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ヒギリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヒギリ
ヒギリの花
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: シソ目 Lamiales
: シソ科 Lamiaceae
亜科 : キランソウ亜科 Ajugoideae
: クサギ属 Clerodendrum
: ヒギリ C. japonicum
学名
Clerodendrum japonicum (Thunb.) Sweet (1827)[1]
シノニム
野生化したヒギリ
(沖縄県大宜味村 2024年6月)

ヒギリ(緋桐[3]学名: Clerodendrum japonicum) はシソ科[注 1]クサギ属の低木。原産地はインドなどの熱帯アジア。花が赤くて美しいことから古くから栽培されてきた[3]和名は緋桐で、別名にトウギリ(唐桐)がある。中国名は、赬桐[1]

特徴

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落葉性の小低木[4]。背丈は1メートル (m) 程度になる。対生で長い葉柄があり、葉身は卵円形で先端が尖り、基部は心臓形となり、その形はキリに似る[4]。葉の長さは17 - 30センチメートル (cm) で縁には細かい鋸歯が並び、葉表は深緑色で裏面には黄色い短い腺毛を密生する[4]

花期は夏から秋で、枝先に大きな円錐花序を伸ばし、赤いを多数つける[4]花序は長さ30 - 50 cmになるが、その花軸から花柄、花冠と全てが赤い[5]。萼は卵円形で5裂し、花冠と同じ赤色。花筒は長さ2 cm、先端は5裂して平らに開き、やはり真っ赤。雄蘂は4本、柱頭と共に花筒から突き出し、伸びて先端が上を向く[4]

分布

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原産地はインド[3]東南アジア[4]中国南部からインド北部にかけて自生している[6]。日本では南西諸島に植栽され[3]、時に野生化してみられる[7]

利用

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古くから栽培され、暖地では庭園に植えられることもある[4]。日本への渡来は古く、『花壇地錦抄』(1695年)に出ている[8]。恐らくその渡来は延宝年間(1673 - 1681年)と言われる。耐寒性は強くないので栽培は暖地に限られるものの、東京でも暖かい場所では藁囲い程度で冬越し出来る例もある[5]。沖縄では、庭園や並木にも使われている[3]

繁殖には根伏せが利用出来る。根を20 cm程度切り取って土をかけておくと発根し芽が出る。これは自然な状態でも起きるもので、暖地では親株の周囲に伸びた根から不定芽が生じて集団を作るのが見られるという[5]

脚注

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注釈

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  1. ^ 最新の植物分類体系であるAPG体系ではシソ科(Lamiaceae)に分類されるが、古い分類体系のクロンキスト体系新エングラー体系ではクマツヅラ科(Verbenaceae)に分類される[1]

出典

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  1. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Clerodendrum japonicum (Thunb.) Sweet ヒギリ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月27日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Clerodendrum kaempferi sensu Siebold, non (Jacq.) Steud. ヒギリ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月27日閲覧。
  3. ^ a b c d e 辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社〈中公新書〉、2006年2月25日、188頁。ISBN 4-12-101834-6 
  4. ^ a b c d e f g 牧野 (1961), p. 519.
  5. ^ a b c 浅山ほか (1977), p. 31.
  6. ^ 佐竹他(1989),p.213 [要文献特定詳細情報]
  7. ^ 北村・村田 (1979), p. 49.
  8. ^ 青葉ほか編 (1994), p. 781.

参考文献

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  • 牧野富太郎 著、前川文夫・原寛・津山尚 編『牧野新日本植物圖鑑』北隆館、1961年。 
  • 浅山英一・太田洋愛・二口善雄『園芸植物:原色図譜 温室編』平凡社、1977年4月。 
  • 青葉高ほか 編『園芸植物大事典』 1巻、小学館、1994年4月。 
  • 北村四郎・村田源『原色日本植物図鑑 木本編 II』保育社〈保育社の原色図鑑 50〉、1979年10月。