いりんご☆りんご

なんか…世の中おもしろくなればいいのにな…


なんて思いながら過ごす日々のぼやき。



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#68 どっちもは選べない

6月15日(木)【11日目-2】

あのあと少し気まずいながらも、なんとか朝ごはんを食べた。


とりあえず、カースケさんと会ったと言わなかったことをあやまった。


「別に…怒るようなことじゃないけど…」

少しさみしそうな顔をする。


「嫉妬しちゃってる…な。」


し、しっと……

そ、そんな……


「俺以外の人に隠れて会ったりしないで…」


ぎゅっと抱きしめられる。

わかってるよ…ハルキ……。


「今日もさ、ただいま!って帰ってきて…おかえり!って出迎えてくれる?」


もちろん!!


「じゃあ……行ってきます。」

いってらっしゃい。


恋人みたいに見送った。


ちょっとはずかしかったけど…
なんかすごく…嬉しかった。



だけど…ちゃんと考えなければいけないんだ。


これからのこと。


ママは私のことに気づいてる…。

お兄ちゃんはパパやママに私が先生の家にいること、話したかなぁ…。


もし今、元の姿に戻ってしまったら…
パパとママが迎えに来たら…

もうここにはいられない。


どっちも……は選べない…。


カースケさんは話があるって言っていた。
でも、すごく怒っていた。

本当のことを先生に言わなかったから怒っていた…。
先生がみんなにウソをついていることにも怒っていた。


なんでカースケさんが怒るんだろう?


しかも、朝早くにわざわざ来てまで……。


やっぱり、カースケさんに先に話そうか…。
カースケさんなら…助けてくれる?


でも……
先生は隠れて会わないでって言ってた……


行かないほうがいいのかな…。
先生にさみしい思いをさせたくない。


でも…でも……
どうしたらいいかわからない…


考えたり、泣いたりしているうちに「午前中」が終わりそうになっていた。


11時半。


とにかく急いでこないだのレストランに向かう。

まだ、いるだろうか?

<つづく>

肉まんにするか…ピザまんにするか…
っていう話ではないのだけども。。

#67 朝の訪問者

6月15日(木)【11日目-1】

目を開ける少し前。

外の雨の音が聞こえて、今日は雨なんだなって思った。


目を開けると目の前に先生の顔があって…
あったかくて……

また、海に沈んでいくような感覚になる。
夢の中へ……


ダメ!

先生!学校!!


別に遅刻というほどの時間ではなかったけど。


「おはよう」

軽く。あいさつみたいな……………。


朝ご飯の準備をする。

カースケさんが教えてくれた簡単レシピにあったたまごサンドの中身を昨日、作っておいた。


「ナツ?コーヒーは?」

紅茶を買ってきた。今日はそれを飲むよ。


「いただきます。」


ごはんを食べようとした時だった。

誰かが玄関のドアをノックした。


「ハルキ?」

カースケさんの声…?


「ちょっと行ってくる。」

ドアを開けに行く先生。

「何しに来た?このあと学校なんだけど?」

「大切な話をしにきたんだよ。」


いつもと様子が違う。


「メールでもよかったのに……」

「電話もしたよ?電源、切れてるんじゃない?昨日の夜からずっと。」


何か…言い争いになってる。

聞き取れないけど…あまりいい雰囲気ではない。


「どうするんだよ!パル!」

「どうって!何がだよ!」

「先生にも、生徒たちにも…妹って紹介してただろっ!」

「それは、俺たちで考えることだよ。カースケには関係ない!」


やめて!
朝ごはん、まだ途中なのに…。


「なっちゃん!本当のこと、言ってなかったんだ。」


言えなかった。
言いたくなかった。


「話があるから…午前中に……こないだのお店に来て…。聞く気があればだけど。」

「こないだのお店って…?」

「パルは知らなくていいよ。最後までいい実習の先生でいられるといいね。」


トゲトゲしい言葉を残して、カースケさんはいなくなってしまった。

<つづく>

モーニングコーヒーのもぉおよぉぉ~♪

あ。私、紅茶派なので。ごめん!

#66 オムライス

6月14日(水)【10日目-10】

気がついたら、布団で寝ていた。


おなか…すいた……


「ナツ……」

髪を撫でられている…?
先生…?

「ごめんね。ごはん作ってくれてたんだね…」


あ!オムライス!
今、完成させます!


先生はおなか…すいてない?

「すいて…」

答えるより先にお腹がなった。
何も言わなくても…だね。


ごはんとおかずは温めるだけになっている。
あとは…たまごを焼いてのせるだけ。


「ナツは、いつも料理とかしてるの?」

してないよ。

もっとママのお手伝いとかして、料理、覚えればよかったな…。

「じゃあ、これは?」

カースケさんに教えてもらった。

「また、カースケ……?」

顔色が一瞬、くもった。


だって…先生と一緒に…食べたかったから……


「そっか…ありがとう。」

また、抱きしめられる。


唇を重ねるの……嫌なことじゃなかった…。


「俺、何か手伝えること…あるかな?」

先せ…ハルキができること……は………。

テーブルを片付けて、ごはんを置けるようにすること…かな?

「わかった。」


布団が敷いてあって、いつもよりちょっと狭いけど…
ごはんを置く位置がいつもより近くなる。


「オムライス。いいね。」

ケチャップで、絵を描いてあげる!


ハートマーク……


「ナツ…!」

くすぐったい。


先生は、自分のスプーンで私のオムライスをすくって口元に運んできた。

私も同じことをする。


「ちっさ。ナツの分のスプーンも買いに行こうな。」

食べやすい、大きいスプーンはひとつしかなくて、いつも小さめのを使っていた。


「今日は、来てくれてありがとう…おかげで…いろいろ助かった。」

私、何かしたっけ?

「うちのクラスの子、助けてくれてありがとう……。」

え?

「またいなくなってしまってたら、授業、できなかったかもしれないって…思う。」

葉月のこと…。


「学校に来れなくなった子のお母さまがいらっしゃってね。」

ママのこと…?

「あのあと一度、会ったけど…それきり会ってくれないって言ってた。」

一度、会った…?
あの時?

やっぱママにはバレてるんだ…。


その後の話はぜんぜん耳に入ってこなかった。

<つづく>

久々にひとつ前のバージョンを読んだ時。。
このあたりの回は「まぢか?!」って思ったけど。

たぶん、指定なしでいける範囲。

#65 海の中

6月14日(水)【10日目-9】


開いたドアから入ってきた先生と目があった。


「話…聞いてた…?」


静かに頷く。

なんか、胸が苦しくて。
心臓がドキドキしていて。

声にならなかった。


「別に…付き合ってるとかってわけじゃ……ないんだよ……トーコちゃんとは……」


何でそんな言い訳みたいなこと言ってるの?
私は何も聞いてないよ?


「大学の…サークル仲間で……」

ごはん、食べに行くの?
2人で?

「前は……そうだったけど……!」

大丈夫だよ。
私は……先生の『妹』…だから…。

「違うよ!『妹』じゃ…ない……」

泣きそうな顔になってる……
泣かないで!

「ナツは…『ナツ』で…何であんなところで出会ったかわからなかったけど…」

泣いてる!

「一緒にいると…あったかい……」


先生は黙りこんでしまった。
涙を拭い、胸元で手を握りしめている。


「少し前にハッキリしたんだ。」


私も苦しくて騒がしい胸に手を当てる。


ひとつ、つばをごくんと飲み込んで顔を上げると、まっすぐな目で見つめられていた。


「ナツのことが好きなんだ!」


えっ!?

そ、そうだったの?
し、知らなかった…。


知らなかった…?


心臓が壊れてしまう…
息ができない…

体が熱い。


「ナツがどこの誰だって構わない。好きで好きで…離れていたくない。」


目が回りそうなくらい頭の中がグルグルしてる。


温かい先生の腕に包まれ真っ白になった。


目の前には先生の顔しかなくて…
すごく近くて…


震えるくちびるが熱くなる。

とっさに目をつぶった。


私も…先せ…ハルキ……さん……

ハル……キ…ハルキのこと…好き…………


「うれしい……ありがとう……」


身体の力が抜けて深い海の底まで沈んだような感じになる。

でも、暗闇じゃなくて…


温かい。
心地よい。

ここは…どこ?


天国……ではない。


どこだっていい。


このままずっとここにいたい。
このままずっとこうしていたい。


夢でもいい。
夢だったら覚めないで。


「ナツ…」


心地よい声。
ハルキ……


夢じゃない……。

<つづく>


ドキドキドキドキ、縄文式、弥生式

#64 扉の向こう

6月14日(水)【10日目-8】

カースケさんは他の節約レシピとオムライス作りのコツを教えてくれた。

先生は遅くなる可能性があるからってことで、中のご飯だけ先に作っておくことにした。

たまごは帰ってきてから焼くんだ!


なかなか帰ってこないな…。


キッチンで座って待っていると、ドアの向こうに人の気配がした。


「ハルキくん?」

女の人の声?!
誰?


……『トーコちゃん』…?


「まだ…帰ってきてない…かな?」


可愛らしい声。


「ハルキくん…?」

お客さん……。
ドア……開けなきゃ…。


静かになった?


でも、まだいる……。
カチャンと音がして、何かがポストに入った。


手紙?!


「あ…ハルキくん……。」


先生…?帰ってきた…?


「ああ!トーコちゃん…!」


やっぱり……。


「元気かな……って……」

「あ…うん…。元気…だよ。」


ドアの向こうが気になる。
覗き聞きみたいだけど、やっぱり聞いてしまう。


「全然、メール…返ってこないから…心配だったの……」

「授業の準備で忙しかったから…」

「だよね…ゴメン…」

「いや、こっちこそ…」


また、静かになる。


「このあと……あいてる……?」

一瞬、息がとまりそうになった。

「この前、予定があって、会うの…断っちゃったし……」


心臓のドキドキが強くなる。


「ごめん。いま…妹きてるんだ……」

先生の言葉が少し冷たく感じた。

「そっか……」


「また…時間できたら連絡するよ……。」

「うん。元気な姿見られたから安心した。」


『じゃあね』と歩き出す靴音…。


「さっき、手紙、ポストに入れちゃったけど、気にしないで。」

トーコさんはそう言って帰っていった。


先生は静かにドアを開けた。

<つづく>

他の人の話を聞いてしまうのだけど……
こちらの話もまた、聞かれているのだろう。。

#63 放課後

6月14日(水)【10日目-7】

この後は保護者会があるらしい。


「僕たちは、職員室に寄ってから帰るね!」

カースケさんたちと別れた後。
うしろで聞いたことのある声がした。


ママ……?


会ってはいけない気がして、見つからないように立ち去る。


なんでここに?


しかも、カースケさんたちのところに声をかけに行った気がする…。

もしかして、私と話していたのを見たから?


お兄ちゃんが話したのかな…。

でも、そうだったら…
直接、私の所に来てくれたらよかったのに…


学校を出て先生の家に向かう。


「追いついたーっ!」

誰かが後ろから走ってきた…と思ったら、カースケさんだった。


他の人はいない。


「僕はゼミ生じゃないから先に帰ってきちゃった。アキナも教授も大学に戻るし。」

そう言いながらスーツのジャケットを脱ぎ、ポケットから出したハンカチで汗を拭いた。


「さっきのピクニック!続きしない?」

ピクニック?

「コンビニで甘いもの買ってこよう!」

腕をつかまれコンビニまで連れて行かれた。


甘いものはいらないと断ったけど『まるごとバナナオムレット』を買ってくれた。

見ちゃうと…食べたくなるね。


土手にある公園に戻ってきた。
ちょうどいいベンチに座る。


「ねぇ…戻りたくなった?」

え?!

「小学生に。」

なんで…?!

「僕も。小学生に戻りたくなったよ。」

?!

「小学生に戻ったら、もっといろんなことしたいな。授業もちゃんと受けてちゃんと勉強もする!」


なんだ。
そういうことか。


戻りたいよ。早く…。


「ハンバーグは上手くできたの?」

うん。おかげさまで。

「今日はパル、がんばってたけど…何にするの?」


うーん……オムライス…再挑戦…かな?!


ひとりで作った時に失敗したことを伝えると、いろいろアドバイスをくれた。

そうか。たまねぎを炒めて入れるんだ!

<つづく>

最近は、まる◯とバナナ的なものを
一気に全部は食べれなくなってきた。。

や、ステルス値上げの一環で小さくなってたら…
ワンチャンいけるかも。。

#62 本当の笑顔

6月14日(水)【10日目-6】

カースケさんとアキナさんは、学校の先生に挨拶するからと言って、先に行ってしまった。

2人も先生の発表を見に行くらしい。


そっか。
アキナさんは…苗字だったんだ。


昼休みが終わる音楽が流れている。

葉月はちゃんと教室に戻っただろうか?


教室の扉は開いていて、すでにたくさん人がいた。
なんとなく、緊張しながら教室に入る。


スーツの2人も来た。
もう一人一緒だ。

先生の先生?


そして。スーツ姿の先生と…
スーツ姿の東山先生も来た。


授業が始まる。


さすがの先生もさぞ、緊張してることだろうと思いきや…そうでもなさそう。

葉月もちゃんといた。


説明があって、席の移動が始まる。


「大人と子供、どちらが得か?」

ということで「大人派」は廊下側に。
「子供派」は窓側に並ぶ。

ユメコもマリンも「大人派」。
葉月も。


さっそく始まった。


まずは「大人派」から。

「大人は何でも出来るから…僕は子供より大人がいいです。」

さっきのこともあって葉月の言葉はトゲトゲしていた。

でも、まあ…いつも通りか。


急に大人になっても何にも出来ないって教えてあげたいわ…。


「車を運転できるし…お酒も飲める。」

えっ?なんじゃそりゃ。
お酒なんて美味しくないのに…。


「私は、大人の方が素敵な服がいっぱいあるからいいなと思います。」

さすが、おしゃれなユメコ。
可愛い服、いっぱいあったよ。


「子供しか入れないところとかあるし、お子様ランチも子供しか食べれないとこあるから!」

寺島、意外とおこちゃま。


みんなが笑う。
先生たちも笑っていた。


授業が終わり廊下に出る。

「おっつー!」

カースケさんが来た。

「なっちゃんはどっち派?」

「俺は大人派だ!断然大人派!未来はとてつもなく尊いもんなんだよ!!」

「アキナ!黙ってなさい!」


東山先生も来た。


「先日はどうも。また、学校に行けるようになるといいね。」

あ…は…はい……。


カースケさんとアキナさんも東山先生に挨拶していた。


葉月は…お母さん、来たんだね。
よかったね。

<つづく>

私は「大人派」かな。。

小6に書いた物語がここまで広がったのも…

大人になる間に出会った
あれやこれやがあってのことだし。

#61 後輩

6月14日(水)【10日目-5】

もう、あの場にはいられなかった。

葉月のことは先生に任せて、今度こそ学校を後にした。


まだ、カップ麺はあったかな?


とりあえず、コンビニにでも寄ることにした。


「なっちゃん!」

この声は……

「パルの授業、見に行くんだって?」

カースケさんだ。
えっ?スーツ姿っ!


で、もう一人は?

「はじめまして。確かに高校生っぽくはないね…同い年くらいかな?」

え?誰?

「なんてこと言うんだ!地方から兄の家に逃げ込むくらい、追い詰められた高校生は…こんな感じに大人っぽくなるもんだ。」

「なるほどね。」

や、だから…誰?!

「お兄さんのゼミの後輩。アキナ。秋南シュンです。」

「お兄さんのお友達の…河合……」

カースケさんはわかるからっ!!


「これから我々、コンビニでお弁当買って…川のほとりで優雅なランチをしようと思ってるのだけど…」

「まあ、ゆっくりしてる場合でもないですけどね。サッと決めて。サッと行かないと!」


結局、ふたりとお弁当を食べることになった。
私はお茶とおにぎりを買った。

「河合先輩って、相変わらずコンビニのサンドイッチ好きだね。」

「は?アキナ何言ってんの?そんなに食べてないけどー?」

「そっか。そうですよね。」

アイコさんやヨシゾウさんたちとの雰囲気とは、また違う雰囲気だなと思った。

「コーヒー牛乳も好きだね。」

「アキナ!黙って唐揚げ弁当食べてなさい!」

「や、もう唐揚げは…って思ってたけど結構いける!いけますねぇ!」


私もおにぎりを食べる。

「やっぱり、具はたらことおかか?」

え?なんで分かるの?

「アキナ!やめなさいっ!」

「や、植松先輩もいつもそれだから…兄妹だなーって……」

え?あ。そうなんだ……。


「ごめんね。なっちゃん。騒がしい後輩で。ちょっとおしゃべりなんだ。」

いや、ぜんぜん。
カースケさんも。じゃない!

<つづく>

コンビニサンドイッチ、好きやで!

この二人、ちゃんと描いてあげたい。。
描きたくなって、急きょ描いた次第。

#60 見えなかったホンネ

6月14日(水)【10日目-4】

ふだんはやんちゃで、ひどいことばっか言ってくる葉月も、大人にはこんな顔を見せるんだ。

「オレが失敗すんのわかってたから…母さん来なかったんだ……」


え?!


葉月のお母さんは、働いてるんだっけ…。

「オレなんかいなければ…よかったんだ……」

えぇぇっ!ちょっと!!
もう!何バカなこと言ってんのっ!

涙を流し始めた葉月に、なんて言えばいいのかわからなかった。


てか、野球で負けたぐらいで何でこんなことになるのっ!


「よかった。ここにいたんだ。葉月くん。」

困っていると先生が来た。
涙を見られまいとそっぽむく葉月。


「どうした?」

何も答えない。


『反省してる』んじゃなかったの?


「もう授業始まってるよ。教室、戻ろう?」

「サボっちゃ悪いのかっ!」

えっ!先生にそんな態度を?
さすがに先生もビックリしていた。


「鈴木だって学校サボってんじゃんかっ!」

え?!私…?

「鈴木さんは…学校に来たくても来れないんだ。」

それはそうだけど…
一体どんな話になってるんだろう…?


「なんで?いじめられてる…から?」

ええ?!どういうこと?


先生は葉月の横に座る。

「そうなのか?」

葉月は黙り込む。

「そのことについて…何か話せる?」

下をむいて少し震えていた。
その背中をそっと撫でる先生。

「無理なら言わなくてもいいよ。話せるようになったら…」

「オレが!オレがいじめてた…」

え?!ええーっ!!


思わず声を上げてしまい、先生に見られる。
葉月もこっちを見てくる。

立ち去った方がいいのかもしれないけど…
気になってしかたない。

「いつも、ひどいことばっか…ブスとか…バカとか…足が遅いとか……」

え?それだけ?
いつものことじゃん…


「本当はそんなこと思ってないのに…」

「そっか……」

また泣き出した。


バカ……
そんなことで学校来なくなんてならないよ…
いじめられたなんて…思ってないよ…!


「ナツ……?」

<つづく>

屋上の踊り場って…何か始まりそうだなって。
でも、何も始まらなかったんだわ。。

#59 責任って何?

6月14日(水)【10日目-3】

給食をはさんで5時間目の授業が先生の授業らしい。

4時間目は算数だったので、いったん学校を離れることにした。
いくら教室に戻りたいって思っていても…算数の授業はなぁ…。


あれ?!葉月?!
廊下の隅をこそこそと歩いている。


授業始まってますけどぉ?
どこ行くんですかぁ?!

こっそり後をついて行ったら、鍵のあいていない屋上にむかっていた。


何やってんのあのバカっ!


「なんだよっ!オバサンっ!」

追いかけていたのがバレてにらまれる。

「何か用ですかぁっ!」

悪いけど私はオバサンじゃないんだな。 
おこちゃま葉月くんよ。


早く葉月を教室に連れて行かなきゃ…
先生、また泣いちゃう…


こうなったらもう、日頃の仕返しをしてやるしかない!

いつも、なんだかんだで絡んでくるし。
嫌なことも言ってくる。


葉月くんよ?覚悟しなさいっ!
お説教タイムだっ!!


さてと…。


君はなんでこんなところでいじけてんのかな?

「はぁ?いじけてなんかないしー。責任とってるだけだし。」

責任?何の?
思わず笑ってしまった。


笑ったことが葉月のプライドを傷つけたらしい。
ぷいとそっぽむいてしまった。

怒ってる?
身長の差か、いつもより怖くない。


『責任』って、さっきの試合で負けたこと?

「そうだよ。オレのせいで負けた。全部オレのせいだ…。」

?!

たしかに最後のバッターをしてた。
打ったものの、点数には繋がらなかった。

でも、さすがに葉月のせいで負けたとかではないだろうけど?


「ピッチャーしてた時も点数取られまくったし……ここで反省するんだ。責任取るんだよ。だから、あっち行ってくれる?」

はぁ?!

また笑ってしまった。
葉月はまたムッとする。

「オバサンにはこの気持ち、わかんねーよ……。」

急に表情が変わったのでドキッとした。


今まで見たことない顔だったから…。

<つづく>

小学校の算数は苦手で。。
中学校でイケるかも!ってなったのに。。

高校の数学は放棄した。。
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