Akiです。
先日、安倍元首相の国葬が行われました。
その当日、別れを惜しむ声と、国葬反対の声が交錯したそうです。
その日本の状況について、BBC(英国放送協会)が解説していました。
少し、長くなってしまうのですが引用します。
・・・・・日本人はこの葬儀を快く思っていないようだ。とりわけ、費用が16億6000万円と見積もられていることが背景にある。国葬への反対はここ数週間、強まっている。世論調査では、国民の半数以上が国葬の実施に反対している。
世界のリーダーたちが葬儀に集っているというのに、多くの日本国民は葬儀に反対している。このことは、安倍氏について何を物語っているのだろうか。
まず、これは通常の式典ではない。日本では通常、国葬は皇室関係者に対してだけ行われる。第2次世界大戦以降に政治家が国葬の栄誉を受けたのは1度だけで、しかも1967年とかなり前だ。つまり、安倍氏に対して国葬が行われるのは、大変なことなのだ。
国葬となった理由の一部に、安倍氏が死亡理由が挙げられる。7月の選挙集会で、銃で撃ち殺されたのだ。日本は喪に服した。世論調査では、安倍氏の人気は決して高くはなかった。だが、同氏が日本に安定と安全をもたらしたことを否定する人は、ほとんどいないだろう。
それだけに、安倍氏を国葬で送るという決定は、彼の地位の反映でもあるのだ。安倍氏は日本の首相を史上最も長くつとめた。戦後の政治家で彼ほど、世界における日本の地位に影響を与えた人はいないという評価もある。
安倍政権とも近かった政治学者の鈴木一人・東京大学大学院教授は、安倍氏が時代の最先端を走っていたと話す。
安倍氏はパワーバランスの変化を理解していたと、鈴木教授は考えている。中国が台頭すれば当然、パワーバランスが崩れ、この地域の秩序が再構築されるため、安倍氏はそこでリーダーシップを取ることを望んだのだという。
鈴木教授はその例として、環太平洋経済連携協定(TPP)を挙げる。アジア太平洋地域のアメリカの同盟国すべてを一つの巨大な自由貿易圏にまとめようとした、バラク・オバマ元米大統領の大規模構想だ。
このTPPから、ドナルド・トランプ前米大統領は2016年、アメリカを撤退させた。その時、誰もがTPPの崩壊を予想した。しかし、そうはならなかった。
安倍氏がリーダーシップを取り、より紛らわしい名前の、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)を作ったのだ。
ひどい名前だが、日本はこれによって、アジアで主導権を握るという新たな意志を示した。安倍氏はまた、アメリカ、日本、インド、オーストラリアによる協力枠組み「クアッド」の創設でも重要な役割を果たした。
さらに重要なことに、安倍氏は日本の防衛力に変化をもたらした。
2014年に当時首相だった安倍氏は、日本の戦後の平和主義的な憲法を「再解釈」する法律を強引に成立させた。これにより、日本は「集団的自衛権」を行使できるようになった。つまり、第2次世界大戦後初めて、日本は国境を越えて、アメリカの同盟国と共に軍事行動を取れるようになったのだ。
この法律は大きな議論を呼び、波紋は現在もみられる。東京で国葬反対のデモ行進をした数千人は、安倍氏が日本を戦争に導いたと非難する。
デモに参加した1人は、「安倍首相は集団的自衛権を認める法案を通過させた」、「これは日本がアメリカと一緒に戦うことを意味する。つまり、彼は日本を再び戦争をする国にしてしまった。だから私は国葬に反対する」と話した。
日本は戦争で深く傷ついた国だ。しかし、大勢が安倍氏に対して怒っているのは、原爆の記憶だけが原因ではない。戦後の日本の憲法は、戦争をする権利を放棄すると明記している。それを変えたいのであれば、安倍氏は国民投票をすべきだった。しかし彼は、負けると分かっていた。それで代わりに、彼は法律で憲法の解釈を変更した。
上智大学の中野晃一教授は、安倍氏について、「国民に説明責任を果たさない人物と見られている」と話す。「彼は何をしたにせよ、憲法の原則に反して実行した。民主主義の原則に反して実行した」。
だが、安倍氏の支持者にとっては、これらの指摘はすべて的外れだ。安倍氏は世界のどの指導者よりも先に中国の脅威の高まりを察知し、日本が日米同盟において、コストを完全に支払っている正式メンバーになる必要があると判断した――と支持者らは考えている。
安倍氏はとても未来的なビジョンを持っていたと、鈴木教授は言う。中国が台頭し、アメリカがこの地域から退くと見ていた安倍氏は、この地域でのアメリカの関与継続を確保するには、日本が自衛力をもつ必要があると分かっていたのだと、鈴木氏は話す。
再軍備され、能力を備えた日本を、アメリカが歓迎しているのは確かだ。中国について同様に懸念するアジアの多くの国々も同様だ。
安倍氏は、オーストラリアとインドを意欲的なパートナーにした。同氏が殺害されたとき、インドのモディ首相は国を挙げての追悼の日を宣言した。
しかし、安倍氏が追悼されていない場所が1つある。同氏が主戦論者、修正主義者として繰り返し非難された場所だ。
それはすなわち中国。中国政府が、王岐山副主席をロンドンでの国葬に送り、中国国外では無名の元科学技術相を東京での国葬に送るのは、そのためかもしれない。
・・・・・(引用終わり)
国葬で税金が16億円もかかるというのは、ギクッとするけど、
長い間、日本のために尽くしてくれた首相だから、国葬で報いるべき、
と自分は思います。
BBCの解説記事は非常にわかりやすい。中国の脅威の高まりに危機を感じて行動してきたのが安倍さんで、だから中国政府は安倍さんの葬儀には冷たい対応をしている。
その中国の動きは、葬儀の最中に大声をあげて国葬反対のデモをしていた数百人(主催者発表では1万5千人ですが実態は数百人のようです)の日本人の行動と重なります。
その一方で、国葬の一般献花の数は2万人を超えたそうです。
お花を買って、長い間、列に並んで、献花して、手を合わせて冥福を祈る。
やはり、お葬式は静かに冥福を祈る日であったほうがいい。
素朴にそう思いました。
同時に、国葬反対、安倍憎し、の人たち。
心ならずも中国と歩調があっていることに危機感を覚えました。
安倍さんの国葬(終わり)