ロー・スクール (アメリカ合衆国)
アメリカにおけるロー・スクール (Law school) は法曹教育機関。メディカル・スクール(日本の医学部に相当)やビジネス・スクール(経済・経営学大学院)と同様に、学部卒業者を対象とする専門職養成大学院(プロフェッショナル・スクール)として設置されている。教育年限は通常3年。修了者にはジュリス・ドクター(Juris Doctor:JD)の学位が与えられる。
この他に、J.D.を取得した者が対象の法学修士(LL.M.)コースを設置しているロー・スクールもある。LL.M.コースは通常は一年間の課程である。しかし,LL.M.コースにアメリカ人の学生が進学することは非常に稀であり,実際上は外国で法学部を卒業した留学生が対象になっている。その為,ロー・スクールによっては比較法修士(M.C.L.)としているところもある。更に,LL.M.修了者を対象とした法学博士(S.J.D.)もあるが,これに進学する者は非常に稀である。(S.J.D.との混乱を避けるために,上記ジュリス・ドクターを「法学博士」と翻訳することは好ましくない。)
ロー・スクールには、アメリカ法曹協会(ABA)認定のロー・スクールと,非認定のロー・スクールがあり,大抵の州では、基本的に認定校のJD取得者でなければ各州の司法試験を受験することができない。ただし,カリフォルニア州は例外的に非認定校のにも受験を認めている。それに加え、非認定のロースクール卒業者が数年間準弁護士として実地経験を積む事で司法試験の受験資格を与えている州もある。
ロー・スクール卒業者の絶対数が多いので、学校の評判や在学中の成績が就職に影響する。したがって、学生生活は、過酷な場合も多々ある。
編集委員システム
1年次の成績優秀者から、大学出版の法律雑誌(ロー・レビュー)の編集委員が選ばれる。有名大学の編集委員であったという実績は就職活動に極めて有利に働くため、編集委員をめぐる競争は極めて激しい。アメリカにおける州最高裁判所調査官は、ロー・スクールを出身したばかりの法曹が1年交代で務めるのが通例であるが、その調査官も通常は有名大学の編集委員経験者から選ばれる。