王の男
王の男 | |
---|---|
왕의 남자 | |
監督 | イ・ジュニク |
脚本 | チェ・ソックァン |
原作 | キム・テウン『爾』 |
製作 | チョン・ジナン、イ・ジュニク |
出演者 | カム・ウソン、イ・ジュンギ、チョン・ジニョン他 |
音楽 | イ・ビョンウ |
撮影 | チ・ギルン |
編集 | キム・サンボム、キム・ジェボム |
制作会社 | 、イーグル・ピクチャーズ、CJエンタテインメント |
配給 | シネマサービス |
公開 | 2005年12月29日 |
上映時間 | 119分 |
製作国 | 韓国 |
言語 | 朝鮮語 |
製作費 | 44億ウォン[1] |
王の男 | |
---|---|
各種表記 | |
ハングル: | 왕의 남자 |
漢字: | 王의 男子 |
発音: | ワンエ ナムジャ |
ローマ字: | Wang-eui Namja / King and the Clown |
『王の男』(おう の おとこ、朝鮮語: ワンエ ナムジャ、ハングル: 왕의 남자)は、2005年12月29日公開の韓国映画。
劇作家・演出家で韓国芸術総合学校教授のキム・テウンが2000年に発表した戯曲『爾』を原作とする。チェ・ソックァンが脚本を、イ・ジュニクが演出および製作を担当(製作はチョン・ジナンと共に)。カム・ウソンとイ・ジュンギが主役の広大(旅回りの芸人)役、チョン・ジニョンが燕山君役、カン・ソンヨンがチャン・ノクス役を演じた。
製作費は広報の費用も含めて67億ウォン[1]と低予算であったが、公開後46日後の2006年2月11日付で観客動員1,000万人を突破[2]。国内上映が終了した同年4月18日時点で累計1,230万1,289人を動員するヒット作となった[3]。この記録は同年9月に『グエムル-漢江の怪物-』に抜かれるまで、韓国における観客動員数の最高記録であった[4]。また同年度の大鐘賞最優秀作品賞を始め、その年の映画賞を複数受賞している。
燕山君治世下の李氏朝鮮。漢城にやってきた二人の広大が燕山君に仕えることとなり、宮廷の陰謀や策略に巻き込まれる様子が描かれている。
あらすじ
16世紀はじめ、燕山君治世下の李氏朝鮮。広大のチャンセンは仲間のコンギルと共に漢城にやってきた。ふたりはそこで、燕山君と愛妾チャン・ノクスを風刺する芸を披露して有名人となるが、国王を風刺した咎でふたりは義禁府に捕らえられてしまった。「王を笑わせたら罪を許す」という約束をとりつけたチャンセンはあの手この手で芸をするが燕山君は無反応。しかしその時コンギルが機転を利かせて芸をし、燕山君を笑わせた事でふたりは罪を許された。
燕山君に仕えることとなったチャンセンとコンギルは宮中でさまざまな芸を披露するが、その度に粛清の嵐が起きた。ある時は重臣が、ある時は先王の後宮が罰を受けたり斬り殺されたりしていった。その事でふたりは重臣たちから疎まれていき、重臣たちは彼らを宮中から追い出そうと策略を巡らせる。一方、燕山君の関心がふたりに向いている事で嫉妬心を燃やすチャン・ノクスも陰謀を企むのであった[5][6]。
登場人物
俳優 | 役名 | 作品中の設定等 |
カム・ウソン | チャンセン | 広大。綱渡りの名人で度胸と巧みな話術を持って漢城で成功していく。仲間であるコンギルの事を見守っている。 |
イ・ジュンギ | コンギル | 広大で女形を担当。美貌と演技力で燕山君の心を捉えていく。 |
チョン・ジニョン | 燕山君 | 李氏朝鮮第10代国王。作品中では気性が荒いながら心の奥底に孤独や悲しみを抱えた人物として登場する。コンギルに惹かれていく。 |
カン・ソンヨン | チャン・ノクス | 燕山君の愛妾。王の関心を奪ったチャンセンとコンギルを疎み、彼らを宮中から排しようと画策する。 |
チャン・ハンソン | チョソン | 燕山君に仕える老内侍。 |
ユ・ヘジン | ユッカプ | チャンセンとコンギルが漢城で出会った広大。後彼らの仲間となる。 |
チョン・ソギョン | チルトゥク | 広大でユッカプの仲間。 |
イ・スンフン | パルポク | 広大でユッカプの仲間。 |
ユン・ジュサン | ソン・ヒアン | 朝廷に仕える文臣。後に中宗反正に参加し燕山君を王位から引きずり下ろした。 |
チェ・イルファ | ソン・ジュン | 朝廷に仕える文臣。甲子士禍に巻き込まれて死去した。 |
シン・ジョングン | イ・グッキュン | 朝廷に仕える文臣。ソン・ジュン同様甲子士禍の犠牲となった。 |
パク・スイル | パク・ウォンジョン | 朝廷に仕える武臣。 中宗反正の首謀者。 |
ウ・ヒョン | ホン内官 | 朝廷に仕える内侍。 |
ユン・ソジョン | 仁粋大妃 | 燕山君の祖母。燕山君の憎悪の対象のひとり。 |
反応
韓国国内では4か月間の上映期間(最終日が2006年4月18日)の間に1,230万人(ソウル特別市内では約366万人)の観客動員を記録し[3]、歴代の観客動員記録の第1位となった。また12か月間の上映期間で726億ウォンの総収入を挙げた[7]。上映された全ての国における総収入は7,440万ドルである[8]。低予算で製作された(製作費用約44億ウォンであり、そして2月11日付で観客動員数1,000万人を突破した)この作品は、作品そのものの出来の良さと俳優陣の演技の素晴らしさのゆえに好意的な批評を得、また作品に対する肯定的な口コミが広まった。そして作品は商業的な成功を収め、同性愛的なテーマと合わせ、この作品が伝統芸術へ注目した点が考察された。[訳語疑問点]またこの作品は、同じく観客動員数1,000万人超えを記録した『ブラザーフッド』や『シルミド』のような作品と比較されたが、それらの作品とは違い多額の製作費用はかけられておらず、また人々の耳目を集めるような俳優・監督も参加していなかった[9][10]。
この作品は韓国映画振興委員会によって、『グエムル-漢江の怪物-』と『絶対の愛』を抑えて第79回アカデミー外国語映画賞候補作品として選ばれ出品されたが、最終候補5作品には入らなかった[11][12]。また無名であったイ・ジュンギは、この作品をきっかけにアジア圏内でスターとなった[13]。
受賞歴
本節の記述は、個別に注釈がない場合は[14][15][16][17]に基づく:
年度 | 映画賞 | 部門 | 対象者 | 結果 |
---|---|---|---|---|
2006 | 第43回大鐘賞 | 作品賞 | - | 受賞 |
監督賞 | イ・ジュニク | 受賞 | ||
脚本賞 | チェ・ソックァン | 受賞 | ||
主演男優賞 | カム・ウソン | 受賞 | ||
助演男優賞 | ユ・ヘジン | 受賞 | ||
助演女優賞 | カン・ソンヨン | ノミネート | ||
新人男優賞 | イ・ジュンギ | 受賞 | ||
撮影賞 | チ・ギルン | 受賞 | ||
編集賞 | キム・サンボム | ノミネート | ||
照明賞 | ハン・ギオプ | ノミネート | ||
音楽賞 | イ・ビョンウ | ノミネート | ||
衣装賞 | シム・ヒョンソプ | ノミネート | ||
美術賞 | カン・スンヨン | ノミネート | ||
企画賞 | イーグル・ピクチャーズ | ノミネート | ||
音響技術賞 | キム・タニョン | ノミネート | ||
人気男優賞 | イ・ジュンギ | 受賞 | ||
人気女優賞 | カン・ソンヨン | 受賞 | ||
海外人気賞 | イ・ジュンギ | 受賞 | ||
第42回百想芸術大賞 | 大賞 | イ・ジュニク | 受賞 | |
映画部門作品賞 | - | ノミネート | ||
映画部門監督賞 | イ・ジュニク | ノミネート | ||
映画部門最優秀演技賞(男優) | チョン・ジニョン | ノミネート | ||
映画部門脚本賞 | チェ・ソックァン | ノミネート | ||
映画部門新人男優賞 | イ・ジュンギ | 受賞 | ||
第27回青龍映画賞 | 作品賞 | - | ノミネート | |
監督賞 | イ・ジュニク | ノミネート | ||
主演男優賞 | カム・ウソン | ノミネート | ||
助演男優賞 | ユ・ヘジン | ノミネート | ||
助演女優賞 | カン・ソンヨン | ノミネート | ||
新人男優賞 | イ・ジュンギ | ノミネート | ||
撮影賞 | チ・ギルン | ノミネート | ||
音楽賞 | イ・ビョンウ | 受賞 | ||
照明賞 | ハン・ギオプ | ノミネート | ||
美術賞 | カン・スンヨン | ノミネート | ||
技術賞 | キム・サンボム、キム・ジェボム | ノミネート | ||
第14回利川春史大賞 | 主演男優賞 | カム・ウソン | 受賞 | |
助演男優賞 | チャン・ハンソン | 受賞 | ||
第5回大韓民国映画大賞 | 新人男優賞 | イ・ジュンギ | 受賞 | |
第29回黄金撮影賞 | 作品賞 | - | 受賞 | |
撮影賞・金賞 | チ・ギルン | 受賞 | ||
新人男優賞 | イ・ジュンギ | 受賞 |
韓国国外での上映
- 台湾: 2006年5月7日
- シンガポール: 2006年6月22日
- カナダ: 2006年9月7日(トロント国際映画祭での上映)
- 日本: 2006年10月21日(東京国際映画祭での上映[18])/ 2006年12月9日(劇場公開[4])
- 中国: 2006年10月28日(上海市内での上映)
- イギリス: 2006年10月29日(ロンドン映画祭での上映)
- 南アフリカ共和国: 2006年11月14日(ケープタウン映画祭での上映)
- ニュージーランド: 2006年12月1日(ニュージーランド国際映画祭での上映)
- アメリカ合衆国: 2007年1月3日(ロサンゼルス市内での上映)
- イタリア: 2007年3月30日(フィレンツェ映画祭での上映)
- フランス: 2007年4月1日(2007年度ドーヴィル・アジア映画祭)/ 2008年1月23日(劇場公開)
関連作品
DVD
2007年4月に角川エンターテインメントよりスタンダード・エディションとコレクターズ・エディションの2種類が発売された[19][20]。
書籍
2006年11月、角川文庫よりノベライゼーションが刊行された[21]。
脚注
- ^ a b 박인규 "연극 '이'로 '왕의 남자' 기록 세우려면 40년 걸려" プレシアン 2006.2.4付記事
- ^ 김명희 영화 ‘왕의 남자’ 네 주인공 인터뷰 & 촬영 에피소드 공개 女性東亜 2006.3.8付記事
- ^ a b 이희진 왕의 남자 1,230만 112일간 최종스코어 역대 흥행 기록 수립 NEWSEN 2006.4.19付記事
- ^ a b 韓国歴史的ヒットの「王の男」は「同性愛映画ではない」 映画.com 2006.9.26付記事
- ^ Noel Megahey The King And The Clown The Degital Fix 2006.7.30付記事
- ^ 王の男 innolife 2016.4.10 09:00 (UTC) 閲覧
- ^ "South Korea Box Office: March 17–19, 2006" Box Office Mojo 2016.4.26 21:18 (UTC) 閲覧
- ^ "World wide Box Office: King and the Clown" Box Office Mojo 2016.4.26 21:18 (UTC) 閲覧
- ^ Yi, Ch'ang-ho (13 February 2006). “King and the Clown expected to be as popular as Taegukgi and Silmido”. Korea Film Biz Zone. Korean Film Council 16 October 2012閲覧。
- ^ “'The King and the Clown' Draws 10 Million Viewers”. 朝鮮日報英語版. (10 February 2006) 16 October 2012閲覧。
- ^ Paquet, Darcy (21 September 2006). “King and the Clown chosen as Korea`s Oscar entry”. Korea Film Biz Zone. Korean Film Council 16 October 2012閲覧。
- ^ “South Korea rests Oscar hope on gay-themed film”. The Guardian. (21 September 2006) 16 October 2012閲覧。
- ^ [King and the Clown Special]왕의 남자 (The King and The Clown) Part 1 of 3 twitchfilm.com 2006.9.1付記事
- ^ 왕의 남자 수상정보 KMDb 2016.4.16 00:23 (UTC) 閲覧
- ^ 대종상 영화제 2006년 제43회 NAVER 2016.4.16 00:23 (UTC) 閲覧
- ^ 백상예술대상 2006년 제42회 NAVER 2016.4.16 00:23 (UTC) 閲覧
- ^ 제27회 청룡영화상 青龍映画賞公式サイト 2016.4.16 00:23 (UTC) 閲覧
- ^ スケジュール 10.21(土) 第19回東京国際映画祭公式サイト(アーカイヴ)
- ^ 王の男 スタンダード・エディション Amazon.co.jp 2017.10.22 00:25 (UTC) 閲覧
- ^ 王の男 コレクターズ・エディション Amazon.co.jp 2017.10.22 00:25 (UTC) 閲覧
- ^ 王の男 KADOKAWA 2017.10.22 08:20 (UTC) 閲覧