監部 2006, pp. 226–230.
- ^ 航空幕僚監部 2006, pp. 489–495.
- ^ 航空幕僚監部 2006, pp. 560–562.
- ^ Hogg 1982, pp. 1–4.
- ^ Dunnigan 1992, pp. 188–190.
- ^ Dunnigan 1992, pp. 190–192.
- ^ Department of the Army 2020, ch.1.
- ^ McNab & Fowler 2003, pp. 160–165.
- ^ Headquarters Marine Corps 2018, ch.3.
- ^ Department of the Army 2020, ch.11.
- ^ a b c d 大賀 2022.
- ^ a b c d 香田 2016.
参考文献
- Dunnigan, James F.「第8章 防空」『新・戦争のテクノロジー』岡芳輝 (訳)、河出書房新社、1992年(原著1988年)、185-201頁。ISBN 978-4309241357。
- Department of the Army (December 2020), FM 3-01 U.S. Army Air and Missile Defense Operations
- Headquarters Marine Corps (April 4, 2018), MCTP 3-20C Antiair Warfare
- Hogg, Ian V.『対空戦』陸上自衛隊高射学校 (翻訳)、原書房、1982年(原著1978年)。ISBN 978-4562012466。
- McNab, Chris、Fowler, Will『コンバット・バイブル―現代戦闘技術のすべて』小林朋則 (訳)、原書房、2003年(原著2002年)。ISBN 978-4562036240。
- U.S. Airforce (September 6, 2019), Air Force Doctrine Publication 3-01 Counterair Operations
- 大賀良平「洋上防空と艦隊防空 (ヒストリー 海自防空戦)」『世界の艦船』第982号、海人社、106-111頁、2022年10月。CRID 1520293578189983616。
- 香田洋二「艦隊防空 : 発達の足跡と今後 (特集 現代の艦隊防空)」『世界の艦船』第838号、海人社、69-77頁、2016年6月。 NAID 40020832532。
- 航空幕僚監部 編『航空自衛隊50年史 : 美しき大空とともに』2006年。 NCID BA77547615。
関連項目
- 国土防空 - 民間防衛 - 灯火管制
- 防空監視隊 - 防空監視哨
- 日本本土空襲
- 空襲下の日本
- 攻撃機 - 電子戦 - 制空権
- ミサイル防衛#日本におけるミサイル防衛
- レーダー - ミサイル防衛 - 戦略防衛構想
- 未確認飛行物体
外部リンク
- アジア歴史資料センター(公式)(国立公文書館)※環境によっては表示できません。
- 大阪地裁・大阪高裁が認定した日本の防空法制
- 防空法について
- 『防空』 - コトバンク