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フルーツポンチ

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いろいろなパンチ
パンチを飲む人々。デンマーク国立美術館
スペイン王家バカラ製のパンチボウル

フルーツポンチフルーツパンチ: Fruit punch)は、果汁等を混ぜたアルコール飲料パンチポンチ酒ポンチ)に、切った果物(フルーツ)を入れた飮み物・デザート。今日ではアルコールを含まないものも多い。

パンチ(ポンチ)という名称は、ヒンディー語で「5」または「5つの」を意味する「パーンチ」(pāñc पाँच)に由来する。パンチの原型となったインドの飲み物は、蒸留酒アラック)、砂糖レモン汁、紅茶または香辛料の5つの材料からできた、一種のカクテルであった。イギリス東インド会社の船員がその製法をイギリスに持ち帰り、そこからパンチがヨーロッパの他の国々に広まった。江戸時代日本にもオランダ商船等を通じてもたらされ、オランダ語 pons を借りて「ポンス」といった。後にポンスは酒ではなく酸味の果汁を指すようになり、ポン酢の語源となったと言われる。砂糖・果汁等を混ぜた酒については、明治時代には「ポンチ」「ポンチ酒」等と言った。

現代のパンチはさまざまな材料で作られるが、・砂糖・果汁・水の他、シロップ炭酸水、小さめに切った果物を入れる場合が多い。果物の種類は問わないが、柑橘類リンゴチェリーキウイフルーツパイナップルなどがよく使われる。生の果物ではなく、シロップワインなどで煮込んだコンポート缶詰の果物(シロップ漬け)を用いる場合もあり、果物以外に寒天ゼリー等を加える場合もある。また、酒を使わない場合も多く、アメリカ合衆国等では、子供のパーティーでよく供される。

本来は、パンチボウルという大きなボウルに入れて供し、柄の長い専用の杓子でパンチグラスに注いで飲まれるが、アルコールの入らない清涼飲料水としてのパンチはアメリカ合衆国などではポピュラーな飲み物となっており、「ハワイアン・パンチ」「トロピカル・パンチ」などの名称で多くのブランドから缶入り・びん入りの製品が市販されている。また、汁を少なくし、主に果物を食べて楽しむデザートとして供されるものもある。20世紀初頭にフルーツパーラーをはじめて開いた千疋屋では、当時流行した風刺絵のポンチ絵も意識して、1923年から冬場のフルーツドリンクとしてフルーツポンチを供している。

関連項目

オランダ語 pons に由来する[1](現代オランダでは廃語)。pons は、英語の punch (パンチ、ポンチ)からの借用語で[2]、酒類を湯や牛乳で割り、果汁やソーダや糖を加えた一種のカクテルである。この語の正確な語源はわかっていないが、一説によれば、5種類の材料から作られることから マラーティー語(とヒンディー語)で「5」を意味する pānch と呼ばれているインドの飲み物に由来するという[2]。すでに1632年には英語文献に現れている。

日本ではもともとは「ポンス」と呼ばれていて、楢林雑話(1799年)で「和蘭の酒をポンスと云、これを製するには、焼酎一杯、水二杯沙糖宜きほどに入、肉豆蒄、香気あるために入」とある。日国に載っているこの語のヴァリアントの初出を年代順にしるせば、「ポンス」(1799年)、「ポンチ」(1887年)、「パンチ」(1969年) となる。後二者は英語 punch からの音訳である。

  1. ^ 小学館国語辞典編集部編集, 『日本国語大辞典』精選版, 小学館, 2006年
  2. ^ a b Oxford English Dictionary, 2nd Edition. punch の項を参照。