タラリ…
緑色の汁は粘着質で、長く糸を引いて、アキの手にしたたり落ちる。
粘り気のある汁が、アキの手にかかると…
黒ずんだ皮膚に、その汁がコーティングするようにして、ジワジワと
しみ込んでいくのが、見てとれた。
ヒタヒタと、乾ききった皮膚に吸い込まれていくと、次第に皮膚に
弾力がよみがえってくる。
「アキちゃん…」
一体、アキの身体の中で、何が起きているのか…
カガリには理解することが出来ない。
だけどもわかっているのは、ただ一つ。
このツルの不思議な力だ。
黒ずんだ皮膚が、元の健康的な色に戻ってくる。
「すごい…」
カガリがホッと、ため息をつく。
「これは…あくまでも、応急処置だ」
重々しい声で、ルークはカガリに告げる。
「早く、毒消しを見つけなければ…
いずれ、この子は助からないだろう」
険しい顔をして、カガリにそう語り掛ける。
「えっ、でも私…どうしたら?」
鏡の向こうのユー子さんに、救いを求める視線を向ける。
「あの赤い目の女よ」
ユー子さんが静かに答える。
「えっ」
「アキちゃんを、本当に助けたいのなら…
呪いをかけているもとを、断たないとダメね」
とても冷静な顔つきで、そう言う。
「それから…魔王の身体を探すこと」
さらにユー子さんが続けると、
「確かに、そうだな」
ルークが、ユー子さんの言うことに同意した。