8弦ベース
8弦ベース(はちげんベース)とは、エレクトリックベースのバリエーションの一つ。
概要
[編集]通常のベースのチューニングは、構えた状態で上の低音弦から、E‐A‐D‐Gとなっている。つまり、ギターにおける、高音弦二本を取り除いた音程を1オクターブ下げた状態である。その4本の弦にそれぞれ、1オクターブ高い弦(ギターと同じキーの弦)が付加されている。12弦ギターのベースバージョンといってもよい。
聴感上も、ベースにサイドギターが加わったように聞こえる。その構造上、通常のベースと全く同じ感覚でフィンガー・ピッキング(指で弾くこと)を行うのは難しく、そのため通常はベース用のピック(プレイヤーによっては、ギターピックも使用)やスラッピングによって演奏されることが多い。
チープ・トリックのベーシストであるトム・ピータソンは、特注の12弦ベースを使用しているが、リック・ニールセンによれば、このベースはピーターソンとHamer GuitarsのJol Dantzigらの議論により考案されたという。[1]12弦ベースは、8弦ベースの応用編といってもよく、ベースの4弦それぞれに1オクターブ高い弦が2本ずつ付加されている。そのため、12弦ベースは8弦よりさらに大きな広がりのある音が特色で、ディストーション(別項、エフェクター参照。)などで多少歪ませるだけで、本当にサイドギターがもう一人演奏しているように聞こえる効果を持たせる。
これらが普及しない理由は、奏法上使用可能な音楽が限られること、弦の張力に耐えられる構造からの重量、弦の数やその耐久性からの経済的事情、メンテナンスなどの問題があるためである。
ただし、後年上記のような複弦構造をもった8弦ベースではなく、5弦ベースや6弦ベースのように単弦構造をもった普通に弦が8本並んでいるエムベースや、9弦ベースのベナベンテ、また11弦ベースのアドラーのような新しい楽器も登場している。
1970年代半ばから後半にかけて、一部で使われた。
有名な使用者には
- グレッグ・レイク(エマーソン・レイク・アンド・パーマーのベーシスト兼ボーカリスト)
- ジョン・エントウィッスル(ザ・フーのベーシスト)
- ジョン・ポール・ジョーンズ(元レッド・ツェッペリンのベースなどを担当)
らがいる。
脚注
[編集]- ^ Cheap Trick’s Tom Petersson, Inventor of the 12-String Bass, Adds to Rick’s Picks Collection - Rick's Picks rickspickslive.com 2024年7月5日閲覧