セントーン
表示
セントーン(Senton)は、プロレス技の一種である。
概要
[編集]メキシコのルチャリブレ発祥の技で、「セントーン」とはスペイン語で「尻餅」を意味する[1]。マット上で倒れている相手に対して、その名の通り尻餅をつくようにジャンプして自らの背面や臀部を浴びせかける。
トップロープから放つダイビング・セントーンの場合、「受ける側はもとより、避けられたら放つ側も大ダメージを負ってしまうリスクの大きい技」という危惧をファンに抱かせることができる大技である。しかし、放つ側は避けられたとしても、ドロップキックの着地とほぼ同様の受身が取れるため大きなダメージは残らない。
開発者はメキシコでミドル級のルードとして活躍したレネ・グアハルドとされる。以降、ペロ・アグアヨをはじめメキシコのルチャドールによって広められた[2]。日本におけるセントーンの名手として、ヒロ斎藤は「ミスター・セントーン」、ディック東郷は「マスター・オブ・セントーン」の異名を持ち、彼らの代名詞となっている。
派生技
[編集]- サンセット・フリップ
- サマーソルト・ドロップとも呼ばれる。倒れた相手に対し、その場で(または助走をつけて)前方宙返りをして、自らの背面を浴びせかける。元祖はエドワード・カーペンティアで、彼の影響を受けたマイティ井上は自身の代名詞的な技として用いた[3]。他の使い手ではビクター・リベラ、ラニー・ポッフォ、マーク・メロなど、カーペンティアや井上と同じく空中戦を得意とする中軽量級のレスラーが多いが、スーパーヘビー級のドン・レオ・ジョナサンも使用していた[3]。
- スチーム・ローラー
- サンセット・フリップの一種であるが、空中に体を浮かせない点が異なる。倒れた相手に向かって「でんぐり返し」をして身体を浴びせかける。欧州マット界の盟主だったオットー・ワンツの得意技。ワンツは巨漢であり、体重そのものが武器になっていた[3]。ワンツと同様に重量級のジャイアント・キマラ(2代目)も使用。
- ローリング・サンダー
- ロープで反動をつけて前方回転してからのサンセット・フリップ。ロブ・ヴァン・ダムの得意技で[4]、日本人選手では梶トマトが使用。モハメド・ヨネも同名の技を使用しているが、ヨネのものは蹴り技であり、別の技である。
- コズモ難波スペシャル
- コーナーにもたれかかっている相手に向かって、対角から助走をつけてサンセット・フリップを見舞う。芸能プロダクション「ステッカー」代表取締役であるコズモ難波こと難波規精が学生プロレス時代に得意としていた。同型の技を土井成樹が「大暴走」、ジュース・ロビンソンが「キャノン・ボール」の名称で使用している。
- リバース・セントーン
- 川畑輝鎮のオリジナル技。コーナー付近で倒れている相手に放つもので、リングに背を向けてコーナーのセカンドロープに両足をかける形で登り、トップロープを両手で掴んだまま、ロープのリバウンドを利用して後方へ大きくジャンプ。空中で自分の体がマットとほぼ平行になった状態の時に両手をロープから離すと同時に、空中で後方宙返りして背中が下に向くようにし、背中から相手の上に落ちる。
- ローリング・セントーン
- リングに背を向けてセカンドコーナーに飛び登り、捻りを加えながら落下するセントーン。主な使用者は金本浩二、川畑輝鎮、ハヤブサ。佐々木健介も使用することがある。
- ヴァルキリー・スプラッシュ
- 上記ローリング・セントーンの派生技。ムーンサルトプレスのようにコーナーから跳躍してから、体を180度捻ってセントーンの形で落ちる技。KAORUの得意技。ミラノコレクションA.T.はライオンサルトのようにロープの反動で跳躍し、ヴァルキリー・スプラッシュを見舞う「アルマニッシュ・エクスチェンジ」を使用する。
- セントーン・アトミコ
- ザ・グレート・サスケが開発した、コーナートップから空中で前方に270度回転して肩口から浴びせるセントーン。オカダ・カズチカ、石森太二なども使用。本来は後頭部付近から落下する技であるが、首への負担が大きいために背中から落ちる形で使用されることが多い。ジェフ・ハーディーやMIKAMIの「スワントーン・ボム」(セントーン・ボム)、森隆行の「エレガントーン」も同じ技。
- 630°スプラッシュ
- コーナートップから630度前方に回転してのセントーン。ジャック・エバンスのオリジナル技で、MIKAMI(技名は「ディープ"M"インパクト」)、ジェレル・クラーク、リコシェ、PACなども使用。
- セントーン・レベルサ
- リングに背を向けた状態でコーナー上に立ち、ジャンプしながら空中で体を約450度ほど後方に回転させ、仰向けに寝ている相手の上にセントーンの形で背面から落下する高難易度の技。ザ・グレート・サスケ、MIKAMIらが使用。
- コークスクリュー630°
- ジャック・エバンスが稀に放つ技で、和名は「不死鳥魂」。リングに背を向けた状態で、コーナーからひねりを加えてジャンプ。空中で横に180度、前方に630度回転してのセントーン。日本人では唯一、飯伏幸太が自身の必殺技のフェニックス・スプラッシュに180度の縦回転を加えたものを、「フェニックス式ローリングセントーン」の名称で使用している。またプロレスゲームソフト「ファイヤープロレスリングワールド」では、「コークスクリューキャノンボールセントーン」の名称で解禁、使用することができる。
- スパイラル・タップ
- AJスタイルズのオリジナル技。
- コーナートップから飛んで前方270度回転+横360度回転して、倒れている相手に落下するセントーン。
- ダイビング・セントーン・アタック
- 高橋ヒロム使用。
- 場外又は、リング上に立っている相手に繰り出すダイビング式のセントーン。コーナー最上段からジャンプと同時に体を上向きにし、臀部から体重を浴びせるのが特徴。主に場外にいる相手に使用。CMLL参戦時代のカマイタチのレスラー時代から愛用する得意技。
- ファンタスティック・フリップ
- ザ・ファンタスティックス(ボビー・フルトン&トミー・ロジャース)による合体技で、ツープラトンのダイビング式サンセット・フリップ[5]。
- コーナー最上段に立ったパートナーの両手首を、もう一方のパートナーが(コーナーに背を向けた状態で)両手で掴み、そのままパートナーを前方回転させて、マット上にダウンしている相手に背面から投げつける。
脚注
[編集]- ^ 小学館 西和中辞典 第2版 senton
- ^ 『THE WRESTLER BEST 1000』P113(1996年、日本スポーツ出版社)
- ^ a b c “マイティ井上のサンセット・フリップ”. 昭和プロレス研究室. 2018年10月16日閲覧。
- ^ “Rob Van Dam”. Online World of Wrestling. 2018年10月18日閲覧。
- ^ “ファンタスティックフリップ”. Pro Wrestling Info Net. 2023年10月2日閲覧。