英検1級を圧倒したこの一冊【65】危険だからこそ知っておくべきカルトマーケティング(雨宮 純) | ひとときのときのひと

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だいたい毎日。



まずは英語から。

 

 ここでは、英検1級1発合格術にこだわらず「ためになる英語」学習に関して、本ブログ筆者が見つけた注目の1冊、必読の数行を紹介しています。

 

 第65冊目は

 

 

です。

 

 この本も、2024年8月初版で10月に第2刷になっていますので、「売れている」本ということになるのでしょう。

 

 腰巻(表表紙から裏表紙までにかけて、帯状に付ける紙)に「良識ある人以外、絶対に読まないでください。」との宣伝文句が掲げられていて、ニヤリとさせられたので、手に入れてみました。

 

 このようなやり方は、よくあります。読者になるかならないかわからない人間をちょいと気持ちよく持ち上げて、俗に言うならヨイショして、「おれはフツーの人とは違うのさ」と思わせて購入させる、仕掛けです。

 

 かつて、高級?インスタントコーヒーのコマーシャルに使われた、「違いがわかる男」というキャッチフレーズ。あの言葉も、この「公式」から生み出されたと考えてかまいません。

 

 この本の中では、しかし、上に掲げた「ヨイショの公式」など、本当にかわいらしくあどけなく思えるくらい、巧妙なカルトの集金方法、教義づくり、組織づくり手法やブランディング、イベント手法などが事細かに紹介され、精緻な分析がなされています。

 

 ポイントはいくつかありますが、カルト集団が「今、ここではないどこかへ連れていく」という教義を掲げ、対象者に抵抗感を抱かせずに誘い入れるという部分を興味深く読みました。

 

 本当の自分は、もっと別のところにいて、それを救世主のような存在がこっそり見つけてくれる、自分だけに提示してくれるという極めて宗教的な誘い方です。

 

 ところが、いま、「宗教的」という言葉をあえて使いましたが、いまや教育産業においては、この「今、ここではないどこかへ連れていく」手法は、数えきれないくらい使われているではありませんか。

 

 中でも英語です。英語がしゃべれさえすれば、海外の人ともコミュニケーションでき、友達になれる、活躍できる、別世界に行けるという布教活動。これも、枚挙にいとまがない。

 

 その熱い布教活動にわざわざ水をかけるつもりはありませんが、本ブログ筆者は、物心ついてから一度も「本当の自分は別のところにいる」とは、思わないようにしています。少なくとも、そういった言説は、相手にしないようにしています。

 

 英語が喋れるからと言って別世界にいるなどと空想したことは一度もありません。

 

 なぜか。

 

 「たどりついたら、いつもどしゃぶり」という吉田拓郎(自分が20代の頃、はやり歌を多く生み出し、唄っていたフォーク歌手)の書いた歌詞さながら、未来とはそういうものなのです。

 

 つまり、英語で外国人と意思疎通ができたらできたで、また次の悩みとか新たな課題が目の前に立ちはだかります。それは、経験者だからこそ声を大にして申し上げたい。

 

 留学もしていないし、海外駐在もしていないし、ましてや、日本生まれで、アラカンにして英検1級1発合格した「遅れ過ぎた青年」だからこそ、はっきりと申し上げたいのです。

 

 そして、その「たどりついたら、いつもどしゃぶり」は一生続きます。

 

 ところが、この日本には、特に英語に関して、上に述べたような「英語さえできれば、ボクは、アタシは別世界にいけるんだ」といった「空気」があふれ過ぎているように思います。

 

 そんなありもしないバラ色の世界を掲げて対象を募るからこそ、英語の学習が長続きしなかったり、いつのまにかやめてしまうということになってしまっているのではないでしょうか。

 

 同じ理由で、英語の早期教育といった考え方にも本ブログ筆者は強く疑問を感じています。

 

 おおよそ美しすぎる世界を見せられているときほど、「本当かな」と本気で疑うくらいでちょうどいいのではないでしょうか。

 

 英語教育産業がカルトマーケティング手法にまみれているなどとは決して申しません。

 

 しかし、大人の中には、独学が強いる孤独感に耐えきれない結果、容易に「そういった世界」へふらふらしてしまうケースがままあるように見受けられます。

 

 人は、自由を渇望しますが、いざ自由を手にしてみると、以外にもその重みに耐えられず、安易な道に流れてしまう、自己放棄に決着してしまうという、認めたくない現実。

 

 しかし、それは、この本、「危険だからこそ知っておくべきカルトマーケティング」が裏付けとして注記しているエリック・フォッフアーの「大衆運動」だけでなく、たとえばエリック(エーリッヒ)・フロムの「自由からの逃走」でも指摘されている歴史的事実なのです。

 

 以上、参考書には出ていないかもしれませんが、あなたの英語学習を考え直すきっかけになれば、幸いに思います。

 

 

 

 
 

 

 

 

 

 

 

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