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1962年メキシコシティ被曝事故

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コバルト60のカプセル
A)国際標準放射線容器(通常は)
B) 止め輪
C)D・E・F・Gで構成される放射線源
D) ステンレス製で二重に溶接された缶体
E) F・Gを囲むステンレス鋼のふた
F) Gを保護する内部シールド (通常はウラン金属またはタングステン合金)
G) 直径30mmの棒状の放射性物質

1962年メキシコシティ被曝事故(1962ねんメキシコシティひばくじこ、1962 Mexico City radiation accident)は、1962年3月から8月にかけて、メキシコメキシコシティで、10歳の少年が適切な遮蔽物に収まっていない工業用途のX線撮影放射線源を持ち帰ったことから発生した、放射線障害事故[1]

5人がコバルト60カプセルからの5キュリー(Ci)の放射線を過剰に浴びて、そのうち4人が死亡した。

解説

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このカプセルの出所については「ゴミ捨て場で見つかった[2]」「野原で見つかった[3]」「事故にあった家族が引っ越してきたときにすでに家の庭にあり「家族の誰もその容器が何であるかを正確に知らずようすを見るために保管されていた[4]」など見解が分かれている。

少年は数日間そのカプセルをポケットに入れ、その後母親が自宅の台所の棚に置いた。3月21日にカプセルを持ち帰った少年は、38日後の4月29日に死亡した。その後、妊娠中の母親は7月10日に、2歳の妹は8月18日に、祖母は10月15日にそれぞれ死亡した。父親もかなりの量を被曝したが、外で働いていたため被曝線量が低く、助かったと思われる[5][6][7]

脚注

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  1. ^ メキシコ/米国におけるコバルト60で汚染された製品による市民の被ばく (09-03-02-10) - ATOMICA -”. atomica.jaea.go.jp. 2023年3月29日閲覧。
  2. ^ International Journal of Radiation Biology, 1998, vol. 73, no. 4, p.437 Online: http://www.reocities.com/CapeCanaveral/Hangar/8929/Seminars/2009_05_RadiationAccidents.pdf Archived 2014-10-06 at the Wayback Machine.
  3. ^ Andrews, Gould A. (1964). “Mexican Co60 Radiation Accident”. Isotopes and Radiation Technology 1 (2): 200-201. https://ia904609.us.archive.org/7/items/sim_isotopes-and-radiation-technology_winter-1963-winter-1964_1_2/sim_isotopes-and-radiation-technology_winter-1963-winter-1964_1_2.pdf. 
  4. ^ Comas. “Report entitled 'Observations on the Accidental Exposure of a Family to a Source of Cobalt-60', published in 1964”. U.S. Department of Energy OpenNet System. 30 January 2023閲覧。
  5. ^ Johnston. “Mexico City orphaned source, 1962”. Database of radiological incidents and related events – Johnston's Archive. 25 December 2016閲覧。
  6. ^ Ortiz, P.; Oresegun, M.; Wheatley, J. (2002). “Lessons from major radiation accidents”. Safety 21-1. https://www.irpa.net/irpa10/cdrom/00140.pdf. 
  7. ^ Smith, H. (1983). “Dose-effect relationships for early response to total body irradiation”. Journal of the Society for Radiological Protection 3:5–10 (3): 5–10. Bibcode1983JSRP....3....5S. doi:10.1088/0260-2814/3/3/001. 

関連項目

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放射能に関する単位と量[編集]
単位 記号 定義 導入年 SI単位
放射能 (A) キュリー Ci 3.7×1010 s−1 1953年 3.7×1010 Bq
ベクレル Bq s−1 1974年 SI単位
ラザフォード Rd 106 s−1 1946年 MBq
照射線量 (X) レントゲン R esu / 0.001293 g(空気) 1928年 2.58×10−4 C/kg
フルエンス (Φ) 毎平方メートル m−2 m−2 1962年 SI単位
吸収線量 (D) エルグ erg erg⋅g−1 1950年 10−4 Gy
ラド rad 100 erg·g−1 1953年 10−2 Gy
グレイ Gy J·kg−1 1974年 SI単位
等価線量 (H) レム rem 100 erg·g−1 1971年 10−2 Sv
シーベルト Sv J·kg−1 × WR 1977年 SI単位