2024年中学校教科書採択に関わる申し入れ |       荒尾市議会議員 田中ひろはるブログ

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2024年中学校教科書採択に関わる申し入れ

  日頃からの子どもたちへの教育の充実に向けた取り組みに感謝いたします。

本年度は中学校の教科書採択の年であります。

これから採択の取組みが行われていくわけですが、私たち「民主教育をすすめる荒尾玉名の会」は、教科書採択の過程に於いて、より民主的な採択が行なわれていくか注視しているところです。

 今回の教科書採択に当たっては、採択事務局に於いて、採択方法の改善にかなり取り組まれていることに、敬意を表したいと思います。

 その改善された事を含めた上で、貴教育委員会の取組みについてお伺いと要望をさせていただきたいと思います。

 

1、  採択にあたり、次のことについての考えをお聞きします。

(1) 国民主権、基本的人権の尊重、平和主義など日本国憲法の原則を尊重した調査研究と採択を行ってください。

 国民主権、基本的人権の尊重、平和主義など日本国憲法の原則、及び子どもの権利条約などを重視する観点から調査研究をおこない、そのような観点から評価の高い教科書を採択されることを切望いたします。

(2) 首長には教科書採択に一切関与させないでください。

 教科書採択は、その公正性を確保するために教育委員会が独立して行うべきものです。

  政治家や教科書会社の介入は、払拭しなければなりません。

 教育権限を強めた首長は、どんな形であれ教科書採択に一切関

わらせないでください。

 

2、  具体的な採択作業について

(1) 採択事務局に於いて、現場教師の意見をより多く 教科書選定に反映するための採択方法の改善がなされましたが、貴教育委員会の実施計画をお聞かせ下さい。

①    採択協議会では、移動展示を地教委の実態に即して実施することとなっておりますが、教育委員会ではどのように実施されておられるのかお聞かせ下さい。

②    現場教師の意見をどのようにしてより多く集約し、教科書選定・採択に活かされようとされておられるのか、教育委員会の取り組みをお聞かせ下さい。 

③    現場教師の意見や、住民からの意見・要望の公表を要望します。

住民の方々が、教科書についてどのような意見や考え・要望があったか知ることは、住民の方々の教科書への関心や意識を高めることに繋がっていくものと考えます。

将来の教科書採択がより充実するためにも大切な取り組みだと考えます。

(2) 公平な教科書展示会場を設置されることを強く要望します。

検定合格の教科書見本本が展示会場によって、あったり無かったりという現象がおこっています。

地域によって見本本が異なるということは、公平性を著しく欠くものであり、あってはならないことです。

このようなことがおこらないために、文科省の負担で十分な数の見本本を各採択地区に公平に送付することを、県や国に対して強く要求することを要望します。

(3) 採択課程の可視化のため、以下のことを実施してください。

 密室による採択作業は、不正の温床となる可能性があります。

そのため公開による可視化を要求します。

また、教科書がどのような議論を経て採択されているのか、あるいは、何故この教科書が採択されたのかの理由等を知る権利が住民にはあります。

それらの観点から以下のことを要望します。

①      採択会議・選定委員会議への地域住民の傍聴を求めます。

②      傍聴ができるための「傍聴規則」を作成されることを強く求めます。このことを採択協議会で検討するよう働きかけを行なって下さい。

③      採択に関わる資料の公表を求めます。情報公開条例により申請してからの資料の公開ではなく、住民が容易に資料が見られるよう、積極的な資料の公表を要望します。 

 

3、採択対象の教科書の内容について

(1)検定基準「政府の統一見解に沿った記述をすること」の廃止を強く要求します。

政府の教育への介入は許されるものではありません。

このようなかたちで政府の見解に沿った記述がなされることは、時の政権の恣意的な意向を子どもに押しつけることとなります。

このことは、先の大戦で、当時の軍事政権が教育に不当に介入し、子どもたちに軍国主義を刷り込んだことと重なります。

戦後成立した旧教育基本法10条、また現教育基本法14条においても 政治の教育への介入を禁じています。

 国に対してこの検定基準の廃止を要求することを強く要望します。

 

(2)QRコンテンツの数に振り回されることなく、紙の教科書の記述内容をしっかりと比較・検討し、子どもたちにとってよりよい教科書の採択を要求します。

 

(3)歴史的事実を歪曲したり、憲法を軽視するような内容を掲載した教科書を採択されないよう強く要望します。

教科書の選定・採択を行なわれるにあって、以下に示した視点を考慮されてるよう要望します。

◎歴史教科書を選ぶ視点

  ①歴史を学ぶ目的は、過去を振り返り、教訓をこれからの社会に活かしていくことにある。

 過去の歴史を単に美化することではなく、つらい過去でも向き合い、なぜそんなことになったのかを考える歴史教科書が必要です。

良かったことも悪かったことも、冷静に伝える教科書を選んで下

さい。

  ②歴史を支配者や英雄の活躍物語として語られることがありますが、いつの時代も多くの民衆が社会を支えてきました。

時には、支配者に抵抗し、社会を変えようとしてきました。

そうした民衆の暮らしや活動を生き生きと伝える教科書を選んで下さい。

 

◎公民教科書を選ぶ視点

  ①公民学習の目的は、「主権者」としてふさわしい資質を身につけることにあります。

   憲法の3原則「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」がきちんと学べる教科書を選んで下

さい。

②  憲法を蔑ろにし「国防」「義務」を子ども達に押しつけるような教科書は選ぶべきではありません。

③  公民学習の中でも最も大切なのは、「人権」についての学習です。「個人の尊厳」「個人の権利」を「わがまま」「利己主義」として、自己犠牲を強いる主張がありますが、一人ひとりが大事にされる土台がなければ、弱い立場に立たされた人は、権利の主張もできず、生きずらい人生を強いられることになります。

全ての人が大切にされる社会の有り様を考える教科書を選んで下さい。

 

子どもたちが身につけるべきものは、「人権」「平和」「多文化共生」の大切さであると考えます。

近隣諸国の人々と仲良くし、人としての助け合い、努力、自立の大切さを学ぶ教育であってほしいと願っています。 

そのような教科書はどれかをよく吟味していただき、より良い教科書を採択してくださるよう切に要望いたします。